個人的には『FTL』に取って欲しい

 サンフランシスコで行われる世界的ゲーム開発者会議GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)。GDC期間中に行われるインディーゲーム賞“Independent Game Festival”アワードのノミネート作品が発表されたので、今年も候補作を動画つきで全紹介。なお、授賞式は米時間の2013年3月27日にGDCアワードとともに行われる。

Seumas McNally Grand Prize(最優秀賞)
Cart Life(Richard Hofmeier)公式サイト
 Richard Hofmeier氏によるPC用アドベンチャー&シミュレーションゲーム。プレイヤーは町中の売店を経営する。ゲーム本体はフリーウェアで公開されているほか、同氏から5ドルでサントラやボーナスゲームがついたバージョンを購入することもできる。

FTL: Faster than Light(Subset Games)公式サイト
 プレイヤーはとある重要目的を担った宇宙船の艦長となり、目的地への長い旅路に出る。メインとなる戦闘パートはリアルタイム(一時停止可能)のシミュレーションゲーム。簡素な2Dグラフィックでありながら、状況に応じてエネルギーを再配分し、敵艦のどこをどの武器で攻撃し、故障箇所のどこを修復/閉鎖するかという戦術が求められる。本紙記者もオススメ。公式サイトのほか、Steam、GOG.comなどのPC向け配信プラットフォームで購入可能。

Hotline Miami(Dennaton Games)公式サイト
 1980年代を舞台にした見下ろし型のアクションシューティング。プレイヤーは殺し屋となり、淡々と出向いて標的を周囲の護衛ごと始末していく。自分も敵も一瞬で死ぬウルトラハードコアなバイオレンス(開幕数秒で死んだりしながらベストな立ち回りを探していく)、歪んだネオンのような印象的なビジュアルスタイル、バキバキのサウンドが相まって、延々とプレイしていると実にヤバい雰囲気になってくる。こちらもSteam、GOG.comなどで購入可能。

Kentucky Route Zero(Cardboard Computer)公式サイト
 ケンタッキー州の謎のハイウェイを舞台にしたアドベンチャーゲーム。ゲームプレイ自体は古典的なアドベンチャーゲームだが、キャラクターとストーリーテリング、演出などが凝っていて、薄明かりにシルエットが浮かび上がる特徴的なグラフィックスタイルも印象的。1章を7ドル、全章を25ドルで購入可能。

Little Inferno(Tomorrow Corporation)公式サイト
 海外ではWii UとPCでリリースされている独創的なゲーム。プレイヤーは暖を取るために、暖炉にさまざまな物を放り込んでいく。ロボット、クレジットカード、バッテリー、小型原子炉……。ちなみにPC版は10ドルで購入できる

Excellence in Visual Art(美術賞)
Guacamelee!(DrinkBox Studio)公式サイト
 プレイステーション3とPS Vitaがプラットフォームのアクションアドベンチャー。中南米の切り絵のような美しいグラフィックスタイルが特徴。主人公は、誘拐された大統領の娘を救うために立ち上がった青年ファン。伝説のルチャドール(プロレスラー)のマスクを身に着けた彼を操作して、ヒーローとなるのだ。

Incredipede(Northway Games and Thomas Shahan)公式サイト
 目ん玉に脚や触角を生やしてクリーチャーを作り、目的を達成するパズルアクションゲーム。手塩にかけて育てた“彼女”が頑張る姿を見れば、悪夢的なクリーチャーデザインにいつの間にか愛着が湧いてくるハズ。公式サイトでブラウザ版をプレイ可能なほか、PCとMacのフルバージョンも販売中。

Kentucky Route Zero(Cardboard Computer)

Lovers in a Dangerous Spacetime(Asteroid Base)公式サイト
 ピンクの球体型宇宙船(?)に住むふたりを操作して、機銃を撃ったり、船を移動させたりしながら襲ってくる連中を撃退する、2人協力プレイのシューティングゲーム。プラットフォームは未定だが、2013年中にリリース予定。

Year Walk(Simogo)公式サイト
 iOS向けリズムアクションゲーム『Beat Sneak Bandit』を手掛けたSimogoの新作。今回もiOSタイトルで、19世紀のスウェーデンを舞台にしたアドベンチャーゲームとなっている。

Technical Excellence(技術賞)
Intrusion 2(Aleksey Abramenko)公式サイト
 16ビット時代の横スクロールアクションに影響を受けた、PC用アクションシューティング。個人開発でありながら、現代的なアニメーションシステムや物理演算を取り入れ、クラシックなゲームプレイに組み合わせている。公式サイトやSteamなどで購入可能。

LiquidSketch(Tobias Neukom)公式サイト
 iPad2以上に対応したパズルゲーム。流体演算を行なって、液体を使ったパズルが楽しめる。すでにApp Storeで配信中。

Little Inferno(Tomorrow Corporation)

Perspective(DigiPen Widdershins)公式サイト
 一人称視点と2Dアクションを組み合わせた実験的フリーゲーム。プレイヤーはカメラ移動と2Dキャラクターのふたつを操作できる。2Dキャラクターは青く塗られたオブジェクトの上を移動できるので、カメラの視点を変えることでオブジェクトの見え方を調節し、出来たコースの上をキャラクターに切り替えて進んでいくのだ。公式サイトやミラーサーバーから無料で入手可能。

StarForge(CodeHatch Corp.)公式サイト
 エイリアンが潜む惑星を舞台にした、SFテイストのFPSに『Minecraft』を組み合わせたかのようなPC用マルチプレイゲーム。RTS、FPS、RPG、タワーディフェンスなど、さまざまなゲームジャンルの要素が取り込まれている。正式リリースは2014年を予定しているが、すでにプレイ権は販売されている。ちなみに、当初F2P(基本プレイ無料)モデルを検討していたが撤回したというユニークな過去もある。

Excellence in Design(ゲームデザイン賞)
FTL: Faster than Light(Subset Games)

Samurai Gunn(Beau Blyth)公式サイト
 最大4人で戦う2Dのマルチプレイ対戦アクション。銃と刀を駆使して相手を倒すのが目的。一部オブジェクトを破壊して弾丸や自分が通れるようにするなどマップに干渉できる要素もある。

Starseed Pilgrim(Droqen & Ryan Roth)公式サイト
 空間にブロックを発生させていき進んでいく2Dのパズルアクションゲーム。公式サイトから購入可能。

Super Hexagon(Terry Cavanagh)公式サイト
 周囲から迫ってくる壁を避けまくる脳汁系アクションゲーム。App StoreでiOS版が、SteamでPC版が発売中。

Super Space ____(David Scamehorn & Alexander Baard, DigiPen USA)公式サイト
 周囲から迫ってくる小惑星を破壊し続ける協力プレイのシューティングゲーム。プレイヤーたちが操作するのは、とある宇宙船に括りつけられた砲台。撃つと反作用によって宇宙船が回転したり動いたりするので、全員が好き勝手に撃っていると宇宙船がフラフラと動きまわってめんどくさいことになるのだ。

Excellence in Audio(音響賞)
140(Jeppe Carlsen)公式サイトなし
 抽象的世界を舞台にしたアクションゲーム。障害とサウンドが連動している。

Bad Hotel(Lucky Frame)公式サイト
 タワーディフェンス系のiOSゲーム。プレイヤーはタレット(自動機銃)つきの武装ホテルを建てて、ホテルを襲ってくるさまざまなものを撃退する。プレイヤーのアクションや決定により音楽が自動生成される。

Hotline Miami(Dennaton Games)

Kentucky Route Zero(Cardboard Computer)

PixelJunk 4am(Q-Games)公式サイト
 キュー・ゲームスとアーティストBaiyonとのコラボで生まれた、PS Moveモーションコントローラを使ってサウンドとビジュアルを操るゲーム。日本でもPlayStation Networkで配信中。

Excellence in Narrative(脚本賞)
Cart Life(Richard Hofmeier)

dys4ia(auntie pixelante)公式サイト
 8bit風のミニゲームに乗せて、作者が性同一性障害からホルモン治療による性転換を行うまでの経験が語られていくFlashゲーム。ミニゲームもその経験がモチーフになっている。

Gone Home(The Fullbright Company)公式サイト
 廃墟となった家を探索する一人称視点のアドベンチャーゲーム。さまざまな物から、かつてそこに住んでいた一家の様子が浮かび上がってくる。

Kentucky Route Zero(Cardboard Computer)

Thirty Flights of Loving(Blendo Games)公式サイト
 一人称視点でショートストーリーを体感する、一種のアドベンチャーゲーム。同作者のGravity Boneの続編にあたる。公式サイトほかSteamなどで購入可能。

Nuovo Award(新鮮かつ独創的なアイデアに贈られる賞)

7 Grand Steps(Mousechief Co.)公式サイト
 誰もが持つ先祖たちの歴史をテーマにしたゲーム。プレイヤーは盤上のコマを進め、彼らを知り、歴史を紡いでいく。

Bientot l'Ete(Tale of Tales)公式サイト
 2つのパートからなるインタラクティブプログラム。プレイを始めると、男性または女性のアバターを操作できる。彼または彼女はひとりでビーチにおり、ゆっくりと寄せては返す波とともに愛と喪失についての詩的なメッセージが染みこんでくる。後半のパートでは、アバターキャラクターの恋人を(多分)演じている、自動的にマッチングされたどこかの誰かとチェス盤を囲むことになる。公式サイトからWindows版またはMac版を10ドルで購入可能。

Cart Life(Richard Hofmeier)

dys4ia(auntie pixelante)

Little Inferno(Tomorrow Corporation)

MirrorMoon(SantaRagione + BloodyMonkey // Pietro Righi Riva, NicolA2 Tedeschi & Paolo TajA)公式サイト
 赤い惑星を舞台にした一人称視点のパズルアドベンチャーゲーム。2012年のグローバルゲームジャムで制作された。公式サイトで無料公開中。

Spaceteam(Henry Smith)公式サイト
 最大4人で遊ぶ協力プレイのiOSゲーム。各プレイヤーにはそれぞれ異なるボタン、スイッチ、スライダーなどが割り当てられており、宇宙船を維持するためには次々と出される指示を共有し、声を掛けあいながらパネルの操作を行わなければいけない。

VESPER.5(Michael Brough)公式サイト
 本作のテーマは“儀式”。1日に1歩しか進むことができず、移動を完了すると次の日まで待たなくてはならず、少なくとも100日間をかけなければクリアーできない。そのためにプレイヤーは自然と毎日繰り返される儀式のように本作を生活の一部に組み込むようになるのだ。