作品への愛を感じるインタビューに

 2013年1月よりTOKYO MX、tvk、サンテレビ、KBS京都、ぎふチャン、三重テレビ、BS アニマックスにて放送開始予定のテレビアニメ『まおゆう魔王勇者』(以下、『まおゆう』)。本作品に出演する魔王役の小清水亜美さん、勇者役の福山潤さん、女騎士役の沢城みゆきさんに作品の見どころや意気込みなどを聞いた。

テレビアニメ『まおゆう魔王勇者』の魅力を小清水亜美、福山潤、沢城みゆきが語る_02
テレビアニメ『まおゆう魔王勇者』の魅力を小清水亜美、福山潤、沢城みゆきが語る_01
テレビアニメ『まおゆう魔王勇者』の魅力を小清水亜美、福山潤、沢城みゆきが語る_03
小清水亜美さん
福山潤さん
沢城みゆきさん

――まずは、ご自身が演じられているキャラクターについて教えてください。

福山潤(以下、福山) この世界に颯爽と現れた勇者です(笑)。彼は人間と魔族との長年の戦いの中で、人間の期待を一手に背負い、魔界に単身乗り込み、魔王と対峙し、その後、消息を絶ったと言い伝えられています。人間としてはたいへん強く、魔族を含め最強であるであろうという強さを持っているからこそ、心とのギャップがとてもあって、強いはずなのにゆるかったりと「強さに裏打ちされた心の余裕もあったのかな?」と感じました。いろいろな部分がまだ青いんですが、魔王の言葉を理解しようとか、自分たちがやろうとしていることを言葉では説明できないけれども、感情として本能として強い信念を持っている少年です。

――原作を読んでいると、「器が大きい感じなのかな?」と感じました。

福山 そうですね。いろいろなバックボーンがあった上で強いというか、自分が虐げられないところにいるのもそうですし、自分が強いからこそ過去に虐げられたり、自分が特殊であるからこそ虐げられた部分があったり……。自分がまわりとは違うということを理解した上で、傍若無人に振る舞うのではなく、この世界に自分はひとりであるという思いから余裕ととれるのか、それとも距離をとっているのか。そういったものが混在して、まわりから浮いているように見えるのかもしれないですね。

――では、魔王様お願いします。

小清水亜美(以下、小清水) はい、魔界を統べる、第43代目魔王です。魔王ではあるんですけれど、20代くらいの女性の姿をしていまして、ツノも生えていますが着脱可能なものになっています(笑)。彼女は、魔王城に籠もった状態でいろいろな勉強をしていて、争うというよりは、人間世界と魔界との戦争をなんとか平和的に解決できないものかと悩み動こうとしています。その延長線上に経済的な発展などを考えていたりと、とても知性派な人です。肉体は筋肉というより駄肉? といった役どころですね(笑)。

――なるほど。胸も魅力ですしね(笑)。内面もふつうの女性といった感じがしましたが。

小清水 そうですね。見た目の年齢よりは歳を重ねているとは思いますが、かなり長いこと城に籠っていて、人と接する機会がほとんどなく、会話をする相手はメイド長だけという。そういったところが、会話するときのテンションの不慣れな感じというか、“若さ”に繋がってくるんじゃないかと思います。

――では、つぎは女騎士お願いします。

沢城みゆき(以下、沢城) いまのお話を聞いていて思ったのは、「魔王と真逆のキャラクターです」と言ってもいいのかなと。たとえば、魔王が“静的”なら、女騎士は“動的”。魔王がインドアなら、女騎士はアウトドアみたいな(笑)。また、女騎士は人との接触が多かったでしょうし、魔王はメイド長とふたりという関係性で生きてきたでしょうし、ふたりは対照的な存在だと思います。ただ俯瞰で見たときに、彼女たちの共通点としてふたりとも素直なので、そこが惹かれ合う理由なのかなと思います。好きな人に対する気持ちも、表現の仕方がまったく違って、たとえば土足でバンバンバンと廊下を歩いて、「おい、勇者、好きだから入るぞ!」っていうのが女騎士だと思うのですが、魔王の場合はそーっと近づいて「あーどうしようかな、どうしようかな、でも、寝ていたら悪いからそっとのぞいてみようかな」みたいな。そんな人です。

――皆さんは原作の『まおゆう』やコミック版は読まれましたか?

福山 収録し終えた部分は、徐々に読んでいますが、先の物語は読まないようにしています。それは、アニメの台本自体に十分情報量があるのと、原作は書籍化されていますが、もとはインターネット上で書かれていて、ビジュアルもなく、個々のキャラクター名も役職という中で、「読んでいる人によって勇者のイメージは違うだろうな」と感じていました。そこで、完全に自分の価値観だけで勇者を作ってみようと。原作を読んでしまうと補完するので、僕はこれに関しては自分が演じるよりも先は絶対読まないと決めています。

――なるほど。小清水さんと沢城さんはいかがですか?

小清水 全部ではないんですけど、読ませていただきました。小説というよりはドラマの脚本みたいな感じなのが、おもしろいなと感じましたね。不思議な読み口でした。

沢城 私も読ませていただきましたが、教育教材というか世界の生産の流れを知るみたいな印象が強かったです。1枚目のドラマCDで大半のことが語られていますが、私は知識としてごっそり抜けた状態で2枚目のドラマCDから参加しているので、「それだったら小説よりもマンガをオススメしますよ」とプロデューサーに言われまして、マンガで情報を補完していましたね。

――そのドラマCDを経て、いよいよアニメがスタートしますが、キャラクターを演じる上で、「こういうところを大事にしよう」とか、「こうやったらうまくいくんじゃないか」と思っているところを教えてください。

沢城 理屈っぽくならないところです。頭で考えて行動しないで、反射的にものを言ったり、本能で動く人というアイデンティティーをしっかり確立したいというのはありますね。そうでないと私のインテリジェンスな部分が溢れてしまうので(笑)。

一同 (笑)。

福山 みゆきちはねぇ……。インテリだからね(笑)。

沢城 そんなことないですぅ(笑)。

――インテリって久々に聞きました(笑)。

沢城 インテリとは違って、動的であるところが女騎士の魅力だと思っているので、そこをすごく大事にしています。政治の話をするときも頭で考えてものを言うよりは、心で感じて「それは絶対に止めたい」とか、そういう説得力がある人にしたいなと思っています。

小清水 魔王は人にものごとを教えるセリフが多いのですが、伝える相手に合わせたしゃべり口調で会話をするように意識しています。勇者に何かを教えるときにしゃべるのと、青年商人としゃべるのとではわけが違うので、魔王が自然にやっているということを考えながら演じています。あと、魔王が勇者に対して、「どういう気持ちでしゃべろうかな」という感じはすごく共感できます。ふだんは饒舌にしゃべれるのに、相手を意識すると言葉が上手に出てこないみたいな。そこが魔王のかわいさでもあるとも思うので、そういったところのバランスを取りつつ、別の人と見られないように表現できたらいいなと思いながら、いま、アニメ収録をやっています。

福山 僕は肩ヒジ張らないことですね。最初にドラマCDをやったときに、個々の名前がないところも含めて、どういう風に見せていこうとか、読んでいる人がどういうものを見たいのかなっていうのを考えたときに、「デフォルメを極力やらずに、勇者という人間を成り立たせられたらいいな」というのを考えながら演じていますね。すでにドラマCDで物語の先々までやらせてもらい、勇者の今後を知っている上で要求されている部分と、彼のバックグラウンドを考えながら、力を入れるところ、もしくはマジになるところをちゃんと精査した上で演じていけたらいいなと思っています。

――テレビアニメ『まおゆう』の見どころやオススメポイントがあれば教えてください。

福山 ビジュアル的にいったら魔王の“胸”を下から正面を見据えて上のほうに抜けるというカメラアングルを作画でやっているところですかね(笑)。

一同 (笑)。

福山 CGで容易なところを、作画でやっているという。

――それは男の子の夢ですからね。

小清水 魔王の胸がプルンっみたいなものはアニメならではというか。

沢城 そうだよね。ドラマCDではわからないもんね。

――なるほど。駄肉もかなりいい感じに再現されていると。ほかにはないですか?

小清水 アニメになると背景がしっかり描かれるので、魔界ってこういう感じなんだとか、最初の開拓村がどれだけ開拓されていないんだとか、背景が見えることでより立体的になるところですね。いままで原作を読んでイメージしている方が見ても、それに対して色がついてるとか、背景ってすごく重要なんだなと思いました。

沢城 確実に登場キャラクターひとりずつに見せ場があって、ちゃんとひとりひとりの物語が描かれているんです。しかも、それぞれヘビーなものを抱えていたり、フワフワと浮くような恋の話題であったり、「人ひとりの尊厳とはなにか?」というような重たいテーマもあるんですけど、それぞれがものすごく印象に残らざるをえないような描かれかたになっているところが『まおゆう』の独特な魅力だと思います。

――では最後に放送を楽しみに待っているファンへメッセージをお願いします。

福山 ゲームファンの方にはこの作品はとても近しい作品だと思います。テーマとして、いまさら魔王と勇者なのかよって思うぐらい、たくさんの作品で勇者と魔王の関係が描かれていましたが、『まおゆう』は独特の切り口で描かれていて、自分たちが持っていた知識や物語のストックに対するおもしろさの補完にもつながってきて、本当におもしろい作品に仕上がっています。ゲームファンの方々も、そうじゃない方も十分楽しめる物語になっているので、1月のオンエアーを楽しみに待っていてもらえたらと思います。

小清水 日々の生活でニュースを見ていて、「なんでもっとこうすればうまくいくようなことが大人はできないんだろう」、「なんで難しいことを考えて、もめて、お金の問題がうんぬんとかって言ってるんだろう」みたいな気持ちが私はいまだに生まれたりするんですけど、その仕組みやさまざまな問題を抱えている人たちの気持ちがわかるのが、『まおゆう』だと思っています。年齢を問わずたくさんの方が見ていただけたらうれしいですし、家族と見ていただいて、家族の交流のきっかけにもしていただける作品だと思います。そして“駄肉”も見ていただけたらなと。

沢城 私は情報量がいちばん多い小説が物語を読むのにいちばん最適な媒体だと思っているのですが、『まおゆう』もキャラクターひとりひとりが主役ぐらいの情報量で書かれていて、そこがきっとすごく楽しいと感じるところだと思います。ただ、アニメのほうは小説にあるたくさんの情報量がエッセンス的にキュッっとなっておりますので、より濃く見ていただけるよさもあるかなと思います。ぜひぜひ、1月からお見逃しなく、見ていただければと思います。よろしくお願いします。

なお、週刊ファミ通2013年1月23日号(2013年1月10日発売)では、今回の『まおゆう』に関するインタビューを含め、プライベートな話も語られているほか、3人のサイン入りプロマイドのプレゼントもあるので、こちらも合わせてチェックしてほしい。

テレビアニメ『まおゆう魔王勇者』の魅力を小清水亜美、福山潤、沢城みゆきが語る_04