『龍が如く5 夢、叶えし者』完成披露記者会見　空前のスケールに哀川翔、奥田瑛二ら豪華キャスト陣も驚愕

未曾有のスケール、『5』がいよいよ発売間近！

　2012年12月4日、東京・秋葉原UDXシアターにおいて、2012年12月6日発売予定のプレイステーション3用ソフト『龍が如く5 夢、叶えし者』完成披露記者会見が開催され、シリーズ総合監督の名越稔洋氏をはじめ、桐生一馬役の黒田崇矢、キャストの哀川翔、大東駿介、奥田瑛二、徳重聡も登場し、完成の喜びなどを語った。

　最初に登場した『龍が如く』シリーズ総合監督の名越稔洋氏は、「今回は歓楽街も新たに増えて、全国5大都市を舞台にしたボリュームのある一作となりました」と、本作のボリューム感をアピール。「無事に完成したことをご報告します」と力強く宣言した。

　続いてステージには、“ミス龍が如く5”の5人が登場。名越氏から、「今回は5大都市が舞台なので、地区代表という形で、1000名以上の応募者から選ばせていただきました。TVCMも含めてプロモーションに協力していただき、感謝しています。おつかれさまでした」とねぎらいの言葉を受けた後、それぞれひと言ずつ、完成披露の日を迎えた感想を語ってくれた。

　続いては、本作の主人公、桐生一馬役の黒田崇矢が登壇。本作の見どころについて問われた黒田は、今作がゲーム性、ストーリーともにかつてないほどに大きくなっていることを指摘しつつも、「桐生を演じている私としては、7年に渡っていろいろな事件を解決して、人として成長を遂げた桐生一馬。さらにやさしく、強くなっている桐生一馬を観ていただきたいなと思います」（黒田）と、初代『龍が如く』から主人公を演じ続けてきた黒田ならではのコメントで、本作への期待感をかき立てていた。

　つぎに登壇したのは、本作の豪華キャスト陣から、馬場茂樹役の大東駿介、高杉浩一役の哀川翔、堂島大吾役の徳重聡、府警の刑事役の奥田瑛二。4人のトークに先立って、都合によりこの日は欠席していた、まゆみ役の片瀬那奈と、勝矢直樹役の吹越満からのビデオメッセージも上映された。

　そして壇上に上がった4人は、司会者から質問されたお題に沿って、収録時のエピソードや、本作にかける思いなどを順番に語ってくれた。

　ゲームの音声収録は初体験だったという大東。「ゲームの音声をやる感覚ではなく、お芝居をする感覚で臨みました。けっこう長いパートもありましたが、だんだんエネルギーが上がってきて、「休憩はいらないのでこのままいかせてください！」などという調子でやっていたら、途中酸欠気味になってしまいました（笑）。バトルシーンなどはたいへんでしたが、精一杯やりました」と語った。

　『龍が如く2』から堂島大吾を演じ続けている、シリーズでは古参の徳重。「大吾は、『2』のころは僕より若く、やんちゃな感じでしたが、だんだん人間の厚みが増してきました。今回は東城会のトップらしい人間の厚みが出ていて、僕本人は追い越されてしまったな、という感じがします」とのこと。

　こちらもゲーム収録は初体験の哀川。「ゲームの収録とはいえ、ほとんど実写に近いような映像なので、そこに自分がどのように入り込めるか、ということを基本に考えて参加しました。いまの実感としては、高杉がどのように暴れまくっているのか、じっくり遊んで確かめてみたいですね。40～50時間をいっぺんには無理でしょうから、朝早い時間に、ちょっとずつ遊びたいと思います（笑）」と語り、記者たちの笑いを誘っていた。

　「細かい部分まではまだ見ていないので、完成版がとても楽しみです」と語った奥田。「初代『龍が如く』を女房にプレゼントされたときには、夢中になりすぎて遅刻してしまい、女房の目の前でゴミ箱に捨てさせられた経験があります」、「行きつけの整体の先生に、“なぜ『龍が如く』に出ないんですか、ピッタリなのに”と言われたそのつぎの日に、この仕事の依頼があって。うれしくて、ふたつ返事でやります、と答えました」など、意外なエピソードを披露し、取材陣を沸かせていた。

　最後に再び登壇した名越氏は、「今回、5大都市になったということで、当然、作り手としては作業がたいへんで。年末の、いちばん届けたかった時期に完成させられたということで、改めてスタッフの根性を感じられて、うれしかったですね」と感慨深げに語った。
　そして、「『龍が如く』は、キャストはもちろん、楽曲を提供してくださった方や、いろいろな方に支えられて、合計7作を積み上げてこられました。明後日に発売を控えたいまの段階で、発注も過去最高の記録を更新していますので、きっといい結果が出るのではないかと思います。私自身、このシリーズがここまで大きくなるとは思っていませんでした。この日を迎えることができたことを、本当にうれしく思っています」と挨拶し、発表会を締めくくった。

　発表会終了後、キャスト陣への質疑応答が行われた。その内容をまとめてお届けしよう。

Q　ご自分が演じられたキャラクターを見た感想はいかがでしたか？

大東　完成度が高くてびっくりしました。顔を（フェイスキャプチャーで）撮ったときには、シワなど、特徴があったほうが再現しやすいので、「若い人は似せにくく、別人になってしまうかも」と言われて不安でしたが、すごい再現度で驚きました。でも、アクションシーンは、驚くほどに足が上がっていて……これは実写ではできないな、と思いました（笑）。

哀川　リアルですよね。だからこそ、内容を突き詰めていくことに集中できるんじゃないかと思いました。

奥田　長年役者をやっていますが、もう1人の自分がそこにいるというか、一卵性双生児が、バーチャルの中にいるという感じで、けっこう感動しますよね。超客観的に、「おお、奥田だ」と見られて。実写と違って、まったく別次元のものと思って、ワクワクしますね。

徳重　僕の場合、大吾は髪も長髪ですし、ゲームの中では違った感じなので、特別僕がいるという感じではないのですが。どんどん渋みが増していて「頼もしいな」と、客観的に見ております。

Q　名越総合監督とお会いした印象はいかがでしたか？

大東　じつは今日初めてお会いして、「あ、名越さんだ」と（笑）。改めて、「この作品に携われたんだな」と実感できました。

哀川　（収録中は）特別指示はなかったと思いますが、作品に対する思いが人一倍強いことは感じました。「作り上げるための手段は自分の中に十分あるから、その素材として十分、目一杯やってください」という感じだったと思います。

奥田　風貌が風貌ですから、信用できるのかできないのか……それを探りましたよね、最初は（笑）。私もこの歳になると、突出した才能とキャラクターに乗っかると、違うものが見えてくる、というのは感じているので。それで乗っかってみて、とても気持ちよかったというのがあります。

徳重　黒いな、と（笑）。あと、名越さんもそうですが、横山さん（横山昌義プロデューサー）が非常にやつれていて。この作品を作るのはたいへんなんだな、と（笑）。それに答えないといけないと思いながら、収録をしました。

Q　ゲームでは、ご自身に似せたキャラクターが動くということで、実写と違うアプローチの役作りが必要だったかと思います。そのご感想はいかがですか？

大東　『5』まで続いた愛されている作品に飛び込むということで、熱量、役としてのエネルギーで負けてはいけないというのは意識しました。自分の声で馬場が弱くなってはいけないし、葛藤を抱えているキャラクターなので、薄っぺらくなったらいやだなと。だから知らないあいだに声もつぶれてしまったくらいです。短期間の収録ではありましたが、馬場に魂を込めてやれた自信はあります。

哀川　作品として、できあがっているものですから、そこに、自分が生きてきた中の、出せる部分を出せればいいなと。細かいところを自分から提示していくのではなく、要求されたことを、的確にやることを意識して現場に立ちましたね。

奥田　これは実写では使えないな、と思ったのが、蹴られたときの「あっ」を何種類かください、と（笑）。これは実際やってみて、自分の中に、キュートな自分がある気がして……これがつながると、リアリズムを生むのだろうな、と（笑）。それと、たぶん私が起用されたということは、年齢的にもそうですが、“奥田瑛二”として、癖をもって存在すればいいんだろうなと。そいういうわけで、ストーリーのコアをなくさないようにしつつ、楽しくやらせていただきました。

徳重　先ほどもお話しましたが、大吾は、最初は僕よりも若くて、力あふれる青年でしたが、だんだんいまの僕に近づいて、いまは完全に追い越してしまいました。人間としての重厚さでは、奥田さんや哀川さんクラスになっていますよね。そういう役どころは実写でもやったことがなかったので、非常に難しかったです。