新作『NIGHT RUNNER(仮題)』発表!
サイバーコネクトツーが、グリーとタッグを組み、スマートフォン用アクションゲーム『NIGHT RUNNER(仮題)』をリリースすることが明らかに。共同作業を行うのは初となる両社のキーマンに、今回の企画の発端や狙いを聞いた。
※この記事は、週刊ファミ通2012年12月13・20日合併号(2012年11月29日発売)に掲載されたものです。
左:サイバーコネクトツー 松山 洋(まつやま ひろし)氏
『.hack(ドットハック)』シリーズを始め、数々の家庭用ゲームを手掛ける。『NIGHT RUNNER(仮題)』ではプロデューサーを担当。
右:グリー 屋島新平(やしま しんぺい)氏
グリーが運営するSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)“GREE”でコンテンツを展開するサードパーティーと連携を取り、サービスをサポートする役割を務める。
サイバーコネクトツーとグリー 2社をつないだ言葉は“世界”
――デベロッパーとして活動してきたサイバーコネクトツーが、初めて自身のブランドでソーシャルゲームを提供すると聞いて、かなり驚きました。この『NIGHT RUNNER(仮題)』の企画が立ち上がったきっかけを教えていただけますか?
松山 洋氏(以下、松山) 去年の夏ごろ、グリーの皆さんにお会いしたのがきっかけです。それから、1年ほどかけてお互いのことを理解し合いました。皆さんご存じだと思いますけど、サイバーコネクトツーって、面倒な会社じゃないですか?(笑)。出会ってすぐに「ゲームを作りましょう」とはならない。カプコンと『アスラズ ラース』を作ったときも、いっしょに作業をした3年のうち、最初の1年はお互いを知るために使いました。でも、今回は開発スピードも重要視されるスマートフォンのゲームですから、長い時間をかけるつもりはなかったのですが……。
屋島新平氏(以下、屋島) 1年かかりましたね(笑)。でも、それだけの時間をかけたからこそ、いまのパートナーシップを築くことができたのだと思います。
――最初に「タッグを組もう」と提案されたのは、どちらですか?
屋島 私たちです。サイバーコネクトツーさんのゲーム作りへの姿勢を見て、以前から「いっしょにお仕事をしたい」と考えていたんです。
――松山さんは、以前「ソーシャルゲームを作る気はない」とおっしゃっていましたが、どのような心境の変化があったのでしょうか。
松山 変化したものは、大きく分けてふたつあります。ひとつは世の中。もうひとつは、私自身の考えです。同じボタンをただ押すだけのソーシャルゲームは、正直に言って好きではなかったのですが、時代は変わり、やり応えのあるソーシャルゲームが作れるようになりました。スマートフォンのスペックが上がり、サイバーコネクトツーの持つ力を存分に発揮できるようになったと気づいたんです。
――では、ソーシャルゲームを提供するパートナーとして、グリーを選ばれた理由は?
松山 グリーさんは、ソーシャルゲームのプラットフォーマーの中でも、世界戦略に関して先んじています。私たちの望みは、命懸けで作ったゲームをひとりでも多くの方に遊んでいただくこと。その望みを実現するうえで、グリーさんの力をお借りしたいと思いました。
屋島 “作ったゲームを誰に遊んでもらうか”という部分について、我々とサイバーコネクトツーさんの価値観がぴったり合ったんです。
――両社とも、世界を見据えていたんですね。
屋島 はい。とはいえ、先ほども申し上げた通り、実際にゲームを作り始めるまでには、長い時間がかかりました。最初に、グリーがソーシャルゲームをどのように考えているかを松山さんにプレゼンしたのですが、僕はもう、戦々恐々としてしまって……(笑)。「ソーシャルゲームは作らない」と言っている方に、何を言えばいいんだろう、と。でも、松山さんはとてもフェアに聞いてくださったんですよね。「どこがおもしろいの?」、「どの部分が遊びなの?」と真剣に考えてくださり、そのときに改めて、「ぜひ、いっしょにお仕事をしたい」と強く感じました。
松山 我々は、今回、反省から入ったんです。これまで、家庭用ゲームを夢中になって作ってきましたが、ソーシャルゲームの分野にも、たくさんのお客さまがいることに気づきました。ならば、クリエイターとして、そのお客様たちに向けてもゲームを作るべきだと思い、屋島さんたちとお話ししながら、ソーシャルゲームについて理解を深めていきました。
ソーシャルゲームの新たな概念“コアカジュアル”を実現
――では、1年の準備期間を経て開発を始められた『NIGHT RUNNER(仮題)』についてうかがいます。ジャンルはアクションゲームとのことですが……。
松山 ど真ん中のアクションゲームです。感覚は、サイバーコネクトツーの初期作品……『テイルコンチェルト』や『サイレントボマー』に近いですね。操作はカンタンで、ド派手なアクションが楽しめるという、サイバーコネクトツーらしさは健在です。ゲームがおもしろい、だから人に自慢したくなる、人とつながりたくなる。そんな仕組みを目指しています。我々は、この概念を“コアカジュアル”と呼んでいるんです。
――コアカジュアルの意味について、詳しく教えていただけますか?
松山 ソーシャルゲームのお客様は、カジュアルに楽しまれている方が多いですよね。対して、我々が作ってきた家庭用ゲームはコア。これからは、このカジュアルとコアのバランスが重要になると思います。本作では、最初にコアなアクションがあって、その先にカジュアルな人とのつながりが待っている。だから、コアカジュアルなんです。逆に、遊びの敷居が低くて、その先にコアなゲームが待っているパターンもある。それは、“カジュアルコア”と呼んでいるものです。
屋島 ソーシャルゲームやスマートフォンゲームは、つぎの世代が望まれている段階に来たと思っています。遊びの本質は変わらなくても、その遊びをどう見せるかが変わってくる。その中で、コアカジュアルやカジュアルコアは、とても新しい概念だと思います。広く受け入れられるかはわかりませんが、だからこそやる価値がある。チャレンジではありますが、安心もしています。サイバーコネクトツーさんが遊びにこだわって作っている以上、絶対につまらないものにはなりませんから。
――そのお話を聞いて、早く遊びたくなってきましたが、気になるリリース時期はいつごろなのでしょうか?
松山 年明けから、世界各地で順次リリースしていきます。カナダやオーストラリア、北米を経て、満を持して日本で配信予定です。
――楽しみにしています。それでは、最後に読者へのメッセージをお願いします。
松山 我々が初めて“サイバーコネクトツー”の名前で勝負する以上、中途半端な作品にはしません。誰もが気軽に楽しめるスマートフォンの世界で、新しい挑戦を、新しいパートナーとともに行うことを、ここに宣言します。
屋島 『NIGHT RUNNER(仮題)』は、サイバーコネクトツーさんらしい遊びが詰まった、すばらしい作品です。ぜひ遊んでください!
■昼は逃亡。夜は反逆。光に背を向けし逃亡者は、闇に住まう夜の支配者。
プレイヤーが操作するのは、“夜の住人”リリー・マルレーン。昼は、夜の住人を追う“神の軍勢”から逃亡するアクションが楽しめる。夜になると、リリーの本性が解放され、天使を攻撃できるようになる。
基本プレイ料金は無料で、アイテム課金制を導入予定。ディレクターは『アスラズ ラース』の下田星児氏。
本作の主人公。いたずら好きの少女。夜を支配する月の力を宿している。神軍にうっかり捕まってしまったが隙をみて逃亡。
天罰である雷の力を使いこなし、民衆から光の神子として崇められる少年。神軍を率いて執拗に夜の住人を追い回す。
神軍の天兵。その巨体で逃亡者の行く手を阻む。階級は最も低い第12位下級天兵。
神軍の天兵。機動力に長け、そのスピードを活かして逃亡者を追い詰める。階級は第11級下級天兵。
■画面写真