多くのお客さんの前でアルバムの制作秘話などをたっぷり語った

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 2012年11月30日(金)、東京・新宿のタワーレコード新宿店にて、声優、そしてアーティストとして活躍する今井麻美の3rdアルバム『Precious Sounds』の発売記念イベントが開催された。タワーレコードの一角を使用したイベントということで、会場に駆けつけたファンだけではなく、偶然買い物に来ていた人たちも、興味深そうにイベントの様子を見守った。

 ステージに登場した今井は会場を見渡すなりスーツ姿のファンが多いことに着目し「平日の夜ということもあって、だいぶ社会人の方が見受けられますね(笑)」とコメントし、会場を沸かせる。そして、今回のイベントが“トーク&スタッフによるポストカードのお渡し会”という構成だったため、今井は早速アルバムの制作秘話を披露。「自分的には(発売前の段階なのに)すでに発売されているものだと勘違いしていしまうぐらい」制作から発売までが長く感じたという今井。今回のアルバムでは、過去の2枚のアルバムやその後に発売されたシングルを経て「自分なりにこんなことをやりたいと考え始めたころに制作が始まった」ということで「恐れ多くも“音”をテーマに作らせていただきました。アルバムとして聴き心地のよいもの、いつ聴いても楽しめるもの」を目指したと今井は語る。また、過去の2枚のアルバムと『Precious Sounds』の3枚で“感覚三部作”と銘打っている3枚のアルバム。当初そういった流れにする予定はなかったとのことで「なんとなく導かれていたのかなって思うところもありますね」と振り返った。

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 また、表題曲『Precious Sounds~風が残していった~』について、じつは今井が裏テーマとして表現したものがあるという。それは“オリンピック”。アルバムの発売が2012年11月だというのに、7月から8月にかけて開催されたロンドンオリンピックを裏テーマにしているということで、今井のサウンドプロデューサーである濱田智之氏から「恥ずかしいから発売されるまで言わないで」とまで言われたというテーマだったが、今井自身はオリンピックで本当に感動したことで、集中して一気に書き上げた詞だったという。「アマチュアでスポーツをされていて、才能に秀でていたからといって国を背負うことになるというのは、想像しただけでゾクっとするというか。国を背負って闘う人たちの心境ってどんなものなんだろうと考えさせられたんです。選手の皆さんが口々に“いま競技が行えているのはまわりで支えてくれた方のおかげなんです。本当に感謝しているんです”ということを仰られていましたが、それは嘘偽らざる心底の気持ちだと私は思いました。自分がやりたいことだと思ってやり始めたことが、いつしか自分だけのためにやっているものではなくなっていて、結果的に何かをつかめた人、ギリギリでつかめなかった人たちがいて。そこにドラマを感じて、スポーツってやっぱりいいなと思ったんです」と、オリンピックを通して自身が感じたことを熱のこもった声でファンに伝える。そして、湧き出るように歌詞が浮かんだという自信作だったが、同曲のミュージックビデオを担当する監督にこの裏テーマを伝えたところ、やはり「え? 発売されるの11月ですよね?」と意外そうな顔をされてしまったということで、濱田プロデューサーの言うように発売されるまでは裏テーマのことを封印する決意をしたという。しかし、そんなエピソードがありながらも、そこは監督もプロ。今井とふたりのダンサーさんの3人を金銀銅の配色で構成したり、飛び散る水しぶきで流れる汗や涙を表現するなど、今井の気持ちを汲み取った内容に仕上げてみせたとのことだ。そんな経緯からか、今井は「非公式東京オリンピック招致ソングにしてもらうなんて、どうかな?」と、オリンピックへのこだわりをまだまだ見せ続けた。

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 収録された新曲2曲についても言及。『天空の炎~miragem~』については「女のドロドロした気持ちを込めまくりました(笑)」と語る今井。発売前に公開された『Precious Sounds』の全曲紹介MOVIE(※試聴はこちらから)について触れ、「作家さんのおふたり(作詞の森由里子と作・編曲の橋本由香利)からめちゃめちゃうれしい言葉をいただいて、ホントにうれしくて」と喜びを隠せない様子。いまだ会う機会がないという橋本から「曲を書きたいと思っていた」という言葉を全曲紹介MOVIEの中のコメントと、スタッフからの話題の中で聞いたということで、「人づての言葉って信じられるじゃないですか!」と興奮気味。さらに、森由里子が「(今回の曲は)物語性を重視した」と言っていたことについて「物語性のある曲は歌えば歌うほど進化をしていくので、(2012年)12月22日のライブから、いろんな情景を浮かべながら、一歩ずつその情景を、物語を、もっともっと深くしていきたい」とその思いを語った。

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 もう1曲の新曲『僕から君に』は、今井の知り合いが2013年に結婚するという報告を受け、制作されることが決定したウェディングソング。「私が歌詞の中で“I LOVE YOU”と書かせていただくなんて信じられないと思った(笑)」と語るほどのどストレートなラヴソングだ。歌詞の内容は勝手な妄想で書いたそうで、あとから恋愛模様を赤裸々に描きすぎてドキドキしたという今井。本人に曲を聴かせたところ「盗聴器でも仕掛けているんですか?」と言われたとのことで、「だいたい合ってたかな!」とガッツポーズをしたという。また、2012年になってから自身のイベントなどでファンから「結婚しました」といった報告を受けることが多くなったという。これに「すごくうれしいのと、ちょっと取り残された感がある(笑)」としながらも「人を愛する気持ちというのは、きっとホントに素敵なことだと思うので、身近にそういう方がいらっしゃったら、ぜひぜひ。気づいていない方は気づいてあげてほしいですしね。そういう“想い”を伝える相手がいるということが幸せなことだと思うので。どうしても伝えられない場合は『僕から君に』をかけてください(笑)」と会場のファンにアピールした。

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 そしてイベントは会場のファンからの質問コーナーへ。「3rdアルバム『Precious Sounds』に収録されているアレンジ曲でこだわった部分は?」という質問に、「めちゃめちゃこだわりましたね(笑)。もちろん今回初めて聴くという方も多くいらっしゃると思いますが、皆さんがすでにお持ちだったり、何度も聴いてくださっていたりする曲なので、“新曲じゃなくてアレンジなんだ”って絶対に思われたくなくて、新曲を収録するよりも燃えたぎりました(笑)」と力説。歌うごとに曲が進化していくと感じているという今井。一度聴いたことのある曲でも新鮮に感じてほしいという気持ちと、もっと進化したいという自身の野心が色濃く出たアレンジの数々になっているとのことだ。また、「演奏をしてくれる人たちが一流のアーティストの方ばかりで、その演奏に乗っかるだけでいままでとは違うものになるんじゃないかって思うぐらい」だったということで「とにかく収録が楽しかったですね」とアレンジ曲の収録秘話を語る。さらに、収録の際に自身がなかなか納得しないこともあるようで、そんな中スタッフが「ホントに素敵でした」などと声をかけてくれることがあるという。実際に曲を聴くとそのときの最高の出来と言えるものに仕上がっているため、「スタッフの言葉がホントに信じられるということが、4年弱の音楽活動で得られた私の宝だなと思っています。このアルバムは今井麻美という名前で出していますけれど、関わってくださっている方みんなの結晶なんだなって」と自身の活動を振り返った。

 続いて「今回のアルバムの中でいちばん難しかった曲は?」という質問には、『Hasta La Vista』を挙げる。当時出せる最大限の歌を歌ったということだが、その後ライブなどで場数を踏んだことで、いまなら進化した『Hasta La Vista』を見せられるんじゃないかと語った今井。今回のアルバムに収録された同曲は、じつはドラムが生音源に変更されており、そうなった理由はライブなどでドラムを担当している玄ちゃんことドラマーの白川玄大と、熊ちゃんことエンジニアの熊手徹が、「じつはドラムを録ってみたんです」と自主的に制作した音源を濱田プロデューサーに提出したことから始まっているのだと明かす。これによりドラム部分が生音源になった『Hasta La Vista』を聴いた今井は、「また新たな発見があって! 色も違って見える。風景も違って見える。音楽ってすごいなって感じました」と語り、だからこそ同曲をさらに進化させられると感じているのだという。そして、もう1曲『三日月色』も難しかった曲として挙げた今井。こちらは楽曲が難しかったというよりも、自分自身音楽に対して悩んでいた時期にレコーディングを行った楽曲だったからだと理由を述べる。「途中まで、自分がこうありたいと思ったものを実現できていないと感じながら収録をしていて、最終的には納得できる、たどり着くべきところにたどり着けたんですけれど、自分の中ではとても苦労した曲です」と当時の苦労を語った。

 アルバムの制作秘話で大いに盛り上がったところで、なんと当初はトーク&お渡し会という構成だったため予定になかったものの、「素敵なステージを用意していただいたので」ということで、即興でライブを行うことに。リハーサルもない状態だったながらもアルバム表題曲『Precious Sounds~風が残していった~』を満面の笑みで歌い上げ、会場のファン、そしてその場に居合わせたお客さんにその歌声を届けた。

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 ライブも終えたところで、まだ15分残っていることが判明すると、ファンに「どうやって過ごしましょうか♪」と笑顔で語りかける今井。すると「つぎのアルバムのコンセプト!」という声がファンから挙がる。これに対し、NACK5で放送されている『おに魂』というラジオ番組に出演した際に、リスナーさんから“4枚目のアルバムのテーマ”を募集したことを説明し始めた今井だったが、なんとお渡し会も含めて1時間のイベントだったため、残りの15分を使ってポストカードのお渡し会を行わなければならなかったことがスタッフから伝えられる。すると、その話を急いで終わらせることに。早口で一気にまくし立てた内容は以下のとおり。「つぎのアルバムのテーマを月火水木金土日にすれば、全部で10作まで作れますねっていうおたよりが来たという話だったわけなんですけれども。でもね、4作目はまだ捕らぬ狸の皮算用ということで、ちょっと4枚目が出るかどうかもわからない状態なのでね、そんなことを言って自分の気持ちを高揚させているというところもあるんですけれど(笑)。そんなわけでですね、まずは3枚目のアルバム『Precious Sounds』をたくさんたくさん聴いていただいてですね、ホントにみんなもそらで歌えるぐらいにしていただけたらと思います!」。

 最後に「私のことを、これからもミン族(※今井のファンの総称)皆さんで応援していただければと思います! ありがとうございましたー!」と笑顔で挨拶した今井。なお、スタッフによるポストカードのお渡し会のあと、会場となったタワーレコード新宿店の控え室にて、お店のポップなどに今井がサインやコメントを書いていたので、ぜひチェックしてみてほしい。

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■Precious Sounds
発売日:好評発売中
価格:【BD付数量限定盤】4200円[税込](※今井麻美卓上フォトカレンダー付)/【DVD付通常盤】3800円[税込]/【通常盤】3000円[税込]
発売元:5pb.
販売元:アニプレックス