ダンジョンRPGファンはもちろん、初心者も楽しんでもらえる作品

 角川ゲームスとエクスペリエンスが、ダンジョンRPGを新時代に向けて展開するプロジェクト“DRPG PROGRESS”。第1弾として『円卓の生徒 The Eternal Legend(ジ・エターナル・レジェンド)』(プレイステーション・ポータブル)が2012年10月に発売され、第2弾『デモンゲイズ』(プレイステーション Vita)が2013年1月24日、第3弾『剣の街の異邦人』(Xbox 360)が2013年に発売される。
 ここでは、さまざまな情報が明らかになってきた『デモンゲイズ』のコンセプトや制作へのこだわりなどについて、エクスペリエンス代表取締役社長の千頭元氏に話を伺った。

次世代のダンジョンRPG『デモンゲイズ』を手掛けるエクスペリエンス代表取締役社長の千頭元氏に独占インタビュー_12
エクスペリエンス
代表取締役社長
千頭元氏

――発売日が2013年1月24日と発表され、ゲーム内容の詳細も徐々に公開されつつありますが、ゲームファン、ダンジョンRPGファンの反応はいかがですか?

千頭元氏(以下、千頭) 我々のところにもさまざまな意見、感想が寄せられていますが、意見が二極化しているように感じました。いわば入門用としてお届けした第1弾『円卓の生徒 The Eternal Legend(ジ・エターナル・レジェンド)』では、新規ユーザー開拓のために、システム面やビジュアルをより遊びやすく変更したことで、これまで我々の作品をプレイされていないユーザーさんが、『デモンゲイズ』にも興味を示してくれているようです。一方で、昔からの硬派なダンジョンRPGユーザーさんからは、『デモンゲイズ』のビジュアルがやや気になるというような意見もいただきます。恐らく、そこは弊社として完全新作である『デモンゲイズ』を幅広いユーザーに認知していただくべく今回プロデュースした、いままでの弊社タイトルとはひと味違うビジュアルからご心配いただいているかと思うのですが、もちろん硬派なダンジョンRPGユーザーや古くからの弊社のファンがもっともも大事なユーザーですから、その方たちが楽しめる内容になっていますので、そこは、ご期待いただければと思います。

――ほかのダンジョンRPGとは大きく異なる独自の要素として、冒険の拠点となる“竜姫亭”の存在があると思いますが、“竜姫亭”を導入しようと思ったきっかけを教えてください。

千頭 角川ゲームスさんとターゲット層を詰めていく際に、ソフトの価格帯が高めの設定というところから、PSPに比べると年齢層が上がるのではないだろうかという話になりました。そこで、若い方には目新しく、30歳~40歳ぐらいの方が楽しめるようなものとして、自分たちが学生のころ見た『めぞん一刻』や『ラブひな』といった下宿ものから発想を得て、竜姫亭という宿酒場を作りました。

――ふつうの宿屋ではなく、お酒が飲める宿酒場にした理由を教えてください。

千頭 ダンジョンRPGの世界にはほかの冒険者もたくさん存在します。その冒険者たちが集い、情報交換を行う場所としてRPGユーザーに馴染みの深い宿酒場にしました。

――竜姫亭でのイベントは、ゲームを進める中でどのように発生するのでしょうか?

千頭 すべて同じというわけではありませんが、女主人や住人からの仕事の依頼をクリアーすると、それに応じたイベントが発生したり、それがフラグになって物語の進行に欠かせないイベントが発生します。

――主人公が竜姫亭の家賃を支払うという要素もありますよね。

千頭 RPGではお店でアイテムを買うことが多いため、お金のやりくりが重要となります。しかし、ダンジョンRPGではダンジョンの探索中にアイテムが手に入るので、比較的お金が無駄になりやすいんです。いままでの我々の作品では、お金を経験値に変えることに使っていたのですが、今回は竜姫亭に下宿するという設定があるため、家賃を支払うことで、プレイヤーのゲームの世界観への没入感が高まるのではないかと考えました。

――ちなみに、家賃を支払わなくてもゲームは進行するのでしょうか?

千頭 はい。払わなくてもゲームは進みますが、払わないとペナルティーが科されます。家賃を払い続ければアイテムが手に入るなど、ゲームが進めば進むほどペナルティーがないときの恩恵が大きくなりますので、家賃を払うほうがオススメですね。

次世代のダンジョンRPG『デモンゲイズ』を手掛けるエクスペリエンス代表取締役社長の千頭元氏に独占インタビュー_01
次世代のダンジョンRPG『デモンゲイズ』を手掛けるエクスペリエンス代表取締役社長の千頭元氏に独占インタビュー_02
次世代のダンジョンRPG『デモンゲイズ』を手掛けるエクスペリエンス代表取締役社長の千頭元氏に独占インタビュー_03
▲冒険の拠点となる竜姫亭では、体力の回復やパーティー編成が行えるほか、個性豊かなキャラクターたちとの同居生活も楽しめる。

――パーティーキャラクターは、プレイヤー自身が作成(メイキング)するのは別に、すでにメイキングされたキャラクターも用意されているのでしょうか?

千頭 そうですね。今回は、最初にゲーム側から推奨するパーティーキャラクターを提案する形になります。いままで我々は、キャラクターメイキングやパーティー編成などの作業が苦手な方に、これらの作業をどう楽しんでいただくかという問題を抱えていました。そこで、今回は自分でキャラクターを作成するか、竜姫亭の女主人がおすすめするキャラクターを使用するかを、最初の段階で選択できるようにしています。この推奨パーティーキャラクターは、クラス(職業)のバランスも取れているため、初めてプレイされる方はゲームをスムーズに進めることができると思います。

――推奨パーティーキャラクターをカスタマイズすることはできるのでしょうか?

千頭 はい。単純に推奨されるだけなので、基本はその推奨キャラクターのまま、名前や見た目を自由に変更することもできます。もちろん自由に一からキャラメイクしていただくことも可能です。

――アイテム収集を行う際に重要となる“ジェム”を使ったシステムについて、もう少し詳しくお教えいただけますか?

千頭 多くのダンジョンRPGでは、ドロップアイテム(モンスターなどが落とすアイテム)を使ってゲームを進めていきます。本作では推奨キャラクターや自分で作ったキャクターをパーティーキャラクターとして雇い入れることになりますので、例えば魔法使い(ウィザード)だけでパーティーを組んだときに、都合よく魔法使いの装備品が手に入るとは限りません。そこで、自分が欲しいアイテムを狙って取りに行くことができる“ジェム”システムを導入しました。これは、武器系、特殊系、防具系の大きく3つのジャンル、細かくは16のサブジャンルに分かれているジェムを、ダンジョン内の“トレジャーハンティングサークル”に捧げて敵を呼び出すことで、サークル内に置いたジェムのジャンルのアイテムを持ったモンスターが現れるというものです。これによって、ドロップアイテムのジャンルを絞ることができます。ただし、出現するモンスターの強さによってアイテムのランクも変わりますし、斧のジェムを設置したときにどの斧が手に入るかはわからないなど、運の要素も備えています。

次世代のダンジョンRPG『デモンゲイズ』を手掛けるエクスペリエンス代表取締役社長の千頭元氏に独占インタビュー_04
次世代のダンジョンRPG『デモンゲイズ』を手掛けるエクスペリエンス代表取締役社長の千頭元氏に独占インタビュー_05
▲トレジャーハンティングサークルにジェムを設置すると、設置したジェムのアイテムを持った敵が現れる。

――ジェムはどのようにして手に入れるのでしょうか?

千頭 お店で購入したり、通常の戦闘からのドロップで手に入れることができます。

――初回封入特典が、ジェムの詰め合わせとのことですが、それほどジェムは活用のし甲斐があるということですよね?

千頭 そうですね。ドロップアイテムは運に左右される部分が強いので、ダンジョンRPGファンは慣れていると思いますが、初めてプレイされる方が難しく感じてしまわないように、まず気軽に使って楽しんでいただきたいのと、ジェムは高額で売ることができるため、お金の工面用に用意しました。

――ジェムの効果的な使いかたを具体的にお教えいただけますか?

千頭 強い敵を呼び出すジェムを使って、自分よりもランクの強い敵と戦って勝つことができればより強いアイテムが手に入ります。その強い敵を呼び出すジェムと、強化された武器を落としてくれる“強化のジェム”を使えば、より強い武器を入手できると思います。

――ジェムの種類はどれくらいありますか?

千頭 22種類です。さきほどサブカテゴリーが16と申し上げましたが、残り6種類はいま申し上げた強化ジェムのような特殊ジェムとなります。

次世代のダンジョンRPG『デモンゲイズ』を手掛けるエクスペリエンス代表取締役社長の千頭元氏に独占インタビュー_11

――それでは、つぎにデモンについてお聞きします。デモンは何種類登場するのでしょうか?

千頭 現時点でお答えできるのは基本的には10種類です。まだ、決まっていませんが、追加コンテンツとしてデモンを配信することなども考えています。

――パーティーをサポートする役割としてデモンが存在すると思いますが、どのようなコンセプトでデモンは作られたのでしょうか?

千頭 コンセプトは大きくわけてふたつあります。ひとつは、初心者が自分のパーティー構成が何系なのかを視覚的にわかりやすくするために、クロノスは大きな盾を持っていたり、ネプトゥヌスはヒーラーっぽいなど、それぞれの特徴がひと目でわかるようなデザインにしてパーティーの指針になるようにしています。もうひとつは、偏ったパーティーへのサポートです。たとえば、剣士のみのパーティーでゲームを進めたときに、先に進めない場面が途中で出てきますので、それをサポートする役割を担っています。

――なるほど。するとデモンはパーティーのサポートとして使用する場面が多くなるということですか?

千頭 そうですね。サポートとしても使用できますが、とくにボス戦ではデモンを切り札的に使うことが多くなると思います。デモンが戦局を大きく分けますね。

――戦局を分けるという部分に関して、具体的に教えていただけますか?

千頭 ひとつは、デモンの選択が重要になってくるということ。パーティー構成にもよりますが、勝てない敵に遭遇したときに召喚するデモンを変えることによって、勝てるようになるようなことが結構あります。もうひとつは、暴走状態をうまく使うこと。これによって自分が勝てないような敵に勝つ可能性が出てきますので、パーティーが壊滅状態でも諦めずにうまく暴走状態に導くことで勝利できることもあります。まぁかなり危険で、上級者向けの戦法になりますのであまりお勧めはいたしませんが(笑)。

――デモンは“デモンゲージ”がなくなると暴走状態になるという設定ですが、プレイヤーがデモンゲージの減らし具合をコントロールすることは可能なのでしょうか?

千頭 できます。デモンの成長によって異なりますが、消費量がある程度わかるので、どのくらい消費するかを考えながらプレイできます。また、プレイヤーのレベルが上がると必ず成功するわけでは無いのですがゲージをためるスキル等も覚えます。そのほかにも、いまは申し上げられないのですが、もっとデモンをうまく使いこなすスキルを覚えていきますので楽しみにしてください。

――使役できる(仲間にできる)デモンは、ステージが進むごとに1体ずつ追加されていくイメージでしょうか?

千頭 エリア(地方)ごとに統括しているデモンがひとりずついますので、そのエリアを制圧するとデモンを使役することができます。

――使役するデモンの入れ換えはどこで行えるのでしょうか?

千頭 竜姫亭の自室と、トレジャーハンティングサークルです。トレジャーハンティングサークルではデータをセーブすることもでき、重要な戦闘の近くには必ずトレジャーハンティングサークルが設置されています。

次世代のダンジョンRPG『デモンゲイズ』を手掛けるエクスペリエンス代表取締役社長の千頭元氏に独占インタビュー_06
次世代のダンジョンRPG『デモンゲイズ』を手掛けるエクスペリエンス代表取締役社長の千頭元氏に独占インタビュー_07
次世代のダンジョンRPG『デモンゲイズ』を手掛けるエクスペリエンス代表取締役社長の千頭元氏に独占インタビュー_08
▲迷宮内のサークルをすべて制圧するとデモンサークルが出現。デモンを倒して魂を持ち帰れば、使役してともに戦えるようになる。
次世代のダンジョンRPG『デモンゲイズ』を手掛けるエクスペリエンス代表取締役社長の千頭元氏に独占インタビュー_09
次世代のダンジョンRPG『デモンゲイズ』を手掛けるエクスペリエンス代表取締役社長の千頭元氏に独占インタビュー_10
▲デモンゲージが尽きるとデモンが暴走状態となり、敵味方関係なく攻撃してしまう。

――やり込みプレイの要素について、現時点でお話いただけることがあればお聞かせください。

千頭 いままで開発してきた我々のタイトルはクリアーするとそのまま進んでいき、もう一度最初からプレイすることができなかったのですが、『デモンゲイズ』では周回プレイが入っています。2周目では、ならではのお楽しみも用意していますのでご期待ください。

――1周目クリアーまでのプレイ時間の目安を教えてください。

千頭 人によりますが、シナリオクリアーまで約30~40時間くらいですね。そのあと、クリアー後ダンジョン、最強アイテムが出るダンジョンなどが登場します。そこをクリアーすると2周目に入ることができますので相当やり込めると思います。

――『円卓の生徒』の防具が『デモンゲイズ』に登場するという発表がありましたが、『円卓の生徒』と同じ世界観なのでしょうか?

千頭 そうですね。『円卓の生徒』の数百年後という設定になっていて、『円卓の生徒』の世界で使われていたアイテムが登場します。また、『円卓の生徒』に登場したキャラクターが使用していたアイテムや、『円卓の生徒』の歴史を感じさせるエピソードなどが散りばめられていたりもします。初めてプレイされる方にも抵抗がないレベルですが、いろいろなところで円卓の時代を匂わせる内容になっていたり、NPC(ノンプレイヤーキャラクター)として登場するキャラクターもいますね。

――『デモンゲイズ』の開発状況はいかがですか?

千頭 ほぼ完成してます。99%といっていいのではないでしょうか(笑)。

――『デモンゲイズ』がほぼ完成している状態とのことですが、やろうと思っていたことはすべてやりきったと思われますか?

千頭 すべてやりきったかと言われると、どうしても「もっとできるはず!」との思いがこみあげてくるのですが(笑)。おもしろさとしては、これまでの我々のタイトルの中でいちばんおもしろくできていると思いますし、完成度は高く仕上げられたと思います。

――角川ゲームスとタッグを組んで共同プロジェクト“DRPG PROGRESS”を進められていますが、今後の取り組みとしてどのような展開を考えていますか?

千頭 両社の取り組みとしては『デモンゲイズ』がまずは節目となる大きなマイルストーンと考えてます。いいゲームに仕上がったこと含め、まずは一旦その成果に期待したいですね。 あと“DRPG PROGRESS”の今後の取り組みに関しては、より幅の広い柔軟な取り組みにしていきたいという方向で角川ゲームスさんとは話を進めています。角川ゲームスさんは弊社にとって引き続き、もっとも大事なパートナーであり、いっしょにいろいろなプロジェクトを進めていくわけですが、たとえばですが、時にエクスペリエンスだけでタイトルを開発・発売したり、場合によっては、二社だけの取り組みにこだわらず“DRPG PROGRESS”の趣旨にご賛同いただける第三者とタッグを組んでいくことで、さらにダンジョンRPGを盛り上げていくのもいいだろうということです。いずれにせよいまは『デモンゲイズ』発売が両社の最重要課題ですので、無事発売できたタイミングで、何らか今後の“DRPG PROGRESS”に関してはお話しできればと考えています。

――2012年には第3弾となるXbox 360用ソフト『剣の街の異邦人』が控えております。こちらの作品に関して、お話できる範囲で構いませんので、詳細をお聞かせください。

千頭 “DRPG PROGRESS”である『円卓の生徒』と『デモンゲイズ』を繋ぐ作品で、『円卓の生徒』と『デモンゲイズ』のあいだの時代設定になります。開発もゆるやかに進んでいるのですが、『デモンゲイズ』を開発することで蓄積された技術や、ユーザーさんの反応を受けて、『剣の街の異邦人』のシステムのテーマを見直しています。

――最後に『デモンゲイズ』を楽しみにしているファンへ向けて、メッセージをお願いします。

千頭 角川ゲームスさんと協業したことによって、『デモンゲイズ』は、いままで我々ができなかったレベルのおもしろさを実現することができた自信作です。従来のダンジョンRPGファンももちろん楽しめますし、これを機にいままでダンジョンRPGをプレイしたことがない新規のユーザーさんにも楽しんでいただければと思います。ご期待ください。


デモンゲイズ
メーカー 角川ゲームス
発売日 2013年1月24日発売予定
価格 6090円[税込]
ジャンル RPG / ダンジョン
備考 PS Store ダウンロード版は 5040円[税込]、開発:エクスペリエンス