東京工科大学の研究生らが地元の小学校で出張授業

 東京工科大学で次世代のゲームなどを研究するメディア学部の学生らが、地元の小学生に“ゲーム作り”について考え、体験してもらう出張授業が、2012年11月14日に東京・八王子市立片倉台小学校にて開催された。

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 これは、東京工科大学メディア学部岸本研究室にて、ゲームの作り手の考えかたやノウハウを、ゲーム以外の社会的な活動に取り入れる“次世代ゲーミフィケーション”をテーマとした卒業研究プロジェクトに取り組む学生が、これまでにない新しいゲーム作りによる教育研究と社会貢献活動の一環として行われたプロジェクト。今回は、子どもたちにとって身近な存在であるゲームについて、完成品で遊ぶだけではなく、みずからの手で遊びを創造することで、新たな知的好奇心を刺激できるのではないかという趣旨のもと、同校の6年1組と2組の児童約50名を対象に行われた。授業では、ゲームクリエイターとしても著名な岸本好弘准教授と、同研究室の学生7名の指導のもと、コンピュータゲームの作り手の視点から、“なぜゲームはおもしろいのか”、“ゲームとテレビの違いはなにか”といったことについて考えたり、実際にパソコンを使って横スクロールアクションゲームのステージ作りにチャレンジした。ここでは、1回目に行われた6年2組の授業をリポートしよう。

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▲“きっしー先生”こと岸本准教授(右)。
▲東京工科大学メディア学部岸本研究室の学生たち。

 1時間目のテーマは、“ゲームはなぜおもしろいのか考えよう”。まず、岸本准教授は、生徒たちにいつもは遊んでいるだけのゲームについて、“好きなゲームはなにか”、“ゲームと勉強ではどちらが好きか”、“ゲームにできてテレビにはないおもしろさはなにか”という3つの質問を投げかけた。“ゲームと勉強ではどちらが好きか”との質問には、レベルが上がれば上がるほど燃える、勉強よりも楽しい、みんなで楽しめるといった理由から、生徒全員が“ゲーム”と回答。これについて岸本准教授は、自身が考えたゲームがおもしろい理由は、くり返しプレイすることで難所がクリアーできるようになったり、レベルが上がることで倒せなかった敵を倒せるようになる“自分の成長が見える”こと、徐々に強い敵や難所が現れることで、プレイヤーが少しがんばれば倒せる(クリアーできる)目標ができる“達成可能な目標”があること、ステージをクリアーすると花火が上がったり、ボスキャラクターを倒すとゲームの世界の人がほめてくれる“ほめられる”ことであると説明した。

 続いて、“ゲームにできてテレビにはないおもしろさはなにか”という質問には、ゲームは好きなときにできるが、テレビは時間割が決まっている、ゲームはコントローラでキャラクターを動かせるけど、テレビでは動かせないという意見が多くみられ、岸本准教授も“コントローラのボタンを押したらキャラクターが反応する”、“いつでも遊べる、いつでも止められる”、“自分がヒーローになることができる”という3つの理由を挙げた。

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▲まずはゲームに関する○×クイズを出題。
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▲岸本准教授は、いつもは遊んでいるだけのゲームに関する3つの質問を投げかける。
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▲質問に対する答え(意見)は、隣りの席の生徒と意見交換し合ったり、みんなに発表する。

 2時間目では、ゲームのおもしろさを自分たちで考え、学んだ生徒たちが、ふたりひと組となって実際にパソコンを使って横スクロールアクションゲームのステージ制作に挑戦。まず、生徒たちは研究室の学生が作ったステージをお試しプレイ。難度が高かったようでほとんどの生徒はスタート直後でゲームオーバーとなってしまった。ここで、生徒たちは1時間目に岸本准教授から学んだ“ゲームがおもしろい理由”を思い出しながら、おもしろいステージ作りに挑んだ。ステージ作りは、マウスで障害物となるブロックと敵、アイテムを自由に配置するというもの。実際に作ったステージを自分でプレイし、ゲームバランスを何度も調整していく姿が印象的だった。

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▲ゲームステージ制作に使用したのはオリジナルゲーム『ドクタードラゴン』。
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▲生徒たちはどこに何を配置するかを考えながら、ステージを作っていった。
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