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スクウェア・エニックスとグリーが共同で制作し、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)GREEにおいて、今冬の配信が予定されているスマートフォン向けソーシャルゲーム『すばらしきこのせかい LIVE Remix』。
本作の世界は、2007年にリリースされたニンテンドーDS版『すばらしきこのせかい』のパラレルワールドという位置づけ。プレイヤーは、ライバルと競い合いながら、“元凶ノイズ”と呼ばれるボスモンスターの発見・撃破を目指す“死神のゲーム”に参加することになる。
ここでは、本作のプロデューサー間一朗氏、ディレクターの神藤辰也氏、そしてCo.ディレクターの伊藤寿恭氏へのインタビューを掲載。『すばらしきこのせかい LIVE Remix』の魅力に迫る!
開発の経緯と方向性
――2012年8月に、iOS版の『すばらしきこのせかい -Solo Remix-』をリリースされたばかりですが、本作はどのような経緯があって開発されたのでしょうか?
神藤辰也氏(以下、神藤) iOS版の制作の際に、新規でソーシャル要素を加えようと考えて、“バトル部分を突き詰めて遊ぶ”要素を軸とするモードを企画していたんです。ところが、その企画が予想以上に膨らんで、別々にリリースしたほうがいいとの判断に至ったことが経緯としてあります。そこから、オリジナル版を開発していたときにお蔵入りになった“シブヤという舞台を使った鬼ごっこや宝探し”などの企画をもとにした遊びも盛り込み、あらためてソーシャルアプリとして成り立つゲームデザインに練り直して、今回『LIVE Remix』としてお披露目することができました。
間一朗氏(以下、間) 最初は『-Solo Remix-』だけの予定だったので、2本に分けたいという話を聞いたとき、何を言い出すのかと思いました(笑)。ですが、2作に分けたからこそ、それぞれの楽しさが際立っていますね。両作ともボリュームがありますし、別々の作品にしたいという神藤たちの判断は正解だったと思います。
――2作に分け、その一方をGREEでリリースすることにした理由とは?
間 『LIVE Remix』をひとつの作品として独立させる際、グリーさんにご相談させていただいたんですね。そうしたら、その方が偶然にもニンテンドーDS版『すばらしきこのせかい』(以下、『すばせか』)の大ファンだったんです。そこから順調に話が進みまして、グリーさんとごいっしょさせていただくことになりました。このタイトルにおいては、作り手はもちろん、関わる人が皆、作品を愛していることが大切だと思っています。
神藤 『すばせか』は、バッジを集めたり、生き残るためにいろいろな人たちと協力してがんばるといった、ソーシャルに向いた要素をもとから持っているので、ソーシャルゲームに落とし込みやすい題材でしたね。
――開発において、神藤さんや伊藤さんは、どういった関わりかたをしているのでしょうか?
神藤 制作・運営はグリーさんで、我々は監修という立ち位置です。ただ、監修と言っても、単純に形になったものをチェックするだけではなく、構成を考えたり、イベントのアイデアを出したりと、グリーさんとの協業という形で制作に関わっています。現段階でも、我々が関わっているパートは多分に含まれています。
伊藤寿恭氏(以下、伊藤) いままでのセオリーに近いソーシャルアプリを作ることに留まらず、グリーさんと共に、もっと挑戦的な流れに持っていくという。現在はその方向性で進んでおり、いいコラボになっていると思います。ソーシャルゲームにするに当たっては、おもしろくしつつ手軽に、という両立が難しいですね。そこをグリーさんと協議しつつ、わかりやすくて気持ちいいだけではなく、突きつめると奥深いバトルが楽しめるというゲームデザインを模索しています。
神藤 「ソーシャルゲームだから」、「パッケージゲームだから」といった決めつけをしたくなくて。それぞれにおもしろさはありますし、それに合うものを作っていきたいです。
――プロデューサーの間さんからは、おふたりにどんなオーダーをされたのでしょうか?
間 原作である『すばせか』は、ゲームとしての評価が高いタイトルですので、ソーシャルアプリになることで、残念に思われるものにしてはいけないと。とにかくそこを強く思っていました。とはいえ、神藤も伊藤もオリジナル版のコアスタッフですので、始めてみたら何も心配いらないというか、このふたりは誰よりそういったところに厳しいですからね。「『LIVE Remix』を入り口に、DS版や『-Solo Remix-』に興味を持ってもらえる作品を」とザックリとオーダーしたくらいです。
――間さんが考える、ソーシャルゲームとしての大切なポイントはありますか?
間 課金しないと楽しめないものではなく、無料で遊べる部分だけでも楽しめないと広がっていかないですよね。また、画面を見たときに何をすればいいかがわからないようだと、作品としては成立しない。神藤と伊藤に、少しそういう話はしました。自分がソーシャルゲームの制作にあたって、まず大事にしたいのは、この2点になります。
伊藤 課金については、本作はチームバトルなので、課金者はチームを引っ張ることができ、無課金の人でもチームに貢献できる仕組みを入れています。ヘビーユーザーさんとライトユーザーさんとの楽しみかたが、何軸かある作りになっていると思いますよ。
チームでシブヤの街を探索
――本作はどういったゲームなのか、コンセプトをお聞かせください。
神藤 『すばせか』は、主人公のネクとパートナーとがペアになって、いっしょに死神のゲームの謎を解いたり、バトルをするというのが特徴でした。ですが、今回はペアではなく、チームとして戦うということをコンセプトとしています。プレイヤーどうしでコミュニケーションを取りながら、死神のゲームの謎を解いていくという部分を、どうゲームとして成り立たせるかを重視していますね。
伊藤 本作は、チームの仲間と手分けしてシブヤの街を探索し、各エリアの探索率を上げ、強敵の“元凶ノイズ”を探し出して倒すといった流れになっています。探索や通常ノイズとのバトルで手に入れたチームスコアをライバルチームと競うことで、報酬を手に入れられます。死神のゲームはリアルタイムで進むので、ライブ感を感じてもらえると思いますよ。
――元凶ノイズがいる場所のヒントはあるのですか?
神藤 はい。各エリアに元凶ノイズがいる場所のヒントが隠されています。たとえば、元凶ノイズがいないエリアでも、探索を進めると「104の探索レベル5にいるかも」といったヒントを入手できますよ。その手掛かりを、チーム内の掲示板などで共有すれば、見つけやすいというわけです。なお、元凶ノイズがいる場所は、日によって違います。
――チーム内のコミュニケーションが大事なんですね。そのチームは、最大何人で構成されるのでしょうか?
神藤 20人の予定です。チームは、死神のゲーム(1週間)が終了すると解散になりますが、仲のいいプレイヤーとは、引き続き同じチームになれるようにします。
ほかのソーシャルゲームにはないタッチパネル操作を活かしたゲーム性
――バトルは、アクションになるわけですよね。
神藤 はい。オリジナル版と同様に、タッチパネルの操作で爽快感が味わえるようなバトルを目指していますが、ソーシャルゲームなので、画面に集中しなくても、片手で気楽に操作できるようにするつもりです。
伊藤 ネクは自動で移動し、スマートフォンを片手で持って、親指だけでも操作できるようなお手軽さを目指しています。『すばせか』の爽快感を手軽に味わってもらいたいので。
――操作部分で、気を遣っている部分はありますか?
伊藤 直感的に操作できるというのがタッチパネルの特徴だと思うのですが、一方で「難しい」という意見も聞かれます。日常のスマートフォンの操作ではあまり行わない、たとえば、“こする”といった操作は難しく感じる方も多いようです。ですので、最初はタッチやフリックのみという最低限の操作でリリースしようと思っています。
神藤 ふだんスマートフォンで無意識に行っているタッチやフリックなどの操作であれば、そのままゲームでも違和感なく触っていただけるのかなと。
伊藤 それでユーザーの皆さんの反応を見ながら、“連打”や“こする”といった、ふだんあまり行わない操作で発動するバッジなどを追加していく予定です。慣れれば楽に操作できると思いますよ。
間 本作における“タッチアクションが感覚的に楽しい”という部分は、従来のソーシャルアプリのゲームとはぜんぜん違うところだと考えています。画面を見て、触っていただいたら、ほかのゲームとの違いはハッキリ感じていただけるはずです。
――確かに、タッチパネルを活かしたゲームの作りかたを、どのアプリでもやっているわけではないですね。
間 「スマートフォンでやるからこそ、こういった遊びができる」、というところまで考慮したゲームは、まだそれほど出ていないと思います。今後は、そういったゲームも多く出てくると思いますが、本作がその先駆けになればいいですね。そういった意味で、フィーチャーホンに対応しない意義があるタイトルかなと。
アップデートでサブバッジなどが追加
――バトルで使うバッジは、事前にデッキを組んでおく必要があるんですよね。バッジは、最大でいくつ装備できるのでしょうか?
伊藤 バトルで使うバッジのスロット数は、最大4つです。『-Solo Remix-』は最大6つなのですが、操作を簡素化するという意味で、本作では最大4つとしています。ただ、“スキルデッキ”というスロットがこちらも4つあり、バトル中に影響するスキルや攻撃力を上げられるバッジなどをセットできます。ですので、計8つのバッジでデッキを組むことになります。この8つのバッジを能力の高いバッジに成長させていくことが、モチベーションにつながると思いますよ。
神藤 ただ、スキルデッキは最初から実装されているわけではなく、あとからアップデートで追加する予定です。新しいバッジも、随時追加していく予定です。
――バッジの成長手段は、合成以外にもあるのでしょうか? オリジナル版では、時間の経過で進化するものなどがありましたが。
伊藤 まずは、バッジ同士の合成が基本になると思います。
――メニューを見ると、“ガチャ”のところにピグノイズがいますが?
神藤 ピグノイズは、オリジナル版と同様、レアなバッジを落とす可能性が高いノイズとして登場します。特別なピグノイズも登場させる予定です。
――服や食べ物など、オリジナル版にあったアイテム関連の要素は、反映されるのでしょうか。
伊藤 現在は、それらがなくても成り立つように考えています。どちらかと言うと、バッジに特化した作りにすると思います。
世界設定と新キャラクター
――物語的にはパラレルワールドということですが、本編との直接の絡みがあるのかが気になります。
神藤 完全に直結した物語でないですが、世界観としては何らかのつながりはあります。オリジナル版でエンディング後に遊べる“アナザーデイ”のようなイメージです。
――そもそもなのですが、プレイヤーは、ネクを操作するんですか?
神藤 そうです。ネクとしてゲームに参加することになります。全員がネクになってしまうわけですが、そこは物語上に仕掛けがあります。ゆくゆくは、ビイトやヨシュアなども、操作キャラクターとして選べるようにする予定です。
――それは楽しみですね。ゲーム内では、どんなイベントが楽しめるのでしょうか?
伊藤 イベントは、八代卯月(やしろうづき)や狩谷拘輝(かりやこうき)など、おなじみの死神たちのひとりがゲームマスターとして登場し、彼らが、ミッションを課すようなものを考えています。
――なるほど。ゼタ様(南師猩(みなみもとしょう))ファンも安心ですね(笑)。
伊藤 いつかは出てくると思います(笑)。
――新キャラクターも登場するとのことですが?
神藤 彼女は、ナビゲーション的な役割をしてくれる死神です。フルネームは“新子々(あたらし ここ)”ちゃんです。
――死神の名前には、十二支が隠されていますが、彼女にも?
神藤 十二支のいちばん最初、鼠の“子”ですね。
――iOS版のシークレットムービー後に出てくる謎のキャラクターとは別人ですよね。
神藤 そうですね。あのキャラクターとは別です。
――では、あのキャラはいったい……。
神藤 『-Solo Remix-』のインタビューの際に触れた“仕込み中”のものです。『-Solo Remix-』や『LIVE Remix』で、もっと多くのユーザーさんに『すばせか』を浸透させることができれば、そういったつぎのものに続けられると思います。
――ぜひ広がっていってほしいですね! では、最後にユーザーへ向けてメッセージをお願いします。
神藤 『-Solo Remix-』を移植版に留め、『LIVE Remix』に新規要素をドカっと盛り込みました。そのあたりを楽しんでいただければ。
伊藤 BGMもガッツリ収録しています。
神藤 そうそう、本シリーズは石元(丈晴氏。楽曲担当)のテンションがいちばん高いくらいで(笑)。いずれは新曲も期待できるかなと思います。
伊藤 本作は、ソーシャルゲームという型にはめずにチャレンジしている作品なので、『すばせか』ファンも知らない人も、同じように楽しめると思います。基本無料なので、ぜひ触ってみてください。
神藤 型にはまらないというのが『すばせか』のいいところだと思います(笑)。ソーシャルゲームを敬遠している方にも、ぜひ遊んでいただきたいです。
間 この作品は、いままでのソーシャルゲームと同じものにはなりません。ゲームをお好きな方にこそ、楽しんでいただけるタイトルにしたいですね。「遊んでみたらおもしろかったよ」と言ってもらえるものになりますので、楽しみにしていてください!