意外に(?)カジュアルなオンラインレース

 2012年10月25日、『Forza Motorsport』シリーズのスピンオフ作品であるXbox 360専用ソフト『Forza Horizon』がついに発売された。本作の概要については、 以前のインプレッションを参照していただくとして、今回はオンライン要素についてリポートしていこう。
 『Forza Horizon』では、マルチプレイはシングルプレイとは分かれており、ゲームスタート時のメニューでシングルプレイかマルチプレイを選ぶスタイルになっている。プレイできるイベントはいくつかに分かれており、初心者向けの“BEGINNERS”、難易度は初期設定だがクルマとアップグレードを自由に選べる“SOCIAL RACING”、難易度も自由に選べる“VETERAN RACING”……といった具合。これらを選ぶとロビーに接続され、コースやレースタイプ(サーキットやポイントトゥポイントなど)が自動で設定される、という仕組みだ。
 参加者が集まったらレース開始!……と思いきや、まずはクラスの投票。本作では、クルマの性能はPI(パフォーマンスインデックス)という数値で表され、その数字をもとに201~300がD、301~400がB……というようにクラス分けされる。どのクラスのレースを行うかを投票で決定するというわけだ。
 クラスが決まったら車種を選択。シングルプレイで入手したクルマのなかから選べるのはもちろんだが、対応クラスのクルマを無料でレンタルしてレースに参加することもできる。このため、決定したクラスのクルマを持っていないためにレースへ参加できない、という心配は無用だ。

クルマで鬼ごっこしようぜ! 『Forza Horizon』プレイインプレッション オンライン編_01
クルマで鬼ごっこしようぜ! 『Forza Horizon』プレイインプレッション オンライン編_02
▲“ゲームを検索”(いわゆるクイックマッチ)を選ぶと、複数のプレイリストが表示される。この中から自分が遊びたいゲームタイプを選ぶのだ。
▲ロビーに参加したら、クルマを選択。対象クラスの車種を所持していなくとも、そのレースに合った車種を無料でレンタルできるのだ。

 さてレースはというと、勝手ながら『Forza Motorsport』シリーズでは「ストイックにレースを行っている」という印象があったのだが、本作ではそんなことはなかった。発売直後で初心者が多いのか、はたまた選んだイベントが"BEGINNERS"のためか、かなりライトに遊べる印象だ。クラッシュはけっこう頻繁にあるし(意図的にぶつけてくるわけではない)、カーブを曲がりきれず柵に激突なんて場面も(筆者含め)よく見かけるため、レースゲーム熟練者以外でもワイワイ気分で楽しめるのだ。上手い人はカスタムゲームとかで部屋を作って集まってるんですかね?
 そんなこんなでレースが終わると、プレイヤーの順位やスキルに応じて経験値を入手。一定以上溜まるとプレイヤーのレベルがアップする、というシステムだ。このレベルはシングルプレイのレベルとは別扱いで、レベルアップ時にはルーレットで賞金やクルマがもらえる。賞金やクルマはシングルプレイと共通しているため、シングルプレイスタート直後のブーストにも役立てられるという、うれしいシステムになっているのだ。

クルマで鬼ごっこしようぜ! 『Forza Horizon』プレイインプレッション オンライン編_03
クルマで鬼ごっこしようぜ! 『Forza Horizon』プレイインプレッション オンライン編_04
▲PIによるクラス分けのため、車種による差はそこまで大きくなく、白熱のバトルを楽しめる。コーナーはやっぱりカオス状態に。
▲レース終了時は、順位や走行テクニックに応じて経験値を獲得可能。レベルアップ時はランダムに報酬をもらえる仕組みだ。

レース以外のハチャメチャバトルも楽しめる!

 さきほどイベントの話をしたが、ここでは“PLAYGROUND”というイベントについてくわしく触れていきたい。ほかのイベントはすべてレースに関するものだったが、このPLAYGROUNDでは、レースではない3種類のマルチプレイが楽しめるのだ。では、それぞれを解説していこう。

<インフェクティド>
 これは参加プレイヤーのうち、ひとりが感染者となり、それ以外の生存者プレイヤーにぶつかると、そのプレイヤーも感染者となってしまう。最後まで感染者から逃げ切ったプレイヤーが勝者となる、鬼ごっこの鬼が増え続けるようなルールだ。感染者側は生存者を追いつめるのだが、カーブの手前で待ち伏せしたり、こっそり隠れて様子をうかがったりと、さまざまな戦略をとれるのがおもしろかった。逆に生存者側は、感染者の場所はミニマップに表示されないため、どこから襲われるかわからない、緊張感あふれる逃亡劇を楽しめるのだ。

クルマで鬼ごっこしようぜ! 『Forza Horizon』プレイインプレッション オンライン編_05
クルマで鬼ごっこしようぜ! 『Forza Horizon』プレイインプレッション オンライン編_06
▲感染者が生存者にぶつかって感染させていく、というルール。正面衝突は日常茶飯事の過激なルール!
▲生存者側は、爆発的に増え続ける感染者から逃げ続ける緊張感を味わえる。……左側になんかチラッと見えた!!

<キャット&マウス>
 参加者が2チームに分かれて戦うルール。チーム内のひとりだけがマウスとなり、先にマウスがゴールしたほうのチームが勝利となる。ほかのクルマはキャットとなり、自チームのマウスを護衛したり、相手チームのマウスをジャマするというわけだ。キャット側のプレイヤーの目的は“走行妨害”なわけで、非常にアグレッシブなバトルを楽しめるのがこのルールの特長。相手チームのマウスにサイドからぶつかるのは当たり前、前方を横切るように走って無理矢理止めたら、ほかの仲間がそこに突っ込んできて大クラッシュ……といった感じで、終始カオスなゲームを楽しめる。

クルマで鬼ごっこしようぜ! 『Forza Horizon』プレイインプレッション オンライン編_07
クルマで鬼ごっこしようぜ! 『Forza Horizon』プレイインプレッション オンライン編_08
▲マウスのプレイヤーは、相手チームのキャットの妨害をかわしながら、相手のマウスよりも先にゴールを目指す。
▲逆にキャット側のプレイヤーは、相手チームのマウスをとにかく妨害する。チームプレイがものをいうルールだ。
クルマで鬼ごっこしようぜ! 『Forza Horizon』プレイインプレッション オンライン編_09
▲全員がキングに向かって突っ込んでいくという、カオスすぎるゲームを楽しめるのがこのルールの醍醐味。

<キング>
 こちらは参加者のひとりが“キング”となり、そこにぶつかったプレイヤーにキングが移動。制限時間内に、もっとも長時間キングの座を維持できたプレイヤーが勝利となるルールだ。インフェクティドに少し似たルールだが、逃げるキングにほかのプレイヤーがズラッと後をつけるという、終始クルマが密集したゲーム展開となるのがおもしろかった。筆者も数回キングを奪えたのだが、なぜかいつもキングとなった直後に大ジャンプして横転し、ひっくり返ったままキングを奪われる……という結果になってしまった。

 いずれのルールも通常のレースとは異なり、クラッシュしまくりのゲームとなるため、レースゲームとは思えない爽快感あふれるゲームを楽しめた。
 ここでもうひとつ、“フリー走行”というゲームについて触れておこう。これはシングルプレイのマップをみんなで同時に走れるゲームモード。このモードには、“トータルで12875Km走破する”、“日の出から日没までにランボルギーニで○○から○○までふたり以上走破する”といったCO-OPチャレンジに全員で挑むゲームだ。チャレンジに捕らわれることなく自由に走ることも可能なため、仲間うちでドライブを楽しむ、なんて遊びかたもできる。なおこの“フリー走行”のみ、“ゲームを検索”からでは遊べない。カスタムゲーム検索でフリー走行を指定して検索するか、自分でカスタムゲームを作成する必要があるのだ。会話しながらゆっくりチャレンジを楽しむ、というスタイルのため、フレンド同士で遊んでね、ということなのだろう。

クルマで鬼ごっこしようぜ! 『Forza Horizon』プレイインプレッション オンライン編_10
クルマで鬼ごっこしようぜ! 『Forza Horizon』プレイインプレッション オンライン編_11
▲シングルプレイと同じ広大なマップを、みんなで走れるフリー走行。マップの進行度はシングルプレイと共通のため、ディスカウントサインを探したり、未踏破のルートを走行するといった楽しみかたも。
▲参加者全員が協力して目標を達成する、CO-OPチャレンジも用意されている。

シングルプレイでもフレンドと競える仕掛けが

 ここからは、シングルプレイでも楽しめるオンライン要素について紹介していこう。本作のマップには、スピードトラップとスピードゾーンというものが存在している。スピードトラップは、そのポイントを走行したときの速度が記録される。スピードゾーンは、対象の区間を走行したときの平均速度が記録される。この記録はオンラインランキングに登録され、フレンドの記録と競い合うことができるのだ。
 ランキングは対象地点を調べると閲覧できるが、ゲーム中ではあの手この手で対抗心を煽ってくる。スピードトラップを駆け抜けたときに“フレンドより遅い!”と表示されたり、ログインした直後に届いたメッセージを見ると“フレンドに記録が抜かれた!”と書かれているのだ。フンフーン、と鼻歌交じりでドライブしているとき、いきなり画面がバシュッと光って“フレンドより遅い!”なんて表示されれば、まあ挑戦者魂に火が付くというもの。すぐさまその場所へ行って記録を塗り替えてやったら、ほかの場所の記録を塗り替えられた……という、抜きつ抜かれつの静かな戦いを楽しめるのだ。

クルマで鬼ごっこしようぜ! 『Forza Horizon』プレイインプレッション オンライン編_12
クルマで鬼ごっこしようぜ! 『Forza Horizon』プレイインプレッション オンライン編_13
▲指定されたポイントを通過したときの速度がランキングされるスピードトラップ。単純ながら、つい最高記録を求めてチャレンジしてしまう熱中度が高い仕掛けだ。
▲本作ではゲーム中にさまざまなメッセージが届くが、フレンドに記録を更新されても届く。まあ対抗心を煽られるワケですよ!

 また、マップにある“レース セントラル”では、さまざまなランキングを確認できるほか、プレイしたイベントに再チャレンジすることができる。おもしろいのは、そのイベントで自分より速いフレンドが“ライバル”として表示されることだ。またフレンドの中で自分がいちばんの場合は、世界ランキングで自分より少し速いプレイヤーがライバルに設定される模様。ライバルをランキングから選んで変更することもできる。
 こちらは、言うなればタイムアタックの勝負となるため、同じコースを何度もプレイしてタイムを縮めていく、まさにレースゲームらしい楽しさを味わえるわけだ。まあ、自分より速いフレンドのタイムが表示されると、やっぱり「なにくそ!」と思ってしまうわけで、つい本編を進めるのを忘れてタイムアタックに熱中してしまうのだ。

クルマで鬼ごっこしようぜ! 『Forza Horizon』プレイインプレッション オンライン編_14
クルマで鬼ごっこしようぜ! 『Forza Horizon』プレイインプレッション オンライン編_15
▲レース セントラルではプレイしたイベントに再チャレンジできるほか、ライバルプレイヤーとのタイムも比較される。
▲“今月のライバル”という、月替わりのイベントにチャレンジすることも可能だ。

いますぐオンラインプレイにジャンプイン!

 今回紹介した以外にも、ほかのプレイヤーが作成したデザインを購入したり、フレンドとチームを作成したり、新たなダウンロードコンテンツを導入するなど、さまざまなオンライン要素を楽しめる本作。個人的には、レースゲームとしては珍しいルールを楽しめる“PLAYGROUND”が楽しかった。またシングルプレイのスピードトラップも気軽に楽しめるため、お気に入りだ。
 とくにレースや“PLAYGROUND”は、レベルアップによって賞金やクルマをゲットできるため、シングルプレイにもメリットがあるのがうれしい。資金やクルマに恵まれていない序盤はおおいに役立つと思われるため、まだシングルプレイしか遊んでいない人は、ぜひとも早めにマルチプレイにチャレンジすることをオススメしておこう。

■著者紹介 喫茶板東
ファミ通Xbox 360で海外ゲームマニアックス、実績解除愛好会などを担当していたフリーライター。とりあえず仕事(この記事ね)が一息ついたので、全ルート踏破の旅に行ってきます!!


Forza Horizon
メーカー 日本マイクロソフト
対応機種 X360Xbox 360
発売日 2012年10月25日発売
価格 7140円[税込]/リミテッド コレクターズ エディション 8295円[税込]
ジャンル オープンロード アクションレーシング