2012年10月19日に正式サービスを開始した、カプコンのブラウザゲーム『鬼武者Soul』。自分だけの城下町を発展させ、武将を育成し、敵対勢力と合戦をくり広げる本作の見どころや魅力について、プロデューサーの杉浦一徳氏に話を聞いた。
戦国体験(βテスト)第伍陣を終えて
──戦国体験第伍陣を終えて、その感触やユーザーの動向などを教えてください
杉浦一徳(以下、杉浦) 第伍陣のデータ分析を見て、同時接続数がつねに前日対比で100パーセントを切らなかったのがすごいうれしかったですね。βテストの場合、通常はデータをリセットしますし、ちょっと遊んでみて、イメージと違っておやめになるお客様ですとか、参加特典の条件を満たしたら、それで終わりにするお客様も多いのですが、4日間常に数字が上がり続けたというのがデータとして残っているので、手ごたえを感じています。
実際、城下町作りを始めると、ハマってしまったお客様が多いようで、そういうところが高い継続率につながったのかなと。ただ、同時に負荷テストを行ったため、ゲームが少し不安定になってしまい、数十名のお客様から満足にゲームがプレイできなかったというお叱りを受けました。参加特典を獲得したかったのに、不可抗力で条件を満たせなかったというお客様が出てきてしまう可能性があったので、ログイン履歴があれば条件達成という形に切り替えるという、申し訳ないトラブルがありましたが、それを踏まえても思っていた以上に結果も感触もよかったです。
逆につらかったのは、どなたでもプレイできるようになったことで、今回が初めてというお客様も多く、いわゆるコンクエスト系の戦闘メインのユーザー様から過去にも届いた「イメージと違う」という感想が、また増加してしまったことです。どうすれば僕たちの目指しているものが伝わるのか、僕らの伝えかたの問題を感じました。
具体的に言うと、いまのブラウザゲームって、戦争ものが多く、領土争いがメインで箱庭はリセットをかけてリソースを生むだけの存在という感じなんですが、『鬼武者Soul』はまったく逆の作りで、城下町作りにいちばん力を入れていて、対人戦だったり、合戦はおまけにすぎないというゲーム性なんです。
戦争ものを期待しているお客様には、対人戦がメインじゃないことに対してや、対人戦がメインのゲームだと勘違いされて、そのメインがこのクオリティーなのかと相当お叱りを受けたので、そこは伝えきれていないなと感じました。もともとのコンセプトが、いまからブレるとまずいので、僕らはあくまで城下町を作ったりとか、自分のお気に入りの武将を育てていく楽しさをどんどん強化していくつもりです。対人戦がメインではないので、そのイメージとのギャップをどう埋めていくかは、苦労していますね。
──対人戦の要素を調整される予定は?
杉浦 いま流行っているブラウザゲームをいろいろと遊ばせていただきましたが、正直戦争ものは僕には合わなかったんですよ(笑)。ですから戦闘メインのシミュレーションゲームが苦手だなとか、それとは違うものがやりたいなというお客様向けに、和気あいあいと遊べるもの、合戦もシンプルで簡単なものにしようという考えかたでした。ですので、いま入っている合戦部分に大きく手を加えることはあまりないかなと思っています。
少し欲張って戦国体験第四陣で“大合戦”を入れたんですけど、あれはどちらかと言うと、基本的なコンセプトを押さえたうえで、サブの要素として戦闘を楽しんでもらおうというものでした。しかし結果は完成度10パーセントも満たない状態でしたので、実装を正式サービス以降の12月を目途に延期しました。大合戦は対人戦を楽しみたいというお客様の要望を叶えられる受け皿にしたいなと思っています。
やはりゲームの優先順位として、自分の好きなデザインの城下町を作って楽しんだり、読み物重視のクエストをアドベンチャーゲームのノリで楽しんでもらえればと。ほかにも武将が進化するとイラストも変化するので、そのお気に入りのイラストを眺めて楽しんでいただきつつ、そのうちいろいろなパラメータが充実してくると、育てた武将を何かに使ってみたいと思えるはずなので、そのころには大合戦が実装できたらいいかなと思っています。
──“気軽に遊べる”コンセプトに反してクリック回数が多いのでは?
杉浦 結論から言えば、いまもクリック回数を減らすように努力しています。ただ、基幹部分でリソースを回収するために必ずクリックが必要なので、そこのシステム変更は難しいと思っています。“一括収穫”というボタンも入れているので、ひとつひとつ収穫する手間ははぶけるんですけど、“一括生産”がまだできないんですよね。これについては今後どうしようか悩んでいるところです。
生産する施設が多くなればなるほどクリックの回数も多くなるので、生産施設を少なくて済むようにする、たとえば300個生産するものを10個置くんだったら、3000個生産できるものをひとつ置いて、10回クリックが必要なところを1回で済ませることができるといった調整をして、クリック回数を減らすことができればと思っています。また、自動生産施設も用意してクリック数を軽減しています。
では、未実装の“一括生産”のまだ使えないボタンをなぜ用意しているかというと、お客様にいつか“一括生産”が入るんだなと気づいてもらいたいからです。新しく来たお客様にも“一括生産”を検討しているんだと意思表明しておきたかったので、実装を予定しているものはなるべく残しておこうと考えています。未完成感が出てしまうのはイヤなところではあるんですけどね。じつは競売のところも同じ理由なんです。
──競売はカードの売買ですか?
杉浦 いえ、正直言うとまだ手をつけてないです。なんでかと言うと、RMT(ゲーム内の通貨やアイテムを、現実の通貨で売買すること)を絶対に避けたいんですよね。いまの状況ではRMTが行われることはないのですが、競売のシステムに抜け穴がないか、仕様のチェックをしっかりやってからかなと。あと、ちょっと変わったことをしてみたいです。必ずしもユーザーどうしの取引じゃなくてもいいと思ってるんですよね。運営とユーザー間でもいいですし。どういうやり方がお客様に喜ばれて、どういうやり方だとゲーム内の治安が乱れるのか。慎重に考えてます。
正式サービスでの調整について
──クジの報酬やお金の調整についてはどうなりますか?
杉浦 クジは、“戦国体験 第四陣”までは武将だけ出ていましたが、あれは武将以外を出すシステムが間に合わなかっただけなんですよ。ただ、“戦国体験 第四陣”までいまの仕様に慣れた皆様から、「クジで武将以外が出たときのガッカリ感が心理的にキツイ」という意見が多かったので、当初の予定とは違うけれど兵法書は出なくしました。そこで、武将カード以外にもらってうれしいものとして“武将強化生贄”を追加したりと武将以外が出ないようにしました。
“武将強化生贄”には経験値がものすごくアップする効果があります。“戦国体験 第伍陣”では企画バグがあって、生贄に捧げても「あれ? そんなに成長しないな」という状態でしたが、そこは修正して、生贄に捧げれば武将レベルや経験値がズバーンと上がるカードが出るようにしましたので、そこは期待外れの武将をもらうよりはうれしいんじゃないかなと。“武将強化生贄”はイラストをファンゴにしたり、ケルビにしてるのに誰も気づいてくれないんですよね。せっかくイラストレーターさんにファンゴの画像まで送って書いてもらったのに(苦笑)。
お金のバランスに関しては、ある程度ゲームを進めると、1回の消費が万単位なのに、ひとつの施設で換金できるお金が数百と、減っていくお金と増えていくお金のバランスが悪いので、施設での交換比率を調整しました。クリック回数も減ることになり、バランス面はだいぶ改善できたかなと思います。
第伍陣の課金アイテム価格については、設定価格に深い考えはなくて、小判を10000配布、つまり10000円の買い物ができるようにしたため、このくらいの金額かな、という考えや他社様の他タイトルを参考にして設定したのですが、正式サービスでの価格と誤解されてしまい、価格が高いという意見がかなり来ました。仮の金額ですよとアナウンスする必要もないかなと思っていたのですが、こちらの気遣いが足りなかったですね。基本的には半額になるように下げて、ブースターパックについても、このゲームは武将のスキルがランダムで、アタリハズレがあるので、300円から100円にしました。確かな意見を頂けたことで、かなり念入りにお客様視点での価格を決定することができて感謝しています。
──行動ポイントの回復量はどうなりますか?
杉浦 正式サービスの仕様では2分で1ポイント回復なんですけど、それ以前は1分1ポイント回復のときもありました。1分1ポイント回復だと、クエストをやって物語ポイントを消費して帰ってくると、内政ポイントが回復してて、城下町を作っていると物語ポイントが回復して……と、延々と続けられたんですよね。これはちょっとまずいかなと踏ん切りをつけて、3時間に1回は休憩しましょうという調整をしました。
でも、最初にのめり込むと3時間何もできないというのはストレスでしょうし、行動ポイント回復のアイテムを相当使うかもしれないという話をしたんです。そこで、ゲーム内でもプレイヤーレベルの5レベル刻みで回復薬も多めに配ったり、回復薬の価格も一般的なソーシャルゲームですと1本100円が相場ですが、それだと高いよねということで1本40円、11本で400円という形にしました。800円分買えば22本なので相当プレイできるかなと。そのあいだに武将もたくさん手に入るので、強化もできますし、1000円のブースターパックの10枚セットを1回引いて合わせて2000円程度なら開始資金としてちょうどいいかなと思ったんです。
この2000円から3000円でかなり遊べるというコンセプトが重要かなと考えて、この金額でどこまで楽しめるか計算してバランス面も調整しました。ただ、"技継承"の際に生贄をロストしないアイテムなど、保険的なアイテムを入れていますが、これの価格はそのままにしています。これを安くしてどんどん使われてしまうと、技継承のバランスが崩れてしまいますから、ひとつ1000円というハードルの高さで回数を制限したいという意図です。ボイス課金に関しても本来絶対にプレイに必要なものではないので、そのままの価格ですね。課金アイテムは、日用品と贅沢品に分けていて、贅沢品はお高めでいいと割り切りました。欲しい人だけが買うものですからね。日用品はどんどん気軽に使っていただきたいので価格は半分以下に下げています。
──武将の技、兵法書の調整は?
杉浦 「戦国体験 第四陣」では技が強すぎるとバランスを壊してしまうので、発動率を下げました。ところが、反対にお客様から発動しないのでツマラナイという意見が多数あったので、第伍陣ではそこそこ発動率を上げたんですけど、お客様からあまりいい反応がなかったので、原因を調べたんですよ。発動率はもとに戻したはずなのになぁと。
結果としては、強い技は下がったままで中くらいから弱い技だけが出やすい発動率になっていたんです。これだと強そうな技の発動率がやたら低くて、育てる意味があるのかと思われてしまうので、ここを正式サービスではきっちり修正しています。第参陣のときは技の発動率がかなり高くて、合戦を見てるだけで楽しかったんですよね。バンバン技が飛び交ったりして、そういう心理面も考慮して、技は出ないより出たほうが楽しいという結論に至りました。
兵法書については、効果が似たようなものが多かったので、見直しました。兵法書と技は基本的には上方修正して、もっと爽快感がある形にしたというのが結論です。
城下町作りについて
──細かい話ですが、プレイヤーのレベルが上がったとき、超過した分の経験値が溢れたときに切り捨てられちゃうんですが。
杉浦 そこはちょっと議論しているところです。いちおう仕様なんですが、人によっては経験値99パーセントで一括収穫して悲しい思いをしてしまうこともあるので、直せるなら直しましょうという方向にはなっています。僕はもうプレイし過ぎてそれに慣れている人側なので、99パーセントだと思ったら、ひとつひとつ収穫していってレベルが上がったら一括収穫するんですけどね(笑)。まぁそれをやってくださいとお客様に言うのはダメかなと思っているので、直したほうがいいかなと。
──城下町の設置や収穫をする場合、範囲指定をして行うことは可能になりますか?
杉浦 いまはできないんですよね。なんとか実現できないかとその件は相談しています。
──町全体の角度を変えられるようにはなりませんか?
杉浦 いちばん最初にその話し合いはしたのですが、最初にあきらめました。もしそれをやるとなると、城下町の施設のテクスチャをいまの2倍のデータ量で読み込まなきゃいけないんですね。いまですら重いのにこれ以上データ量を読み込むのは……。いまはまだ難しいですね。
──建物の裏の道の設営がたいへんなんですよ
杉浦 ご指摘のとおりです。そうなんですよね。だから半透明になるようにはしているんですけど。
──施設だけ全部消せる機能とか追加できないですか?
杉浦 道だけ見える機能ですか(笑)。ちょっと考えておきます。じつは設置物と道はまったく違うプログラムで扱われていて、設置物は置くだけですが、道は設置すると隣接した道とくっつくじゃないですか。だから道の処理は施設よりは重いんですよね。
川にかかる橋については悩んでるんですよね。道と同じシステムにすると開発期間もすごい時間かかるし、いまのままだと川が途切れる感じになってしまいますし。お客様からは淵に緑が無いバージョンとあるバージョンの橋があれば、それでなんとかがんばると要望が来ているので、どうしようかなと。
──すでに施設への要望とか来ているんですね
杉浦 そうですね。開発隊に書き込まれているので、それを参考にしながら次期の開発内容の検討を行っていますね。
──生産施設に道を隣接させると生産効率が上がるということですが、すべてを生産施設で
埋めた場合だと、どちらのほうが生産効率が高くなるんですか?
杉浦 道を作らず土地のすべてを生産施設で埋めたら、もっとも効率的であるというのは否定できないです。僕は絶対やらないですけどね。僕の場合はまず道から作ってそのあと施設をはめ込んでいくというやり方です。フレンドの町を見ていくと、人それぞれの性格が出ますよね。見てて楽しいです。スクリーンショットコンテストは絶対やったほうがいいですね(笑)。
施設の移動が気軽にできることが特徴のひとつなので、作ってイマイチだなと思ったら、どんどん変えてほしいです。作り込んでからだとたいへんですけどね。お客様からリセット機能が欲しいと言う要望は来ているんですけど、負荷の問題でちょっといますぐは怖いですね。ひとりなら問題ないですが、みんなが同時にとなると膨大な負荷がサーバーにかかるので。正式サービスが始まれば負荷の状況がわかって、いろいろなことの可否がわかるので、それまでは様子見です。
──町の広さは最高でどのくらいになりますか?
杉浦 50×50が最大です。これ以上は先程と同じく負荷を考えると厳しいですね。数ヵ月後に第2のマップを用意できればなと考えていまして、第2マップは、第1マップのときとは違うコンセプトのものを用意したいです。
これは将来のできたらいいな、という夢ですが、俯瞰で見られる日本地図のようなマップを作って、ひとつの城下町をひとつのヘックスとして置いていけたらいいよねと。合戦は県境で行われるので内陸に町を作ると誰も攻めてこなかったりとか、県内のどこの土地に町を作るのか、内部闘争が起きてしまうとか、問題はありますけどね(笑)。いろいろと構想を浮かべながら話しています。
いまはクライアント版を作るかという話もしていますね。ブラウザゲームではなくなってしまいますが(笑)。でも、これ以上重くなるなら真剣に検討しなければいけないなと思っています。お手軽に遊ぶ人はブラウザで、本格的に遊ぶ人はクライアントをと。もしかすると、必要な情報をアプリとしてダウンロードしているiosやアンドロイドのほうが軽い可能性もありますね。
これからの実装予定について
──水上マップはどのようなものになりますか?
杉浦 都道府県によって違いますが、川辺や海辺の町に施設を建てていって、もっと凝った交易や海戦もやれたりという感じです。まだ構想段階で、ほぼプログラム的な開発は着手できていないですけどね。
あと、いま野戦に近い形の合戦は入っていますが、攻城戦がないので、入れたいねという案は出ています。ほかにも国政はまだ基本部分しか入っていないので、国の方針を決めるようなことができるようにしていきたいです。プレイヤーの肩書に応じて意思決定できたりとか、なんらかの形で国政を充実させていきたいです。
──クエストはどのようなものが配信されますか?
杉浦 歴代の『鬼武者』のストーリーを追体験するクエストが入ります。これは10月19日の正式サービス開始からリリースされてます。ほかにはPVに出てきた武将もそのままイラスト化してゲームに入れているので、あの6人ひとりひとりをテーマにしたクエストをイベントで配信する予定です。
鬼物語の第一編は少しチュートリアルを掘り下げた入門編になってるので、物語の内容が地味すぎてつまらないと言われてるんですが、このあと追加されていくものは、どんどん内容が壮大かつ人間関係とかが濃くなっていくので、楽しんでいただけるかなと。『鬼武者Soul』オリジナルの信長だったり、秀吉だったりのストーリーも楽しんでいただきたいです。
──大合戦や攻城戦の仕様はどのようなものですか?
杉浦 大合戦は地方のブロック内での戦いになります。幻魔の都道府県と鬼の都道府県が戦うことになり、そこの人口比率差を埋めるために人陣営が割り振られる形になっています。
攻城戦についてはまだ構想が2パターンに分かれています。ひとつはシンプルなもので、合戦に勝ったあと、「攻城戦をやりますか?」というポップアップが出て、イエスを選択するともう一度戦うというもの。もうひとつは、いま物足りないと指摘されている部分を補完するものをしっかり練ってから入れようかというものですね。まだどちらにするか結論はでていないところです。
──第伍陣で都道府県のランキングが出ていましたが、偏りについては想定どおりですか?
杉浦 はい。いちばん人数の少ない国の人は県内ランキングに入る難易度が低くて、かなりいい物がもらえているので、相当おいしい思いをしているはず(笑)。過疎だから不遇だという意見がでないのは、もちろん一部デメリットもありますが、おいしい部分もありのメリットをご用意したからだと思います。
普遍的にここは人口が多いだろうなと思っている国は、人気のある武将が配置されている、真田幸村の長野県ですかね。意外と女性のプレイヤーが多いので、長野県はほとんど女性だったりするかもしれません(笑)。亡命のシステムが入るといろいろ変わってくると思いますけど。
フレンドは国で限定しているわけではないので、悪鬼羅刹のフレンド救援や城下町のチェックとか、いろんな国のものが楽しめます。もちろん自分の国の人が少ないからゲームが成り立たないとか、ゲームがつまらないということにはならないようにしていますよ。国政の納品のところだけは、どうしても人海戦術になってしまうんですけどね。国政はまだ30パーセント程度の出来なので今後の開発で調整します。
──武将の育成に関して、武将のグレードはいくつまでありますか?
杉浦 正式サービス開始当初はグレード3までですが、徐々に開放していく形です。グレード1、3、5、7で武将のイラストが変化します。
──ステータスの継承はどのような形で実装される予定ですか?
杉浦 ある程度育てた武将がいて、新しい武将を育てたいなとなった場合に、まえの武将を捨てる形になるのはもったいないですから、ある程度能力を継承させようと話し合いで詰めているところです。そのまんま移せてしまうとバランスが心配なので、どの程度の能力を引き継げるようにするか、悩みながら調整しているところです。11月には実装する方向で進めています。
──グレードを最大まで強化した場合、武将のステータス差はかなり広がりますか?
杉浦 極論を言えば、差はなくなります。上限値は同じに設定されているので、強化アイテムを使えばどんなに強い武将でも、どんなに弱い武将でも最終的に同じ数値にはなります。そこまで到達するにはプレイ時間ですとか、お金が関わってくるので、実際には同じ数値でツマラナイという状態にはならないと思いますけどね。
──絶対的な差がついて使いものにならない武将が出てくることはありませんか?
杉浦 かなり独特かつ意図的に変に育てなければ、大丈夫です。
──強化石はどのように入手するのですか?
杉浦 ひとまず販売することをやめたので、イベントクエストや期間限定の目玉アイテムとして配布していこうと思っています。
最初はお城をすぐに買えたりとか貴重な建物をすぐ買えてしまうのはまずいと思っていて、逆にサブコンテンツの合戦に関しては、ある程度、お金で解決していただいてもいいかなと考えていました。ただ、城下町に勝ち負けはないんですけど、合戦にはあるので、勝ち負けにお金がからむのがヤダという意味なのかなと思いまして、強化石の販売はとりあえず様子を見ようかなと思います。
もし我々の考えにお客様が賛同してくれて、「城下町作りにお金がかかるよりはよっぽどマシだ」ということであれば強化石を売っていけばいいですし、逆に「勝ち負けにお金かけるのはやめてくれ」となったら、城下町のほうで何か販売するという方法もあるのかなと。
なんでも最初にゴールだったり答えを渡してしまうと、ゲームをやる意味がなくなりますが、僕らからすると、お城や建物をあげるのはゴールに近くて、強化石をあげるくらいではこのゲームが完成したとは言えないので影響はないとは思っていたんですね。
でも、いまのところは、とにかく売るのはいかん! というお客様の空気は読んでおいたほうがいいだろうと。新コンセプトでの販売アイテムはゆっくりとお客様の理解を頂いてから増やしていこうと思っています。
──武将のレア度が記載されていないため、ひと目で強さがわかりづらいと思いますが、どのように考えていますか?
杉浦 どちらを優先するかだったんですよ。RとかSRとかついていないカードはデッキに入れないで、もうこれはゴミだと判断されてしまうことが多いですが、その表示しか見ていなくて、パラメータもスキルも絵柄もほとんど見られてないと思うんです。
それがイヤなので、自分の気に入った武将を集めてください、強くする方法はいくらでもありますよという形にしています。確かにレアとかスーパーレアとか書いてあったほうが、初心者の方にはわかりやすいんですけどね。それだけで選ばれてしまうと、もったいないなという気がしたので。
最初のスキルが発動しない時期は、単純にパラメータが高ければその武将が強いので、それを参考にしてもらえばいいかなと。遊んでいくうちに知識がついていって、パラメータの意味やスキルが後から発動するようになるんだなとか、スキルの強さがわかって武将をまじめに育ててみようかとか、理解が深まると思っています。
──兵法書は何種類くらいありますか?
杉浦 バランス調整をしているので、最初に手に入るのは10種類くらいですかね。"極"と"特"は生産では手に入らないようにしているので。最初は0.1パーセントで手に入るようにしてたんですが、兵法書の施設を100個くらい作るお客様もいらっしゃいまして……。遊びかたが違うなと急遽やめました。何かのご褒美で入手できるようにしました。
──今後のアップデートの予定を教えてください
杉浦 正式サービス開始から1ヵ月後の11月22日に小規模アップデートがあり、"龍虎激突"という上杉謙信と武田信玄にまつわる鬼物語が15話実装されて、30人の武将が追加されます。12月16日には大型アップデートの"奥州大乱"があります。これも15話実装されて、計60人の武将が登場します。このタイミングで大合戦の準備を間に合わせたいなと考えています。あとは"百花繚乱"という姫武将とか女性武将だけを集めた仕掛けも年内にやりたいですね。年内に120人の武将の追加、ストーリー追加、可能なら大合戦、その他リファインといった感じです。
──スマートフォン版は年内にリリースされそうですか?
杉浦 うーん……(苦笑)。インターフェースの移植がそのままできないので、その修正でちょっと苦しんでますね。それ以外は順調です。サーバーはPCもスマートフォン版も同じなので、自宅ではPC、会社や学校ではスマートフォンという感じで遊んでもらえればいいですね。
──城下町について、仕様がリファインされて高台が作れるようになったりしますか?
杉浦 高台はわからないなあ(笑)。じつはべつのブラウザゲームの開発にも着手してまして、そちらには高台が入れられそうです。
──最後に読者に一言お願いします
杉浦 無料なので、まずは気軽に遊んでいただきたいです。自分のお気に入りの城下町を作って、お気に入りの武将を育てながら遊んでいく、まったりゲームと思って遊んでいただきたいです。こだわりを持って47都道府県に分けているので、それぞれの都道府県でコミュニティーが形成されて、各都道府県でオフ会なんかやってもらえればうれしいなと。こういう形のゲームに興味があるかたにはぜひ遊んでもらいたいと思っています。