エレクトロニック・アーツより2012年10月18日に発売された『FIFA 13 ワールドクラス サッカー』(PS3/Xbox 360/PSP/PS Vita、※Wii U版は12月8日発売予定)。サッカーと『FIFA』シリーズを愛して止まない、ふたりのサッカー馬鹿(一応、編集者です)によるプレイインプレッションをお届け。

※この記事は『FIFA 13 ワールドクラス サッカー』の楽しさをお届けするため、Xbox 360版で対戦中の差し障りの無い会話を淡々と再現しています。

[1st Leg]マルセイユ(M) 1-0 ボルドー(Y)

サッカーゲームにサッカーを求めるのか、ゲームを求めるのか? 俺達はサッカーだ! 『FIFA13』プレイインプレッション_02

(ム)(以下、M):おっしゃー! 勝ったでぇぇぇ!
ミル☆吉村(以下、Y):くそー、チャンスはこっちのほうが多かったのに!
M:最終ラインのミスが勝敗を分ける。じつにサッカーらしい話だね。
Y:スローインをカットされて、そのままペナルティ(エリア)でディフェンダーがバタバタしてるうちに……って、いちばん悔やまれる負け方だわ。
M:まったくもってきれいな形の得点じゃないからね。むしろもっといい崩しからのシュートはほかにあったし、ボルドーのディフェンスとキーパーの健闘は讃えてあげてもいいだろうね。
Y:1回勝っただけで、なんでそんなに偉そうになるかな!?
M:(試合後のハイライトを見ながら)確かに決定的なスルーパスも絶妙クロスもボルドーのほうが多かったのね。でも、いい形のシュートが必ず入るわけじゃないし、外れても納得せざるを得ないというか、そのあたりの説得力が『FIFA 13』にはある。
Y:それはサッカーという競技の特徴だからね。『FIFA 13』はよりリアルなサッカーらしくなってるから、実際にサッカーで起きうることは納得するしかないって思っちゃうわな。
M:正直『FIFA 12』は親指が青くなるまで遊んでたけど、これ以上に楽しいサッカーゲームが出てくるとは思ってなかった。もう最終的な完成形に到達しちゃって、あとはデータの更新とかモードの充実とか、そういう方向に進むと思ってたのにこれだもの!
Y:明らかに選手のモーションのバリエーションは増えてるよ。サッカーの試合中の動きなんて膨大にあるはずで、それが自然に感じられるようになってるだけで驚き。
M:さっきの右サイドからのクロスにディフェンスの後ろから潜り込んで、ずらすようにヘッドしたシーンとか、中山(雅史)や岡崎(慎二)っぽいし。
Y:そういう、サッカー中継で見たことある全身を使った懸命なプレイが出てくると「スゲェ!」って思う。
M:あと競り合ったり、接触したときの反応がリアルすぎる。重心が崩された瞬間がわかるもんね。で、そういうときはあっさりボールを取られると。理にかなっているというか、なんというか。
Y:ホント、ここまで来たんだねぇ……サッカーゲームは(遠い目)。

[2nd Leg]ヴォルフスブルグ(M) 0-0 ニュルンベルグ(Y)

M:『FIFA』のスゴイところはオンラインにつなぐと本領発揮するね。頻繁にチームや選手、試合のデータが更新されてて、データベースとしてもニュースサイトとしても使えるレベル。追加料金、取らなくていいの?って思っちゃうよ。
Y:直近の試合結果なんかがバッチリ反映されてて、ニュルンベルグはブンデス(リーガ)で連敗してるから、選手のコンディションがだだ下がりだったよ。清武(弘嗣)のコンディションはそのままだったけど。
M:確かに7節時点までは清武個人の調子は悪くなかったみたいだし、そこら辺のリサーチ力がハンパない。デフォルトのフォーメーションも、先週と今週だとぜんぜん変わってるし。
Y:長谷部(誠)がベンチに入ってないのも、実際の境遇といっしょだ。直近の試合のデータを反映しているんだな。
M:まぁ、オレはスタメンで使ったけど。このヴォルフスブルグはオレが監督だから。マガトは頑固親父なんで、頭がなぁ、固いんだよ!
Y:カ、カテエ!! 凝り固まったマガトのアタマ!(
M:へ?
Y:あ、いや、なんでもない。

サッカーゲームにサッカーを求めるのか、ゲームを求めるのか? 俺達はサッカーだ! 『FIFA13』プレイインプレッション_03
サッカーゲームにサッカーを求めるのか、ゲームを求めるのか? 俺達はサッカーだ! 『FIFA13』プレイインプレッション_04
▲最新の試合結果を元に、チームのフォーメーションやスターティングメンバー、選手の調子などが更新される。

M:……長谷部は悪くなかったよ。うーん、サイドはえぐれるんだけど、そこからのクロスに工夫がなかったか、あと一歩を崩す力がなかった。アイデアが足りなかったか? なかなか勝てない中堅リーグの中堅クラブらしさを完全に発揮してしまった。
Y:お互い、実際に下位チームらしい(7節終了時点)ぐだぐだな展開だったね。大筋はいい展開もあったりするんだけど、あと一歩の肝心な場面で、トラップがほんのちょっと大きくなってクリアできちゃうとかさ。ファーストタッチ・コントロールでサッカーらしさが表現されているわけだ。
M:えーと、なんだっけ? それ?
Y:覚えとけよ! 選手のスキルやシチュエーションによって、ボールをコントロールできる可能性が変わるんでしょ! 
M:あ、それ記事で書いたことある。というか、そういう堅い説明はいいのいいの。サッカーらしさの代表的な要素、偶然性が際立ったってことだ。なかには、それをもどかしいと感じる人もいるかもしれないけど。
Y:どういうこと?
M:たとえば「ちゃんとパスしたのにミスするんじゃねよ、このヘタクソ!」とか「ゲームなんだから気持ちよくトラップしてよ」とか、そう感じる人もいるんじゃないかと。
Y:それはそうかもしれないけど、個人的はまったくないねぇ。サッカーゲームにサッカーを求めるのか、ゲームを求めるのかって違いかな。
M:スルーパスの処理にミスってカカトに当たっちゃったシーンも、そのときは「そりゃあ、ねえだろ!」と思ったけど、実際よく見るからなぁ。ぐっだぐだな下位の試合で見るよね。
Y:なんか、ひどい! まぁ、わからんでもないが(笑)。

(※)宝島社刊「プロレス下流地帯」所収、原田久仁信「地獄のど真ん中」に出てくるセリフのオマージュ。わかりにくくて申し訳ない。

[3rd Leg]ブラックバーン・ローヴァーズ(M) 1-2 ブラックプール(Y)

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サッカーゲームにサッカーを求めるのか、ゲームを求めるのか? 俺達はサッカーだ! 『FIFA13』プレイインプレッション_06

Y:『FIFA』のとんでもないところは、膨大なデータ量なんだよ!
M:なんだなんだ、急に。
Y:とくに英国リーグなんて4部まで収録って、日本人的には誰が喜ぶんだよっての。
M:さすがに4部までいくと笑うしかないけど、2部3部だと意外と知ってる名前があるから大盛り上がりだったじゃん。
Y:だってなんとなく選んだクラブ(ブラックプール)にバリー・ファーガソン()とケヴィン・フィリップス()がいたんですよ! しかもフォワードにいるトーマス・インスって、あのポール・インス()のアレでしょ、たぶん。
M:アレって! まぁ、わかるからいいけど。息子だね。こっち(ブラックバーン・ローヴァーズ)だって、ポール・ロビンソン()、デヴィッド・ダン()、ヌーノ・ゴメス()、ガエル・ジヴェ()……極めつけはダニー・マーフィー()だからね。まだ現役なのかよ! 懐かしい名前ばっかり。まさにオッサンホイホイですよ。
Y:対象はかなり限定されるけどな(笑)。

サッカーゲームにサッカーを求めるのか、ゲームを求めるのか? 俺達はサッカーだ! 『FIFA13』プレイインプレッション_07
サッカーゲームにサッカーを求めるのか、ゲームを求めるのか? 俺達はサッカーだ! 『FIFA13』プレイインプレッション_08

Y:しかし、試合のほうはほどよくグダグダな展開でしたな。
M:なんというか大味で、先制点なんか、クリアミスからズドンとゴールというJ2らしい展開(笑)。
Y:J2じゃねぇって!
M:シュートシーンだけ見ればプロらしくてかっこいいんだけど、その前のプレイが実にマズいという。
Y:そういう雰囲気まで、選手のパラメータや戦術理解度の違いで再現されているのかも。
M:ただ、弱いチームなら弱いチームなりに楽しいから困る。サッカーマニアじゃないと理解できないかもしれないけどさ。
Y:あ、試合中に気づいたんだけど、スローインがほとんどなかったね。ハイスパートサッカーって感じ。
Mハイスパートレスリングなんて普通知らないから。大きなパスはヘボいので出しにくい、一方では選手のスピードが遅くて2部らしいラフなタックルもしなかったんで、切れ目のないカウンターの応酬だったね。殴り合いって感じでこれはこれで楽しかった。

(※)ようするに欧州サッカーシーンに名を轟かせた一流プレイヤーたち。スーパーケブ(ケビン・フィリップス)は1999年のプレミア得点王だぜ!

[Final Match]レアル・マドリー(M) 1-4 バルセロナ(Y)

サッカーゲームにサッカーを求めるのか、ゲームを求めるのか? 俺達はサッカーだ! 『FIFA13』プレイインプレッション_09
サッカーゲームにサッカーを求めるのか、ゲームを求めるのか? 俺達はサッカーだ! 『FIFA13』プレイインプレッション_10

Y:どのサッカーゲームより、スライディングタックルのリスクがちゃんと実感できる印象はある。
M:自信があればタックルは決まるんだよ。それが五分五分とか一か八かの状況だと、かわされたときにピンチになるし、カードももらいやすいと。それで、メッシにやられまくったわけだが……。
Y:ディフェンスが読み切ったからといって、必ずボール奪取できるわけじゃないのもリアルだね。ボールのこぼれ方のバリエーションが豊富だから、また攻撃側が拾えることもあるし、何かの弾みで突破できたりもする。
M:それで、最後に(クリスティアーノ・)ロナウドが一矢報いたわけで。完全に個人技だったもんね。
Y:そういうことだから、積極的に仕掛けたほうが活路が開けそう。仕掛けると何か起きるかもしれない感じがある。もちろん低い位置で取られたりでもしたら致命傷になりかねないから、状況判断とリスクの計算も重要だけど。
M:シュートについても、必ずしも強烈じゃなくても入るときは入る。タイミングとか状況判断とか運も大事。
Y:いちばんの鍵はキーパーの体の重心じゃないかな。ボールが予想外のこぼれ方をして、構えが準備できてないタイミングで撃つと、強くないシュートでも決まる印象だよ。
M:そうそう。それで、メッシにやられまくったわけだが……。

サッカーゲームにサッカーを求めるのか、ゲームを求めるのか? 俺達はサッカーだ! 『FIFA13』プレイインプレッション_12
サッカーゲームにサッカーを求めるのか、ゲームを求めるのか? 俺達はサッカーだ! 『FIFA13』プレイインプレッション_11

M:さすがにイングランド2部と比べると、さっきと選手の動きがぜんぜん違うね。
Y:選手の動きがサッカーらしくなってるのを実感したよ。つまりAIが賢くなっていて、スペースを見つけて飛び込んでくれるるんだろうね。
M:ただし、ディフェンスも進化しているから、操作してない選手はパスコースを読んだ動き方してた。ボールに行くのか、ディレイ(遅滞)をかけながらリトリート(後退)するのか、周りの動きを見て瞬時に判断する感覚は、まさに欧州サッカーだった。
Y:さすがビッグクラブって感じ。これは楽しすぎる。メッシが周囲とパス交換しながらスペース開けてシャビが入り込むるとか、ショートカウンターからビジャが斜めに切り込んでクロスがディフェンダーに当たってループ気味に決まるとか、思わず声が出たね。
M:クリスティアーノ・ロナウドがブチ切れてドリブル無双した得点シーンも、そんな感じ。
Y:まぁ俺のディフェンスがマズいんですけど、いかにもありそう。あの高い重心のドリブルがこえーんだよ!

サッカーゲームにサッカーを求めるのか、ゲームを求めるのか? 俺達はサッカーだ! 『FIFA13』プレイインプレッション_01
▲その週のベストゲームをピックアップして、実際にプレイできるモードも搭載。欧州サッカーシーンの情報が入ってくる!

■著者紹介
ミル☆吉村
ファミ通.comの洋ゲー脳編集者。たまーに紙の仕事もしたりしなかったり。基本的には、アメリカ各地、カナダ、アイスランド、シンガポール、中国、韓国と、世界中を飛ばされまくる人。好きな海外チームはスーパーブラックキャッツことサンダーランド。好きな名古屋グランパスの助っ人外国人はエリベウトン。

(ム)
ファミ通.comの新人編集者(←でも若くない)。夜な夜な前所属部署の片隅で『FIFA』ばっかやってるのはここだけの話。好きなJリーグチームは名古屋グランパス。好きな海外チームはアーセナル(←わかりやすい)。好きな名古屋グランパスの助っ人外国人はデュリックス、トーレス、ヴァスティッチ、マルケス、ス(以下略)。


『FIFA 13 ワールドクラス サッカー』
メーカー エレクトロニック・アーツ
対応機種 PSPPSP / X360Xbox 360 / PS3プレイステーション3 / PSVPlayStation Vita / Wii UWii U
発売日 2012年10月18日(Wii U版のみ12月8日発売予定)
価格 PS3版/Xbox 360版/Wii U版は7665円(税込)、PS Vita版は5980円(税込)、PSP版は4980円(税込)