基本無料の陣取りアクションゲームが登場!
2012年10月12日に、Xbox LIVE アーケードで配信された『Happy Wars』。その最大の特徴は、Xbox LIVE ゴールド メンバーシップならば無料でプレイできる、ということ。昨今のMMO RPGやスマートフォンなどで市民権を得ている、いわゆる“基本無料”タイプのゲームというわけだ。まずはどんなタイトルなのか、その内容を解説していこう。
本作をひとことで言い表すならば“陣取りアクション”ゲーム。プレイヤーはひとりの兵士となって戦場へ下り立ち、相手の城にあるビッグタワーを破壊することが目標だ。オンライン対戦は最大15対15の30人で遊べ、2頭身のゆる~いキャラクターたちが最大30名も入り乱れて戦う、大迫力のゴチャキャラバトルが展開する。RTS(リアルタイムストラテジー)ゲームの、ひとつのユニットになった気分で戦えるゲーム、といえば多少は伝わるだろうか。
3つのクラスを選択して、いざ戦場へ!
プレイヤーは出陣する際、クラス(職業)を選択する。選べるのは、戦士、僧侶、魔法使いという、ゲームではメジャーな3タイプ。戦士はイメージ通り、近接戦闘に長けており、HPや防御力にすぐれる。魔法使いもほぼイメージ通りで、遠距離からの魔法攻撃を得意とする。仲間に強化魔法をかけることも可能だ。僧侶のみ、一般的なイメージとは異なる性能で、仲間の回復や蘇生に加えて、ハシゴや砲台といった兵器を建設することができる。また、接近戦もある程度こなせる。
基本性能に加えて、ユニットは個別のスキルを使用可能だ。たとえば戦士であれば、敵を体当たりで吹き飛ばす“ふっとばし”、叫んで周囲の敵を怖がらせる“雄たけび”などが使用可能だ。これらのスキルはA、B、Yボタンで使用できる……のだが、このシステムは少し特殊なので、くわしく解説する。
まず、ユニットは敵を倒したり、戦場で活躍することでレベルアップし、成長する。このとき、HPやAP(スキルや魔法を使うときに使用する)が増えるとともに、スキルをひとつランダムで覚えるのだ。ちなみにスキルは、Aボタンスキル、Bボタンスキル、Yボタンスキルと、ボタン別に4種類ずつ存在。使用するスキルは、LBボタンを押しながら対応のボタンを押すと選択でき、以後はボタンを押すだけでスキルを使える、という仕組みだ。
なおレベルは試合ごとにリセットされるため、試合ごとにどのスキルが覚えられるのかは完全に運。毎試合「どのスキルを覚えられるかな~」と、ドキドキしながらのプレイが楽しめるといわけ。
また、Yボタンのスキルは“チームスキル”という特殊なもので、ひとりでは発動できない。使用するとその周囲に円がいくつか現れ、そこに味方が参加すると発動できる。要は複数人の力を合わせて発動する、超強力なスキルだ。
タワーをめぐる戦略的なバトルを楽しめ!
ここからは、実際の戦場の様子を紹介していこう。バトルが始まると、プレイヤーは自陣の城からスタート。マップにある特定のポイントにはタワーを建設でき、以降は倒された仲間がタワーから復活できる。タワーは、リスポーンポイントとなる重要な拠点というわけだ。相手のタワーを壊して自軍のタワーを建設することも可能で、もちろん相手側も同じことが行える。
本作の醍醐味は、このタワー建設を巡っての戦略的な戦いだ。相手のタワーと自分のタワーが隣接している場所、いわゆる前線では激しい戦いが勃発する。そのまま突っ込んで戦うか、それとも突っ込んで相手を引きつける役を背負うか。少し遠目に戦況を見つつ、味方のサポートに徹するか。はたまた、別のタワーを急襲してしまうか……! ちょっと考えただけでも、これだけさまざまな選択肢が存在するのだ。
本作では指揮官は存在しない。プレイヤーひとりひとりが兵士であると同時に、指揮官でもある。自軍のために戦略的に行動し、実際の戦闘はアクションで戦う。そんな知略あふれる戦闘を、思う存分楽しめるのだ。
またマップには、タワーのほかに兵器を設置できる場所も存在する。僧侶であれば、戦闘や回復のほかに、兵器の設置という選択も視野に入る。完成した兵器は僧侶以外でも使用可能だ。
よりよい装備を入手してクラスを強化する要素も
キャラクターの強化についても触れておこう。本作には武器や防具などの装備品が存在し、クラス別に装備することが可能。装備は試合終了時に入手できる。よりよい装備を調えて、クラスを強化していくという楽しさも味わえるのだ。
ただし、単に攻撃力や防御力が高い装備が強い、というわけではない。装備には、建築スピードアップやふっとばし力アップなど、“バフ”とよばれる特殊効果が付属しているものもある。装備を選ぶ場合は、こちらの能力も考慮する必要がある。
おもしろいのは、装備の強化が行えること。装備の強化を行うと装備のレベルが上がり、攻撃力や防御力が向上するのだ。ただし、強化を行うには“ハッピースター”とよばれるゲーム内通貨が必要で、さらに材料(必要ない装備)も使用する。この強化システムのため、素の攻撃力よりもバフを重要視し、攻撃力自体は強化で上げていく……なんて育成方針も楽しめるのだ。またバフ自体を装備につける、合成システムも存在する。
なお、装備には重量が存在し、どの重量まで装備できるかは、プレイヤーのランクで決まる。ランクはオンラインランクマッチ、または協力プレイのプレイで成長し、高ランクになると、それだけ重い装備を身にまとえる、というシステムだ。
装備のデザインは千差万別で、当然ながらキャラクターの外観にも反映される。そのデザインが個性的というかなんというか……、飛び出る充血した目や骸骨 の兜、筆のような杖など、変わったものばかり。奇抜かつ猟奇的なものも多いが、いずれもかわいらしいデザインに仕上がっている。またキャラクターの外観もカスタマイズ可能で、2頭身かつとぼけた表情が多いためか、上記の装備デザインと合わせて、ゆるキャラっぽいコーディネートを楽しめる。ため、見た目にこだわったカスタマイズも楽しめるのだ。
また、装備は試合以外でも入手可能。そのうちのひとつが“ハッピースピナー”というミニゲームだ。これはいわゆるルーレットで、色が付いた部分(当たり)に針が止まれば、その色に対応した部位の装備を入手できる。初期状態ではハズレの部分が大多数を占めているが、ハッピースターをベットした部位の当たりマスが増加し、最高までベットすればハズレがなくなる。単純なゲームながら、ゲーム序盤は装備不足で、かついい装備が当たると非常にうれしいため、ついつい熱中してしまう。おかげで筆者はいつも金欠だ。
メインとなるのはオンラインの対戦と協力モード
続いて、本作のゲームモードについて解説しよう。まず紹介したいのは、味方と協力してコンピューター率いる敵軍と戦う、協力プレイモード。オンラインバトルは楽しいが、対戦となると初心者は腰が引けてしまうのも事実。だが協力プレイモードならば、相手となるのはコンピューターのため、かなり気軽に参加できる。このモードでもランクを成長させられる。
ゲームに慣れたら、15対15のバトルが楽しめるランクマッチにチャレンジしてほしい。ランクマッチではほかのプレイヤーが敵軍となるため、協力プレイモードよりも歯ごたえがある真剣勝負を楽しめるのだ。
物語を楽しめる、シングルプレイ用のストーリーモードも存在する。ただし、こちらは最初からすべてを遊ぶことはできず、前述のプレイヤーランクが上がることによって、新たなミッションが解禁される仕組み。多くのゲームの場合は、まずストーリーモードをプレイしてゲームに慣れてからマルチプレイにチャレンジ、というプレイスタイルの人が多いと思うが、本作ではそのようなスタイルではプレイできないことに注意。ストーリーモードは、オンラインプレイの息抜き程度に考え、ゲームに慣れるためには、オフラインでコンピューターと対戦できるトレーニングモードか、前述の協力プレイモードで遊ぶことをオススメしたい。
とりあえず無料なので遊んでみるべき!
これまで紹介してきたように、無料ゲームとは思えないほど数々の要素が詰め込まれている本作。スキルや合成など多少わかりにくい部分はあるが、基本的なルールは非常にシンプルなため、すぐにゲームに熱中できるだろう。
バトル自体もおもしろく、自分がどこへ向かうかという戦略性、そしてアクションで戦う戦術性の、両方の楽しさを味わえる。装備でキャラクターを強化する要素も、RPG好きの日本人にはバッチリとマッチしているだろう。
個人的には、簡略化された他プレイヤーとのコミュニケーションもお気に入り。RBボタンを押すと4タイプの定型文を話せるほか、味方に回復魔法や強化魔法をかけられたときは、RBボタンを押すだけでお礼を言うことができるのだ。バトル中は忙しくて、この簡単な操作でも返事がままらないことも多いが、自分が仲間を回復して「ありがとう!」的なお礼が返ってくると、ちょっとうれしくなる。
ただし、不満点もある。大きなものは、肝心のマッチングに時間がかかり、最悪マッチング自体ができないことだ。とくにクイックマッチはこの傾向が顕著。協力プレイモードのおもしろさもあり、筆者は協力プレイモードばっかり遊んでいるのだが、この状態は不具合のようで、現在パッチを制作中とのこと。もう少し待てば、より快適に遊べることになるだろう。
最後に、課金アイテムについても触れておこう。本作では“ハッピーチケット”というカードをマイクロソフトポイントで購入でき、このチケットを消費して課金アイテムを購入する。ハッピーチケットは8枚で80MSP、50枚で400MSP、170枚で1200MSPと、まとめ買いのほうがお得になっている値段設定だ。課金アイテムは、購入するまで中身がわからない装備のカードパック、単品で発売されている装備や装備セット、キャラクターの新たな顔や髪型などだ。とくにゲーム序盤は装備不足に悩まされ、さらにゲーム自体が非常におもしろいこともあってか、ふだんは課金アイテムは意地でも購入しない筆者でも「お布施的な意味もこめて、少しは買ってもいいかなー」と考えてしまうほどだ。カードパックの中身も気になるし……。
総合的に見て、無料とは思えない完成度を誇る本作。また課金アイテムを使わなくても十分に楽しめるため、Xbox LIVE ゴールド メンバーシップの人には、ぜひともお勧めしたい作品だ。じゃあ、戦場で待ってるよ!
■著者紹介 喫茶板東
ファミ通Xbox 360で海外ゲームマニアックス、実績解除愛好会などを担当していたフリーライター。どうせ無料ゲームでしょ、なんて最初は乗り気じゃなかったが、いまはその魅力のトリコ。とりあえず実績コンプまでは遊ぶ予定!
Happy Wars
メーカー | 日本マイクロソフト |
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対応機種 | X360Xbox 360 |
発売日 | 2012年10月12日(Xbox LIVE マーケットプレースにてダウンロード配信) |
価格 | 無料(要Xbox LIVE ゴールド メンバーシップ) |
ジャンル | マルチプレイアクション |
備考 | 開発:トイロジック |