そう錯覚させてくれるほどの“心”のこもったおもてなし

 2012年10月17日(水)、タイトーは東京・明治安田生命ビルにて、アミューズメント施設クルーの接客ナンバーワンを決める“第6回接客スタァ誕生!!”コンテストを開催した。本コンテストは、全国のタイトーアミューズメント施設クルーの接客技術向上を目指した接客コンテスト。直営店舗に加え、フランチャイズ店舗(一部を除く)を含めた全国130店舗(約2500人)のクルーから予選を勝ち抜いた26店舗の代表26人が決勝大会に出場。ふだんの業務で培ってきた接客術を競い合い、接客ナンバーワンをめざすというものだ。

 “接客スタァ!!”も開催6度目にあたり、従来の内容からいくつか審査や内容の変更が行われた。4名の社内審査員のほかに、今回から新たに加わったのが、“お客様審査員”という5名の審査員たち。彼らは、ふだんからアミューズメント施設を利用している本物のお客であり、これによってコンテスト内にリアルな“お客様目線”を取り入れようと言う試みだ。また、フランチャイズ店舗からも新たにクルーが参加&見学に訪れ、コンテストはますます広がりを見せていた。

 コンテストは、覆面調査、社内調査を含んだ事前調査と、今回開催された本審査のふたつによって構成。最終的にふたつの評価を総合させた点数によってナンバーワンが決まる仕組みだ。本審査では、本物のアミューズメント機器を設置し、お客様役を演じる人たちがリアルな演技でクルーたちの接客術を試していく。審査のポイントとなるのは、清潔感といった基本的なスキルとお客との良好な関係を作るスキル、そして一歩進んだ“心”のこもった“感動のおもてなし”ができるスキルの3つとなる。

▲選ばれたクルーたち
▲施設を再現

 アミューズメント施設の接客というと、ふだんゲームに熱中してじっくり観察する機会はあまりないのではないだろうか? かく言う記者も、ゲームセンターの思い出と言えば、クレーンゲームでぬいぐるみをとってはしゃいでいたら、どこから現れたのか満面の笑みを浮かべたクルーが袋を持ってきてくれた、というものぐらい。今回改めて、クルーの仕事をじっくりと観察する機会となった。

 見ていて驚いたのは、とにかく彼らの接客が“かゆいところに手がとどく接客”だということ。こちらから声をかける前に、異変を察知したクルーが先に声をかけてくれる。それも驚かせないよう、実に自然なトーンで聞いてくれるのだ。お客さんがクレーンゲームでグッズをとった際は、腰のポーチからすっと袋を取り出し、そんなところに仕込んでいたのか! と記者を驚かせたことも。そして、アクシデントにも実に適切に対応していた。レアなカードがなかなか出ないと怒るお客に対し、カードの種類とレアは出にくいということを柔らかな口調で説明。説得力のある内容に、「ま、それならしょうがないわね」という風にお客も納得がいったようだった。また、「機械こわしちゃった!」、「キミ、うちのレストランで働かない?」という変わり種にも動じない。機械が壊れた際は、機械よりもお客のケガと、“弁償しなきゃいけないのかな”という心のケアを最優先。引き抜きには「とても嬉しいのですが」と笑顔で対応しながらも、「この仕事にやりがいを感じておりますので」ときっぱりお断りしていたのが潔い。酔っぱらい客に対してほかのお客が嫌な顔をした際も、「ああいうお客は嫌よねえ」という誘導尋問(?)にも負けず、「大切なお客様です」と答えたスタッフの背中には間違いなく後光がさしていた。よく日本の接客は国内外から誉められることが多いが、今回のコンテストもその高さをいかんなく発揮していたように思う。こんな素晴らしいサービスをタダで受けられる我々は、きっと特別な存在なのだ……と思っても不思議はない? タイトーの、ひいては日本全体の接客術の高さを物語っていたコンテストとなったのは間違いない。合間の休憩でも、あちこちから「俺ならこうする」、「その場合は○○○するのが適切だと思う」という熱い議論も聞こえ、アミューズメント業界の熱意を垣間見ることができた。

 そんな“第6回接客スタァ!!”を見事制したのは、アミュプラザ鹿児島店の木佐貫さん。木佐貫さんは「自分ひとりでは成し遂げられなかった結果なので、とにかく感謝のひとことにつきます。今回の結果は、店舗のみんなにもすごく力を与えるニュースだと思うので、これからも力を合わせてがんばっていきたいと思います」と、喜びいっぱいにコメント。最後は、和田代表役取締社長がすべてのクルーに対して、「これだけ緊張する場でできるというのは、日頃から毎日やっていないと成し遂げられないことです。これからもいっしょにがんばりましょう」とメッセージを送り、コンテストを締めくくった。

▲アミュプラザ鹿児島店の木佐貫さん
▲和田代表役取締社長