背徳感すら覚える“選択”が、未来を紡ぐ
バンダイナムコゲームスより2012年11月1日発売予定の『テイルズ オブ エクシリア2』。前作にあたる『エクシリア』のエンディングから約1年後の世界が描かれる、“選択が未来を紡ぐRPG”だ。当記事では、ファミ通.comの特設サイト“テイルズ オブ エクシリア通”の一環として、本作に込められた並々ならぬこだわりを、開発スタッフに語ってもらうぞ。第2回は、シナリオを担当したバンダイナムコスタジオの山本尚基氏だ。

皆さん、こんにちは。
バンダイナムコスタジオの山本と申します。これまでに、『テイルズ オブ ハーツ』のメインシナリオや、前作『エクシリア』の世界設定、サブイベント、チャット(仲間どうしの雑談)などを担当し、本作『エクシリア2』ではメインシナリオを担当させていただきました。以下、ネタバレにならない範囲で、本作についてご紹介します。
前作『エクシリア』は、シリーズの生誕15周年を記念するタイトルだったということもあり、いつにも増して、本編前後の出来事や世界設定などを細かく考えてありました。作りかたを端的に言ってしまえば、リーゼ・マクシアとエレンピオス(物語の舞台になるふたつの世界)の詳細な歴史年表を作ったうえで、そこからゲーム内で描く範囲を決めて、物語を具体化する……という流れですね。メインシナリオではとくに描かれない設定も、サブイベントやチャットで垣間見えるようにして、物語に厚みを持たせたんです。
そういった世界設定のベースがあったので、本作の物語も比較的スムーズに具体化することができました。たとえば、シェル(リーゼ・マクシアとエレンピオスを長年分断していた“断界殻”。前作の物語において消滅する)が大昔に作られたとき、何らかの“事件”があったはずですよね。そんな前作以前の出来事も、本作に深く絡みます。
また、物語を作るにあたっては、システム面との整合性も考慮しました。前作にはなかったゲーム性を打ち出すべく、たとえば主人公が“変身”することが決まったら、そこからキャラクターの設定をさらに膨らませた面もありますから、物語とシステムは表裏一体です。主人公が“借金”を背負うシステムに関しても、返済を催促されるチャットを入れよう、催促してくるキャラクターは愛嬌があったほうがいいだろう、といった経緯から、主人公の幼なじみとしてノヴァが登場することになりました。
主人公のルドガーは、基本的に、プレイヤーの意思と関係なくセリフをしゃべることはありません。彼はプレイヤーの分身であり、プレイヤーは物語を進める中で、たびたび“選択”を求められます。選択の多くは、物語の大筋には影響しない日常的なものなので、好きなように選んでもらえれば、おのずとルドガーになりきっていただけると思いますよ。
しかし、ときには、何らかの犠牲をともなう重大な選択を迫られることがあります。選択をするという行為は、選択しなかったほうの可能性を捨てることでもあるんです。きっと、プレイヤーの皆さんが背徳感を覚えるほどに、つらい選択をしなければならないシーンもあるでしょう。本作は、“少女のために、世界を壊す覚悟はあるか?”というキャッチコピーを掲げていますが、選択肢に絶対的な正解はありませんので、どんなときも、みずからの思いをもって選択を重ねてほしいと思います。それが、“未来を紡ぐ”ということですから。
本作の物語は、細かい章立ての構成になっていて、ルドガーとヒロインのエルを中心とした物語は“メインチャプター”と呼ばれます。そして、章と章のあいだは自由に行動できる期間となり、このときに街へ入り、頭上に“!”のアイコンが表示されている仲間と話すことで、“キャラクターエピソード”を開始できます。
前作でも登場した、ジュードを始めとする仲間たちは、この1年間でさまざまな努力や葛藤を重ねてきました。そんな彼らを本作でどこまで絡ませるべきか、さじ加減が難しかったですが、そのあたりはあえてキャラクターエピソードで重点的に描き、それが後のメインチャプターにも影響していく、という構成にしています。彼らもまた、ルドガーたちとともに“分史世界”(本来あるべき姿から分岐した、可能性の世界)を訪れ、自分たちの可能性を目の当たりにします。彼らがどんな未来を見据えることになるのか、ぜひ注目してください。
ちなみに、キャラクターエピソードは、前作でメインシナリオを書いた木賀(大介氏)を始め、複数人で分担しました。そのため、かなりバラエティー豊かなものになっていますよ。
最後に、ヒロインのエルについて。
私が個人的に気に入っているシーンのひとつが、メインチャプターの中で、ルドガーとエルが約束を交わすところです。エルは8歳という幼さながら、とても健気にがんばる子なので、「応援したい」と思っていただけたらうれしいですね。また、彼女が大切にしている懐中時計にも、物語のひとつの象徴として意味を込めていますので、懐中時計に関するやり取りや、それが渡されたり奪われたりといった過程も、要注目ですよ。
本作をプレイする際は、選択の直前にセーブするよりも、ルドガーになりきって大小さまざまな選択を重ねながら、自分だけの『テイルズ オブ エクシリア2』を紡いでください。
また、“テイルズ オブ エクシリア通”では、本作の予約特典である短編小説の一部を先行公開しています。前作のエンディング後、ひとり暮らしを決意したレイアが直面する“ある事件”を通して、『エクシリア2』へとつながるエピソードを描きましたので、ぜひご一読ください。

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※画面は開発中のものです。