イメージエポックがPSPで放つ“最後のJRPG”

“神殺し”に挑め! 『ソールトリガー』プレイインプレッション_01

 JRPG(日本製らしいRPG)のメーカーを標榜するイメージエポックより、2012年10月4日に発売されたプレイステーション・ポータブル用ソフト『ソールトリガー』。シナリオに野島一成氏、キャラクターデザインに曽我部修司氏を起用し、イメージエポックが全力を注いだ本作のプレイインプレッションをお届けしよう。

物語とバトルのテンポがいい!

 奇跡を起こす力“ソール”を持ち、それゆえに権力者から虐げられてきた“光ノ民”の若き戦士、“ソールトリガー”たちが、自由を取り戻すべく戦う本作。物語は基本的にシリアスだが、幼なじみや年上のお姉さんといったヒロインとイチャイチャできるイベントが随所にあるなど、息抜きの要素も盛り込まれていて、肩肘張らずに楽しめる。また、物語は章立てで進行し、ひとつの任務やダンジョンごとに章が区切られる。そのため、1章あたりにかかる時間はそれほど長くなく、テンポよく物語が進むのだ。RPGをプレイしていると、なかなか止めどきを見つけられずにモヤモヤしてしまうことも多いのだが、本作の場合、区切りがわかりやすく設定されているので、いつもスッキリとプレイできる。

“神殺し”に挑め! 『ソールトリガー』プレイインプレッション_02
▲恐るべき権力者たる“神機教会”に抵抗する、ソールトリガーたちの戦い。
“神殺し”に挑め! 『ソールトリガー』プレイインプレッション_03
▲ヒロインとのデートイベントも。序盤から楽しめるので期待してほしい。

人間臭いキャラクターたちに感情移入

 ソールトリガーのメンバーたちは、じつに個性豊か。冷静沈着なキャラクターかと思いきや、じつはウジウジと考え込むようなタイプの主人公、ファレル。直情的でいいヤツなのだろうが、不満を口にすることも多いグスタフ。ファレルにひたすら尽くす幼なじみの少女、エマなど。これでもかと言うくらいキャラクターが“立って”いる。物語の序盤では、そんな彼らの個性を少し重たく感じてしまったが、物語が進み、彼らのさまざまな側面が見えてくると、不思議なことに、重かった部分もしだいにかわいく思えてくる。マイナス面を見せることで、プラス面を引き立たせるという効果を狙っているのかは不明だが、そのやりかたが非常に上手いのだ。物語が中盤に差し掛かるころには、登場人物たちにかなり感情移入してしまっていた。

“神殺し”に挑め! 『ソールトリガー』プレイインプレッション_04
▲ファレルを慕う、幼なじみで世話女房タイプのエマ(声:花澤香菜)。こんなに強く想われるファレルが羨ましい!
“神殺し”に挑め! 『ソールトリガー』プレイインプレッション_05
▲冷徹なお姉さんタイプのソフィ(声:小清水亜美)。小悪魔的なところもあり、ふだんとのギャップがたまらない。

難度は高めだが、とっつきやすいバトル

 バトルは、オーソドックスなコマンド選択式。各キャラクターがさまざまな武器を使い込んだり、特定の条件を満たすことで、数々の“スキル”が覚醒する。それらを駆使して戦うわけだが、そのほかの複雑な要素──たとえば多種多様な属性といったものは盛り込まれておらず、非常にわかりやすいシステムと言える。ただし、敵は序盤でも強めに設定されており、力押しだけでは難しいバランスだ。第1章のボスなどは、シリルをパーティーに入れて、つねに防御力を上げておかないと、かなりツラい。システム自体はオーソドックスながら、勝つための工夫はいろいろと考えられるので、誰もがバトルの緊張感なり醍醐味なりを堪能できるだろう。

“神殺し”に挑め! 『ソールトリガー』プレイインプレッション_06
▲スキルは、ソールの消費量を任意で調整することで、威力や効果が変わる。その配分も、バトルの行方を左右するのだ。

 本作の魅力は、物語とバトルのおもしろさを手軽に楽しめるところ。シリーズものではない、完全新作というところに“敷居の高さ”を感じている方も、本作をプレイしてみれば、まったく逆の印象を受けるはず。日本製らしいRPGの原点に立ち返って、丁寧に作られた『ソールトリガー』を、ぜひプレイしてみてほしい。

■著者紹介 ギャルソン屋城
 ゲームとスポーツをこよなく愛するフリーライター。週刊ファミ通編集部在籍時も、数多のRPGや野球ゲーム、サッカーゲームなどを仕事やプライベートで楽しんできた。


ソールトリガー
メーカー イメージエポック
対応機種 PSPPSP
発売日 2012年10月4日発売
価格 6279円[税込]
ジャンル RPG / ファンタジー
備考 PS Store ダウンロード版は5600円[税込]、キャラクターデザイン:曽我部修司(FiFS)、シナリオ:野島一成