「昨年の東京ゲームショウと比べて、出展内容の豪華さが違うのは実感します」
2012年9月20日~23日のあいだ、千葉県・幕張メッセにて、東京ゲームショウ 2012が開催された。多くの新聞報道で、「ソーシャルゲームが大きな存在感を放った」などと伝えられたが、その盛り上がりの中心にあったのは間違いなくグリー。昨年に続き2回目の出展を果たし、会期中は大きな存在感を放った。ファミ.comでは、そんなグリーのキーパーソン4組に、東京ゲームショウ期間中にインタビューをする機会があった。ここでは、その模様をお届けする。まずは、グリー 執行役員常務 メディア事業本部長 吉田大成氏。言わずとしれた、グリーのゲーム部門を指揮する方だ。
――今回、東京ゲームショウに出展するにあたってのポイントを教えてください。
吉田 グリーとしては、東京ゲームショウへの出展は、昨年についで2回目となります。昨年のテーマは“パラダイムシフト”だったのですが、今年は“ソーシャルゲームの進化”をテーマにしています。前回はフィーチャーフォンを交えての出展だったのですが、今回はすべてスマートフォンだけの展開となります。この1年のあいだにソーシャルゲーム業界も大きく変わってきたのですが、そのなかで、グリーブースでは、新たなソーシャルゲーム像というのをお伝えしたいと思っていました。
――スマートフォンに注力していることを改めてアピールした感じですか?
吉田 そうですね。スマートフォンは、GPUやCPUなど、家庭用ゲーム機に負けないスペックになってきているのですが、“ソーシャルゲームを拡大する”という目的のためには、スマートフォンが不可欠だと思っています。
――では、実際に出展してみての感触はいかがでしたか?
吉田 2回目ということもあり、「どうなるかな」と思っていたのですが、たくさんのお客様に来ていただけて安心しました。前回は「何か、グリーという会社が出展したよ」みたいな感じで、家庭用ゲームを見に来られたお客様が、ついでにグリーブースに足を運んでくださる、という雰囲気が強かったように思います。今回はかなり積極的に、ビジネスデーの朝早くから、多くのメディアの方やデベロッパーの方にグリーブースに来ていただいているのではないかと。そういう意味でも、最初からグリーを目当てに来ていただく方が多くなったのかなと思っていまして、少しずつ流れが変わってきているのかも……というのを痛感しているところです。
――個々のタイトルに対する反響はいかがですか?
吉田 やはり、「スマートフォンでここまでできるのか!」という声が多かったですね。たとえば、『MONPLA SMASH(モンプラスマッシュ)』や『Wacky』シリーズ、『War Corps(ウォー・コア)』など、家庭用ゲームとの差がなくなってきているということを実感していただける方も増えていて、かなり前回とは違う印象を持っていただけたのではないかと思っています。
――東京ゲームショウの会場で、とくに注目して欲しいファーストパーティータイトルは何になります?
吉田 そうですね……。強いて上げると3タイトルです。まずは、『MONPLA SMASH(モンプラスマッシュ)』。のグラフィックの強化ぶり。『MONPLA SMASH(モンプラスマッシュ)』は、もともとグリーが強みにしているカードバトル系のゲームなのですが、カードゲームの進化を見ていただければ……と思っています。つぎが、『Wacky Motors』と『Wacky Pilots』。スマートフォンだからこそ実現できる同時対戦、さらにカードゲーム系以外のゲームジャンルでのソーシャルゲームの可能性を実感してほしいです。もう1本が『War Corps(ウォー・コア)』ですね。こちらは、コアなゲームファンが楽しんでいただけるような1本です。もちろん、このほかにも、『メタルギア ソリッド ソーシャル・オプス』や『モンスターハンター Massive Hunting』、『アサシン クリード ユートピア』といった家庭用ゲームの一流IPのソーシャルゲーム作品などにも注目していただきたいです。「家庭用ゲームで人気のこんなタイトルが!」という驚きも、ソーシャルゲームの大きな変化なのではないかと思っています。
――そういう意味では、タイトルも相当バラエティー感がありますしね。
吉田 変わりましたね。いままでは、「ソーシャルゲームって(笑)」といった具合に、どうしても、“(笑)”付きで語られるイメージが強かったと思うのですが、今回は、「僕らの考える未来はそうではない」ということをお伝えできれば……ということを第一に考えていました。いままでソーシャルゲームというものを知らなかった方はもちろん、コアなゲームユーザーの方にも「ソーシャルゲームって意外とやるよね」と感じていただければいいなと。実際のところ、昨年と比べてみて、ブースを見たときの展示してあるゲームの豪華さが違うというか、色合いが綺麗になったというのは、僕自身感じるところです。
――今年は、E3にはじまり、China Joy、gamescom、そして東京ゲームショウと、大きなイベントに出展されましたが、手応えは?
吉田 海外のゲームイベントに出展したことは、グリーの知名度アップに大いに貢献できたと思っています。今回、東京ゲームショウには、海外からのメディアの方もたくさんお越しいただいたのですが、やはり海外イベントに出展することで、強い印象を持っていただけたのではないでしょうか。
――少し気の早い話ですが、来年もこんな感じで出展していきたいですか?
吉田 そうですね。現段階では何とも言えないのですが、僕らとしては、来年も出られるようにGREEのサービスをもっともっと大きくしていきたいです。今回発表した内容がお客様にうまく伝わっていて、さらにその先の未来を僕らがお伝えできるのであれば、きっと出られるのではないかと思っています。
――今年は、GREEの海外展開が本格化した年にあたるわけですが、現時点での手応えはいかがです?
吉田 当初僕らが想定したよりも、マーケティングだったり、ランキングに掲載されるタイトルだったりは成果が出せているのかなと思っています。もちろん、想定外の課題も見つかりましたけれど。とはいえ、グリーの強みは、そういった課題に対して、いかに早く解決策を見出して、問題点をクリアーにするかです。たとえば、プレイ時間の長さであったり、細かいデザインは海外市場でも運営しつつ、随時変えているので、手応えは相当掴んでいます。
――これから年末にかけて成果が見えてくる?
吉田 そうですね。いままで運営してきた既存タイトルも、改善することによってもっともっと順位が上がってくると思いますし、これからは最初から海外市場を意識した『War Corps(ウォー・コア)』のようなタイトルもたくさん出てきます。今後の海外展開には、さらに期待しています。
――では、最後に今後に向けての抱負をお願いします。
吉田 今回の東京ゲームショウでは、“ソーシャルゲームの進化”ということで、充実した内容のスマートフォン向けタイトルを出展しています。こうしたタイトルを通して、いままで言われてきたような「ソーシャルゲームって……」という保留付きのイメージが変わることを期待しています。さらに、バラエティーに富んだラインアップを揃えることで、カードバトルだけではない、ソーシャルゲームのより幅の広い可能性を提示していけたのではないかと自負しています。これにより、より多くのお客様がソーシャルゲームを使ってくださる契機になれば、うれしいです。
一方で実感しているのが、今後はさらにソーシャルゲームと家庭用ゲームの融合が進むということ。今回の出展を見ていただけばお分かりいただける通り、ソーシャルゲーム自体も、家庭用ゲームに負けないようなハイクオリティーの作品を用意できるようになっている一方で、家庭用ゲームにも、ネットワークにつながることでソーシャル要素が入ってきている。両者の敷居がなくなってきているんです。これは、どちらかの市場にどちらかが食われる……というようなことではなくて、それだけ壁がなくなっていって、新たな進化のタイミングだと思うんです。両方の環境がクロスすることで、もっと大きな産業になっていくでしょうし、非常におもしろい形でゲーム業界全体が動いていくのではないかと。グリーがそういった状況を引っ張っていけるようにがんばりたいです。今後にご期待ください。