開発の苦労話から今後の展開まで、聴きどころたっぷりのトークセッション
2012年9月29日、東京・五反田の東京デザインセンター ガレリアホールにて、スパイク・チュンソフトのプレイステーション・ポータブル用ソフト『スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園』(以下、『スーパーダンガンロンパ2』)のファン向けイベント“ダンガンロンパ 超高校級の“らーぶらーぶ”トークセッション ~ほわわっ、ネタバレもアリなんでちゅか!?~”が開催された。
事前に公式サイトで参加申し込みをし、見事抽選で当選した人が招待された本イベント。当選倍率はなんと15倍だったという。
会場には、『スーパーダンガンロンパ2』のプロデューサー寺澤善徳氏、アソシエイトプロデューサー齊藤祐一郎氏、シナリオ小高和剛氏、ディレクター菅原隆行氏が登場。ネタバレ上等のトークを行った。
さて、ここからは、実際にくり広げられたトークの内容を紹介する。『スーパーダンガンロンパ2』チャプター1から先の話については、ネタバレがないように配慮してはいるが、「ネタバレを見るのが怖い!」という人は、クリアーするまでこの先は読まないでおいてほしい。
■スーパーダンガンロンパ2 制作にあたって
1の反響、苦労した点、2で目指したもの
2010年11月25日に発売された第1作『ダンガンロンパ』。寺澤氏は、「これはいける」とは思っていたものの、発売前はあまり盛り上がっていなかったため、不安な気持ちが残っていたという。その後、この『ダンガンロンパ』が大きな反響を呼び、『スーパーダンガンロンパ2』の企画がスタート。「『ダンガンロンパ』の反響が大きかったので、自分たちの中でも、ユーザーの皆さんにとっても(2作目に求める)ハードルが上がってしまい、プレッシャーがあった」と菅原氏。小高氏は、“2”と言いながら、じつは“2”じゃなかった、というストーリーにすることも考えていたとか。
ちなみに『スーパーダンガンロンパ2』は、スケジュールで苦労したそうで、2012年4月末に行われたイベント“ニコニコ超会議”のときには、じつはゲームがぜんぜんできていなかったという(作曲家の高田雅史氏が「まだ曲を作っている」と言ったほど)。しかし、このイベントで発売日を発表してしまい、後に引けなくなった開発陣。チャプター4で出てくる、通常のゲーム進行とはちょっと異なるあの要素は、マスターアップ1週間前にできあがったぐらいのギリギリ進行だったそうだ。
■サイコポップな世界観
2.5D、残虐表現、紫色の血液、ポップな色使い
『ダンガンロンパ』シリーズの特徴のひとつである、“サイコポップ”と称される世界観。サイコポップというキーワードは当初から出ていたものの、スタッフも最初は何がサイコポップに当たるのか、到達点が見えていたわけではなく、手さぐりで作りながら、「あ、これ、サイコポップだね」と感覚を掴んで作っていったとのこと。小高氏は、「hideの「ever free」がサイコポップだ」と主張したが、なかなか人には伝わらなかったというエピソードを明かした。
■キャラクターについて
人気投票ランキング、声優さん・キャスティング
ここで、シークレットゲストとして、『ダンガンロンパ』苗木誠役、『スーパーダンガンロンパ2』狛枝凪斗役の声優、緒方恵美が登場! 会場は大きな歓声で包まれた。
緒方の登場後、スクリーンに表示されたのは、『スーパーダンガンロンパ2』人気投票の総合ランキング。1位の七海と、2位の狛枝は、ほかのキャラクターに大きな差をつけていた。小高氏は、「七海と狛枝は前作にはいないベクトルのキャラクターなので、人気というのはうれしい」とコメントした。
逆に人気がなかったのは、花村、終里、弐大の3人。男性回答のみのランキング、女性回答のみのランキングでも、この3人がワースト3を独占していた。下ネタの多いキャラクターが人気がないということだろうか?
ちなみに、花村を演じた福山潤は、収録現場に行って初めて花村のイラストを見たそうで、事前に台本を読んで作っていた演技を、根底から作り直したそうだ。
緒方は、狛枝の収録1回目の後は「吐きそうだった」と当時を振り返る。人間には“ひとりの人間として成立する振り幅”があり、「それを超えると成立しなくなる」と語る緒方。最初に狛枝の方向性を決めたものの、チャプター1の学級裁判のシーンで、その振り幅を超える方向性を求められたため、まるまる頭から演じ直したそうだ。そして、収録が終わった後、自分の身体の中に残る狛枝の感覚が強すぎて、気持ち悪かったのだと語った。
■お気に入りのチャプターは?
続いては、それぞれのお気に入りのチャプターの関する話題。小高氏、菅原氏、齊藤氏のお気に入りチャプターについては、ネタバレになってしまうので、残念ながら割愛する。寺澤氏はプロローグがお気に入り。発売までウサミの存在を隠していたため、このプロローグを見たユーザーの中でウサミが話題になるかと思いきや、「まったく話題にならなかった(笑)」と語った。偽オープニングについてもユーザーの反応を期待していたが、その後の展開への反響が大きすぎて、偽オープニングに関する声はあまり届かなかったとか。
緒方は、チャプターというよりも、学級裁判でのアクションが印象に残っているという。アクションが苦手で、反論ショーダウンがなかなかクリアーできなかったことや、ロジカルダイブで落ちまくったことが思い出深いとのこと。
■もしも『ダンガン3』があるなら?
ファンがもっとも気になっているであろうこの話題。菅原氏は、「『スーパーダンガンロンパ2』でやりきったということもあり、いまはあまり考えていませんが……たとえば、これまでは“ハイスピード推理アクション”でしたけど、つぎは“ハイスピード推理ダンジョンとかでもいいかもしれない(笑)」とコメント(菅原氏は「昔からダンジョンRPGを作りたい」と言っているらしい)。小高氏は、「たぶんガラっと変わると思う。希望ヶ峰学園のお話ではなくなると思います。希望ヶ峰学園について書きたいことはあるので、小説などであれば書けますが、ゲームはどうかな……」と気になる発言。齊藤氏は、「3を作るのであれば、“ハイスピード推理アクション”のベクトルの中で、もうひとつ突き抜けたものがやりたい」と語った。
寺澤氏は、「「ダンガンロンパとは何か」というのは、開発スタッフの中でも違う。“ハイスピード推理アクション”と考える人もいれば、“小高のストーリー”と考える人もいるし、“モノクマ”と考える人もいる。そこをどう見極めて、どう肉付けするか、ですね。つまり、何も決まってないということです(笑)」と、今後の方向性については決めかねている模様。「いまは、ユーザーの皆さんの反応を見ながら考えていきたい」と述べた。とはいえ、小高氏が「もうちょっと展開がありそうですよね!」と言うほどなので、何かしらの新展開は期待できるのではないだろうか。
なお、緒方を始め、シリーズに出演したキャスト陣は、演じたのは学級裁判の緊迫感のあるシーンばかりだったので、逆に「ふつうの学園生活を演じてみたい」と話しているそう。続編があるとしたら、どんなシーンが演じられるのかも気になるところだ。
■質問コーナー
ここからは、事前にユーザーから寄せられた質問に答えるコーナー。
――なんでもアリのように見えるダンガンロンパですが、「これだけはやらない」と決めていることはありますか?
菅原 妥協をしない、バグを出さない。出ましたけど……。
小高 一線は超えない。罪木がチャプター1ですごいポーズになってしまうシーンがありますが、本当はそこで、貝みたいなのがあって串が刺さってる絵だったんですけど、やめました(笑)。それから、メインストーリーとは関係ない部分で、“終里がちょっといかがわしいお店で働いてる”という設定が出てくる予定だったのですが、それもちょっと一線を越えているということでやめました(笑)。
――あのすばらしいトリックの数々はどうやって考えられたのですか?
小高 やりたいことを箇条書きで書いて、その中でとくに気に入っているものをメインにして、つなげていきます。苦しみながらもがんばって考えています。僕は巧舟さん(※カプコンのクリエイター。『逆転裁判』シリーズや『ゴースト トリック』に携わる)を尊敬しています!
――狛枝くんはどのようにして作られたキャラクターなのでしょうか
小高 名前はアナグラムじゃないんです。“ダ”が入るので! たまたま。苗木と狛枝の声は、どちらも緒方さんが演じていらっしゃいますが、ゲームの世界の人たちにとっては、それぞれ違う声ですから。プレイヤーの人たちが、そういう想像をするだろうな、という引っかけです。キャラクターとしては、“悪意がある探偵”を入れてみたくて作りました。頭は切れるんだけど、その頭を事件を解決するために使うわけではない。
――『スーパーダンガンロンパ2』の終盤では、ボロボロ泣いてしまったのですが、開発された皆様、とくに小高さんは、どのように考えて開発されていたのでしょうか。
小高 プロットの段階ではけっこう計算していて、「このあたりで、このキャラクターを死亡させよう」と考えているんですが、シナリオを書き始めるとキャラクターの心情に入り込むので、「なんでこんなひどいことに……」と思ってしまいます。シナリオを書いているうちに考えが変わって、プロットとは違う筋書きにしたこともあります。
――小松崎類先生(キャラクターデザイン担当)は、やはり太ももフェチなのでしょうか。
小高 そういう話はしたことないですけど、『ダンガンロンパ/ゼロ』(小説)の絵を描いてるときに、いやに太ももが出てきたので……。
寺澤 では、フェチということでこの場を締めさせていただきます。
■購買部からのお知らせ
トークの後は、『ダンガンロンパ』のグッズやイベントの情報をお届けする“希望ヶ峰学園購買部”のお知らせコーナー。まずは、企画中の新グッズの数々が披露された。評判がよければ商品化されるかも!?
続いて、『スーパーダンガンロンパ2』コミカライズ作品が4誌で展開されることが発表に。ファミ通コミッククリア、月刊コミックブレイド、WEBコミックBeat’s、コミックブレイドオンラインをチェックしよう。
作家:黒軌キュー
連載誌:ファミ通コミッククリア
配信開始予定日:11月
作家:鈴羅木かりん
連載誌:月刊コミックブレイド
連載開始予定日:10月30日発売号
作家:須賀今日介
連載誌:WEBコミックBeat’s
配信開始予定日:11月10日
作家:要龍
連載誌:コミックブレイドオンライン
配信開始予定日:10月30日
つぎの発表は、“カラオケの鉄人”とのコラボレーション。コラボレーションルーム“ダンガンルーム”や、コラボレーションメニューが登場。『ダンガンロンパ』、『スーパーダンガンロンパ2』のテーマソングも歌える。
グッドスマイルカンパニーから、『ダンガンロンパ』シリーズのフィギュアが発売されることが決定! どのフィギュアブランドでの発売なのか、どのキャラクターのフィギュアなのかは、「続報を待て」とのこと。スクリーンに映し出されている後姿は、おなじみのアイツのようだが……?
貴重なエピソードや、新情報が多数発表された今回のイベント。これからも『ダンガンロンパ』シリーズについてはさまざまな企画が行われるようなので、ファンは引き続き楽しみにしていよう。
また、2012年10月31日に、エンターブレインより「スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園 超高校級の公式設定資料集」が発売予定。エンターブレインのオンラインショッピングサイトebtenでは、A2タペストリーとポストカード2種セットが付いてくる“スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園 超高校級の公式設定資料集 ebtenDXパック”が販売されるので、こちらもチェックしてほしい。
予約ページは→こちら