『炎の転校生』、『逆境ナイン』の島本和彦氏がイベント上で関羽を描く
2012年9月20日から23日まで、千葉県・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2012。一般公開初日となる9月22日に、gloopsブースにて、マンガ家島本和彦氏をゲストに招いてのイベント、“島本和彦×大戦乱!!三国志バトル 炎のライブアート”が開催された。こちらは、イベント中の20分あまりで島本氏が『三国志』をモチーフにしたイラストを描き上げてしまうという、なかなかに前代未聞のイベント。ちなみに、知らない人はいないと思うが念のために説明しておくと、島本氏は、『炎の転校生』や『アオイホノオ』などでおなじみの、熱血マンガ家だ。
イベントは島本氏がさっそうと登場してスタート。ちなみに、島本氏は東京ゲームショウに参加するのは初めてとのことで、「これだけたくさん人がいるのに驚きました」と来場者の多さに圧倒された模様。今回のイベントに際しては、会場で『大戦乱!!三国志バトル』を実際に体験したとのことで、ゲームの感想を問われると、「コンパニオンのお姉さんが気になってしまって……」と笑いを誘うコメント。実際のところ、gloopsブースのコンパニオンは相当露出度が高い。とはいえ、サービストークのあとで、「チーム一丸となって戦うところが楽しいですね」と、しっかりとゲームの魅力をアピールしていた。
さて、今回島本氏が挑戦するのはご存じの関羽。義に厚い、『三国志』の中でもひときわ人気の高い武将だ。島本氏が鉛筆を手に取るや、アートライブパフォーマンスは静かにスタート。島本氏は線画をさらさらと描き進めていった。そのタッチはけっこうラフに見えるが、「しっかりと書いてしまうと、ペンを入れるときに下絵に制約されて、迫力がなくなってしまうんです。それで、わざとラフに描いています」と島本氏。島本氏の迫力あるタッチの秘密の一端がうかがえる執筆手法だ。
描き進めるうちに、徐々に集中力が高まっていく様子の島本氏。集中するあまり、司会者の質問にあまり反応を見せないときもちらほら……。「静かなイベントでごめんなさい」とコメントするひとコマも。静けさ漂う現場で黙々と作業は続いていく。島本氏は、予想以上のペースで線画を完成させると、筆と墨汁で"ペン入れ”を始めた。さきほど引いた線画のうえをなぞりつつも、さらにダイナミックかつ大胆に一筆を入れていくさまは、まさに“一筆入魂”。武器を描き終わると、続いて顔を描いていく。その際、島本氏は大胆に筆を入れるために叫び始める。「集中力を高めるために気合を入れる必要がある」(島本氏)とのことで、さながら島本氏が描くキャラクターそのもの! 繊細かつ大胆なペン入れを続けていく島本氏を、来場者はまんじりともせずに見守っていた。
最後に墨でベタ塗り。墨の薄さを調整して、あるところは濃く、あるところは薄くと、濃淡をつけていく島本氏。微調整に微調整を重ねて濃淡をつけていくうちに、絵の完成度はみるみるうちに高まっていくのはお見事というほかない。最後に、関羽のポイントとなるヒゲを真っ黒に塗って、イラストは完成。まっこと迫力のある関羽ができあがった。島本氏いわく、劉備玄徳や張飛と義兄弟の契を結んだ“桃園の誓い”直後の貧乏な関羽を描いたとのこと。イラストの注目ポイントは、ひげと目で、とくに目のほうは「善悪の基準を失っておらず、怒りの中にも信頼できる目指しました」とのことだ。ちなみに島本氏は、今回のイベントのために、(おそらく)吉川英治版や北方謙三版、横山光輝版などの『三国志』を読み込んで関羽像を固めたとのことで、恐るべきプロ根性!というほかない。
ちなみに、島本和彦氏のイベントは2部構成になっており、午後に行われた2部のイベントでは張飛が描かれた。こちらは、j関羽と対比的に、「仲間からも危険だと思われるような、いっちゃった目がポイント」とのことだ。
なお、今回ステージ上で島本氏により描かれた関羽と張飛をモチーフにしたカードが、10月以降、『大戦乱!!三国志バトル』に登場するとのこと。ファンの方はお楽しみに!