怒首領蜂シリーズ最新作最大戦速

 『怒首領蜂最大往生』は、アーケード版自体が波乱の末に実現したタイトル。Xbox 360版が決まるまでにも多くの紆余曲折があったようだ。そのあたりを開発のキーマンおふたりに直撃!

『怒首領蜂最大往生』移植決定記念緊急インタビュー(前編)【よりぬきファミ通Xbox 360 10月号】_02
『怒首領蜂最大往生』移植決定記念緊急インタビュー(前編)【よりぬきファミ通Xbox 360 10月号】_03
アーケード版開発統括
池田恒基
Xbox 360版プロデューサー
浅田 誠

アーケード版も綱渡り!? 発売決定までの経緯

――アーケード版のリリース時期から考えると早い発表ですね。まずは発売が決まるまでの経緯から教えてください。
浅田 じつは最初からXbox 360に絞っていたわけではないのですが、アーケード版を制作中から一応は移植も視野に入れていました。でも会社の事情で、アーケード版そのものも含めて、やるかやめるかという押し問答がありましたね。
池田 「アーケードやコンシューマーのビジネスが無理」とまでは言いませんが、いまはモバイル系のほうが市場的には大きいしトレンドになっています。その意味ではずいぶん変わってきていますね。
浅田 私自身はやっぱりXbox 360に愛着があるので優先したい気持ちもありますが、市場としてはスマートフォンを無視できない。ちょうどその時期にぶつかったタイトルです。一時期はアーケード版の制作より、それまでアーケードと家庭用で溜めたノウハウをスマートフォンに生かすべき、という判断がありました。事実、1 ヵ月くらいのあいだですが、アーケード版は1回凍結しています。
池田 完全に中止というわけではなく、判断を仰いでいる段階だったので、制作そのものは続行していましたけど(笑)。
浅田 会社的にやるかやらないかの判断をしている中で、開発ルームをよーく観察すると、「『最大往生』やってるな」とわかる(笑)。その後、そこは何とか切り抜けたんですが、家庭用の制作は一旦見送られました。ですが、幸いアーケード版を評価していただけたこともあり、家庭用で出せる運びとなりました。それが5月くらいで、最終的に8月頭にXbox 360に決まりました。

――『虫姫さま』でパッケージは最後になるかもしれないというお話もありましたので、ファンにとっては思わぬサプライズになったと思います。
浅田 じつはいろいろな模索がありました。ほかのプラットフォームさんともお話はさせてもらっていて、ほかのプラットフォームのみで、と考えていた時期もあったんですよ。でも、ウチのユーザーさんはXbox 360に集まっているし、このタイミングでハードごと買わせるのも申し訳ない。手慣れたハードで作り込むのがいちばんいいものができるだろうと、Xbox 360になったんです。公言していた通り、本当にどうなるかわからない状況でした。

『怒首領蜂最大往生』移植決定記念緊急インタビュー(前編)【よりぬきファミ通Xbox 360 10月号】_01

大往生の2012年版として、遊びやすさと手ごたえを重視

――アーケード版ではポスターやタイトル画面に「完」の文字があります。これにはどのような意味があるのですか?
浅田 最初はなかったです。これはウチの高野(ケイブ取締役会長の高野健一氏)と池田の判断で、付けることになったんです。
池田 これについては、あえて何も言わないほうがいいかなと思います。ご想像におまかせします。

――やはり、完結の"完"なのかなと邪推してしまいますが?
池田 完成、完全の完かもしれない(笑)。
浅田 まあ、べつに終わりとはひと言も言ってないですからね。大往生して大復活したので、最大復活だってあるかもしれません。でも、自分の知らないあいだに付いていたので、「なにこれ?」って思わず言っちゃいました。でも「そのダサさがいい」みたいに返された覚えがあります(笑)。
池田 べつにそこまでダサくはないと思うけど……(笑)。

――『怒首領蜂』シリーズの中で、今作はどのような位置づけになりますか。
池田 原則的には『大往生』のシステムを踏襲していますが、ヒット数が稼ぎやすくなったり、コンボがつなぎやすくなったり、弾消しでリチャージできたりなど、さまざまなフィーチャーを追加しています。『大往生』を拡張しつつ、より遊びやすく、より派手にしたという感じですね。前作の『大往生』自体が若干辛めの調整になっていたので、その流れを受けて『最大往生』も難易度は高めになっています。近年はXbox 360版のアレンジもそうですけど、ライト向けに弾を消していくシステムが多かったのですが、そもそも『大往生』は、"シンプルでガチなシューティング"がコンセプトです。アーケード市場がきびしいいまの状況下で出すにあたり、少しでも長く遊んでもらおうと思うなら若干歯応えのあるほうがいいのでは?という思いもあって、それらの相乗効果で結果的に難しくなったとも思います。
浅田 これでもロケテスト版に比べると、だいぶマイルドにはなっていますけどね。

――たしかに『大復活』のように敵弾を破壊できないので、真っ向勝負感は強いですね。
浅田 最終的にはやりごたえのある、いい難易度に収まったんじゃないですかね。
池田 目指したところに近いものにはなったと思います。難易度の調整は、いままではだいたい私のほうでやっていましたが、今回は小泉(ゲーム開発部・プログラマーの小泉大輔氏)という人間に任せています。彼が2012年版の『大往生』として考えたのが今の仕様でありバランスです。前作よりもハイパーは貯まりやすくて使いやすくし、いままで隠れていたパラメーターも前面に出して、プレイヤーに明示していきたい。そうした彼の思いが反映されています。調整も小泉のほうでがっつりやっていたので、いいバランスになったと思います。

――池田さんはどのような立ち位置だったのでしょうか。
池田 当初は企画部分を担当していましたが、最終的なシステムの落としどころは、先ほども言ったように小泉が決めています。一応プロジェクト自体も私がメインに見て、プログラムもやってはいましたが、実質的にゲームの中身というか味付けを担当したのは小泉ですね。

――本作では2周目がなくなっていますが、これはなぜでしょうか。
池田 そもそも2周目って話題にはよく上るんですが、実際には誰にも望まれてなかったという実態があって(笑)。それが『大復活』でよくわかりましたので、『大復活ブラックレーベル』からなくして、今回も実装しないことにしました。ただ、2周目の難易度で遊びたいユーザーさんもいますし、そういった高難度自体が若干ネタ化しているところもありますので、エキスパート強化を選ぶと2周目相当のゲームが最初から遊べるようにしています。

―― さて話題は変わりますが、『INSTANTBRAIN』の"アンドロイド・シー"のネーミングは、『怒首領蜂』のTYPE-Cが元ネタとうかがっています。今回のTYPE-Cのエレメントドールとアンドロイド・シーの声優さんが、同じく能登麻美子さんですが、これは意図的なものですか?
浅田 すみません、じつはただの偶然です(笑)。『最大往生』も収録はずいぶん前に終わりましたし、僕も知らなくて誰かに言われて「そうなんだーっ!」て逆に驚いたくらいでしたから。

※インタビュー後編につづく

(C) 2012 CAVE Interactive CO.,LTD.

ファミ通Xbox 360 10月号

●表紙『DEAD OR ALIVE 5
9月27日発売予定の『DEAD OR ALIVE 5』が表紙のファミ通Xbox 360 10月号、
記事ではプロデューサーの早矢仕洋介さんとディレクターの新堀洋平さんに
たっぷりとお話を聞いてきた!
ゲームシステムのことはもちろん、新たな登場キャラクターについても!?

●特別付録:Halo 4 ブリーフィングブック
11月8日発売予定の『Halo 4』を徹底分析した特別付録冊子!
これまで判明しているゲーム情報はもちろん、
Halo』シリーズすべてを網羅したストーリー&用語解説で
『Halo 4』発売までの予習復習はバッチリ!

●特集:いまさら聞けないXbox 360のギモン 36
「Xbox 360本体はどれを買えばいいの?」
「Xbox 360はゲームのほかには何ができるの?」
「オンラインサービスのXbox LIVEって?」
「実績とは? 解除するといいことあるの?」
……などなど、Xbox 360に関する36個のギモンに答える特集!
Xbox 360の魅力をすべて知ってもらうためにも、
いま一度おさらいの意味も込めてチェック!

●特別企画:My 360 My Life スペシャル! みんなのベストワン
思い入れたっぷりに特定のゲームについて熱く深く語ってもらう連載コーナー。
今回はその特別拡張スペシャルとして、
クロスレビューメンバーの面々から編集部員に、
「これが私のベストワン!」なる1本についてたっぷり語ってもらったぞ!

●新作&攻略ゲーム
怒首領蜂 最大往生
ダークサイダース2
真・北斗無双
Port Royale 3 -ポートロイヤル3-
バイオハザード 6
デッドオアアライブ5
ラブ★トレ
コール オブ デューティ ブラックオプスII
アサシン クリード III
ヒットマンアブソリューション
キングダムズ オブ アマラー:レコニング
マックス・ペイン3
鉄拳TAGトーナメント2
鉄拳タッグトーナメント2
マジてん ~マジで天使を作ってみた~
スリーピングドッグス 香港秘密警察
ウイッチャー2
ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ
ほか

●連載
Valhalla FREAKS [板垣伴信]
Highスペックマシン;Lowスペックマン [志倉千代丸]
海外ゲームマニアックス
実績解除愛好会
ほか