アニメフェスティバル会場内に『武装中学生』特設ブースが
2012年9月22日と23日の2日間、スペインの首都マドリッドにて開催されるイベント“ジャパンウィークエンドマドリッド”に、『武装中学生』が招待作品として登場する。
過去5回開催されている、“ジャパンウィークエンドマドリッド”は、遠く離れたスペインの地で、アニメやマンガを中心とした日本の文化・コンテンツを紹介するイベント。当日はマドリッドを中心に、周辺の都市、国から、多くの日本のアニメ・マンガファンが集う。
イベントに招待作品として紹介される『武装中学生』は、イベント内のアニメフェスティバルにて、専用ブースを設けられるとのこと。同ブースでは、これまで公開された『武装中学生』ショートアニメが上映されるほか、各種イラストや商品のディスプレイ、さらに、東都防衛学院の制服コスプレに身を包んだコンパニオンがブースを案内してくれる。
今回、“ジャパンウィークエンド”の企画・運営を担当するAssociation Cultural Nipponのラモン氏に、イベントについてや、『武装中学生』に関すること、そして現在のスペインについて話を聞いた。
――「ジャパンウィークエンドマドリッド」の目的
ラモン もともと私が所属している「Association Cultural Nippon」という団体は、日本のアニメやマンガといったコンテンツのプロモーションを行なっていました。「ジャパンウィークエンドマドリッド」は、よく多くの人々に日本の素晴らしいコンテンツを知ってもらうために企画しました。今回でイベントも6回目を数えますが、回を追うごとに参加者は増え、スペインでも最大級のイベントと言えるでしょう。
――『武装中学生』の招待理由
ラモン 日本には本当に魅力的なコンテンツが多くあり、日本でも人気の作品は、もちろんスペインでも人気があります。今回、『武装中学生』を招待させていただいた背景には、作品そのものはもちろん、プロジェクトが非常に先鋭的・実験的であると感じたからです。スペインでこの作品を知る人はいませんが、来場する人々にそういったまだ見ぬ作品を紹介し、驚きを与えるのも、私たちのやるべき事であり、楽しみでもあります。
――『武装中学生』の魅力
ラモン イラストやキャラクターたちは、日本でも、スペインでも人気のある作品に比べると地味です。でも、なぜそういうテイストなのかは、公開されているショートアニメや、ノベルを読んで、よく理解できました。『武装中学生』はヒロイックな物語ではなく、普通の少年少女たちが、社会や世間、体制に抗うために戦う物語なのだと。
――スペインのファンにもその魅力は伝わるか?
ラモン 『武装中学生』から私が感じ取ったのは、若者たちの不安と不満です。物語の舞台は日本ですが、スペインとて例外ではありません。1975年に終わりを告げたフランコ独裁政権。その後、スペインは良い方向に発展してきましたが、今再び、この国は未曽有の経済危機の最中にあります。理由は明白で、すべては政治家や権力者による汚職によるものです。しかも、経済危機を招いた彼らは、いまだ金と権利にしがみつき、贅沢な暮らしをしています。このような状況に、若者たちは憤りを感じているのは間違いなく、新しい政治家、新しい法律、そして変化を望んでいます。ですから、若者たちが抱える不安や不満、変化を望む心というのは、国籍や人種は違えど共有できるものだと考えています。とはいえ、ここまで直接的に社会や政治を風刺しながら、若者たちの不安や不満を描いたアニメやマンガは、珍しいですよね。
――もし、スペインの若者たちが銃を手に取る機会ができたら?
ラモン 暴力による統制、暴力による反抗は間違っている――それは、私たちスペイン人は身を持って知っています。祖父母から聞かされたスペイン内戦の話。また、近年起きたテロ組織による襲撃は、現在でも解決しておらず、今も私や家族、友人たちは、いつ起こるかわからないテロに怯えています。たしかに、汚職にまみれた政治家たちには怒りを覚えますが、それでもスペイン国民は平和を望みます。ちなみに、『武装中学生』の物語を書く野島一成さんのインタビューで、「少年少女たちが銃を手に取るという日本にとって最悪の未来を描いた」とおっしゃってましたが、私もまったくそのとおりだと思います。
――今後について
ラモン 『武装中学生』のプロジェクトが続く限り、来年も、その次の年も応援・サポートをしていき、スペインでも成功させたいですね。日本のみなさんにも、機会があればぜひイベントに来ていただき、会場の熱気を味わってほしいです。
【武装中学生 バスケットアーミーとは】
あらかじめ用意された世界を舞台に、プロ・アマ問わず、様々な作り手が、様々なかたちで、様々な物語を創る機会を設けるXXolution project:(エグゾリューション プロジェクト)の第一弾作品が『武装中学生(バスケットアーミー)』です。『ファイナルファンタジー』シリーズなどで知られる野島一成氏が手掛ける小説を中心にショートアニメ、コミック、オーディオドラマのほか、小説・コミックの投稿サイト、E★エブリスタにてコンテストを展開中。
-武装中学生 ストーリーイントロダクション-
2026年8月、富士演習場――
名取トウコが所属する
私立東都防衛学院中等部三年二組は、
担当教官である神谷指導のもと、
夏季総合演習の最中にあった。
その過酷な訓練も、いよいよ最終日。
トウコたちを労う神谷は、
「最新兵器研究」と題した“課外授業”を提案する。
そして……事件は起こる。
何者かによる突然の襲撃。
響き渡る銃声、怒号、断末魔、
血の海に崩れ落ちる――。
前代未聞の事件をきっかけに
世間から「武装中学生」と揶揄される
15歳の少年少女たち。
そんな少年少女たちの未来を奪い去ろうと、
襲撃者たちの影が忍び寄る……。