未来(これから)の『FF』をユーモアたっぷりに語る

 スクウェア・エニックスは、『ファイナルファンタジー』(以下『FF』)シリーズ生誕25周年を記念して、9月1日と2日の二日間、都内渋谷ヒカリエのホールで“FINAL FANTASY展”を開催中。最終日となる2012年9月2日のステージイベントでは、スクウェア・エニックスのWebラジオ“スクエニChan!”の公開収録ステージが実施。ここでは、その模様をお届けしよう。ちなみに、今回の収録の模様は、スペシャルコンテンツを加えて、2013年9月13日(木)に配信予定。以下はネタバレを含むので、配信を楽しみにしている人はご注意を。

 まず、スクエニChan!と言えばこのおふたり、 安元洋貴さんとKENNさんがMCとして登壇(もちろん、アシスタントの西明日香ちゃんも!)。

これからの『FF』とは!? 新作……ではなく妄想が飛び出した“スクエニChan!”の公開収録ステージ【FF展リポート】_01
これからの『FF』とは!? 新作……ではなく妄想が飛び出した“スクエニChan!”の公開収録ステージ【FF展リポート】_02
これからの『FF』とは!? 新作……ではなく妄想が飛び出した“スクエニChan!”の公開収録ステージ【FF展リポート】_03
▲安元洋貴さん(右)とKENNさん(左)。
▲イベント用に衣装(つなぎ)が制作されたという。
▲左がアシスタントの西明日香ちゃん。

 今回は、“未来(これから)のFINAL FANTASY座談会”というテーマで、ゲストとして『クライシス コア -FFVII-』や『FF零式』などのディレクター田畑端氏、『FFVII』や『FFVIII』、『FFX』などのアートディレクションを担当した直良有祐氏、新世代ゲームエンジンLuminous Studioの開発責任者であり、『FFXIV』技術ディレクターなどを担当する橋本善久氏、『ディシディア FF』ではプランニングディレクター、『ディシディア デュオデシム FF』ではディレクターを務めた高橋光則氏の4人が参加。各人が考える『FF』のこれからについて語られた。

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田畑端氏
直良有祐氏
橋本善久氏
高橋光則氏

 ステージでは、今後の『FF』について、さっそくリスナーからの提案メールが取り上げられた。

――『ファイナルファンタジーモンスターズ』というのはどうか。

 『FF』の代表的なモンスターといえば……おもなところは下のモンスターたちだろうか。モンスターについてのコメントを求めらた直良氏は、「20年前、グラフィックのすごいところで腕試しをしたいと思ってスクウェア・エニックスに入ったんですけど、この(下写真)モンスターのグラフィック(スーパーファミコン時代のもの)を見て、エライところに来てしまったなと思った記憶だがあります」とコメント。

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▲『FF』シリーズの代表的なモンスター。グラフィックはスーパーファコン時代のドット絵。それが時代を経ると……。

 入社当時の直良氏を驚かせたモンスターのグラフィックだが、時が経ち、現在の技術では下の写真ようなグラフィックに進化。もはや実写と見紛うばかり。しかもこのレベルのモンスターがリアルタイムで動く! 技術の進歩って本当にスゴイ……。25年の歳月の重みを改めて感じてしまう。

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▲次世代『FF』モンスター。「Luminous Studioのリアルタイム映像『AGNI'S PHILOSOPHY』用に作ったモンスターたちです」(橋本)。う~ん、どう見ても本物。完全にリアル。次世代の『FF』はこのグラフィックがあたり前に!?

 『FF』のモンスターを使ったゲームについてアイデアを聞かれた高橋氏は「『FFVII』のスピンオフ作品を作ってみたいですね(会場から「おお!」の声)。もちろん、主人公はクラウド……と言いたいところですけど、主人公は少年時代のバレットで……。球体のマテリアを使って、モンスターを捕まえて……」と某ゲームを連想させる悪ノリ発言が飛び出したところで安元さんからストップが。

 ここで予め断っておくと、今回の座談会のほとんどがこんなノリで、語られる企画やアイデアのほとんどは妄想やシャレ、といった内容。その点に注意してお読みいただきたい。

――和風の『FF』も見てみたい

 『FF』の開発初期段階、アーティストチームは何かテーマを決めてテストをすることがあるという。田畑氏はiPadを取り出して、画像をスクリーンに表示させると、花鳥風月や金屏風、蒔絵などをモチーフにした、和風『FF』のイメージイラストが!(残念ながら、このパートは撮影禁止)。これらのイメージボードは、アーティスト側から何度か和風の『FF』をやってみたい、という声が出ていて、その話の流れで描き起こされたものであるという。描き手は、直良氏や上国料勇氏(『FFXIII』など)など、スクウェア・エニックスの錚々たるアーティストの名前も。あくまで、和風テイストで『FF』を作るなら……というテストとして描かれたものだが、田畑氏は「具体的なプランが固まれば、いつかやってみたいですね。妖怪テイストを持ち込んだ『FF』とか(笑)」と、どこまで本気かわからないが意欲的なコメント。

――『FF』の乙女ゲーが出たら遊んでみたい

 『FF』の乙女ゲー! このムチャ振りとも言える要望に、田畑氏がこの日のために用意した企画書(“ネタ”と置き換えてお読みくいただいてもけっこうです)を公開。そこには『トキメキ★ファイナルファンタジー 魔導院ペリシティリウム朱雀~私の恋にクリスタルの加護あれっ★~』のロゴ。「通称、『トキまど』です」(田畑)。それだけにとどまらず、キャラクターイラストやキャラ設定、ATBを使ったゲームプランなど、もっともらしい企画をつぎつぎと披露し、その内容に会場から何度も笑いが。最後に田畑氏は「ゲームエンジンはぜひLuminous Studioを使ってやってみたい」とラブコールすると、橋本氏も「Luminous Studioは『トキまど』のためにある」と最高の笑顔で応じた。これが本当だったら、いろんな意味でスゴイぜ……スクウェア・エニックス。

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▲シャレとは思えない企画書のボリュームとクオリティー。
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▲こういうことですからね。念のため。

 『トキまど』の笑撃……衝撃に続いては、前日『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』を発表したばかりの同作のディレクター鳥山求氏とアートディレクター上国料勇氏も参加して、アンケートコーナーが実施された。

――シリーズで心に残っているお気に入りのシーンは?

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▲見覚えのあるふたりが……。
▲鳥山求氏(左)と上国料勇氏(右)
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田畑氏:クライシス コア -FFVII-のエンディング
『FF』を創った偉大な先輩たち、『FF』ファンのユーザーに失礼のないように、という想いで作ったという『CC -FFVII-』。ヴィジュアルワークスが制作したエンディングを見たとき、「役目を果たせた」と実感できて、すごく印象に残っているという。
直良氏:FF零式のエンディング
(エンディングなので詳しくは言えないが)BUMP OF CHICKENの楽曲と映像は、いま思い出しても鳥肌が立つという。
鳥山氏:FFVIのオープニング
雪の中を魔導アーマーが歩いて行くというシーンに感動し、スクウェア・エニックスに入ってファイナルファンタジーを作りたいというキッカケになったシーンだとのこと。

――いちばんモテると思うジョブは?

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上国料氏:FFXでティーダが最初にビサイド島の海岸に浮かび上がるところのシーン''
上国料氏が最初に関わった『FF』作品は『FFX』で、このシーンの完成度が高まっていくところを横目に見つつ、それを励みに、自身の仕事をこなしていったという。このシーンを見ると、いまでも初心に戻れるのだとか。ちなみに、このシーンは鳥山氏が制作。
橋本氏:FFIのオープニング
ゲームを少し進めたあとにタイトル画面が出てくる演出に、当時「カッコイイ!」と思い、いまでも印象深いとのこと。
高橋氏:6時10分50秒
『FFVI』で、ゾゾの街で時計をこの時間に合わせると“かいてんのこぎり”が手に入る。現実でもこの時間になると、“かいてんのこぎり”が手に入る時間だと思ってしまうのだとか。
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これからの『FF』とは!? 新作……ではなく妄想が飛び出した“スクエニChan!”の公開収録ステージ【FF展リポート】_41
田畑氏:ソルジャー1st
自分が携わった『FF』でいちばんモテそうだと思ったのがソルジャー1st
直良氏:ものまね師
初めて携わったのが『FFVI』でものまね師がすごく重宝した。なのでモテると思うが、底が浅いので、そのあとは……(笑)。
鳥山氏:たまねぎ剣士
すっぴんがたまねぎ剣士か迷った。最初は弱いジョブだがそれが母性本能をくすぐるのでは。
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これからの『FF』とは!? 新作……ではなく妄想が飛び出した“スクエニChan!”の公開収録ステージ【FF展リポート】_43
これからの『FF』とは!? 新作……ではなく妄想が飛び出した“スクエニChan!”の公開収録ステージ【FF展リポート】_44
上国料氏:空賊
ジョブではないかもしれないが、『FFXII』のバルフレアはカッコイイ。
橋本氏:黒魔導士
(黒魔導士の)デザインが自分でも好きなので。
高橋氏:シーフ''
シーフのいちばんの特徴は? (「盗む」との声)あなたの心を?

 ステージのエンディングには、ヴィジュアルワークスの生守一行氏と野末武志氏のメッセージ、そしてこのステージのために、ヴィジュアルワークスが手掛けてきた作品を特別編集した映像が公開。田畑氏は、この特別編集した映像は、ヴィジュアルワークスがリスナーに何かプレゼントしたい、ということで急遽作ったものだということを明かし、「ヴィジュアルワークスも我々開発陣も、これからも『FF』のファンの方々と『FF』シリーズを紡いでいきたい」とコメント。さらに「野村哲也(『FF ヴェルサスXIII』ディレクター)からは、「未来の『FF』をもうすぐお見せします」ということを言づけされました。私たちも皆さんにずっと楽しんでいただけるよう骨身を削って仕事をしていきますので、これからもよろしくお願いします」と挨拶し、イベントを締めくくった。

これからの『FF』とは!? 新作……ではなく妄想が飛び出した“スクエニChan!”の公開収録ステージ【FF展リポート】_47
これからの『FF』とは!? 新作……ではなく妄想が飛び出した“スクエニChan!”の公開収録ステージ【FF展リポート】_48
▲ユーザーアンケートではナイトがモテキャラ1位。わかるような気がする。
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▲西明日香ちゃんの愛嬌たっぷりのファンファーレも披露。