~前回までのあらすじ~
巨大クリーパー像の建設に必要な、大量の緑ウール。材料となる白ウールは羊の毛を刈れば手に入るが、いかんせん、それでは数が全然追いつかない。そこで、PC版で活用されている“トラップタワー”をXbox 360版で作れないかと試みるが……。(→第6回はこちら

ウールを求める人必見、トラップタワーとは何ぞや?

 PC版『マインクラフト』では、先人たちによる偉大な発明がいくつかある。“トラップタワー”も、そのひとつ。これは敵の出現範囲を意図的に絞り、そこにダメージを受ける仕掛けを施した塔を建てることで、敵が出現→落下ダメージ→死亡→アイテム出現→回収といった流れを自動で行うという、スゴい施設。

【『マインクラフトXbox360 edition』珍物件探訪】第7回:両手いっぱいのウールが欲しい! トラップタワー建設物語_01
▲タワー完成後の、内部の様子。上から落ちてきた敵を、水流と溶岩を利用して自動的に殺す悪魔の仕掛けだ。

 なぜ塔なのかというと、高所からの落下ダメージを利用することと、狭い範囲で大量の敵を出現させるためには層を上に重ねると効率が良いことによる。PC版では一時期、より高い効率を求めて新しいトラップタワーが開発され続けており、最終的には「1時間でアイテムがいくつ集まるのか?」といった部分でタワーのデキを評価する「○item/1h」などの表記まで使われ、ちょっとしたベンチマーク状態と化していた。

 別にそんなスピードの向こう側を追いかけるF1みたいな極限への追求はしないが、敵のクモは糸を落とすので、トラップタワーがあれば大量に糸をゲットし、その糸からウールを作ることができる。これなら、羊を探し回ってウロウロするよりは効率的なはずだ。というわけで早速、トラップタワー建設に取り掛かることにした。

恐ろしく地味で大変な下地作り! 地獄の“沸き潰し”とは……。

「敵の出現範囲を意図的に絞る」と書いたが、具体的にはどうやるのか。

 まず、敵の出現範囲は自身を中心とした半径128マスの球形範囲内と言われており、この中で、たいまつの設置により明るさが確保された場所には出現しない。足場のない空中や、水中、ブロックの中にも敵は出現しないため、球形範囲といっても、地上部分と地下の空洞内で暗闇を作らないことにだけ気をつければいい。

 この、たいまつ設置作業は敵が“沸く”のを“潰す”ため、ぞくに“沸き潰し”と呼ばれ、実際のタワー建設よりも遥かに大変だといわれている。考えてみてほしい、257×257の範囲内すべてに定間隔でたいまつを設置していく作業を。敵を出現させないためには、だいたい6マスおきにたいまつを置いていくと大丈夫なのだが、前代未聞のたいまつ制作量、そして、それを一個一個、手作業で設置していく作業量。なかなか気が遠くなるレベルだ。

【『マインクラフトXbox360 edition』珍物件探訪】第7回:両手いっぱいのウールが欲しい! トラップタワー建設物語_02
▲こんな感じで、定間隔でたいまつを設置していく。見渡す限りの、たいまつ、たいまつ……。

 さて、そんな苦労を経て地上の沸き潰しを完了させても、まだ、やらなければいけないことがある。それは地中の確認。この状態でタワーを起動させてもそれなりにアイテムを収集できるのだが、もし地中に空洞が存在した場合、空洞のほうにも敵が沸くことがある。タワー内に沸いた敵は確実に倒されていくが、空洞のほうに沸いた場合、その敵は手付かずのまま放置される。そうなると、時間が経つにつれて空洞内に敵が増えていき、その分、タワー内沸くはずだった敵の数が減っていく。タワーの効率がどんどん落ちていくわけだ。

 それを避けるには、地上で設置したたいまつエリアの地下部分に空洞がないかを実際に掘って確かめる必要がある。……って言うのはカンタンだけど、このゲームやった人なら軽く絶望する作業量。この写真を御覧頂きたい。

【『マインクラフトXbox360 edition』珍物件探訪】第7回:両手いっぱいのウールが欲しい! トラップタワー建設物語_03
▲タワーの地下を掘り抜いた最下層。だいたいこれで32×32の広さ。

 この写真は、タワーの地下を岩盤まで掘り抜いたところ。写真で見えるのが1フロアの広さで、これはタワーの床面積と同等となる。これだけ掘り終えたら、次は階段を作り、フロアをひとつ上がる。この天井部分が床となってさらに上の階、さらにその上……という風に、タワーの1階に到達するまで掘り進んでいくわけだ。問題は、これが上に19層あるということ。すべて掘り終えるまでに、ダイヤモンドのツルハシが何本消えていったことか……。この作業だけで2週間かかった。

 しかも、これはタワーの地下部分だけ。掘り抜いて空洞の有無を確認しなければならない257×257の内、32×32が済んだに過ぎないのだ。完全なる沸き潰しというものが、どれだけ過酷な作業かがお分かりになるだろう。掘りながら「羊を探し回って毛を刈っていたほうが早かったのではないか……」と思ったのは内緒。

 沸き潰しをパーフェクトにするのは大変すぎるので、妥協して、この状態で試しに一回起動してみることに。水流を調整して、タワー内で倒れた敵が落としたアイテムが運ばれてくる川を作り、その先で待っていると……。

【『マインクラフトXbox360 edition』珍物件探訪】第7回:両手いっぱいのウールが欲しい! トラップタワー建設物語_04
▲ドンブラコッコと、いろんなアイテムが……。

 ちゃんと動いてくれるか心配だったが、ジワジワとアイテムが流れて来てひと安心。糸だけではなく、スケルトンが落とす骨やクリーパーが落とす火薬なども流れてくるため、手持ちはすぐいっぱいに。そして小一時間もすると……。

【『マインクラフトXbox360 edition』珍物件探訪】第7回:両手いっぱいのウールが欲しい! トラップタワー建設物語_05
▲副産物である骨は加工して骨粉にすると木々の生長を促すのに使えるので、一石二鳥。

 おお……もうウールに困ることはない……。

 なお、沸き潰しが完全でないため、時間が経つにつれて、流れてくるアイテム量は少し減る。でも、その度にセーブしてロードし直せば元に戻るし、当面はこれでいいだろう。というわけで、ひとまずの完成を記念してタワー外壁にドット絵を作ってみた。

【『マインクラフトXbox360 edition』珍物件探訪】第7回:両手いっぱいのウールが欲しい! トラップタワー建設物語_06
▲『魔界塔士Sa・Ga』より。素性を言うとネタバレになる、あの人。

 また『サガ』ネタか! と思われるかもしれないが、生態系を乱し、モンスターの生き死にを操作しようなどという神の領域に足を踏み入れた人間の限りなき欲望こそ、このドット絵の人の名セリフ「これも いきもののサガか……」に、ふさわしい。

 しかし今回は主にタワーの地下をずっと掘っていたので、たまに地上へ出たときの開放感がスゴかった。気分転換に地上の沸き潰しチェックなどもやっていたが、たいまつがズラーッと並んだ不気味な砂漠も、夜は意外な一面が。

【『マインクラフトXbox360 edition』珍物件探訪】第7回:両手いっぱいのウールが欲しい! トラップタワー建設物語_07
▲沸き潰し用のたいまつ設置中の様子を、上空から撮影したもの。暗い部分は海。

 敷き詰められたたいまつの光は、「わぁ、綺麗! 地上の星空みたい!」「来て良かっただろ? でも君のほうが綺麗さ」とバカップル御用達の名所になりかねない美しさ。ウール目的の過酷な作業だったので、そんな合間にこういう夜景を見れると、バカップルでなくとも眺めたくなる。

「でも、これだけじゃないんだ」「えっ、何?」「見せたいものがあるんだ。ちょっとこっちへ来て」

【『マインクラフトXbox360 edition』珍物件探訪】第7回:両手いっぱいのウールが欲しい! トラップタワー建設物語_08
▲……。

 「! これって……」

 で、すかさずポケットから指輪出して「結婚しよう」とか言うんだろ? で、女のほうもコクッとか頷くんだろ? で、時計の針が12にカチッと動いたところで一斉にたいまつの火が消えて、見つめあうと同時にテーマソングが流れ始めて、月明かりに照らされたふたつのシルエットがゆっくりとひとつになっていくんだろ? クソッ、死ね! 海に落ちて、水面へ上がろうとして水中へのノックバックで死ね!

 「リア充、爆発しろ」とはよく言われるが、『マインクラフト』世界でこんな余裕かましてたら、いつの間にか背後にクリーパー先生がやって来てホントに爆発させるからな。明かりのない夜は気をつけろよ。沸き潰し的な意味で。

次回予告:オレ流デザイナーズマンション
駅を作っていたとき、石ブロックも見せようによってはコンクリートに見えたことを思い出し、「近代的な建物もいけるんじゃない?」とマンション建設に着手。最初はマジメにマンションを作っていたが、3階あたりから飽きてきて、「前から、こんな部屋に住みたいと思ってたんだよ」と欲望の赴くままにマンションを私物化していく……。

■著者紹介 夢崎
ファミ通Xbox 360で実績システムについて書いたり、二次元ドリームマガジン(キルタイムコミュニケーション刊)で変なゲームの記事を書いたりしているフリーライター。最近は『マイクラ』のやりすぎで、緑色のものに過敏反応する。