全国のヒューマンアカデミー9ヵ所で開催!

ヒューマンアカデミーがゲーム業界を目指す若者向けのセミナーを開催中! 講師は『週刊ファミ通』編集長_01

 2012年8月24日、東京のヒューマンアカデミー東京校で、ゲーム雑誌『週刊ファミ通』の編集長・長田英樹を講師に招いて、ゲーム業界を目指す若者向けのセミナーが開催された。このセミナーは、全国のヒューマンアカデミー9ヵ所で行われるもので、今回の東京校で2校目(1回目は広島校で開催、今後の予定は下記)。テーマは「ゲーム市場の動向から見るゲームの作り方」で、長田がゲーム業界の現状や自身の経験をもとに、現在のトレンド、ゲーム作りやゲーム業界で働くために必要となることを語るというもの。東京会場には約60人の聴講者が訪れ、熱心に話に聞き入っていた。その模様をダイジェストでお届けする。

セミナー今後の予定
・8月25日(土) 13:00~14:30 in 横浜校
・8月26日(日) 13:00~14:30 in 神戸校
・9月16日(日) 13:00~14:30 in 大阪校
・9月17日(月) 13:00~14:30 in 名古屋校
・9月30日(日) 13:00~14:30 in 仙台校
・10月13日(土) 13:00~14:30 in 那覇校
・10月20日(土) 13:00~14:30 in 札幌校

セミナーへの申し込みは→コチラから

ヒューマンアカデミーがゲーム業界を目指す若者向けのセミナーを開催中! 講師は『週刊ファミ通』編集長_03
ヒューマンアカデミーがゲーム業界を目指す若者向けのセミナーを開催中! 講師は『週刊ファミ通』編集長_02

いろんなゲームを遊ぶこと、コミュニケーション能力を高めること

 まずゲームという娯楽の現状について長田は、「マンガやアニメ、スポーツなど、さまざまなエンターテインメントとの関わりが深まっており、ある意味エンターテインメントの中心にあるものと捉えることもできる」と述べ、付随して「たとえばサッカーゲームは、昔はチームの人数すら足りていないものもあったしそれでもいい時代だったが、いまはそういうわけにもいきません(笑)。とくにリアル路線を追求するサッカーゲーム制作に関わるなら、現実のサッカーを知らない、観ないというのはほぼありえないでしょう」と一例を挙げ、つまりいろいろなことに興味を持つことが大事であると語った。またゲームそのものに関しても、自身が『週刊ファミ通』のクロスレビュー(雑誌の発売日から翌週にかけて発売されるゲームを、4人のレビュアーが評価し点数を付けるコーナー)担当として3000本以上のゲームをプレイしてきた経験から「もちろん時間は無限ではないが、見識を広げるためにも、好き嫌いやジャンルに囚われずにゲームを遊ぶことも大事」とも。さらに編集長としての経験から「どんな仕事でも、社会ではコミュニケーション能力が仕事のスキルより重要な場面が多い。ゲーム制作も大規模なものになると100人、200人が関わるプロジェクトになるため、言うまでもなく大事な能力になる」と、社会に出てゲーム業界で働く上で重要となるポイントについて語った。

ゲーム業界の最新トレンドは?

 続いて、近年のゲーム業界のさまざまなデータをもとに、現在のトレンドについて分析。日本での携帯ゲーム機の隆盛と据え置きゲーム機の長寿化、ゲームが遊べるハードの拡大、海外開発タイトルの台頭、ゲームジャンルの複合化、ソーシャルゲームを含めたオンラインゲームの市場拡大、を代表例として挙げた。これらを踏まえて、ゲーム制作においては「選択肢が非常に多くなっているため、どういった客層をターゲットにするか、ハードを何にするか、開発期間をどのくらい設けるか、といったことを明確にしておくことが重要」であるとし、「とくにどの客層をターゲットにしているかという部分については、どうやってそれを伝え、アピールしていくかも、事前にキッチリと考えておく必要がある」と語った。そしてこれを伝えるには「ユーザー、お客さんの気持ちを知ることが大事。そしてまさにいまそのユーザーの立場にいるのが(聴講者の)皆さん。だからこそ、先にも話したように、いろいろなことに興味を持ち、たくさんゲームを遊んで、感じたことを覚えておいてください」と述べ、セミナーを締めくくった。

質疑応答

 最後に聴講者との質疑応答が行われたので、これもお伝えしよう。

Q:ゲームバランス(難易度)はどうすればうまくとれるのか?
長田 ゲームはプレイする人によって楽しさや難しさの感じ方が違うので、万人に対して完璧なゲームバランスはないと思います。やはり、そのゲームがターゲットとしているユーザー層に向けたものになるのが基本。極端な例でいえば、低年齢層向けに操作から何からメチャクチャ難しいゲームを作ったとしたら、ターゲットとした層に響く可能性は低くなるでしょう。ターゲットとする層を明確にし、その層の趣味趣向の現状を正しく認識することが、必要な第一歩であり重要なことではないでしょうか。

Q:『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』によって、家庭用据え置きゲーム機でのオンラインゲームの普及はあるか?
長田 これはセミナー1回目の広島校でも出た質問です(笑)。やはり皆さん興味があるんですね。僕もβテストからずっとプレイしていますが、まずMMORPGというと、かつてはオンライン接続、知らない人とのコミュニケーション、というふたつがイメージ的に高いハードルだったと思います。前者はいまとなってはほぼ問題にならないと思いますが、後者はいまもイメージとしてあるでしょうし「やっていれば慣れる」と言われてもなかなか背中を押すことにはなりませんよね。これを考慮してか、『DQX』では”サポートなかま”の存在など、ほぼソロプレイでもゲームを進められるようになっています。でも、ゲームの中ではみんなが冒険しているし、その様子も目に入ってくる。みんなもプレイしている、世界を共有しているという感覚はしっかり持てます。MMORPGというジャンルへの導線としては最適なゲームですね。そう考えると、『DQX』でMMORPG経験者が増えていき、ジャンルに対するニーズが高まって、ひいては家庭用据え置きゲーム機でのオンラインゲームの普及につながる可能性はあると思います。

Q:学生のうちに遊んでおいたほうがいいタイトルを1本挙げるなら?
長田 1本を挙げるのは難しいですね(笑)。大事なのは、どのタイトルでもいいので、1本をしゃぶりつくすまで遊ぶという経験でしょうか。遊ぶ側はそのゲームの一部だけを遊んでもいいですが、作る側は全部作らなければいけない。皆さんは作る側を目指しているわけですから。

Q:おもしろい記事を作るコツは?
長田 まず、自分が最高に楽しんでおもしろがっていること。そうでないと、読む人、見る人には伝わらないと思います。何人かで作る場合も、まず皆で楽しんでやること。他愛もない会話や直接関係のない話からおもしろい企画が生まれることは多々あります。「おもしろい企画を考えてこい」と言って出てくるものは、大概誰もが考えるようなもので、平均点ではあっても目新しさはないことがほとんどです。「企画を100本考えてこい」と言って出てきた中で、明らかに途中で考えが尽きて適当に書いたとしか思えないものから、斬新なものが生まれたりする。明確な答えはないですが、ファミ通では楽しんで作ることを大事にしていますね。