直後、Win8とWindows Phone8への対応も発表

日本で約70000人が使用、420社以上で採用! 今年もゲームエンジンUnityのセッションは満員御礼【CEDEC 2012】_18

 2012年8月20日~22日にかけてパシフィコ横浜にて開催された、日本最大のコンピュータエンターテインメント開発者向けカンファレンス“CEDEC 2012”。会期中に行われた公演の模様を引き続きお届けする。

 昨年に引き続き、立ち見どころかスクリーン前での座り見まで出たのが、最終日に行われたゲームエンジン“Unity”のセッションだ。全世界でUnityを利用している開発者が100万人以上、ほぼ毎日使っている人に絞っても30万人以上、制作されたゲームをWebで実行するUnity Web Playerのインストール数は1億2000万で、これは毎月500万ずつ増えているという按配。
 そして、日本でも急速に普及している。公演を行ったユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社の大前広樹氏が示した数字によると、2011年は対前年比で1600%の成長。これでも世界のトップ5には入らなかったそうなのだが、2012年の世界のユーザー分布では、米19.8%、中国10.1%、韓国6.9%についで6.5%の4位に躍進。今年は対前年比で200%成長を見込んでいるという。国内開発者数は約70000人で、利用する国内企業は420社以上。
 ちなみに日中韓を足すと実に23.5%を占め、実際にアジアはかなり重要な市場になっているそう。今年はUnity Asia BootCamp Tourも開催され、東京・北京・ソウルでさまざまな講演が行われており、東京開催分の人気セッションのビデオが本日からオンラインで無料公開されている。

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 同社では日本でのさらなる普及を目指しているそうで、日本語のウェブサイトを充実させる一方、有料ライセンスの料金などを支払うストア部分を、9月から銀行振込やコンビニ支払いに対応させるとのこと。これにより学生が購入しやすくなるといったこともあるのではないだろうか。

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 直近の採用タイトルなども紹介された。ガンホーの『ケリ姫クエスト』、グラスホッパー・ユニバースの『ダークメナス』、カプコンの『鬼武者 Soul』といったスマートフォンやブラウザゲームが主流だが、現在開発中の家庭用ゲーム機向けのタイトルでも採用事例があるとのこと。

 大前氏はUnityを“100万人の開発者が共有する事実上初めてのゲーム開発ワークフロー”であると表現する。これはどういうことか。ひとつには、大きなコミュニティが生み出すパワーの恩恵が受けられる。自分が困っている問題の答えを誰かが知っているかもしれないし、活発に勉強会が行われたりすれば習熟しやすい。
 もうひとつは、“共通言語”として通じるということだ。例えば自社独自の開発環境を使っていると、アウトソーシングする場合など、先方のスタッフのトレーニングに人的・時間的コストがかかってしまったり、アウトソーシング先からあがってきた素材を一回内製ツールに落とし込んだ上で動かして確認せねばならず、チェック者がボトルネックになってしまったりする。お互いにUnityを使っているのであれば、アウトソーシング先がUnity内に一回放り込んでチェックしたデータをもらうことができ、不要なサイクルやムダを減らせるのだ。

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 後半では、次期メジャーバージョンのUnity4の紹介が行われた。目玉のひとつとなっているのは、二足歩行キャラクターのアニメーションシステム“Mecanim”の導入だ。大前氏によってデモも披露されたのだが、コレが何ともスゴかった。
 最初に見せてもらったのは、人間型キャラクター“デュード”を動かしてみる様子。ひと通り設定を確認した上で、ぐるぐると走ったりジャンプするデュード。はい、まぁ、動きますよね。
 問題はここからだ。大前氏が持ってきたのは、アセットストア(ユーザーがゲームに使えるさまざまな素材を販売できる仕組み)にあったゴーレムのキャラクター。デュードとはそもそも大きさが違うし、キャラクターの各パーツを動かす軸であるボーンも違う。しかし、モデルを読み込むと、大体の配置を見てエンジン側がいい感じにアバターを設定してくれるんだという。要は「この辺は右上腕だわな」、「ここが頭だろ」とか判断してくれるのだ。そしてデュードのアニメーションを繋ぐと、先ほどと同じモーションでゴーレムが走る、飛ぶ! キャラクターモデルが違うものでも、リターゲティング(再調整)をうまーくやってくれるというワケ。
 Unity4では、そんなMechanim以外にも、モバイルでのグラフィック機能強化や、DirectX11対応、Linux対応などを行い。さらにその先もどんどん機能強化していく予定だとか。面白かったのはLinux対応。ハードコアゲーマーや開発者にLinuxユーザーが一定数いるというのも理由のひとつだそうだが、大前氏はここでクラウドゲーミングでの使用を想定していた。つまり、クラウドゲームサービスではクラウドサーバー上に大量の仮想マシンを立ててユーザーごとのゲームを走らせるわけだが、ここで動かすゲームが“Linux版”であれば、かなりの効率化を図れるだろうというのだ。
 ちなみに、質疑応答ではWindows8やWindows Phone8対応の質問が出て、明確な回答が避けられていたのだが、こちらも先ほどUnityのユーザーカンファレンスであるUNITEの基調講演で発表された模様。
 そして講演の末尾では、“アセットストアオンラインサービス”として、ゲームの素材だけでなく、解析サービスや、アイテム課金を提供するサービスといった、さまざまなサードパーティ製のオンラインサービスが購入可能になることが発表に。ユーザーはアセットストアから自分のゲームに欲しいサービスを購入し、組み込めるようになる。まだまだ快進撃は続きそうだ。

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