完璧な部隊というものはない

 『XCOM: Enemy Unknown』は、日本でも高評価を得た『シビライゼーション』シリーズを開発したFiraxis Gamesが手がけるストラテジー系の新作ゲーム。発売は2012年10月9日(北米)/2012年10月12日(インターナショナル)の予定で、対応機種はPCおよびプレイステーション3、Xbox 360だ。
 今回、Gamescomにて、リード・プロデューサーであるガース・デアンジェリスの話をうかがい、実際にプレイできる機会を得たのでその内容をお届けしよう。

「コンバットは奥深い、だがそれでは半分だ」『XCOM』リード・プロデューサーは語る【gamescom2012】_01
「コンバットは奥深い、だがそれでは半分だ」『XCOM』リード・プロデューサーは語る【gamescom2012】_02
▲種族が入り乱れてバトル。実際に戦う際は、カメラが俯瞰視点から、戦うポイントをクローズアップ。TPSにも似た視点などになる。

 もともとこの『XCOM』には1993年にオリジナルの作品がPCで発売されており、今日でもまだプレイしている人たちがいる名作。プレイヤーは、1960年代のアメリカで結成されたとされる地球外生物への対抗組織の司令官として、世界的に発生する事件をターン制ストラテジーのコンバットパートで解決したり、シミュレーションパートでは、エイリアンの科学技術を反映させた新兵器の開発に努めたり、組織や兵士のマネジメントを行うことになる。

 ガース氏は、いちばんわくわくするのは、やはりコンバットの奥深さだという。「ターン制のこのコンバットでは、ひとりのスーパーソルジャーをコントロールするのではなく、戦場の司令官として部隊をコントロールする。全員が協力して戦うようにすることが大切だ。部隊を全世界に派遣し、エイリアンの脅威に対応するわけだが、兵士ひとりひとりの行動もプレイヤーの命令次第。『XCOM』では自分のとった行動に対する結果を受け入れなくてはならない。たとえば兵士が死ねば、戻ってはこないが、これは感情的にとてもつらい。特定の兵士を時間をかけてレベルアップし、アビリティをつけ、カスタマイズすることも多くなるが、自分の周囲の人とイメージを重ねることもあるだろう。その兵士が死ねば感情が揺さぶられる。原因を作ったら結果を受け止めなくてはいけないというのが『XCOM』だ。」

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▲ミッション選択画面。

 「だがそれはこのゲームの半分に過ぎない」ともカース氏。シミュレーションパートがこの『XCOM』を他のゲームから差別化している。コンバットに勝利すると、エイリアンの死体や、彼らが彼らのテクノロジーで作った遺品、その高度な技術そのものなどを手に入れられるのだ。それらを集めて新たな戦いのために備える地下の秘密基地経営もプレイヤーの仕事なのだ。そこでは倒したエイリアンの身体や持ち物を調査研究し、技術を取り込んで進化した武器の生産などが可能。これを兵士の装備に反映させたり、基地の機能を向上させたりして戦い続けることになる。

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昆虫型の生物の脇に表示されている数字は、攻撃の成功確立だ。

 ガース氏は「このゲームはプレイヤーがストーリーを作る。どんなエイリアンが世界のどこを攻撃してくるかわからないので、あらかじめどう対処しておくかはプレイヤー次第。ノンリニアなゲームなので選択肢は無限にある」とも語った。

 実際にプレイをしてみると、薄暗い倉庫の前からゲームはスタート。行動コストや装備に差のある4人の兵士を倉庫まで突入させる。移動可能なエリアはシルエットでマップ上に表示されるが、最初はチュートリアルだったため、黄色いポインターで適切な位置を指示された。移動可能エリアを越えた位置にも"ダッシュ"という概念で移動可能だが、行動コストを大きく消費するため、移動後のアクションなどが不可能になる。

 基本的に物陰をカバーするように進み、倉庫の窓や扉を乗り越え、操作の基本を理解したあたりで怪しい兵士が倉庫の奥にユニット然として登場。ひとりの兵士を隣接させると、じつは宇宙人によってマインドコントロールをされた兵士だと判明する。ここから実際にコンバットに突入。敵の行動コストや攻撃の成功率も考慮しながら物陰にカバーしつつ移動し、隙あらば攻撃をしかけるのだ。

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▲ミュータント対サイバーディスク。物陰に隠れることで、相手の攻撃成功率を下げられる。

 このチュートリアル面での最終目標となった敵2体の撃破は成功し、続いて地下基地に戻ってのシミュレーションパートに移行。ラボの女性科学者、開発セクションの技術者などに面通しをしつつ、基地の基礎的な解説を受け、兵士のカスタマイズを終えるとつぎのミッションに。

 アメリカと北京で同時に事件が発生。今回は北京での事件捜査を選択した。

 チュートリアル面にあった、黄色いおすすめ移動ポイントはなくなり、ここからは自分の判断。建物の中に移動したくていろいろ触っていたところ、移動先に上下の階層の概念があり、屋上にも上れると判明した。敵の姿は見えないなか、こちらのターンが終わると敵のターンが到来。少しの間をおいてこちらのターンに戻るため、慎重に踏破エリアを広げていると、物陰に2体のエイリアンを発見。慣れた感じで回り込み、攻撃をしようとしたところ、敵の射線上を移動するとドラマティックなアニメーションが入り、移動途中にも狙撃されることも理解した。その後、2体撃破したものの、相変わらず敵のターンが続くため、薄暗い埠頭の奥にさらに2体のエイリアンを発見。今度は射線に飛び込まないように移動し、順次撃破した。ここまでスタートからは40分が経過していた。

 ガース氏いわく「兵士になって世界を救うのは楽しかったが、エイリアンもコントロール出来たらどうか、エイリアンのアビリティが自分で使えたらどうかと考えるファンに応えたのが“XCOMマルチプレイヤー”だ」。

 シングルプレイ同様、マルチプレイもターン制だが、こちらはターンタイマーがあるのでマッチはスピーディに進行するので、プレイヤーは懸命な判断を求められる。ランク・マッチに参加し、勝利を収めると10000ポイントもらえ、これで人間のユニットやインベントリ、そしてエイリアンを買い揃えていく(もちろんユニットがパワフルならそれだけ高額になるが)。ラストマン・スタンディング・デスマッチなどの対戦モードがあり、アサルトソルジャーのミュータントと、サイキック・コマンダー、そしてサイバーディスク付きヘビーフローターなどによる、かなりユニークなコンビネーションが可能だ。

 「社内で2年以上プレイしており、皆パーフェクトな戦略を求めているが、完璧な部隊というのはなく、どんな部隊もどこかに弱点を持っている。マインドコントロールや透明になるアーマーなどの働きで、思ってもいなかった効果が戦場で生まれる場合もある。アクションを1回のターンに使いすぎてはだめだ。自分の長所と相手の短所を理解して、作戦を立てることに優れたプレイヤーが勝つ。もちろんバトルフィールドの地理も把握していないといけない。たとえばスナイパーは広大な場所では活躍するが、ビルに邪魔されていればうまく機能しないように。シングルプレイと同じように戦略は無限。ぜひ楽しんで欲しい」との言葉でガース氏の話は締めくくられた。

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▲屋内での乱戦。
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▲宇宙人から見た攻撃画面。
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▲マルチプレイのイメージを描いたアート。