「いまはある意味おもしろい時期で、変化を取り込んでいきたい」
ブースの規模、訪れるユーザーの膨大な数など、gamescom会場での人気っぷりから、エレクトロニック・アーツが世界最大手のゲームメーカーということを改めて認識させられる。そんなエレクトロニック・アーツのExecutive Vice President, EA Games LabelのPatrick Soderlund氏に、今後のエレクトロニック・アーツの戦略や、同社が今後目指すべきことなどをうかがった。
――Patrickさんはどういった役割を担われているんですか?
Patrick 『バトルフィールド3』、『メダル オブ オナー』、『クライシス』など各シリーズの管理をするというのが役割なんだ。
――管理とは具体的にはどんなことを?
Patrick 私はもともとは開発畑の人間なので、各シリーズの開発チームと話し合いながら、そのゲームにとってプラスかマイナスかを判断しているんだ。
――EAにはいつ入られたのですか?
Patrick 2006年からだ。私はもともとはDICE(※『バトルフィールド』シリーズの開発会社)のCEOとして働いていたんだけど、エレクトロニック・アーツの傘下となるときに、同社に入ることになったんだ。最初は『バトルフィールド』シリーズの管理を任されていたんだけど、徐々にほかのレーベルの管理も任されるようになった。だけど、それまでDICEという会社しか知らなかったので、ほかのスタジオの仕事の進めかたや、それぞれのスタジオの文化などもよくわからず、最初は戸惑いもあったよ(笑)。互いを理解し合って仕事を進めていくことがいちばん難しいところだったね。
――EAは世界最大規模のメーカーですが、成功の秘密はどこにあると感じていますか?
Patrick ブランドの幅の広さじゃないかな。『FIFA』を中心にしたスポーツゲーム、『バトルフィールド』や『メダル オブ オナー』などのFPS、レースゲームなら『ニード・フォー・スピード』、さらには『シムシティ』や『シムズ』などといったシミュレーションゲームもある。さらにこれらのシリーズを支える人材にも恵まれているんだと思う。
――EAはマルチプラットフォームでタイトルを展開する戦略を取り、成果をあげていると思いますが、(対応機種を同時発売することも含め)開発側はたいへんなのでは?
Patrick ノウハウが溜まっているし、プロセスがある程度決まっているので、さほどたいへんではないよ。
――ソーシャルゲームなどが人気となり、いまはゲームを取り巻く状況が大きく変化してきましたが、それについてどうお考えですか?
Patrick ある意味、いまはすごくおもしろい時期だと思う。Web上のものを含めると、いまは本当に多くのプラットフォームが存在し、それぞれでゲームの遊ばれかたも違うし、コネクションのしかたも違う。でも、いろいろな選択肢やより多くの人に我々のゲームをプレイしてもらえるチャンスが増えるということはいいことだと思うし、「変化を取り込んでいこう」と、スタジオの開発者たちには伝えているんだ。
――Wii Uについてはどういった印象をお持ちですか?
Patrick ファミコン、スーパーファミコンといったすばらしいハードを生み出し、『マリオ』や『ゼルダ』といったブランドに持つ任天堂という会社をとても尊敬しているし、私自身、任天堂のハードがなかったらこの業界に入っていないと思う。Wii Uは、ユニークなハードだし、ユーザーの皆さんが何を望んでいるのかを見極めたいと思っている。今年のE3で『NEW スーパーマリオブラザーズ U』をプレイしたんだけれど、とてもおもしろかったので、個人的には『マリオ』のためにだけでも購入するつもりだ(笑)。
――最後にファンへ向けてメッセージをお願いします。
Patrick すべてのゲーマーに今後もよりおもしろいゲームを提供していくことをお約束します。日本には行ったことがないんだけれど、今年の東京ゲームショウで初めて行けることになったんだ。日本のゲームファンにお会いできることをとても楽しみにしています。