日本マイクロソフトから2012年7月25日に配信となった、Xbox LIVE アーケードのKinect(キネクト)専用タイトル『Wreckateer(レッカティア)』。本作のプレイインプレッションを、ライターのサテライト池澤がお届けする。

大きな物が崩れ落ちていく爽快感が魅力でクセになる

 据え置き型の巨大な大型弩砲“バリスタ”を使い、さまざまな魔法のショットを放って城や家を破壊していく『Wreckateer』。撃ち出したショットが巨大な建物に当たったときに、建物がガラガラと崩れていく様を見るのが爽快だ。何と言うか、たくさん並べたドミノ牌を一気に倒したときの達成感や気持ちよさに通じるものが本作にはある。また、積み木やジェンガなどで遊んでいて、縦に積んだものがバランスを崩して一斉に崩壊したときに「あぁ、やっちゃった……!」と思う人は多いだろう。しかし、そのときに同時に感じる緊張からの開放感というか、スッキリする感覚。このゲームには、それにも近い感覚を味わうこともできると言える。狙いを定めてショットを撃ち出すまでのハラハラ感、うまく狙った場所に当たって建物が倒壊したときのスッキリ感はこのうえなく心地よく、思わず時間を忘れて長時間プレイしてしまったほどだ。

シンプル操作で破壊のカタルシスが味わえるKinectタイトル『Wreckateer』プレイインプレッション_07
シンプル操作で破壊のカタルシスが味わえるKinectタイトル『Wreckateer』プレイインプレッション_04

ゲームの遊びかたはとてもシンプル

シンプル操作で破壊のカタルシスが味わえるKinectタイトル『Wreckateer』プレイインプレッション_06

 ゲームの遊びかたは単純明快で、ひと言で表すなら弓を引いて撃つだけ。具体的には、Kinectセンサー内で一歩前進し、まずは両手を合わせる。するとキャラが弓をつかむので、あとは1~2歩下がって弓を引き絞る。このとき、左右に動いたり手を上下にすると、弓の向きや高低差が変わる。狙う場所を定めたら、合わせていた両手を左右に開くとショットが発射される仕組みだ。ショット発射後は手を上下左右に振ることで、ショットの軌道をある程度変えられるのが特徴。そうして微調整を行いながら、狙った地点までショットを導いていくことになる。うまく弾を発射し、決められた回数の中でできるだけ多くの建物を破壊し、高得点を狙っていくのがゲームの目的と楽しみかたになる。クリアーするだけなら難しい操作はいらないので、すぐゲームに馴染めるはずだ。

建造物ではないが、ステージの各地にはスコアをアップさせるアイテムが配置されていたり、建物倒壊に巻き込んで倒すとボーナスが得られるになるゴブリンがいたりするので、それらもうまく壊したり倒したりできるようになると、楽しみの幅が広がるはず。ちなみにスコアの評価はブロンズ、シルバー、ゴールドの3種類に分かれており、ブロンズ評価に届かないとステージクリアーにはならないので注意が必要だ。とはいえ、ふつうにプレイしていれば大体はブロンズ評価には届くので心配することはない。ゴールド評価を狙う場合は、前述のアイテムやゴブリンをうまく利用したりする必要が出てくる。最高評価を狙いたい人は、何度もステージでトライ&エラーをくり返してがんばろう。

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多彩な種類のショットを使いこなすのが楽しい

 撃ち出す弾にはいくつかの種類があり、中には特殊な能力を持つものがある。途中で加速して建物を貫通して進む“スピードショット”、着弾後に爆発して広範囲を巻き込む“ボムショット”、グライダーのように滞空して飛べる“フライングショット”など、種類はじつにさまざま。発動方法は基本的にどれも、弾の発射後に両手を広げて斜め上に掲げるだけ。ステージごとに使える弾は限られているものの、うまく使えば一気に高得点を獲得できるチャンスになるので、どこに弾を撃ち出せば効率よく建物を壊せるか、じっくり吟味するのが楽しい。

筆者はとくにボムショットが好きだ。たとえば橋の柱のあいだにショットを射ち出し、通過するときに能力を発動させ、爆風で柱を壊す。すると当然、柱を失った橋は瓦解するので、連鎖的に壊れた建物によって高得点を稼ぐことができる。気分はいっぱしの解体屋だ。それ以外でも、城の中央にショットを撃って爆発させ、周囲の敵やアイテムもまとめて一気に吹き飛ばしたりと、爽快感を味わえる部分が大きい。フライングショットもなかなかに楽しく、こちらはハンググライダーで空を飛んでいるかのような気分を味わえる。とはいえ撃ち出された弾であることに違いはないので、建物や地面にぶつかると一瞬で失速してゴロリと転がってしまうのが少し儚い。しかし、狙った建物の頭上まで飛び、急降下で建物を瓦礫の山に変えたときの気持ちよさは相当なものだ。やや精度の悪いリモートコントロール式の爆弾のようなもので扱いが少し難しいぶん、うまく使えたときのよろこびはひとしお。

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スピードショット
ボムショット
フライングショット
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スプリットショット
ベーシックショット

破壊のカタルシスを味わいたい人にオススメ

本作に欠点があるとすれば、ステージが単調であるということだろう。ステージ数は50以上用意されているため、ボリュームはあるのだが、どのステージも似たり寄ったりで、変化に乏しいのがやや残念に感じた。ゴブリンに占領された城を攻め落とすというバックボーンがあるものの、ボスのゴブリンがいるわけでもなく、ステージごとの規定のスコアを満たせばゴブリンは無視してもオーケーというのは、少しもったいない気もする。建物の破壊が目的のゲームなので、それ以外の要素は省いたのかもしれないが……。ステージクリアー条件にもっとバリエーションがあれば、さらに攻略の楽しみが広がったと思えるだけに惜しい。

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上で欠点について書かせてもらったが、本作はその欠点を帳消しにするだけの魅力はあると補足させてもらう。このゲームをどう捉えるかにもよるが、やはり手軽に巨大な建造物を自分の手で好きなだけ破壊でき、爽快感を得られるという観点で見れば、本作はていねいに作られている。巨大な建物がガラガラと豪快に崩れ落ちていく様は何度見ても飽きないし、現実ではなかなか見られない光景ということもあり、カタルシスを堪能できる。操作がシンプルでわかりやすく、1ステージ攻略にかかる時間が5分程度なので、時間を気にせず遊べるのも嬉しい。ちょっとしたストレス解消になるというか、気晴らしにはもってこいのゲームだ。20~30分から小一時間の空き時間などにプレイし、建造物を壊してスカッとする。そんな爽快感とカタルシスを気軽に味わいたい人にはぜひプレイしてみてほしい。もちろん腰を据えてじっくり遊ぶのもいいし、友人たちといっしょにプレイし、ひとつのステージでスコアを競ってみるのもおもしろいかもしれない。ちょっと楽しい1日や時間を過ごしたい人にオススメしたいゲームだ。

シンプル操作で破壊のカタルシスが味わえるKinectタイトル『Wreckateer』プレイインプレッション_02

 
■筆者紹介 サテライト池澤
最近の猛暑に辟易し、冷房の効いた部屋にこもりたいと考えるライター。早く涼しい秋がきてほしいと切に願いながら本作をプレイ。建物の倒壊を見てニヤリとする危ない人になりかけていたとか。