オンラインゲームはアイテム課金モデルが72%に

 既報(→こちら)のとおり、日本オンラインゲーム協会(JOGA)は、2011年のオンラインゲーム市場調査結果をリリースし、オンラインゲーム市場は1405億円、ソーシャルゲーム市場は2794億円と発表した。リリース情報が公開された本日2012年7月23日、同協会は、“JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会”を都内渋谷区のホールで開催。リリースで触れられていないデータも公開されたので、同発表会の模様を簡単にリポートしよう。

 発表会では、2011年の従来型のPC向けのオンラインゲーム(MMOやブラウザゲームなど)の市場規模と携帯電話などによるソーシャルゲームの市場規模に分けて市場分析が行われた。

オンラインゲームのアイテム課金の月平均課金額は5243円

 2011年のオンラインゲーム市場について解説を行ったのは、日本オンラインゲーム協会会長の植田修平氏。植田氏はまず、日本のオンラインゲームメーカー数を公表。それによると、これまで日本のオンラインゲームは、海外のオンラインゲーム会社によるタイトルが増加傾向にあったが、2011年はそれに加えて国内の携帯電話のソーシャルゲームメーカーがオンラインゲームにも参入。全体としてオンラインゲームメーカーは133社(昨年は125社)にのぼり、メーカー数は引き続き増加傾向にあるという。オンラインゲームメーカーの増加に伴い、オンラインゲームタイトルも増加傾向にあり、2011年にサービス中のオンラインゲームタイトル全317タイトルと、過去最高のタイトル数となっている。そのうち新規にサービスがスタートしたタイトルは93タイトルで、そのほとんどがWebゲーム(MMOなどヘビーなオンラインゲームは減少傾向)だという。ちなみに、Webゲームは2009年は40タイトルだったが、2011年は78タイトルと2年でほぼ倍増している。また、オンラインゲーム全317タイトルのうち、227タイトルが基本プレイ無料+アイテム課金というモデルを採用。いかにこの課金モデルが定着してきたかがわかる結果となっている。

オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_01
オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_02
オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_03
オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_04
オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_05
オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_06

 課金ユーザーは、19歳から39歳の層で全体の70%を占め、その中でも23~29歳の層がもっとも課金が多いという。ただ、最近の傾向としては、22歳以下の課金ユーザー層の割合が増加傾向にあり、30~40歳台のお金を比較的自由に使えるヘビーユーザーが減ってきているという調査結果も。30~40歳台が減少傾向にある要因として植田氏は「30~40歳台は、仕事などでゲームに使える時間が限られている層でもあるので、以前はアイテム課金などでプレイ時間を補填していたが、現在は、ソーシャルゲームなどに移行しているのではないか」と分析。

 アイテム課金の月平均課金額も増加傾向にあり、2011年は5243円という結果。この月平均課金額は、2004年と比べると約1000円増加。植田氏は、「ゲームユーザーが課金に慣れてきたのでは」と推測し、また、長く運営しているタイトルも多くなってきため、ロイヤルカスタマー(忠誠心の高い顧客の意。いわゆるお得意様)を抱えたコンテンツが多いこともその理由としてあげた。

オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_07
オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_08
オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_12
オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_11
オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_10

 続いて男女別のユーザー層の分析結果を発表した植田氏は、最近のオンラインゲームユーザーの傾向として、女性ユーザーが増加傾向にあるというデータを公表した。オンラインゲームの女性ユーザーは2010年から急増しており、“オンラインゲームは男性向け”といった市場イメージはもはや薄れつつある。植田氏は、ソーシャルゲームを体験した女性ユーザーがPCオンラインゲームに流入したことがおもな要因だと分析し、「PCオンラインゲームの3割が女性ユーザーです。これからは、PCオンラインゲームにも女性ユーザーをターゲットにしたタイトルが出てきてもおかしくない」と述べた。

 最後にオンラインゲームの市場規模を公開した植田氏は、前述のとおり、オンラインゲームの市場規模は約1405億円で、昨年から106%の成長と発表。植田氏は、成長の大きな理由としては、Webゲームの売り上げが各社堅調だったことをあげた。オンラインゲームの市場規模1405億円のうち、運営サービスによる売り上げは約1128億円、パッケージ販売売り上げが約277億円で、オンラインゲームのビジネスモデルはパッケージ販売からダウンロード販売に完全に移行しているとのデータも合わせて提示された。また、国産タイトルのライセンスアウト(輸出)は前年比142%と増加。これは国産Webゲームのアジアでのライセンスアウトが活発に行われていることも大きな要因のひとつとなっている。日本企業の海外拠点での売り上げは86億6281万円と前年比114%と成長し、国産タイトルおよび国内企業の海外進出は着実に進んでおり、このトレンドは今後も続くことが予想される。

オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_14
オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_16

2011年のソーシャルゲーム市場は新興市場から成長産業への移行期

 植田氏に続いて、シード・プランニングの野下智之氏がソーシャルゲーム市場規模(※Mobage、GREE、mixi、Ameba上で提供されるゲーム課金売上を対象)についての調査結果報告を公表。まず、野下氏は、2011年がソーシャルゲームにとってどんな年だったかを振り返り、市場の急成長に合わせて、社会的・経済的影響力が急速に拡大し、周辺産業への経済波及効果をもたらしたといった点を挙げ、新興市場から成長産業への移行期だったと位置付けた。

オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_17
オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_18

 国内ソーシャルゲーム市場規模は2794億円で、これは前年比254.2%。ソーシャルゲーム市場は引き続き急成長していることがわかる。
 市場の動向の特徴としては、フィーチャーフォンからスマートフォンへのユーザー移行が加速。プラットフォームやゲーム開発会社の海外展開も進み、また、無数のベンチャー企業が参入する市場から、資金力がある大手事業者を中心とする市場へと変化しているという。
 チャネル(プラットフォーム)別では、2010年と比較すると2011年はGREEが大きくシェアを伸ばしているという結果に。
 野下氏はソーシャルゲーム市場の今後についても触れ、国内市場はこれまでの成長速度よりも緩やかになるだろうが、2012年も成長トレンドは維持するとし、2012年のソーシャルゲーム市場の成長はまだまだ続くという見通しを語った。

オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_19
オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_20
オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_21
オンラインゲームは女性ユーザーも増加傾向――JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2012発表会_22