赤字にもめげず、“ニコニコ超会議2(たぶん)”も開催決定

 2012年7月18日(水)、東京・六本木の“ニコファーレ”で行われた“ニコニコちょうかいぎ発表会”にて、“ニコニコ町会議 全国ツアー2012”の詳細や“ニコニコ超会議”の最終赤字額が4億7千万であること、“ニコニコ超会議2(たぶん)”の開催が発表された。

“ニコニコ町(ちょう)会議 全国ツアー2012”開催!

▲ドワンゴの代表取締役会長の川上量生氏(左)と、ドワンゴ代表取締役の夏野剛氏(右)。

 発表会には、ドワンゴの会長の川上量生氏と、同社の取締役の夏野剛氏が登場。ふたりが登壇してすぐに、“ニコニコ町会議 全国ツアー2012”のVTRが上映された。

 “ニコニコ町会議 全国ツアー2012”は、日本の地方町で開催するニコニコの“移動式文化祭”。2012年4月28日~29日に幕張メッセで開催されたイベント“ニコニコ超会議”の“町”版となる。本会議の開催地選定にあたって各地のニコニコユーザーからの開催希望町を募集したところ、4千4百通を超える応募が殺到。「選ぶのも本当に大変でした」と川上氏が語るほどだった。その中から見事開催町に選ばれたのは、鳥取県八頭市、佐賀県唐津市呼子町、北海道長万部町、福島県三春町、東京都八丈島(八丈町)の5ヵ所。“僻地に行こう”というコンセプト(川上氏談)で選ばれただけあってか、VTRに登場した町役場の人たちは“ニコニコ動画”という単語にも首をかしげるばかり。夏野氏いわく、地方に進出することで地方の人や高齢者にも“ニコニコ動画”のことを知ってもらい、さらなる一般化を狙っているのだとか。

 各町の会場では、地方ではあまり行われないネットのイベントと現地の特色あるお祭りが融合。“ニコニコ超会議”で人気を博したコンテンツを再現するほか、地方ごとの屋台や地域ユーザーによる即売会などが実施され、ニコニコ動画と地方文化の交流、地域活性化を図っていく。入場料は基本無料。また、“ニコニコ町会議”の模様はニコニコ生放送にて生中継で配信され、ニコニコ動画のさまざまなジャンルの人気ユーザーも各町に登場して、現地からローカルなコンテンツを全国に届けていく。

■開催スケジュール
2012年7月29日(日)鳥取県 八頭町“きらめき祭”
2012年8月5日(日)佐賀県 唐津市呼子町“水光呼子港まつり”
2012年8月11日(土)北海道 長万部町“飯生神社例大祭”
2012年8月16日(木)福島県 三春町“三春盆踊り”
2012年8月30日(木)東京都 八丈島(八丈町)“離島甲子園”

▲ニコニコカーそのものが“ミニ神社”として変身。参拝できるようになるのだ。
▲フードメニュー。どんなものが食べられるのかは今後の詳細を待とう。ニコニコグッズ
も出張所として販売される。
▲ニコニコのど自慢。ステージがあるので、ユーザーによるライブや演奏、ダンスなども。
▲“マギカ調べ上映会”。超会議で先行上映されたアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』から生まれた落語が各地で上映決定。
▲“niconico5周年記念動画”。各会場で1話ずつ(全5話)公開される。予告編には眼鏡をかけた美女が登場。“じわじわくる言葉”を朗読するというのだが……セクシーな唇がアップになったところで、予告編は終了。本編は各町会議で放送される。
▲地域交流コンテンツ。“ゴム銃作ってみた”の射的では、自作や借りて来たゴム銃が使用可能。超強力ガトリングゴム銃で当てまくるのもありだ。
▲地域PRコンテンツ。“方言レッスン”や町長による“地元PRコーナー”などが開催される。人気の高まっている“方言”を習うにはいい機会かも?
▲新サービス、新発表も用意されている。
▲地元ユーザーからのメッセージ
「鳥取県は人口が全国最下位の県で知名度も低いです(T_T)若者も地元離れしてどんどん高齢化も進んでいます・・都会に出ている鳥取県出身のニコ厨の人が地元が取り上げられているのを見たらきっと嬉しいだろうし、地元の良さを再確認できると思います! ぜひぜひ鳥取県八頭町を全国区にしてください!」

■2012年7月29日(日)鳥取県 八頭町“きらめき祭”
“ニコニコ町会議”が1番早く開催されるのが、鳥取県の八頭町。応募した地元ユーザーは鳥取県の人口が全国最下位で知名度が低いことを嘆いていたが、ここで夏野氏からも衝撃の事実が。なんと、鳥取県の登録ユーザー数が、外国である香港に負けているというのだ。香港の登録ユーザー数が10万人いるのに対し、鳥取県の登録ユーザー数は惜しくも8万人。唯一香港に負けている地域で、台湾に至っては大差をつけられての完敗となるそうだ。夏野氏は「この“ニコニコ町会議”を機に、鳥取県を掘り起こしたい」と熱く語った。

■2012年8月5日(日)佐賀県 唐津市呼子町“水光呼子港まつり”
つぎに開催されるのが、佐賀県の唐津市呼子町。“遊海夏(ゆかいな)運動会”では、コスプレ衣装で登場した参加者が、会場に張ったロープを利用して降り立つという“愉快な”イベントが実施。またマスコットキャラクターであるイカの“サキちゃん”と“ケンちゃん”も来場し、“ニコニコ町会議”でも最大規模となるお祭りが開催される。

▲地元ユーザーからのメッセージ
「自分が住む唐津市(呼子町)は、都市部のようにニコ動が大流行しているわけではありませんが、TSUTAYAでは最近ボカロや歌ってみたの曲が徐々に増えてきて、カラオケの履歴にもボカロの曲が…! なので、ぜひ唐津で会議を開いてさらに盛り上げてください! 観光もできて海でも遊べて、ニコ動を知る事もできて、そんなイベントを開いてもらえたらと思います!」

■2012年8月11日(土)北海道 長万部町“飯生神社例大祭”
第3回目は北海道の長万部町。何かと話題の人気マスコットキャラクター“まんべくん”も登場するほか、会長さんが“歌ってみた”り、町役場の職員のみなさんが“踊ってみた”りするのだとか。これも見逃せないイベントとなりそうだ。

▲地元ユーザーからのメッセージ
「長万部では歌い手さんや、ボカロ曲のライブがあったらとても嬉しいです!! 町会議限定のグッズや、生放送もあったら嬉しいです。楽しみにしています!!!!!!」

■2012年8月16日(木)福島県 三春町“三春盆踊り”
第4回の福島県の三春町については、夏野氏いわく“ニコニコ動画”としてはぜひともで開催したかった場所だとか。というのも、福島県で開催される“三春盆踊り”は江戸時代から300年以上続いている伝統的なもの。「“ニコニコ動画”と対極にある格式高い盆踊り」と夏野氏が語った盆踊りと“ニコニコ動画”の融合には、感慨深いものがあるようだ。

▲地元ユーザーからのメッセージ
「私は三春町という所に住んでいて、通っている中学校が来年で閉校になってしまいます。学校では、中学生がこの地域に中学生は居たんだという証を作るために様々な活動を行っています。その集大成として、中学校生活をより良いものに出来るように、そして最高の思い出が出来るように最後の「夏祭り」をいっしょに盛り上げてください!」

■2012年8月30日(木)東京都 八丈島(八丈町)“離島甲子園”
ファイナルを飾る東京の八丈島(八丈町)では、“離島甲子園”という野球大会が開催される。この野球大会は元プロ野球ロッテオリオンズの村田兆治氏の活動がきっかけで生まれ、今年で開催は5回目。北は北海道から南は奄美大島まで、全国の離島在住の中学生による、唯一の離島在住の中学生による全国野球大会となっているのだ。

▲▲地元ユーザーからのメッセージ
「町会議ファイナル八丈島と聞いてうかれています! 企画では特産品のくやさを食べながら焼酎を飲む宴生とかも面白いかもしれません。なんでもご協力したいと思っております、よろしくお願いいたします。追伸:勝手ながら町会議の歌をつくらせていただきました。(sm17734229)」

■ご当地時報 大募集”
と、ここで、夏野氏による“ご当地時報”の募集が告知された。“ご当地時報”とは、“現地の人でないと伝わらない日常会話”をテーマにした“現地の人でないと伝わらない時報”のこと。募集は2012年7月18日(火)の15時から各会場の終演時刻まで行われ、採用された時報は現地会場とニコニコ動画内にて放送される。応募はスマートフォン用アプリ『ニコルソン』(iOS、Andoroid対応、PC試聴可能)より受け付けている。

また、ユーザーマーケットの出展者や、地元で運営を手伝ってくれるボランティアスタッフ、輪ゴム銃も募集されている。詳細は“ニコニコ町会議 全国ツアー2012”の公式サイト(→こちら)をチェック。

“ニコニコ超会議 最終赤字額報告”

 そして、気になる“ニコニコ超会議”の最終赤字額報告が行われた。“ニコニコ超会議”とは、”ニコニコ動画”を運営するドワンゴ主催のイベント。2012年4月28日、29日に幕張メッセにて開催され、会場来者数は9万2千人を超えた。本イベントは開催前から赤字になると想定されていたのだが、果たして実際どれくらいの赤字になったのだろうか? VTRでは熱い歌や映像とともに会場の様子が流れた後、関係者による「で、今日でニコニコ動画はいくら儲けたの?」「あの、大赤字です」「大赤字? それ儲かるの?」「儲かりません」という切ないやりとりが。画面に大きく映し出された数字が1ケタ1ケタと刻まれていき、ファンファーレとともに発表された“最終赤字額”は、4億7081万25円。あまりの額に会場にいた取材陣は皆黙り込んでしまい、シャッターを切る音だけがむなしく響いたのだった。

 また、“反省会”と称して放送された映像では、「僕はやりすぎちゃったかなと思ったんだけど、社員はやりきった感があるよね(笑)」と、とても反省会とは思えないほがらかな会話がやりとりが交わされたあと、ネットユーザーの「これはニコニコしていられないな。ワロス」、「ドワンゴがオワンゴォ!(エコー付き)」という声も自虐的に読み上げられた。かと思えば、突然「あの超会議の思い出はもう忘れてください。なぜなら、思い出とは浸るものではなく、何度でも作り出すものだから」という熱いナレーションとともに、“ニコニコ超会議2(たぶん)”の開催が発表された。開催希望日は2013年4月27日(土)と28日(日)の2日で、開催希望場所は前回と同じ幕張メッセ。詳細は“ニコニコ町会議 全国ツアー2012”の各会場での発表が予定されており、ファイナル公演(八丈島)では、開催に関わる最終報告が行われるとのこと。

 最後に行われた質疑応答では、取材陣やユーザーからの質問が多数寄せられた。「“ニコニコ町会議”も赤字の予定ですか?」という質問に川上氏は「ニコニコ町会議は基本(入場料)無料なので、黒字のなりようがないです。が、車での移動なので、経費は微々たるものです」と回答。「赤字はどのくらいを想定していたのですか?」という問いには川上氏が「最初は2億? “1億まではいい”っていう話をしていたんですよね」と笑いながら答えた。ネットユーザーの「秋祭りは対応しないのか」という疑問は、夏野氏いわく「夏祭りが終わってから考えます」とのこと。また、証券会社からの「“ニコニコ超会議”は金銭面以外でのリターンやプラス効果はとれてしかるべきですが、その点はどうでしょうか?」という現実的な質問に対し、夏野氏は「メディアにあれだけ取り上げられるとは思っていなかったですね。連休中の風物詩としてほぼすべての局などで報道して頂いて、40代、50代以上の方に初めて知って頂けた。また、ビッグサイトを上回る集客規模を実現してしまったので、今後いろいろな企業との提携がやりやすくなったと思っています。プレミアム会員数についてももちろんプラス効果はありましたが、時期柄というのもあるので、それはあまり重視していません」と答えた。「赤字とのことですが、何に1番を費用かけたのですか?」という視聴者も気になるであろう詳細については、野夏氏が「僕らがこういうイベントをやるのは初めてで、何にどれくらいかかるのかを把握していなかった。イベントを成功させるためにはこれも必要だろう、あれも必要だろうとどんどん追加していったらこの額になりました。次回からはもう少し計画性を持ってやろうと思います」と苦笑いしながら答えた。また、鳥取県出身の記者が「正直(鳥取県)に人が集まるとは思えないのですが、イベントでの勝算は?」と訊ねると、野夏氏は「まったく考えてません」と答えて会場を沸かせ、その後「ただ、“ニコニコ町会議”は単純に生放送のコンテンツとしてもかなり楽しいと思うんです。町のお祭り自体が行けば楽しいものなので、ネットやこの機会を通じてぜひ触れて欲しいですね。ニコ動はそのツールになりえると思っていますし、ネットでも展開するということに意義があると思います」と熱い思いを語った。川上氏もこれに賛同し、「日本にももっとおもしろいものはいろいろあると思うんですよね。一般ではあまり日が当っていないコンテンツでも、ニコ動ではとても人気があって視聴率が高いんです。日本の伝統芸能など光を当てていきたいなと思っています」とコメントした。