魅力的なキャラクターたちはこうして生まれた
松原達也(右)
科学アドベンチャーシリーズのプロデューサー。発売を迎えたいまも、プロモーションなどで休むことなく多忙な日々を過ごしている。
シナリオ
林 直孝(左)
MAGES.専属のシナリオライター。科学アドベンチャーシリーズの執筆を手掛けるほか、ゲームシナリオ、ドラマCD、ライトノベルなどを執筆。
個性的なロボ部の面々、メインキャラクター誕生秘話
――ではここから、キャラクターについて伺いたいと思います。まずは主人公の海翔が、格ゲーオタクという特徴はありますが、過去2作に比べるとふつうの少年という第一印象がありました。
林 どちらかというとストイックさを強調したキャラクターになっています。海翔に関してはかなりの紆余曲折がありました。最初は熱血キャラで、変なキメポーズ6 があった時期もありました。
――それが変わっていった理由は?
林 科学アドベンチャーを初めて遊ぶ方が入りやすいものにしたかったというのがまずひとつあります。後はみんなでがんばるお話なので、主人公がひとりだけ突出していると連帯感が薄れる感じがしたんです。海翔とあき穂は、ふたりでワンセットくらいの感じで個性付けをしています。海翔にも痛々しさは残していますが、『カオスヘッド』や『シュタインズ・ゲート』ほどのアクの強さはないかもしれません。
松原 今回は格ゲーにしか興味のない少年が世界を救っちゃうというお話です。そのギャップがカタルシスになっていて、格ゲーマニアってユーザーさんに近いところにいる人たちだと思いますし、そういう人が世界を救う可能性があるところに、おもしろさがあると思っています。
林 その点でいうと、主人公が成長していくところはこれまで通りですね。
――科学アドベンチャーにはネットスラングも毎回出てきますが、今回はフラウがひとりで担っていて、ほかの人はぜんぜんわからないという立ち位置も新鮮ですね。
林 『カオスヘッド』は主人公が二次元オタクでネット漬けですし、『シュタインズ・ゲート』は舞台が秋葉原だったので、主人公がネットスラングを使うのは自然でした。ですが2019年の種子島に、2012年のネットスラングを使う人間は多分いません(笑)。そこは世界設定に合わせて、必然性のある形に何とか落とし込みました。
――2012年のネットスラングを使わせるというのは、やはり2012年に遊ぶシリーズのファン層に向けた要素ですか。
林 そうですね。過去2作ともにネットスラングを使うキャラクターがいたので、その空気を残したいという思いはありました。ただ、2019年のネットスラングなんて誰も見たことも聞いたこともない(笑)。誰もわからないので死語という設定にしています。
――少し話がそれましたが、キャラクターの見た目や個性付けのデザイン面での特徴や苦労について伺えますか。海翔は伺いましたので、あき穂はいかがでしょうか。
林 ロボ部のメンバーに関しては、最初からロボット造りをするうえでの役割が決まっていました。その中であき穂は部長であり、主人公以上に物語を引っ張る役回りなので、必然的に明るいキャラクターになりました。さらに空回り感を出すことでダメ部長の烙印を押されていて、うまくいっていない感じを作りました。
――最初のうちはとくに、海翔よりもあき穂のほうが主人公っぽいですよね。
林 そうですね、物語のテーマ的にあき穂にも成長要素がありますので、先ほども言ったように海翔とあき穂のふたりが揃って主人公、というイメージです。あ、これは余談ですが、デザイン的にはキャラデザの福田がおヘソにこだわっていましたよ(笑)。僕の勝手な想像ですけど「おヘソが見えていないとダメだ!」と思っているはずです。
松原 それ福田君が聞いたら怒るんじゃない?(笑) だって、それは林君が「片手を上げたときにおヘソが見えるデザインじゃなきゃイヤだ!」って熱望してた気が(笑)。
林 そう言えば、セーラー服なら裾から肌が見えてないとダメだと思うので、そこは注文した覚えが……。って、あれ、ということは僕の影響なんですかね? あの制服は。
――ヘソChu☆Chu! 7 もありましたし、完全にそう見えます(笑)。
松原 やっぱ林君のせいだよ(笑)。
林 あ、やっぱり僕のせいだ。僕でした(爆笑)。
――つぎに昴ですが、父親との対立や、天才肌でツンデレなところなど、性別は違いますけど紅莉栖を連想させますね。彼に関してはいかがでしょう?
林 たしかに「昴が女の子だったら最高だったのに」って誰かに言われたことがあります。それぐらいツンデレな少年です。最初は突っかかってくる生意気なキャタクターは、あとからデレることでより一体感が出て、好感度もアップしていく。クールに見えてお茶目なところも多々あるので、僕としては人気が出そうな気がしています。あとは変なマスクつけたり……あ、これは言っちゃダメでした。ここはカットでお願いします! トップシークレットです。
――それに関してはオープニングにヒントが……まあ、過度なネタバレはなしということで(笑)。つぎはフラウですが、昴が紅莉栖だとすれば、彼女はダルに近い印象ですね。もちろん見た目はぜんぜん違いますが、個性付けも楽しいキャラクターだったんじゃないですか?
林 楽しかったですよ。志倉に「科学アドベンチャー史上でもっとも痛い子だ」と言われたくらいですから。実際に腐女子の方のTwitterなどを見て勉強しまして、僕なりに解釈した腐女子の生態を入れていった結果、いろいろな意味で大変なキャラクターに仕上がりました。変態っぷりは史上最高じゃないでしょうか。フラウ役の名塚さんには相当苦労をおかけしながら演じていただきました。
――そもそもフラウみたいなキャラクター自体、あまり前例がないと思います。
林 ここまで腐女子っぷりを前面に出したキャラクターは少ないでしょうね。
松原 名塚さんは当然ながらネットスラングがわからないので、音声収録のときに毎回スラングの解説辞書みたいなものを作って、それをお渡ししてやってました(笑)。
林 「?ですしおすし」の「おすし」にはとくに意味はないのでふつうに言ってください、とかそういうところまで説明しました。で、ほかの役者さんたちにもフラウが大人気でした。ゲームの音声収録は別録りだったんですが、完成した後ドラマCDを録る機会があって、メインキャストさんが揃ったんです。そこで初めてフラウの生の声を聞いて、みなさんかなり衝撃を受けていましたね。「なんだあのキャラは! でもすごくかわいい!」というような反応で、僕たちも安心しました(笑)。
――淳和についてはいかがでしょう。
林 淳和は変な人ばかりが集まっているロボ部ではふつうの人で、ある意味貴重な存在なんですよね。いつもまわりに翻弄されてしまい、涙目になっちゃうんですが(笑)。
――先月の志倉さんのインタビューでは、最初はふたりだったと聞きました。
林 はい。都市伝説好きと、気弱な空手好きで別々にふたりの女の子がいました。キャラが多すぎると散漫になっちゃいそうだったので、合体させようかと(笑)。
――ロボットものだけに(笑)。変更後の周囲の反応はいかがでしたか?
林 いや、べつに勝手にやったわけじゃないですよ! ちゃんとふたりを合体させていいか志倉や松原に聞いて確認を取ったので、納得してもらえていると思います。
松原 僕の立場としては、3Dモデルが1体減って助かりました(笑)。
(後編に続く)
ファミ通Xbox 360 8月号
●表紙&特集:『重鉄騎』
Kinect専用タイトルとして発売された『重鉄騎』が表紙&特集!
中盤までの攻略情報はもちろん、本作のコラボレーショントレーラーを制作した、
押井守監督インタビューも掲載。
●特別企画:E3 2012 リポート
6月5~7日にアメリカはロサンゼルスで開催されたゲームショウ"E3"を
ファミ通Xbox 360視点でリポート。
今年もXbox 360タイトルが多数出展されており、それらをひとつでも多く掲載した!
気になるゲームはあるかな?
●総力特集:『ロボティクス・ノーツ』
ついに発売となる科学ADV第3弾、
今回はプロデューサーの松原さん、シナリオの林さんにインタビューを敢行。
ここだけの話をたっぷり聞いてきた。今号を読めば、本作をより深く楽しめるはず!?
●特別付録:Xbox 360版&『モンスターハンター フロンディア オンライン』ファミ通チケット 入手イベントコード
<ガンランス>FMXや<大剣>ディグスソードなど、17種類のオリジナル武具いずれかが生産可能となる、ファミ通チケットの入手イベントコード!
※本イベントコードの入力期間は、2012年6月29日(金)18:00から2012年10月24日(水)定期メンテナンス開始までとなります。
●新作&攻略ゲーム
バイオハザード 6
ロスト プラネット 3
アサシン クリード III
DmC Devil May Cry
ウィッチャー2
DEAD OR ALIVE 5
ゴーストリコン フューチャー ソルジャー
マックスアナーキー
ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ
ラブ☆トレ
マックス・ペイン3
ロリポップチェーンソー
ほか
●連載
Valhalla FREAKS [板垣伴信]
Highスペックマシン;Lowスペックマン [志倉千代丸]
海外ゲームマニアックス
実績解除愛好会
ほか