『セガビンテージコレクション』から新生『セガエイジス』シリーズへ

『SEGA AGES ONLINE』セガの誇る名作の数々をいま発売する意義とは?【よりぬきXbox 360 8月号】_02
『SEGA AGES ONLINE』セガの誇る名作の数々をいま発売する意義とは?【よりぬきXbox 360 8月号】_01
セガ
第三CS研究開発部
奥成 洋輔

――今回『SAO』を開発するにいたった経緯を教えてください。
奥成 ふたつ流れがありました。まずひとつ目として、以前より『セガビンテージコレクション(SVC)』というシリーズがあり、過去2回に分けて配信した流れで『SVC3』にあたるものを出そうという考えがありました。つぎに、僕はプレイステーション2の『セガエイジス2500』シリーズや、Wiiのバーチャルコンソールなども手掛けてきた中で、とくに『セガエイジス2500』は日本国内向けのもので、海外展開はやっていなかったんですよ。でもせっかく作ったものなので、海外でもやってみたいと思っていました。そこで、ドリームキャストタイトルの復刻を開始しつつ、これまで海外で開発されていた『SVC』を日本でやろうということになり、開発が始まりました。ラインアップは、海外で発売された『ULTIMATE GENESIS COLLECTION』に収録されていないもの中心で選択しました。またマイクロソフトさんと企画を話し合う中で、ソフトを単品ではなくセットにするアイデアが出て、最終的に今回の販売形式になりました。『ゴールデンアックス』と『ベア・ナックルII』はXBLAで過去に出したタイトルなのですが、シリーズのほかのタイトルも出したかったので改めて開発することになりました。開発している会社が違うので、イチから移植し直しています。今回開発をお願いしたM2は、遅延をなくすことに命をかけている会社なので(笑)、とくにオンラインプレイのラグを感じなくなったというご意見もいただきます。これまでの『セガエイジス2500』シリーズで培ったノウハウを発展させるような形で、ふつうにプレイしてもらうだけではなく、なにか追加の遊びを入れたいということで生まれたのが、この『SAO』です。

――開発期間はどれくらいですか?
奥成 うーん、いつをスタートにするかによるのですが、2年くらいはかかっていますね。かなり長いです。今回は開発も一新し"トライアル"や"ジュークボックス"を加えたことと、また単体ではなくパックで売るということもあり、お客さんには「グレードアップしたんだよ」という意味も込めてブランド名を変えてみました。開発を担当したM2も『SEGA AGES』という名前に対する強いこだわりがあって、「ぜひこのブランドでもう一度やりたい」という話で決めました。『セガエイジス2500』では、僕が担当した後期タイトルの3分の2を開発しています。

――早い段階から開発はM2さんにと?
奥成 そうですね。『セガエイジス2500』を作っているころからノウハウも貯まっていたし、いろいろなことができるだろうという目論見もありました。海外ではあまりM2開発のタイトルは出ていないし、彼らの移植へのこだわりを海外の人たちに知ってほしかったというのもあります。

――新要素の"トライアル"は?
奥成 M2のほうから「今回はランキングにこだわりたい」という意見があり、誕生したのが"トライアル"です。アイデアはM2さんによるものです。移植モノですから、できることには制限があります。オリジナルのプログラムをベースに、その範囲で破綻のないおもしろいアイデアを考える必要がありました。プランニングとプログラミングの中間を取っていくのにM2は長けていると思いますね。これまでの『SVC』のように、ただ移植してふつうに遊んでもらうというのはもうひと通りやりつくした感じがあります。お客さんからもよく聞くのですが、「このタイトルを買うのは何度目だろう」と(笑)。だからこそ今回は「これがあるから買う」ということを入れたかったわけです。プレイステーション2の『セガエイジス』は、パッケージソフトの特性を活かしてマニュアルやギャラリーなどの特典に凝りましたが、今回はダウンロード販売ですから、もう少しカジュアルに遊んでもらうでしょうし、だったらこういうアプローチだろうというアイデアから出てきたのが"トライアル"です。移植元のゲームが好きな人ほど新たな新発見が楽しめるので、強くアピールしたいところです。以前に同じソフトを買ってくれた人や、さんざんやり込んでくれた人にこそ、もう一度『SAO』で遊んでほしいですね。ランキングも、これまでずっとやり込んでくれた人がスコアを公に出すという意味でもおもしろいのかなと思います。

――実際に配信されての反響は?
奥成 出たばかりでまだこれからなのですが、今回は海外の反響が気になるゲームがあるんです。まず英語版を新たに開発した『モンスターワールドIV』。また、『ワンダーボーイ モンスターランド』のアーケード向けの英語版も、じつは"幻の1本初公開"だったりするんですよ(笑)。

――海外では出ていなかったんですね?
奥成 はい。『ワンダーボーイ』シリーズはとくにヨーロッパで人気が高くて、でも日本でとくに人気の高い『IV』が、肝心のヨーロッパで出ていなかったんです。それが今回約20年ぶりに翻訳して出すことができました。最新のスタッフがいまの技術で翻訳しているので、クオリティの高いものになっています。"氷のピラミッド"で日本語のしりとりによるパズルのようなものがあるのですが、そういったものもうまく再現していますし、ウラ技で最強の鎧を手に入れるときも商人が「みんなにはナイショだよ」と『ゼルダの伝説』を思わせるセリフがあるのですが、英語版では『ゼルダ』の英語版と同じにしてほしいとお願いしました(笑)。海外のレビューなどでは気づいてくれていて、わかる人はわかるんだなぁと思いました。

――当時のウラ技なども再現?
奥成 そうですね。変な話、バグを利用したものも含めて再現しようと。それから『スーパー忍』のウラ技の"無限手裏剣"も使ったうえで可能な実績を考えようとしました。3本パックにして唯一残念なのは、実績のポイントを増やせなかったことですね(笑)。

――今後は反響次第ですか?
奥成 『SVC』としては3期目になるわけですが、『1』と『2』があるから『3』があるわけで、当然『3』が売れれば『4』もやろうということになりますよね。XBLAも、初期に比べるとパッケージと見紛うばかりのクオリティのものも増えてきましたし、そんな中で昔のタイトルに新しい遊びを加えたものを出すというのをテーマにした本作が、どう評価されるのかは楽しみでもあります。

『セガエイジス』とドリームキャスト復刻シリーズ

――ドリームキャストの復刻シリーズはどうなっていますか?
奥成 これまで4本出して、『スペースチャンネル5 Part.2』と『ゲットバス』が出てからかなり経ってしまったのですが、もちろんつぎのタイトルも開発しています。『スペチャン』と『ゲットバス』のときは焦って発表してしまい(笑)、お客さんを1年も待たせてしまったので、発表から配信日までの時間というのはいつも考えています。その反省も踏まえ、今回のように知名度のあるタイトルの場合は、発表してわりとすぐ買えるほうがいいだろうと考えました。できるだけ配信日も言えるようなタイミングで発表できたらいいなぁと思いますし、ということは、海外で発表していて日本では未発表のものも……ということですね(笑)。

――あー、アレのことですね(笑)。
奥成 タイトルを出しちゃいますが(笑)、『ジェットセットラジオ』の場合はそういった部分も含め日本での発売を検討させていただいているところです。ただこのゲームはこれまで移植した4本のタイトルと違って、日本版と海外版の仕様が細かく異なるので、簡単にはいかないんですね。とくにこのゲームにはなくてはならない音楽についても、権利関係がひとつひとつ異なるので、新たに契約し直すのにかなり時間をかけています。当時はインディーズで、現在は大手のレーベルと契約していたりとか、配信地域ごとで別契約だったりとか、いろいろありましたが、海外版に関してはいま99%契約がまとまっています。日本で出すことができるならそのまま持っていきたいですね。

――シリーズの今後はどんな予定ですか?
奥成 僕がやっているのは、基本的にセガの過去の名作を現代に復刻するというもので、ドリームキャストのタイトルはHDになるだけでも十分なものがありますし、メガドライブのようなとくに懐かしいタイトルは何か新しい遊びを入れたい。あとはセガサターンのタイトル。『ガーディアンヒーローズ』が好評だったので、今後も復刻したいですね、というか具体的に1タイトルの開発を進めており、間もなく発表できると思います。

――どんなタイトルの移植希望が?
奥成 ハード別でマチマチなので、なかなかこれとは言いにくいですが、今回『スーパーハングオン』を立体視にしたところ、当然そういった体感ゲーム系を遊びたいという声はいただきますし、「『モンスターワールド』の『2』は?」というご意見もあります。移植希望については想定範囲ではあるのでもちろん移植する際のアイデアもたくさんあるのですが、つぎの『SVC4』のためにもぜひ買ってほしいですね。今回のラインアップを決めるときも紆余曲折があって、タイトルを絞り込む中で残念ながら落としたタイトルもありますから、もし『SVC』第4期、つまり『SAO』の第2弾ができるのだったら、ぜひ実現させたいというのはありますね。

――最後にメッセージをお願いします。
奥成 セガの名作はまだまだたくさんあります。「『○○』はいつ出るんだ?」といったご意見は、「セガへのご意見」までリクエスト(http://sega.jp/opinion/)してください。我々も精一杯努力しておりますが、日本で出し続けるには、皆さんの具体的な反響が命綱です。気になるタイトルは実際に触れていただき、気に入ってくださったらぜひ完全版へアップグレードしてください。日本で出るかどうかは皆さんの応援次第です!

ファミ通Xbox 360 8月号

 

●表紙&特集:『重鉄騎
Kinect専用タイトルとして発売された『重鉄騎』が表紙&特集!
中盤までの攻略情報はもちろん、本作のコラボレーショントレーラーを制作した、
押井守監督インタビューも掲載。

●特別企画:E3 2012 リポート
6月5~7日にアメリカはロサンゼルスで開催されたゲームショウ"E3"を
ファミ通Xbox 360視点でリポート。
今年もXbox 360タイトルが多数出展されており、それらをひとつでも多く掲載した!
気になるゲームはあるかな?

●総力特集:『ロボティクス・ノーツ
ついに発売となる科学ADV第3弾、
今回はプロデューサーの松原さん、シナリオの林さんにインタビューを敢行。
ここだけの話をたっぷり聞いてきた。今号を読めば、本作をより深く楽しめるはず!?

●特別付録:Xbox 360版&『モンスターハンター フロンディア オンライン』ファミ通チケット 入手イベントコード
<ガンランス>FMXや<大剣>ディグスソードなど、17種類のオリジナル武具いずれかが生産可能となる、ファミ通チケットの入手イベントコード!

※本イベントコードの入力期間は、2012年6月29日(金)18:00から2012年10月24日(水)定期メンテナンス開始までとなります。

●新作&攻略ゲーム
バイオハザード 6
ロスト プラネット 3
アサシン クリード III
DmC Devil May Cry
ウィッチャー2
DEAD OR ALIVE 5
ゴーストリコン フューチャー ソルジャー
マックスアナーキー
ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ
ラブ☆トレ
マックス・ペイン3
ロリポップチェーンソー
ほか

●連載
Valhalla FREAKS [板垣伴信]
Highスペックマシン;Lowスペックマン [志倉千代丸]
海外ゲームマニアックス
実績解除愛好会
ほか