PlayStation Netowork利用者はとりあえずチェックだ!

 ソニーは、2012年7月4日、定額制音楽サービス“Music Unlimited(ミュージックアンリミテッド)”のメディア向け体験会を開催した。

 “Music Unlimited”は、2012年7月3日に急遽発表されるとともに、サービススタートとなった定額制音楽サービスだ(発表内容については【コチラ】)。30日間1480円[税込]の利用料を支払えば、PS VitaやPS3をはじめ、Android搭載”ウォークマン”やAndorid搭載スマートフォンなど幅広い対応機器で、1000万曲を超える楽曲を、ストリーミングにより聴き放題で楽しむことができる。

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 その最大の特徴のひとつが、ひとつのSony Entertainment Networkアカウントで管理することにより、所有している対応デバイスのすべてでサービスを利用できること。これはどの端末でも楽曲を聴けるというだけではない。マイリストやチャンネルなど、自分なりにパーソナライズした環境も、クラウド上で管理されるため、どの端末でアクセスしてもまったく同じように扱うことができる。簡単な例を挙げると、たとえば自宅のPS3で作成したプレイリストは、とくにデータの移行やコピーなどのわずらわしい手続きをしなくても、そのまま外出先でPS Vitaを使った場合にも利用することができる。

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▲対応端末はPS3,PS Vita、PC/MAC、Android搭載端末(スマートフォン、ウォークマン、タブレット)。2012年7月中旬以降に、ブラビアなどネットワーク対応液晶テレビ、ソニー製ブルーレイディスクプレイヤー、ソニー製マルチチャンネルインテグレートアンプ、iPhone/iPod Touchに対応予定。

 自分なりの音楽環境を構築する、という部分については、ユニークな仕組みが採用されている。このサービスでは、お気に入りの曲を集めてプレイリストを作ったり、お目当ての楽曲を検索(アーティスト名、楽曲名、アルバム名で検索可能)して聴いたり、といった能動的な利用ももちろん可能だが、音楽ジャンルや年代などのテーマに応じた“チャンネル”を選択し、そこから流れてくる楽曲を楽しむこともできる。このとき、ユーザーがどんな曲を“好き”と判断したか、そのデータが蓄積されていくため、使い込めば使い込むほど、ユーザーの嗜好にマッチした楽曲が選択され、流れてくるようになるわけだ。このユーザーのデータは、やはりクラウド上で管理されるため、どの端末からアクセスしても、蓄積してきたユーザーデータが反映された環境で楽しむことができるのだ。
 なおこのユーザーデータについては、聴取履歴だけでなく、PCなどの端末に保存されている楽曲(ノンDRMのものに限る)を解析してカタログ化し、反映させる機能もあるとのことだった。

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PS Vitaユーザーなら使わない手はない!?

 サービスのさらに詳細な概要については、公式サイトをご覧いただくとして(30日間無料で利用することも可能!)、ここでは本日の体験会においてとくに入念にチェックした、PS3、PS Vitaで利用した場合のメリットについてお伝えしよう。
 まず大前提として、PS3やPS VitaでPlayStation Networkを利用している人なら、Sony Entertainment Networkアカウントをすでに所持している、という点が大きい(お忘れの方もいるかもしれないが、“PlayStation Networkアカウント”は2012年2月に“Sony Entertainment Networkアカウント”に名称変更されている)。最初にわずらわしいアカウント作成手続きを踏まなくて済むのは、いちばんありがたいポイントかもしれない。

 PS3で利用した場合の最大のメリットは、やはり“快適さ”に尽きる。ユーザーインターフェイスや画面デザインは、どの端末においてもほぼ共通だが、PS3の場合、非常に動作がキビキビとしており、極めて快適に操作することができる。また、Android端末などで利用する場合は専用のアプリケーションをダウンロードし、インストールしておく必要があるが、最新の状態にアップデートされたPS3であれば、クロスメディアバーの“MUSIC”内にある“Music Unlimited”のアイコンを選択するだけで、すぐにサービスが起動する。

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 PS Vitaの場合は、まずPlayStation Storeでアプリケーションをダウンロードし、インストールしておく必要がある。PS3と比べて、準備には若干の手間がかかるが、操作の快適性はPS3版にひけをとらないし、タッチによる操作性も良好なので、人によってはPS Vitaのほうが好みに合うかもしれない。
 また、本サービスは楽曲をストリーミング配信するサービスなので、利用する際は、原則的にインターネット接続が必要になる。しかしPS VitaとAndroid端末(スマートフォン/ウォークマン)では、オフライン再生に対応している。Wi-Fiによるインターネット接続が可能な環境下で、事前にプレイリストをキャッシュ化しておけば、Android端末で最大4000曲、PS Vitaで最大1000曲までキャッシュ化し、オフライン状態でも楽曲を楽しむことができるのだ。キャッシュデータはフラッシュメモリ(PS Vitaなら専用メモリーカード)に保存されるため、当然ながら、キャッシュ可能な最大曲数はメモリーカードの容量に左右される。
 ちなみにPS Vitaの場合、ゲームプレイ中にバックグラウンドで“Music Unlimited”を利用することもできるとのこと。

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現状ではまだ課題も――今後さらにすぐれたサービスに

 規模的にも、システム的にも、いままでにない魅力を備えた“Music Unlimited”だが、課題もいくつか残っている。もっとも気になるのは、楽曲の充実度についてだろう。1000万曲超というとかなりの量ではあるが、たとえばiTunesの登録楽曲数は、アップルの公式説明によると2000万曲以上にも上る。また、“Music Unlimited”の1000万曲超のうち、邦楽は数万曲、という水準だという。楽曲数については今後順次拡大していくとのことだが、今後このサービスが成功を収めるためには、もっともネックとなりそうな要素だ。 また、現時点ではクレジットカード決済にしか対応していない。前述のように、PlayStation Netoworkを利用している人は、すなわちSony Entertainment Networkアカウントを所持している人であり、本サービスへの利用障壁がもっとも低い層だ。彼らがサービススタート時の牽引役となってくれることが理想だが、PlayStation Network利用者の中には、クレジットカード決済を好まず、PlayStation Networkカード/チケットによる決済のみを利用している人も相当数存在する。より多くの利用者を獲得するためには、やはり決済方法の多様化も検討してほしいところだ。

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▲海外版のものと思われる『Kingdom Hearts』、『Halo』、『Asassin’s Creed』などのゲーム関連楽曲も。ゲームファンにとっては、こうしたジャンルの拡充も期待したいところだ。

 いくつかの課題は残っているものの、“Music Unlimited”は、価格的にもバランスがよく、何より“音楽の新しい楽しみかた”を提示してくれているという点で、非常に画期的なサービスだと言える。おそらく読者の多くは、多彩な対応端末のいずれかは所持しているだろうし、Sony Entertainment Networkアカウントを持っている人も多いはずだ。最初の30日間は無料体験期間となっているので(無料期間中にサービス停止手続きを取れば課金は行われない)、まずは一度体験してみてはいかがだろうか。