“ラングリッサーを今風に甦らせる”ブラウザゲーム
ガマニアデジタルエンターテインメントのブラウザゲーム『ラングリッサー トライソード』。プレオープンβテストの開始を控えた本作について、同社商品開発部でプロデューサーを務める古川浩史氏と、オンライン事業本部でディレクターを務める梅本清一氏に話を聞いた。
――そもそも本作の企画が立ち上がった経緯からお伺いしてもいいですか？
梅本 クライアント型オンラインRPGの『ラングリッサー シュヴァルツ』を開発していくにあたって、弊社はブラウザゲームも得意ですので、そちらでも提供できないかと検討課題にあがったのが最初ですね。いろいろ試す内に、『ラングリッサー』の要素を踏まえたブラウザゲームで出来そうだということで、「これは行けるだろう」とゴーサインが出ました。
――ゲームとしてのコンセプトはどのような感じだったのでしょうか。
古川 『ラングリッサー』というタイトルは第1作から20年以上経ちますが、いまだに根強いファンがいらっしゃいますので、当初は原作のファン向けに、原作のキャラクターを使って原作の舞台でやるということを考えていました。が、途中で「いまブラウザゲームで出すのであれば、もっといまのユーザーにもアプローチできるものにしたい」というオーダーが出てきまして、そこでちょっと方向転換しています。
梅本 今は、「ラングリッサーを今風に甦らせる」というコンセプトで進めています。
――デバッグテストのフィードバックはいかがでしたか？
梅本 お陰様で、反応はかなり上々だったと思います。弊社はブラウザゲームを数多くリリースしてきましたが、デバッグテストの段階としては過去最高の応募者数を記録しました。それに関しては、『ラングリッサー』というタイトルの魅力もさることながら、原作ファン以外の方も結構いらっしゃっていただいていたので、弊社でブラウザゲームの好きな層を集められているのかな、という手応えもありましたね。
――年齢層はどんな感じでしたか？ ライト層が多いブラウザゲームに対して、『ラングリッサー』ファンは結構長年のゲーマーだと思うので、どちらに寄っているのか気になるんですよ。
梅本 内訳は出せないのですが、予想よりも原作ファンが多かった印象ですね。それとライト層の人は、『ラングリッサー』にそこまで思い入れがなくても、ひとつの新作としてプレイして頂いているのかなと思いました。
――3つの国から選んで所属する形になりますが、人気の国などは……。
梅本 闇（タケガミ）がちょっと少なく、光（ルミナリア）と帝国（ラスヴェート）が同じぐらいでした。
――みんなもっとムキムキの漢の国に集まって武王の兄貴についていくべきですね……。
古川 原作ファンの方は、闇を選ぶ人も多かったんじゃないかと思いますね。原作は男性キャラクターが魅力的な作品なので。私なんかも闇を真っ先に選んだクチなのですが（笑）。今回、バトルメインのゲームに仕上げていますので、ゲーム性に惹かれる方は闇一択になるかと睨んではいるんですけれども。
梅本 そういったバランスになりましたね、実際。
――デバッグテストで良かった点と変えたい点をお伺いしてもいいですか？
梅本 悪かった点とも重なってくるのですが、やはりいろんなバランスや反応をちゃんとチェックできたのが良かったと思います。グラフィック、中でも動くキャラクター（特別な指揮官キャラクターはアニメーションが入る）が好評だったのもうれしかったですね。また、今回は負荷テストに重点を置いて実施したのですが、通常よりも負荷をかけることでFlash特有の問題を把握できましたし、レギオンバトルをお客様に実際に遊んでいただくことで、バランスの問題もわかりました。「攻めが強くあるべき」というポリシーではあったのですが、少し攻めに特化しすぎたかなと。ここは現在調整していて、プレオープンβテストまでには修正する予定です。
それと、本作が戦略性を重視している分、ちゃんと説明しないとと思ってチュートリアルをじっくり作ったのですが、「細かすぎる」といったご意見を頂きました（笑）。ですので、こちらも改修を行おうと考えています。プレオープンβテストに間に合わせたいですね。
古川 デバッグテストでは、何もない状態からバトルができるようになるまでを一段階ずつ説明していたため、一番オイシイところであるバトルにたどり着くまで時間がかかってしまっていました。今度は最初からパーティーを組んだ状態でゲームをスタートして、まずはバトルのチュートリアルをやって頂いて、細かいところはあとで必要になってから随時チュートリアルを見ていただけるよう、大きく修正しています。
梅本 そのほか、UI（ユーザーインターフェース）周りの改修なども行なっています。
――正式サービスへのスケジュール感などはいかがですか？
梅本 7月6日の15時にプレオープンβテストを始める予定です。“プレ”とついているのは、修正点などが上手く働いているか見させて頂きたいからで、問題がなければその後オープンβテストを実施したいと考えています。できるだけスムーズに正式サービスまで行きたいですね。
――プレオープンβテストでは、すでにお伺いした修正点以外で新コンテンツはありますか？
梅本 本作では原作キャラクターが登場するのですが、ゲームを始めると最初に受ける、女神の質問のところで1体お渡ししようと考えています。戦争でもらえる“RING”を使ったガチャにも原作キャラクターの指揮官が入っていますので、ゲームで戦争に参加していけば、そちらでまた楽しめると。RINGのガチャにはかなりイイ物を入れさせていただいているので、ぜひ参加して頂ければと思っています。
古川 原作キャラクターは、デバッグテスト時は『ラングリッサー』のレディンとクリスのみでしたが、プレオープンβテストでは『ラングリッサーII』からエルウィンとリアナとラーナ、『ラングリッサーIII』からディハルトが加わり、全部で6名になります。
梅本 指揮官のキャラクター数を増やして欲しいという要望もございましたので、そちらも追加しています。キャラクターの魅力アップは大きく力を入れたい部分のひとつですね。動く指揮官キャラクターは、正式サービスキャンペーンなどでご提供できないか検討しています。キャラ自体も増やしていく方向です。メイン画面の左の方に置けるので、手に入れたらぜひ動かしてみてください（笑）。
古川 ゲームバランスとしても、強いキャラクターを5人集めるよりも、指揮官をいろいろ集めて頂いて、戦争に特化したパーティー、クエストに特化したパーティーなど、用途別に組んでいただいたほうが、より遊びやすくなる作りにしています。
――正式サービス以降の方向性などはどうでしょう。
梅本 戦争とバトルに特化したゲームになっていますので、タクティカルバトルがもっと深くなるように、クラスをもっと伸ばしていければと考えています。現在は1職業1クラスですが、2クラス目、3クラス目の上位職のようなものを検討しているところです。物語上では、3ヶ月から4ヶ月をひとつのスパンとして、その間にラングリッサーを手に入れるという目的として動いていきます。ですので、その中盤にはもっとシステム面も充実させて、楽しんでいただけるよう仕掛けていきたいと思っています。
古川 デバッグテストの時は、負荷を見たかったため隣接状態でゲームがスタートしていたのですが、基本的には、ゲーム開始当初、周囲は無所属の土地になります。“龍の刻”と“女神の刻”という、戦争ができる周期とできない周期がありますので、お互い隣接して戦争状態が起こるようになるのはオープンβテストから1ヵ月後ぐらいになります。その頃には戦争がもっと盛り上がるよう、新しい傭兵や関連するスキルを投入する予定ですし、シナリオも進行に合わせて語っていきたいですね。あくまで努力目標ですが、その後に関しても、プレイ状況に合わせてシナリオの見せ方を変えていきたいと思っています。
――ちなみに、『ラングリッサー シュヴァルツ』との連動などは……。
梅本 そうですね……キャラクターの魅力はあると思うので、ゲスト参戦などができたらいいかもしれませんね。
古川 あちらは原作世界の話で、本作は時間も空間も別の世界の新しい話になっているので、直接は難しいのですが、ゲスト参戦といったことができたら面白いかな、とは考えています。
――ところで、原作ファンの方の反応はいかがでしたか？
梅本 非常にさまざまな意見を頂きました。「うるし原さん（うるし原智志氏。シリーズでイラストを手掛けている）の絵があれば」といったご意見も少なからずありましたね。まだ企画段階なのですが、例えば大きなイベント時に、報酬としてイラストを描いていただけないかとか検討しています。
古川 当時の絵をそのまま使うだけなら、権利元のエクストリームさんにお話をすれば可能なんです。でも、20年前と現在の絵は違いますし、せっかくなら今のうるし原さんが描くレディンやクリスを見てみたいですよね。
梅本 原作ファンの方にニヤリとして頂けることはほかにも仕込んでいますのでご期待ください（笑）。
――では最後に、プレオープンβテストやオープンβテストから始める人も多いと思うのですが、最後にオススメのコメントをお願いします。
梅本 かなり戦争に特化したゲーム性になっています。ブラウザゲームだと、村があって、頑張って育てて……というところが多いと思うのですが、本作では思い切って村画面のようなものを取り外しています。その代わりにカードシステムを入れているのですが、カードによって資源の増減が変わってくるんですね。ですので、次の戦争のステージを見て、どんな作戦で行くかを考えながらカードを組み替えたり、戦略性に特化した作りだと言えると思います。ほかのブラウザゲームにはない仕組みも取り入れつつ、深いものになっていると思うので、そういったところを楽しんで頂ければうれしいですね。
古川 三すくみの関係ですとか、相性などもそうですが、『ラングリッサー』の核の部分を、ブラウザゲームというプラットフォームで、今の人達にも楽しんで頂けるものとして企画しています。本作で『ラングリッサー』を知っていただいた方には、弊社でつぎに準備している『ラングリッサー シュヴァルツ』で、原作の世界観をよりディープに楽しんで頂けると思いますので、まずは気軽に触って遊んで頂ければ幸いです。ゲームも、つねに戦争状態が続くゲームシステムを作っておりまして、終盤になっても逆転の目があるようにしています。シナリオとも絡めていろんな仕掛けも用意していますし、長くお付き合い頂ければと思います。
梅本 戦いが激化していくところは絶対に楽しいですよ！
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