真に信頼できる企業を目指す日本マイクロソフト
日本マイクロソフトは2012年7月3日、東京の品川にある同社本社で2013年度経営方針記者会見を開催した。日本マイクロソフトは会計年度が7月1日～翌年6月末日となっており、7月は期始めという重要な時期。会見には、テレビも含め多くのメディアが訪れた。日本マイクロソフト代表執行役 樋口泰行氏は会見の冒頭、日本を取り巻く環境に言及。政治状況は混迷し、ヨーロッパでは広がる信用不安の影響、そして今夏の電力不足への懸念などを挙げ「日本にはさまざまな問題がある」としたうえで、国際競争力を強める必要性を説いた。そのために必要な条件として樋口氏は、人の力に加えて、IT（情報技術）が中心成す認識である、と説明。日本マイクロソフトとしては、そのITの分野を牽引することで「微力ながら（国際競争力の強化）に協力する」考えであるとした。
“微力ながら”と語った樋口氏だが、続いて同氏より明かされた昨年度（2012年度）の実績は、じつに頼もしい内容だ。いわく、日本マイクロソフトは昨年度マイクロソフトグループの中で、ナンバーワンカントリーに選出され、また先進国の中でもっとも高い成長率を記録。法人営業に関しては、数字は不明だが「法人営業はふたけた成長をしている」そうだ。この好調の背景には、2011年に実施した品川への移転が少なからずある、と樋口氏は語る。都内各地に散っていた支社をまとめたことによる業務の効率化はもちろんだが、さまざまな賞を獲得した最先端のオフィス環境の存在も大きい。「物理的にも、電子的にも高いコミュニケーションを実現した」と樋口氏が語る、日本マイクロソフトの品川本社では、昨今話題のクラウドが日常的に使用されているという。充実したオフィスを用意する一方で、会社に縛られない仕事環境も用意したというわけだ。樋口氏はいかにクラウドが浸透しているかを実験するため、誰も会社に来られない日を1日だけ設けた、というエピソードを紹介。不正がないように物理的に会社へ入れない状況にまでしたそうで、結果は……まったく問題なく業務が進んだという。そのほか2012年度の実績として震災復興への取り組みも紹介。日本マイクロソフトでは被災地での就労支援に加えて、再生PCの寄贈などを行い、現在もその取り組みは継続中だという。樋口氏は「着実な進化を遂げた1年でした」と、2012年度をまとめた。
続けて樋口氏は、社長就任5年目の抱負として「変化に俊敏に反応できる組織」作りを目指すとコメント。また過去の4年間を振り返って、最初の3年間は“破壊と創造”による組織土台作りで、昨年から本格的な組織再編に入ったとも話す。「日本で真に信頼できる企業を目指します」（樋口）。そしてソレのキーとなるのが、デバイス、クラウド、ソリューションの3本柱だ。なかでもデバイスに関しては、今年は大きな目玉がある。新OS“Windows 8”の登場だ。2012年3月のコンシューマープレビューでは、公開から24時間で100万ダウンロードを達成し、先日スタートしたリリースプレビューも好調のWindows 8。樋口氏はWindows 8が“市場の起爆剤”になるが期待できるという。これは、Windows 7登場時の市場規模予想が2挑3000億だったのと比較して、Windows 8は「7、95のときよりも大きなジャンプになる」（樋口）からだ。また、Windows 8登場の影響は、日本マイクロソフトのほかの戦略にも影響を及ぼすという。Windows 8では“Metro UI ”という新たなインターフェースを採用している。これはWindow PhoneやXbox 360でも採用されているインターフェースであり、Windows 8が登場し浸透することで相乗効果を生むに違いない。事実、Metro スタイルアプリのパートナーとして国内大手の企業がつぎつぎと手を挙げている、と樋口氏は語った。
記者発表の最後で改めて、日本マイクロソフトを責任ある信頼できる企業にしたい、と語った樋口氏。ICTの力で岩手を中心とした復興支援と日本の競争力向上への貢献、よりより職場環境――具体的には女性が働きやすい企業を目指すと締めくくった。
