一億を超えるPSNユーザーをターゲットにできるプラットフォーム

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 台湾の台北で2012年6月26日から27日までの二日間開催されたゲームデベロッパーズカンファレンス in 台北。同イベントの二日目となる、6月27日にPlayStation Mobileに関するセッションが行われ、その構想の概要が紹介された。ここではその内容をかいつまんで紹介しよう。

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)がオープンなシステム上でプレイステーションの世界を提供するPlayStation Mobile。これは、プレイステーションのゲーム機だけにとどまらず、PlayStation Certifiedデバイス(Xperia. arcや“Sony Tablet”Sシリーズ、HTCのデバイス等)にもプレイステーションの世界を拡大する新たなプラットフォーム。先日のE3 2012に先駆けて行われたプレスカンファレンスで、PlayStation Suiteから、名称が“PlayStation Mobile”に変更されたのは、記憶に新しいところだろう。

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 PlayStation Mobileは、App Storeなどと同様のダウンロードサービス。開発者にとっては、ライトなコンテンツをPlayStation Storeを通じて販売することができ、ユーザーにとっては、PlayStation Storeからさまざまなコンテンツを(おそらく比較的安価に)ダウンロードして楽しむことができる。

 こういったダウンロードサービスでは、コンテンツの数やバリエーションが重要になってくるが、SCEではSDK(プレイステーション Vita、PlayStation Certifiedデバイス上で実行可能なアプリケーションを開発するためのソフトウェア群)の無償提供や、プラットフォームに参入する際の各種手続きも簡素化することで、“いままでよりも開かれたプラットフォーム”をアピールしている。講演したソニー・コンピュータエンタテインメントの杉本氏も、「開発を検討されているゲームの性質や規模などによって考慮するプラットフォームの選択肢がもうひとつ増えたとお考えください」と述べるなど、SCEとしてもPlayStation Mobileをプレイステーション3やプレイステーション Vitaと並ぶプラットフォームに育てたい意図であることもうかがえた。また、既存のコンシューマゲームのデベロッパーはもちろん、ソーシャルゲームなどのライトなコンテンツ制作を得意とする(プレイステーションにとって)新たなデベロッパー、個人のクリエイターの参入を促すことも目標のひとつとし、新たな可能性を模索することがPlayStation Mobileが果たす役割として期待しているようだ。

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 そんなPlayStation Mobileに参入する側のメリットとして、杉本氏は次の点を挙げた。

・コンシューマゲーム機の開発は高額な開発専用機が必要となるが、PlayStation Mobileコンテンツでは、商用のWindowsPCがあればコンテンツ開発が可能。
・プレイステーションには世界にユーザーがおり(PSNアカウントは1億を突破)、一定のニーズが保証されているという安心感。
・プレイステーションが持つグローバルゲームビジネスのインフラと各地域に応じたマーケティング力を利用し、開発されたコンテンツを世界へ向けて簡単にリリースできる。

 ユーザーにとってもプレイステーションのゲーム機やPlayStation Certifiedデバイスでさまざまなコンテンツが楽しめるのは魅力的。コンテンツはPSNのアカウントを使用してPlayStation Storeで購入することができ、一度購入したコンテンツはPlayStation Certifiedデバイスやプレイステーション Vitaで楽しめ、デバイスごとに同じコンテンツを購入する必要はなく、複数のデバイスで購入したコンテンツを利用できる(新しいデバイスを購入した際も同様)。

 杉本氏は、自身の持ち時間の最後に「PlayStation Mobileでは、PlayStation Storeを通して膨大な数のPSNゲーマーへのアクセスできます。また、プレイステーションのブランド力、マーケティング力も利用してほしい」と述べ、PlayStation Mobileのメリットを強くアピールした。

 PlayStation Mobileは現在、年内の正式サービスを目指し、オープンβが実施中(SDK Ver.0.98が公開中)。気になる人は、公式サイト(→こちら)にアクセスしてみてはいかがだろうか。