いよいよ体験版が配信

 ガンホー・オンライン・エンターテイメントより2012年7月5日発売予定のプレイステーション Vita用ソフト『ドクロ』。2012年6月14日開始される体験版の配信を記念して、本作のプロデューサー市川氏とディレクター風間氏のインタビューをお届けするぞ。

 『ドクロ』は、温もり溢れるチョークタッチで描かれた絵本のような世界を舞台にしたギミックアクションゲーム。魔王の手下であるドクロとなって、魔王城から姫を助け出すことを目指す。ドクロは、イケメンに変身することが可能で、異なる能力を持つドクロとイケメンを使い分けて、仕掛けの謎を解きながら進んでいくのだ。

『ドクロ』体験版配信記念、開発者インタビュー_01
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姫は自動的にゴールを目指して進むので、うまくフォローしてあげよう。
ドクロは2段ジャンプが可能で、イケメンは姫を抱っこしたり、敵を攻撃して倒すことができる。

体験版が2012年6月14日より配信開始

 本作の体験版が、2012年6月14日より3週に渡って配信される。1週目の6月14日はステージ1、2週目の6月21日はステージ2、3週目の6月28日はステージ3が配信される予定だ。なお、セーブデータは製品版に引き継ぐくことが可能となっている。

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体験版では、チュートリアル中心のステージ1からアクションとパズル要素が組み合わさったステージ3までを楽しめるのだ。
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プロデューサーの市川氏(右)、ディレクターの風間氏(左)

――まずはおふたりの役割を教えていただけますか?

風間 ディレクターの風間です。ゲームの仕様決めや開発現場の作業を統括しています。

市川 プロデューサーの市川です。風間が作りたいゲームの仕様を聞き、なるべく希望に沿える形で調整しました。

――それでは、勇者ではなく魔王の手下のドクロを主人公にした理由をお聞かせください。

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風間 本作のベースとなる企画は、ゲームアーツのほかのスタッフのアイデアだったんです。その企画では、王子のお姫様抱っこをフィーチャーしていました。ただ、王子と姫というのは万人に受け入れられる代わり、インパクトに欠けていると感じたんです。そこで、私は昔から悪漢が主人公の作品が好きだったこともあり、「敵の手下が姫を守る話ならおもしろいんじゃないか?」、「魔王を裏切って助けるというシチュエーションなら、より没入感が増して楽しめるのでは?」と考え、現在のドクロが姫を助けるという形にしました。

――なるほど、よりインパクトのある設定にしたわけですね。もうひとつの特徴である“チョークタッチ”のイラストはどこから生まれたのでしょうか?

風間 私事で恐縮なのですが、2年前に子どもが生まれたことをきっかけに絵本のコーナーに立ち入るようになったんです。そこですごく気に入った絵本がありまして、こういうタッチでイラストを描いたらどうだろうと思い、社内のグラフィック担当に描いてもらったんですよ。そうしたらイメージ通りの絵が上がってきまして「よし、これで行こう」と。

――絵のタッチが決まったことで、世界観が決まったんですね。それでは、ギミックアクションという内容についてはどのように決まったのでしょうか?

風間 ゲーム内容が決まったのは、世界観が固まってからですね。「姫といっしょに冒険するのであれば、姫を護衛しつつ出口を目指そう」、「でもガチガチのアクションではなく、ゆっくり遊べるものがいい」、「それならパズル要素を濃くしよう」といったように少しずつ形ができていきました。

――形にしていく中で、プレイステーション Vitaならではの機能も入れようと?

風間 じつは、最初は対応ハード未定で開発が進んでいて、途中からプレイステーション Vitaのお話をいただきました。開発実機を見せてもらったら、画面の発色で黒がすごくよかったんです。「これならチョークタッチの絵をしっかり表現できる」と思ったので、プレイステーション Vitaで行こうと決めました。

――なるほど。そこからさまざまなギミックを作っていったと思うのですが、ギミックのアイデアはどうやって考えたのでしょうか?

風間 スタッフみんなでアイデアを出し合って、それに肉付けしていきました。スタッフはコアゲーマーが多いので、「昔のあのゲームの仕掛けがおもしろかったよね」と、昔のゲームを参考にすることもありました。

――ギミックの数はどのくらいあるんですか?

市川 38ですね。序場ステージはギミックを単体で使うだけで解けますが、後半ステージでは複数のギミックを組み合わせないと解けません。ですから組み合わせまで考えると、相当なバリエーションがありますよ。

『ドクロ』体験版配信記念、開発者インタビュー_05
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――そこまでギミックのバリエーションがあると、難度の調整にはかなり苦労されたのでは?

市川 そうですね。パズルとアクションの両方が難しいとユーザー様が折れてしまいますからね。そのことも考えて、アクション部分は少し難度を抑えてあります。

風間 開発チームにはコアゲーマーが多いので、「このくらいなら大丈夫だろう」と作ってみたら、社内の一般的なゲーマーに「難しい」と言われてしまって(笑)。それからは、ほかの開発チームのスタッフにも遊んでもらって意見をいただきながら難度を調整しました。ちなみに、ステージ1については、ふだんゲームで遊ばない女性社員がクリアーできることを目標に調整しました(笑)。

――ライトなゲーマーもすんなり遊べる形を目指したんですね。

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市川 はい。いまプレイステーション Vitaを持っている人は、コアゲーマーだと思いますが、これから本体が普及してくることを考えると、ライトなゲーマーも増えてきますからね。かといってカジュアルにし過ぎると、いま本体を持っているユーザー層に響きませんし、難度の調整は非常に難しい作業でした。

――難度の調整には相当苦労されたんですね。価格も2400円(ダウンロード版は1800円)ととても安くて驚きました。

市川 正直に言ってしまうと、ふつうはこんなに安い値段設定はできないんですよ(笑)。でも、新しいハードですし、できるだけ多くの人に遊んでもらいたいということからこの価格に設定させていただきました。「安いからボリュームが少ないのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、相当なボリュームを用意してあるので安心してください。

――プラチナトロフィー(取得の難しいトロフィーで、低価格のソフトは対応していないことが多い)にも対応しているそうですね。

市川 はい。低価格のソフトは対応していないことも多いのですが、『ドクロ』はしっかり対応しています。ですから、コアゲーマーの方にも満足していただけると思いますよ。

風間 ソフト発売以降、「ボリュームが少ないのでは?」という声がひっくり返るのが楽しみですね。

――2012年6月14日から体験版の配信が始まります。ステージ1~3が3週に分けて配信される狙いは?

風間 ステージ3くらいの難度を楽しんで欲しいのですが、いきなりステージ3だとユーザー様がついてこれないと思ったんです。それで、ステージ1、2、3を分けて配信すれば、段階を踏んでプレイいただけるかなと。

市川 そうですね。ステージ1はチュートリアルで、ステージ2になるとパズル要素が入り、ステージ3ではパズル要素とアクションが組み合わさるといった具合に、3回に分けて楽しさを味わって欲しいですね。

風間 体験版をステージ3まで遊んでいただければ、骨太ギミックアクションの片鱗を楽しめると思いますよ。

市川 実際に「骨太だなぁ」と感じるのはステージ4、5あたりからなんですよね。ここからキュっと難度が上がるんです。ぜひ製品版でプレイしていただければ。

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――ソフト発売後には、パズルに詰まってしまう人もいるかと思いますので、そういった人へ向けたアドバイスをいただけますか?

市川 みんなで教えあったりしてコミュニケーションを取って欲しいですね。あとは、パス機能がついているので、わからない部分は飛ばして先に進むといいと思います。後半のステージをプレイしてから戻れば、必ず技量が上がっているはずなので、きっと解けるようになっていると思いますよ。

――ちなみに、『ドクロ』は1ステージが短いエリアに分かれていて、短時間でプレイするのに向いていますよね。

風間 「現代のゲーム性はこうだよね」と、短時間で遊べることを意識しました。

市川 そうですね。いまは、携帯ゲーム機、据え置き機、PCゲーム、ソーシャルゲーム、スマホアプリといったさまざまな種類のゲームが、ゲームで遊ぶという時間を取り合っているので、じっくり時間をかけて遊ぶ昔ながらのステージデザインはきびしいと思うんですよね。

――なるほど、それで短時間でサクサク遊べるステージデザインになったんですね。それでは、最後にファンへのメッセージをいただけますか?

風間 月並みですけど、心を込めて作りましたので、ぜひ一度でもいいのでプレイしていただけるとうれしいです。

市川 チョークタッチの絵本のような世界観と、ギミックアクションというゲームとしてのおもしろさをしっかり仕上げられたと思います。それに、絵本を1冊読みきったときのような幸せな気持ちになれるストーリーも用意いたしましたので、この絵本をひとりでも多くの人に手に取っていただけたらと思います。ぜひよろしくお願いします。