新システム“クロスオーバー”とは?

 2012年6月5日~7日(米国時間)に、アメリカ・ロサンゼルスで開催された“エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ 2012”(E32012)。カプコンブースで行われた『バイオハザード6』のメディア向けプレゼンテーションをリポートする。

 『バイオハザード6』は、過去作のメインキャラクターであるレオンとクリスのほか、ウェスカーの血を継ぐという青年、ジェイクの3人が主役を務めるシリーズ最新作。エグゼクティブプロデューサーの小林裕幸氏、プロデューサーの平林良章氏、そしてディレクターの佐々木栄一郎氏によって進行したメディア向けのプレゼンテーションでは、本作に実装される“クロスオーバー”というシステムの解説が行われた。

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新システム“クロスオーバー”とは? 『バイオハザード6』プレゼンテーションリポート【E3 2012】_02

 レオン、クリス、ジェイクそれぞれに独立したキャンペーンが存在している本作。「キャンペーンをクリアーする過程で、ほかのキャラクターのストーリーと交差する瞬間があります」(平林氏)。これをクロスオーバーと呼び、ほかのキャラクターとストーリーが交差しているあいだは、最大4人でのプレイが可能だという。「“群像劇”ということを、大事にしています」(平林氏)。

 具体的には、いったいどういうことなのか? ここで、実際にどういうシチュエーションがあるのかを、実機でのプレイを通して見ていくことに。レオンとジェイクのクロスオーバーが起こるとのことで、「レオンとヘレナは、アメリカから中国に向かうところで飛行機が墜落して、ここにたどり着きます。一方のジェイクとシェリーは、何者かに追われているところです」(小林氏)と、状況の説明があった。

 モニターでは、レオンとヘレナ、ジェイクとシェリーが合流し、レオンとシェリーが再会に驚くシーンが展開。警戒するジェイクに対し、レオンはラクーンシティから自分を助けてくれた人物だと、シェリーがとりなす場面などが続く。すると、ここで大柄な人型のB.O.W.が現れ、4人はそのまま戦闘へと突入。このB.O.W.は、試遊のジェイク編に登場した右腕に機械を装着している敵だ。「これは“ウスタナク”という敵です。レオンたちは、(ジェイクたちと)クロスオーバーすることによって、戦闘に巻き込まれます」(小林氏)。

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 ウスタナクは背中にも機械を取りつけており、その機械にジェイクを捕らえ、拘束する様子が見られた。「ウスタナクは別名を“捕縛者”と言い、ジェイクたちを捕らえることを使命としています」(小林氏)。戦闘中に捕縛された仲間は、近づくと表示されるボタンを押すことで解放できる。ウスタナクの右腕の機械は交換可能で、長い爪のついた巨大な手のアタッチメントから、強烈な射撃を行う銃が内蔵されたアタッチメントへ、戦闘中に交換しているの場面も確認できた。状況に応じて、アタッチメントを変えてくるようだ。

 戦闘については、「銃の切り換えなどの操作はワンボタンで行えるようになっています。かなりクイックな動作が可能です」(佐々木氏)。走りながらハシゴに近づくと、滑らかにハシゴを上るなど、挙動がストレスフリーなものになっていることもポイントだとか。レオンがフォークリフトを操作して段差を上ったり、段差の上にあった複数のボンベを落とし、それを撃って爆発させるなどのギミックも。「そういう仕掛けを探しながらプレイするのも、攻略のひとつですね」(佐々木氏)。

 さらに戦闘中、4人はウスタナクによって、ふた組に分断されてしまった。クロスオーバー中は、「パートナーチェンジが行われる場合があります」(佐々木氏)とのことで、確かにレオンとシェリー、ジェイクとヘレナという組み合わせになっており、パートナーが入れ替わっている。ここで確認しておかなければならないのは、4人はそれぞれ、“誰かが操作しているキャラクター”の可能性があるということ。

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 「システムとしてのクロスオーバーとは、ネットワークを通じて誰かとマッチングし、ストーリーがつながることなんです」(小林氏)。たとえば、自分がレオンでプレイしていた場合、そこに合流してきたジェイクやシェリーは、ネットワークを介して誰かが操作している可能性がある。さらにこのとき、自分もCo-opプレイ中であれば、ヘレナも誰かが操作していることになる。ゆえに、最大4人でのプレイとなるわけだ。前述のシチュエーションなら、分断後はパートナーが入れ替わり、それまでのパートナーとはまったく違うプレイ感覚を楽しめる。なお、クロスオーバーによって、話が分岐することはない。

 「クロスオーバーは自動マッチングで、タイミングが合った人とマッチングされる仕組みです」(平林氏)。フレンドを優先してマッチングする機能も導入予定だが、フレンドと確実に遊びたい場合は、Co-opを推奨しているという。なお、コミュニケーション機能としては、ボイスチャットのほか、簡単な指示を出すことができる。これは、クロスオーバー時だけでなく、通常時にもパートナーに対して出せる“行け”、“来い”、“待て”といった指示。敵にタグを振り、その敵を狙うように指示することも可能だ。また、たとえばゾンビにつかまれたりしたパートナーを助けるなどすると、“スキルポイント”を得られる場合がある。「なるべく協力したほうが、メリットのあるシステムになっています」(佐々木氏)。スキルについては後述する。

 注意すべきは、最大4人で遊ぶ場合、その4人はバラバラに集められるわけではなく、Co-opを行っているペア単位でマッチングされるということ。つまり、AとB、CとDがそれぞれCo-opプレイを行っているのなら、AとBのペア+CとDのペアで、4人同時プレイが成立する。AがCo-opを行っていない場合は、A単体+CとDのペアがマッチングされ、最大3人でのプレイとなる。ちなみに、途中で誰かが抜けた場合は、そのキャラクターの操作はAIに切り換わるという。AIのキャラクターが死亡した場合は、ゲームオーバーになることはない。

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 今回は、ウスタナクというボス戦でのクロスオーバーが紹介されたが、「ボス戦のほかにも、いろいろなシチュエーションがあります」(佐々木氏)とのこと。ジェイクとシェリーの窮地を、クリスが助けるといったこともあるようだ。クロスオーバーの長さも、それぞれで違ってくる。また、クロスオーバーは、本作にレオンが登場するため、彼が主役を務めた『2』のイメージからザッピングシステムのようなものと思われがちだが、「ザッピングとは違います。『2』では、レオンとクレアはほとんど同じマップを探索しました。『6』に関しては、レオン、クリス、ジェイクの3人でほぼ違うステージを進み、クロスオーバー時に同じステージで遊ぶ形になります」(小林氏)。

 本作については、ほかにも補足の解説があり、レオン、クリス、ジェイクのひとりあたりのボリュームは「『5』の70~80%です。3つのストーリーで、主要キャラのみを操作した場合、計30時間ほどかかりました。チェックがたいへんです(笑)」(平林氏)。「同じシナリオ内でも、レオンでしか見られない、あるいはヘレナでしか見られないイベントがあり、異なる遊びも用意しています。キャンペーンが終わったら、パートナーを操作して遊ぶことで、より楽しめると思います」(佐々木氏)。「レオン、クリス、ジェイクの3人でクリアーしたら、今度はヘレナでプレイしようか、という遊びかたをしてくれるとうれしいですね」(小林氏)というコメントもあった。

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 なお、スキルについては「『5』の武器カスタマイズに変わる要素として、プレイヤーの能力をカスタムする要素を入れています。プレイスタイルであるとか、シナリオの状況に応じてカスタマイズできるようになっていて、アクションが得意なら攻撃重視、苦手なら守備重視といったように、スキルを使うことで有利に進められます」(佐々木氏)。詳細は、近日中に週刊ファミ通で公開予定となっているので、そちらをお待ちいただきたい。

 「レオンとヘレナが飛行機に乗っているとき、その飛行機のモニターに、クリスがカメラマンを押しのけているシーンがニュースとして流れていたりします。システムとしてだけでなく、こうした全体を通しての交差を総称して、クロスオーバーと呼んでいます」(平林氏)。本作は、システムからも、演出の面からも、3人の運命の交差を描いているということだ。『バイオハザード6』は、2012年6月30日と7月1日に開催される“カプコン サマージャム”に出展。興味のある人は、参加してみてはいかがだろうか? 最後に、動画での開発スタッフからの特別コメントをお届けするので、チェックして期待感を高めてほしい。

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