ハイエンドPCの導入を真剣に考えましたね、ええ。
E3のショーフロアは、あちらこちらでグッズを配ったり、爆音でプロモ動画を流したり、賑やかに平常運転しているように見える。だが、去年までいたビッグネームの姿が見当たらない。そう、THQである。しかし、多額の費用がかかるショーフロアでの出展こそ見送ったものの、ミーティングルームに最新タイトルを持ってきて、プレスや流通関係者に見せている。
中でも気合が入っているのが、ポスト核戦争もののFPS（一人称視点シューティング）『メトロ2033』の続編『Metro: Last Light』だ。E3会場の外に大きな広告を出しているし、E3開幕の少し前には、流行りの実写トレイラーを公開したぐらい、プロモーションに力を入れている。ミーティングルームでのデモにはお土産までついていたほどだ。
デモはPC版で動作しており、主人公アルチョムが仲間とともに地上を探索する場面を見ることができた。これがもう、とんでもない美しさ。光の照り返しや、コンクリートの通路に苔むした様子、懐中電灯の微妙なライトの歪み、外の植物の生え具合、ガスマスク越しに見る光源がフレアを起こしている感じ、そしてガスマスクを伝って蛇行しながら落ちていく雨粒……挙げていくとキリがない。
そう、ガスマスクは本作のゲームプレイで依然として重要な要素を占めている。汚染がひどい危険地帯ではガスマスクをつけて活動しなければならないのだが、マスクのフィルターは活動可能な時間が決まっており、死体からフィルターを回収してでも時間を延長していかなければならない（ちなみに、活動可能な時間は今回デジタルウォッチで表示されており、フィルターを拾ったりすると時間が増える）。
さらに、マスクのグラス部分が汚れた際に“ぬぐう”というアクションが加わっているのも注目したい点だ。クリーチャーの血しぶきなどでどんどん汚れていくので、戦闘が連続するシーンでは、視界がどんどん狭まり、緊張感が高まることだろう。
本作ではサバイバルホラーの要素を強化しているとのことで、こういった閉塞感を煽る仕組み以外にも、アルチョムが墜落した飛行機の残骸を通過する際、死体を見るたびに墜落時の光景がフラッシュバックしていくというシーンをデモで見ることができた。この死体そのものや再現シーンは実に生々しく息が詰まる描写になっており、ウクライナから世界でもトップクラスのゲームを出そうとする開発チームの熱意が伝わってきた。
海外では2013年第1四半期の発売を予定している本作。PCとXbox 360でカルトヒットした前作から、今回はプレイステーション3もプラットフォームにくわえ、マルチプレイも実装し、ゲーム自体もグラフィック、演出などを見る限り大幅にパワーアップしている。THQの日本法人が閉鎖状態にあるため、本作を日本でプレイするには、海外版を買うか、前作同様に国内のゲームメーカーがライセンスを購入してローカライズを行うかしかないが、ぜひいい決着を期待したい。
