ステージデモではふたつのミッションが初お披露目

これが戦場か……『重鉄騎』先行体験会でなすすべもなく散る_01

 日本マイクロソフトは2012年6月1日、カプコンから2012年6月21日に発売が予定されているXbox 360のKinect(キネクト)専用タイトル『重鉄騎』の先行体験会を、秋葉原のソフマップ アミューズメント館で開催した。

 発売まで1ヵ月を切った『重鉄騎』だが、ユーザー向けにお披露目されるのは今回が初めて。期待値は高いようで、午後3時のイベント開始前から会場に足を運ぶ人もおり、また一度のプレイでは物足りなかったくり返しプレイする姿も見られた。

 今回の体験会では、ゲーム開始直後に挿入されるチュートリアルと、最初のミッション“上陸”をプレイすることができた。チュートリアルでは、本作の主役とも言える“鉄騎”と呼ばれる二足歩行兵器の操縦を始め、Kinectを使った特徴的な操作をイチから学ぶことができる。コクピット内に設置されたさまざまな計器やレバー、スイッチを、Kinectで体感的に動かす感覚は本作ならではのもの。また、鉄騎を動かす際にはエンジンの起動から始める点や、決して広いとは言えないスリット(コクピット前部にある覗き窓のようなもの)越しの視点など、徹底したリアルさも見どころのひとつだろう。と言うのも、本作は『アーマード・コア』シリーズを始め、コアゲーマから高い支持を集めているフロム・ソフトウェアが開発しているのだ。同社のコアゲーム志向は『重鉄騎』にもしっかりと脈づいており、それがもっともわかりやすく現れているのが、“座ってプレイする”という点。Kinect向けタイトルというと、多くは立ち上がって全身でプレイするゲームデザインだが、じっくりと長い時間をかけて遊ぶコアゲームでの場合、立ってプレイするデザインはふさわしいとは言えない。座った状態でのKinect操作は、鉄騎のコクピットにいるという状況の再現だけでなく、『重鉄騎』がコアゲームであることの主張でもあるのだ。

これが戦場か……『重鉄騎』先行体験会でなすすべもなく散る_13
これが戦場か……『重鉄騎』先行体験会でなすすべもなく散る_12

 『重鉄騎』がコアゲームであるという開発者たちの意気込みは、ファーストミッション“上陸”の内容からも強く感じられた。このミッションは名前にもある通り、海からの上陸作戦なのだが、そこで描かれる戦闘の激しさは、映画『プライベート・ライアン』でも取り上げられている、第2次世界大戦で連合軍が行った“ノルマンディー上陸作戦”を彷彿とさせる。待ちかまえる敵軍に狙い撃ちされ、上陸したそばから死んでいく歩兵たち。鉄騎は彼らの盾となり、本作戦の目的であるトーチカ制圧の経路を切り拓くために上陸するのだが、図体が大きいため激しい攻撃へ晒されてしまう。そして、それに対して何も行動を起こさなければ、あっという間に死ぬ。記者の場合は、敵軍の銃撃が嵐のように装甲を叩く音にビビり、オロオロしているうちに砲撃を受け、スリットのガラスが破壊され、最終的にそこから銃弾が入ってきて戦死――というお手本のような新米兵ぶりを披露してしまった。最初のミッションから、この容赦のなさときたら! カプコンとフロム・ソフトウェアに「ありがとうこんちくしょう!」と言う言葉を贈りたくなる。

 鉄騎はパイロットの主人公を含め4人で操縦するのだが、ミッション内では乗組員が錯乱し、とんでもない行動を起こすこともある。たとえば上陸ミッションでは、通信士のナッチが鉄騎から逃げ出そうとするのだ。敵軍からマークされている鉄騎から、生身飛び出すことは死を意味する。助けるためには、Kinectでアクションをすればいい。足をつかみ、引き止めるような動きをKinectセンサーの前ですばやく行えばナッチは無事コクピットに戻すことができる。しかし錯乱状態は収まっていないので、つぎは鉄拳制裁だ。画面内のナッチを殴るように右腕を振りかぶり、数回殴りつければ彼は正気を取り戻すはずだ。

これが戦場か……『重鉄騎』先行体験会でなすすべもなく散る_11

 このように、『重鉄騎』は“操縦”だけでなく“戦場”も驚くべきリアルさでゲーム内に表現している。「Kinectってライトなゲームばっかでしょ?」などと思っている人がいたら、ぜひ本作をプレイし、その考えてを改めてほしいと思う次第だ。なお、『重鉄騎』先行体験会は今回のソフマップ アミューズメント館を皮切りに各地で開催予定。詳細はこちらの記事を参照してほしい。

これが戦場か……『重鉄騎』先行体験会でなすすべもなく散る_02
▲片岡プロデューサー(右)と、安藤ディレクター(左)。

 体験会の途中では、カプコンの片岡謙治プロデューサーと安藤行男氏による初公開ステージのデモプレイも実施された。ひとつは、すでにスクリーンショットでは公開されているものの、動いているところは初披露となる“棄てられた街”。廃墟と化したニューヨークの街が舞台で、入り組んだ作りと(鉄騎で動くには)狭い路地が特徴のマップだ。ここでは物陰から飛んでくるRPGや、放置自動車に仕掛けられた爆弾といった地形を利用した攻撃に加えて、敵軍歩兵の侵入という恐怖とも戦うことになる。デモプレイでは、いつの間にか鉄騎によじ登ってきた敵が、ハッチを開けて手榴弾をコクピットに投げ入れてくるというゾッとする展開が発生。デモを行っていた安藤ディレクターは、(Kinect操作で)操縦席の真下にある脱出口の蓋を開け手榴弾を除去、という動きをすばやく行い事無きを得たが、初見だったら間違いなく爆死させられる予感がビンビンに伝わるシーンだった。このマップでは火炎放射器を搭載した敵車両も登場。火炎放射器は、武器そのものの威力よりも、火災という2次被害を発生させるところが恐ろしい。火災を起こした鉄騎のコクピットは煙で充満し、放置すればそのまま煙死してしまう。そうならないためには、コクピット右側にあるベンチレーターで排煙するのだが、安藤ディレクターは気がまわらなかったようで、ミッションは失敗となった。

これが戦場か……『重鉄騎』先行体験会でなすすべもなく散る_03
これが戦場か……『重鉄騎』先行体験会でなすすべもなく散る_04
▲怖すぎる展開! そして、ミッションクリアーできずうなだれる安藤ディレクター。

 もうひとつは、橋の爆破という“ザ・戦場”といった感じのミッション。しかし、開始時点ではすでに爆弾の設置がほぼ完了しており、後方警備の主人公たちもどこかノンビリとしている。前方の爆破部隊の隊員たちも、犬とじゃれ合うなどリラックスした状態だ。しかし、そんな平和な光景は敵軍の奇襲によって一変。爆破部隊は壊滅的状況となり、主人公たちは急遽、爆破の任務を負うことになる。鉄騎で起爆装置まで近づいたら、外に出てほふく前進(もちろんKinect操作で)。無事爆破に成功するも、ミッション終了後に同じ部隊の隊員がひとり戦死したことを知らされる…‥。

これが戦場か……『重鉄騎』先行体験会でなすすべもなく散る_05
これが戦場か……『重鉄騎』先行体験会でなすすべもなく散る_06
これが戦場か……『重鉄騎』先行体験会でなすすべもなく散る_07
▲平和な雰囲気が、奇襲によって一変。
これが戦場か……『重鉄騎』先行体験会でなすすべもなく散る_08
これが戦場か……『重鉄騎』先行体験会でなすすべもなく散る_10
これが戦場か……『重鉄騎』先行体験会でなすすべもなく散る_09

 安藤ディレクターは「本作は一本道ではなく、同じステージでもさまざまなバリエーションの進行があります。時間があれば、2度、3度と楽しんでください」と『重鉄騎』の遊びかたについて紹介。片岡プロデューサーは「やっと皆様にお披露目することができました。ぜひこの本格的なコアゲームを楽しんでください」と来場者にメッセージを贈った。