ホームネットワーク内でいつでもどこでもストレスなくキレイな映像を視聴可能に
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)から、2012年7月19日に発売予定のネットワークレコーダー&メディアストレージ“nasne(ナスネ)”。SCEは、同製品の発売約2ヵ月前となる2012年5月21日、同社社内でプレス向けの合同体験会を実施した。
nasneの名称の由来となっている“NAS”とは、簡単に言うとネットワーク機能を持つストレージ(外部記憶装置)のこと。nasneはこれに、地上デジタルと衛星デジタル(BS/110度CS)放送のチューナーが搭載され、プレイステーション3やVAIOなどソニーの対応機器から、テレビ視聴や録画が可能となる。つまり、ネットワークレコーダーとしても活用できるというところが大きな特徴だ。
本記事では、先日お伝えした記事(→こちら)では明かされなかった要素と、ソニー製品との連携に関するトピックを中心にお届けしよう。
torne Ver.4.0では無料放送番組のサーチも可能
まずnasneには、HDMI端子など外部AV出力端子が備わっていないため、テレビモニターに番組の映像を出力するには基本的にプレイステーション3を経由する必要がある。その際に使用するアプリケーションが“torne Ver.4.0”だ。ちなみに、録画したコンテンツはVIDEOコンテンツのようにtorneを起動しなくても、クロスメディアバーからファイルを選んで再生することも可能。
【nasne本体のネットワークレコーダーのおもな機能】
・さまざまな対応機器・アプリケーションから、ホームネットワーク上のnasneをコントロールして、TV視聴・録画・再生などが可能
・ホーム機器とモバイル機器向けに2種類のストリームをリアルタイムで配信
・マルチストリーム配信に対応(DTCP-IP 2ストリーム)
※ライブ番組は、1台のnasneで1台のみ視聴可能
・外出先からの録画予約に対応
プレイステーション3とnasneは、ネットワークを介してつなげることになる。そうすると、通常は遅延や画質の劣化などが心配されるが、torneの操作感はこれまでと変わらず。むしろ、ビジュアルサーチや映像の頭出しなどは、これまでのtorne(トルネ)よりレスポンスが早いくらいだ。これは、nasneとtorneの組み合わせで実現できるレスポンスということで、地デジチューナーtorneのみの場合は、これまでと同様の操作スピードとのこと。
nasneはネットワークを介しながら、これまでのtorneと同様、サクサクとして操作性で快適にテレビ視聴・録画コンテンツの閲覧が可能となっているのだ。
また、110度CS放送はほとんどが有料チャンネルだが、なかには無料、もしくは時間帯、番組によっては無料で観られるものがある。それらをいちいちチェックするのはたいへんだが、“torne Ver.4.0”では、無料で観られる番組だけをサーチできたり、うれしい機能もプラスされている。さらにソネットエンタテインメントが提供する“Gガイド.テレビ王国“CHAN-TORU”を使うと外出先からスマートフォンで番組予約なども可能。プレイステーション VitaやPSPのリモートプレイを使って外からプレイステーション3を起動し、録画予約もいちおう可能とのことだが、スマートフォンから“CHAN-TORU”を使ったほうが、手軽かつ敏速に録画予約ができるのだ。急な用事で帰宅が遅くなるときや、番組改編期や特番など「あ、この番組録画したい!」と外出先から思ったとき、かなり便利だ。
ゲームファンにとっては気になるプレイステーション Vitaとの連携だが、それには年内リリース予定のPS Vita用アプリ“torne(トルネ)for PS Vita”(仮称)の必要(リモートプレイで番組を視聴することはできない。番組予約などは可能)となる。これを利用することで、nasneに直接アクセスし、Wi-Fi経由でテレビ番組のライブ視聴、録画予約などが可能になる。また、録画と同時に書き出し用ファイルを作成するnasneの特長を活かし、録画コンテンツをWi-Fi経由でPS Vitaへ書き出すこともできるため、書き出すたびにプレイステーション3を立ち上げてUSBケーブルをつなぐ、といった手間が省かれ、より利便性がアップする。“torne(トルネ)for PS Vita”(仮称)のリリースを心待ちにしたい。
VAIOとの連携――Windows7搭載のVAIOユーザーにVAIO TV with nasneが無償提供
ソニーのPCブランドVAIO。Windows7搭載のVAIOでは、“VAIO TV with nasne”というnasne専用アプリケーションを使うことで、nasneを介してテレビが視聴できたり、録画した番組を視聴できるのだ。この“VAIO TV with nasne”はnasne発売に合わせてVAIO TV with nasne(β版がリリースされ、Windows7搭載のVAIOユーザーには、VAIO UPDATEという形で無償で提供される。
“VAIO TV with nasne”では、テレビのリアルタイム視聴、録画したコンテンツの再生、PC側のHDDへ転送、ブルーレイなどへのディスクの書き出し、nasneに保存されているコンテンツの削除などが行える。コンテンツ再生中は、torneのようにビジュアルサーチや頭出しなどのトリックサーチも可能。披露された実機では、操作感や番組表閲覧もなかなか高速で、映し出された映像もキレイ。デモを行った開発者の方曰く、Windows7搭載のVAIOならすべて“VAIO TV with nasne”が使用でき、nasneを利用できるとのことだが、Pシリーズのように、Windows7がリリースされた初期に発売されたPCでは、スペック的に厳しいらしい。ただ、その場合でも、SD画質でなら使用に耐えうるだろうとのこと。 最後に、VAIO TV with nasneの開発にはコストも相当かかっており、無償で配布できるレベルのものではないと苦笑い混じりで語ってくれた。VAIOユーザーへの無償配信は、まさに出血大サービスといったところのようだ。
Sony TabletやXperiaがモバイルテレビに
Sony Tabletでは、“RECOPLA(レコプラ)”というアプリを使うことでnasneに録画した番組を管理・視聴できる。そもそもRECOPLA自体は、Sony TabletのAndroid4.0へのアップデートでソニー製ブルーレイディスクレコーダーと連携するために開発されたアプリで、これをnasneにも対応させたという。RECOPLAではnasne内のコンテンツを日付順や未視聴、番組時間など豊富や条件でソートできる。番組の容量順にもソートできるため、nasen内(もしくは拡張した外付けHDD)の容量が心許なくなったとき、削除することも可能。さらに、“CHAN-TORU”を使って録画予約もできる。
録画番組の視聴では、早送り/早戻しやチャプター送り/戻し操作といった一連の機能も備わっている。2画面のSony Tablet Pシリーズでは、上画面に映像が表示され、下画面で操作が可能。さらに、下画面には別のアプリを立ち上げることができ、たとえば録画番組を観ながら、ブラウザでインターネットを閲覧することもできるのだ。
一方のXperiaでは、ソニーモバイルコミュニケーションズが発表したばかりのXperia SX SO-05D(2012年8月発売予定) / Xperia GX SO-04D(2012年7月発売予定)がnasneに対応。テレビ番組のストリーミング視聴のほか、CHAN-TORUで番組予約も可能。ちなみに、CHAN-TORUはソニー製BDレコーダーの録画予約や番組コンテンツの整理ができるアプリでiOSでも動作可能となっている。つまり、iPhoneやiPadなどからは番組の予約、整理は可能だ。
知れば知るほど魅力的なnasne。torne Ver.4.0との組み合わせで実現する操作性は、ネットワーク経由でありながら、どのHDDレコーダーよりも快適と言える。いままでは、地デジでしかtorneのサクサク感を味わえなかったため、BSとCSはブルーレイレコーダーやHDDで、といったように使いどころも限定されたが、nasneとプレイステーション3があれば、テレビ放送の視聴、録画は完結できてしまいそう。BS、CS対応はユーザーからの要望も多数あがっていたというが、nasneはそれだけではなく、ネットワークレコーダーというホームネットワークにつながったデバイスとの連携機能も備えるという、ユーザーの“斜め上”をいく製品。プレイステーション関連、ソニー製品を使っているユーザーはとくに注目したい製品だ。