井上聡のこんな姿、そうそう見られません!

次長課長・井上聡の単行本『赤のゲームです』発売記念イベント開催!_01

 2012年3月19日に発売された、お笑い芸人・次長課長の井上聡さんの単行本『次長課長 井上聡のごきげんよう、赤のゲームです』。週刊ファミ通誌上で好評連載中のコラム“うわごとですので、ご勘弁”をまとめた単行本で、ここでしか読めない書き下ろし企画もたっぷり収録! そんな、井上さんの2冊目の単行本の発売を記念したイベントが、4月6日に秋葉原の書泉ブックタワーで行われた。

 ……って、まるでニュース記事のようにかしこまって書いておりますが、じつはワタクシ、ファミ通の井上番を長年務めている大塚角満と申します。おなじく井上番の江野本ぎずもとともに、単行本の制作もイベントの運営も手掛けさせてもらいました。そんなワタクシめが、舞台裏を知っている関係者だからこそ書けるエピソードを交えながら、イベントの様子をリポートします!

 本番開始は、この日の午後6時。そこで井上さんを始めとする演者の面々には、午後4時半に会場入りしてもらった。出演するのは井上さんほか、コンマニセンチの堀内貴司さん、あっぱれコイズミさん、吉富Aボタンさんの4人。『赤のゲームです』の“狩り合宿”企画にも参加してくれた“いつもの”メンバーだ。

 今回のイベント会場は書泉ブックタワー9階にある展望スペースで、100人も入ればパツパツになってしまうこじんまりとしたもの。設営も、井上番の我らふたりを含めた4人ほどで、会社の業務用プリンターで出力したポスターを張り巡らせるという“手作り感満載”のものとなった。そんな、ある意味家庭的な空気に満ちた会場を見て井上さんは、「いいですね、こういうの! あったかくて!」と相好を崩す。自身初の“出版記念イベント”ということで、はた目にも井上さんがワクワクしているのがよくわかった。

 さて、この日の新刊発売記念イベント、出し物は大きく分けてふたつあった。第一部は、週刊ファミ通の連載コラムの裏話や、単行本の書き下ろし企画としておなじみとなった“ゲーム合宿”の実情を語る“トークショー”。そして第二部が、カプコンのニンテンドー3DS用ソフト『モンスターハンター3(トライ)G』を使った“ゲームプレイ”だ。トークの部分は、演者の面々は芸人さんなので心配ナシ。問題は、後半のゲームプレイのところにあった。

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 というのも、今回は井上さんがプレイするゲーム画面を大型モニターに出力して来場者に観てもらう……という趣向にしたのだが、こうすると配線の関係でニンテンドー3DSに拡張スライドパッドを装着できないのである。井上さんは、『MH3(トライ)G』をプレイするときは必ず、拡張スライドパッドを付けている。『モンハン』のプレイに関してはダントツで芸能界ナンバーワンの実力を持つ井上さんだが、急な環境の変化にはさすがに顔が曇った。しかし、井上さんのゲームプレイを来場者に観てもらうことは、今回のイベントの“マスト”な企画でもある。それを十分に理解している井上さんは我々にこう言った。

「時間の許す限り、スライドパッドなしで練習してみます。がんばります!」

 真剣な表情でニンテンドー3DSを握る井上さんを楽屋に残し、我々スタッフはイベント会場のバックヤードに待機した。そっと会場を覗くと、すでに座席は多数の来場者で埋め尽くされていた。

 そして午後6時。イベントがスタートした。司会は、僭越ながらワタクシ、大塚角満が務めさせてもらった。まずは井上さん以外の3人を会場に招き入れ、主役が登場するまでに来場者を“温めて”もらう。今回のイベントでは、いくつか仕込みを施したボードを来場者に渡してあり、前説がてらそれを使った練習をする。コンマニセンチ堀内さんが、よく通る声で来場者にこう言った。

「皆さん! 手元に“巨匠”と書かれたボードがあると思います! 井上さんは、単行本を2冊も出している作家先生です! 現れたら巨匠ボードを頭上に掲げて盛り上げてください!」

 井上さんはファミ通のコラムで「単行本を1冊出したら“先生”と呼ばれる。てことは、2冊出したら“巨匠”であろう。でも一度も、そう呼ばれたことがない……」と嘆いていた。だったらこのイベントでその夢を実現してあげようと言うことで、この巨匠ボードは用意されたのだ。コンマニセンチ堀内さんが続ける。

「では、練習をしましょう。吉富を井上さん役にしますので、彼が入ってきたら巨匠コールとともに、そのボードを掲げてください!」

 井上さん役の吉富さんがバックヤードに一度引っ込み、すぐに「ど~も~!」と言って入ってきた。それを合図に、巨匠ボードがズラリと掲げられる。しかしここで、思いもよらない出来事が!

「ホラホラホラホラ!!」

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▲主役登場! 前説(?)中の後輩たちを蹴散らして、ステージに現れた井上さん。

 なんと、リハーサルを後ろから見ていた井上さんが、吉富さんを蹴散らして入ってきてしまったのだ! いきなりの主役の登場に、心の準備ができていなかった来場者は気の毒に思えるほどパニックに(笑)。歓声を上げていいのか「巨匠!」と言っていいのかわからず、せっかくの巨匠ボードを下げて手を振っている人も多数……。そんな、右往左往する来場者とスタッフを見て笑顔を浮かべた井上さんは、「どうもごきげんよう、巨匠ですw」とあいさつをする。こうして、『ごきげんよう、赤のゲームです』の発売記念イベントはスタートしたのでした。

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▲大勢のファンで埋まった会場。皆、井上さん念願の“巨匠”ボードを掲げて、主役の登場を歓迎した。

 まずは第一部ということで、井上さんのコラムや単行本にまつわるトークショーを行った。司会者からの質問に井上さんが答える……という一問一答形式でトークを展開する。司会者は言った。「週刊ファミ通で毎週連載している“うわごとですので、ご勘弁”ですが、いつも書くのにどれくらいの時間をかけているの?」。その後のやり取りは、以下のような感じ。

井上:ネタにもよるんですけど、早ければ30分で終わりますね。
大塚:!!!! さ、30分!? ファミ通の1ページのコラムが1700~1800字くらいですけど、それを30分でってのは、相当なスピードですよ!
井上:でも、大塚さんもそうだと思いますけど、ネタによりますよ!(笑) いいネタがあるときは30分で終わりますけど、まったく何も思い付かないときは永遠にかかります!!
大塚 ネタがないときって、ツラいっすよね(笑)。
井上 ツラいです……。……皆さん笑っていますけどネタがないときは本当に途方に暮れますよ!
大塚 ネタって、書く前から考えているんですか? それとも、書きながら考えてます?
井上 書きながら考えます。読者には1分くらいでサラッと読めるものをと思っているので、そんなに深く考えていないです(笑)。
大塚 1分て(笑)。でも、井上コラムにはよく、ここにいる後輩の方々が登場しますけど、皆さん、自分がコラムに出ることは事前に知っているんですか?
堀内 知らないですよ! ファミ通を読んで、「あ!! あのこと書いてる!!」って気付くんです(苦笑)。

 どうやら井上さんの後輩ネタは、ゲリラ的に書かれているもののようだ。

 続いて、単行本の書き下ろし企画としておなじみとなった“狩り合宿”に話は及んだ。ちょっとそこでのやり取りも抜き出してみよう。

大塚:恒例の狩り合宿についてですが、毎回毎回キツいですよね、コレ……(心からの苦笑)。
堀内:これね、皆さんは「どうせ撮影していないときは寝てるんでしょ」とか思っているかもしれないですけど、ガチなんですよ!! ホントに寝ないで、ずーーーーーっとゲームしてるんです!!!(会場、呆れ果てる)
井上:最初は24時間だったんですよね。Xbox 360の『モンスターハンター フロンティア オンライン』をイチから始めて、24時間でどこまで成長させられるか……という企画で。
大塚:なにか思い出に残っていることはありますか?
井上:ここにいるコイズミの、愚行ばかりが目立った合宿でしたよね……。
コイズミ:!!!
堀内:いろいろやらかしましたよコイツは……。ふだん仕事なんかまるでないくせに、このときに限って「収録があるので途中抜けします!」って言っていなくなっちゃうし。ウソつけっての!!(怒)
コイズミ:いやあの、ホントにあったんだって……。
井上:しかもこのとき、コイツはアフロヘアだったんですけど、帽子をかぶっていたんです。それを見て「アフロ潰れるから、帽子はやめとけば?」って言ったら、「コレがあるので大丈夫です!」って言って、頭にヘンなネットを載せてから帽子をかぶったんですよ。「おいそれ、余計に潰れるだろ!」って指摘しても、まったく言うことを聞かない。
堀内:あのネット、なんなんすかね!?(しばらく、コイズミさんのネット話が続くw)
大塚:(遮って)つぎの合宿は、1作目の『ごきげんよう、ゲームです』の書き下ろし企画用に、長野の渋温泉で行ったんですよね。
井上 発売されたばかりの『モンスターハンターポータブル 3rd』をイチから、2泊3日やり尽す……って企画でしたね。
堀内:(痛恨の表情で)これはキツかった……。本当にゲームし続けて、睡眠時間は3日で3時間程度でしたよね……。
井上:気分転換に、夜中にコンビニに行ったんですよ。そしたらまたコイツ(コイズミさん)がやらかして……。宿からコンビニまで1.5キロくらいあって、真冬だったのでそりゃあ過酷だったんですよ。でもみんなテンションが上がってて、気付いたら走って競争をしていたんですけど、コイツはものすごく辛そうな顔して「あぁ、足が痛いぃ~~……」って泣いてるんです。
大塚:ありましたねw
コイズミ:いやホントに痛かったんですって!! ウソついてるわけじゃないですよ!

 この後しばらく、コイズミさんの公開処刑が続く。

大塚:もうひとつ、今回の『赤のゲームです』に載っている3泊4日の合宿は……。
堀内:たいへんでしたけど、このときはけっこう寝たんですよね。井上さんが、前後に大きな仕事があって、ほとんど寝てなかったこともあって。
大塚:吉富さんは、このときが合宿初参加でしたね。どうでした?
吉富:いままでの合宿のことは、本や雑誌で読む以上には知らなかったんですよ。なので「とはいえ、寝てるよな」くらいに思っていました。でも参加してみたら、本当にガチなんですよコレ!!w 「オイオイ、本気なのかよ……」って……。
井上:このときにたいへんだったのは大塚さんでしょ!w 合宿中ってほとんど外に出ないのに、なぜか「風邪引いた……」って言って倒れちゃってw
堀内:最終的にレア素材を100個集める……っていう競技になったんですけど、最後のほうは大塚さんからの視線が痛かった……。「まだ出ねえのかよ!」って思ってるんだろうなぁ……って目で見られて……。
大塚:あのとき、フラフラになって家に帰って熱を測ったら、39.2度ありましたからね……。

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▲いつもの調子でトークを展開する井上軍団。左から、井上さん、コンマニセンチ堀内さん、あっぱれコイズミさん、吉富Aボタンさん。いじられるのはもっぱらコイズミさんで、さまざまな愚行がファンに報告された。

 ここまでしゃべったとき、井上さんがいきなり「あれえ!?」と言って会場後方を指差した。それに釣られて、振り返る来場者。すぐに、会場は黄色い悲鳴に包まれた。そこにいたのはなんと……!

 ハイキングウォーキングの、鈴木Q太郎さん!!

 なんとQちゃん、井上さんの新刊発売イベントがあると聞き、大阪で仕事を終えた足で新幹線に乗って飛び入り参加してくれたのだ! Qちゃんは井上コラムの“準レギュラー”のような存在で、たびたびゲーム対決を挑んでは無残に敗れ去る……という“愚行”をくり返している。今回の『赤のゲームです』には、井上さんとQちゃんが“モンハン大喜利対決”をしている模様が書き下ろしで収録されているので、ある意味これで、イベントの“役者がそろった”ことになる。……しかし本当に飛び入りでの参加のため、Qちゃん用の椅子は用意されていなかった。なのでやむを得ず、ひとりだけ座高の低い椅子に座ってもらうことになりましたw

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▲急きょ、飛び入り参加してくれたハイキングウォーキングの鈴木Q太郎さん。大阪から帰ったばかりの足で会場に来てくれた。登場早々、カメラに向かって「卑弥呼さまーっ!!」。でも、本当に突然の参加だったので彼用の椅子は用意されていなかった。

 頼もしい援軍を得たところでイベント再開。せっかくなので会場にいる人に、“つぎの単行本に合わせて、どんなゲーム合宿をしてほしいか”をアンケートで聞くことにした。候補は、つぎの3つ。

1.合宿の日数を増やし、つぎは4泊5日のあいだ寝ずにゲームをする
2.時間は区切らず、特定の目的を達成しないと家に帰れない
3.ゲームをする環境を変える。極寒の世界、灼熱地獄など……

 アンケートの結果、圧倒的多数で3番が選出! 来場者はおそらく、極寒の雪山で凍えながらゲームを遊んでいる姿などを想像したかと思うが、演者は口々に「ワイハーとかいいですね^^」、「南国でゲームできるなんて最高だなあ^^」と言いあったのでしたw

 このあと、トークコーナーの最後として“井上コラム抜き打ちテスト”を実施。たとえば、

■第1問 大好評の芸人対談シリーズですが、いちばん最初に登場したのは誰でしょうか?
(1)ブラックマヨネーズ小杉さん、(2)ネゴシックスさん、(3)ハイキングウォーキングQちゃん

 こんな問題を5問、来場者に出題した。なにげに、著者の井上さんも「あれ……? どれだっけ……」と考えてしまう難問(?)もあったが、さすが井上ファンの正解率は高い! これには井上さんもホクホク顔で、「全問正解だった人はどれくらいいますか?」と弾んだ声で問いかける。しかし、80人の来場者のうち全問正解できた人は3人ほどしかおらず、井上さんは「これは……。聞かなきゃよかったですね……」と大いに凹んだのでした。

 そして、イベントはいよいよ後半戦。“ゲームプレイ”のコーナーとなった。まずは、先日の狩り合宿で行った“レア素材獲得レース”(『MH3(トライ)G』のG級クエストに行き、レア素材をたくさん獲得した人が勝ちというルール)の“延長戦”ということで、井上、堀内、コイズミ、吉富の4人で港★8の“不可視の迅竜”(ナルガクルガ希少種の狩猟)に出掛けることに。このクエストにおけるレア素材は“迅竜の天鱗”、“朧月の欠片”あたりだが、はたして……?

 クエストが始まると、井上軍団の4人はいつものように“専門用語”を駆使しながら立ち回りだした。ナルガクルガ希少種の姿を遠くに見るや「カイデー? チャイチー?」と井上さんが言えば、堀内さんが「うーん、あんまカイデーじゃないですね。ちょっとチャイチー」と応じる。何を言っているのかさっぱりわからない人もいるかと思うので翻訳すると、

井上:(そのナルガ)デカい? 小さい?
堀内:うーん、あんまデカくないですね。ちょっと小さい。

 となる。ふだん、プライベートで『モンハン』を遊んでいるときの姿がそのまま切り取られたかのような様子に、来場者は大喜びだった。

 このクエストでは見事、吉富さんがレア素材をゲット。1歩リードとなった。時間的にはもうちょっとできそうだったので、来場者のリクエストによりクエストを選択することにする。するとすぐに会場の女性から「井上さんがハンマーを使っている姿が見たい!!」との声が上がった。すかさず、井上さんが応える。

「……じゃあ、火山にお守り掘りにでも行きましょうか! まだみんな、僕がお守り掘っているところは見たことないと思いますし!w」

 来場者から一斉に発せられた「えーーーーーーーーーっ!!」の声。そりゃそうだ。せっかくの機会なのに、石を引っ叩いている姿で終わるなんてあんまりだw

 というわけで、別の人がリクエストした港★7のクエスト“2頭のジンオウガ亜種を追え”を受注。井上さんはハンマーを持っての出発となりました。

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▲『モンスターハンター3(トライ)G』の腕前を披露する井上さん。イベント終了後、「今日ですべてをやりきった気がします……」と充実の表情を見せていました。

 このクエストも、さまざまな専門用語が飛び出す楽しいものとなった。笑ったのが、切断系の武器で誰かがジンオウガ亜種の尻尾を切断したのを見るや、井上さんが「わしがやった!」と主張したシーン。間髪入れずに堀内さんやコイズミさんに、「あんたハンマーでしょが! 斬れないっしょ!」と突っ込まれたが、なんとその尻尾から井上さんがジンオウガ亜種のレア素材をゲットしたのである! 自分が斬ったわけでもない尻尾からまんまとレア素材を手に入れるあたり、“さすが”と言ったところか。

 けっきょくレア素材は、井上さんが手に入れたそれと、前のクエストで吉富さんがゲットしたひとつだけとなった。実際の狩り合宿で優勝した堀内さんと、クエスト中もさんざん罵倒されていたコイズミさんはあえなく0個に。これによりレア素材獲得レースの延長戦は、井上さんと吉富さんの同点優勝ということになったのでした。

 そして、イベントはいよいよクライマックスへ。井上軍団の面々が揃っているまたとない機会ということで、“井上vs後輩芸人軍団”のタイムアタック勝負をすることになった。

 対象クエストは港★8の“驚天動地! 大連続狩猟!”で、陸の闘技場を舞台にリオレイア亜種、ドボルベルク亜種、ブラキディオス、ジンオウガ亜種の4頭を相手にしなければならないという過酷な内容。これに、井上さんはひとりで、後輩芸人軍団は4人で挑むことになる。しかし、単純な1vs4ではいくら井上さんが達人でも試合にならない。そこで後輩芸人軍団は、つぎのような“変則リレー形式”で大連続狩猟に臨むことになった。具体的には、

・1頭目……Qちゃん、コイズミコンビ
・2頭目……Qちゃん、コイズミコンビ
・3頭目……Qちゃん、コイズミ、吉富の3人
・4頭目……Qちゃん、コイズミ、吉富、堀内の4人

 こんな感じで徐々に人数を増やしながらモンスターに挑む。まあなんにしても、井上さんには圧倒的に不利な状況だ。しかも、レア素材獲得レースのときもそうだったが、やはり拡張スライドパッドなしはやりにくいらしく、井上さんの動きは完全に精彩を欠いていた。それでも、そんじょそこらのプレイヤーよりははるかにうまいので会場からは歓声が上がっていたが、井上さんは納得がいかない様子。それもあったのか、タイムアタックスタート前に、井上さんはこんな提案をしてきた。

「正直、数も違うし、スライドパッドもないので、僕が勝つのはかなり難しいと思います。そこで提案なんですが……どんな結果になったとしても、僕の勝ちってことでいいですか?www」

 この提案に爆笑と拍手が巻き起こる中、後輩芸人軍団がいきり立った。「ちょっと!!! なんすかそれ!!!」、「意味わかんねえ!!」、「だったらやる必要ないじゃないっすか!!」等々……。しかし、なし崩し的に“勝者・井上”が決定事項となった中で、クエストは始まってしまった(笑)。

 最初の相手は、リオレイア亜種だ。ハンマーを持った井上さんはその動きを見切り、頭付近に貼り付いてゴンゴンとぶん殴ってゆく。じきに、リオレイア亜種はめまいを起こして昏倒。会場から「おおお!」とどよめきが上がった。一方のQちゃん&コイズミコンビは序盤から大苦戦。ふたりがバラバラで逃げ惑うもんだからレイア亜種も自由自在に動き回って、攻撃を集中させることができない。ふたりの口から出るのは「ふ、フンジン! 粉塵飲んで!!」、「フンジンお願いします!!」という他力本願なものばかりで、すぐにQちゃんがレイア亜種の炎に焼かれて1オチ……(苦笑)。早々にレイア亜種を退けた井上さんが、大きくリードすることになった。

 しかし、2頭目のドボルベルク亜種でまさかの出来事が! 井上さんは、上空にジャンプしたドボルベルク亜種の姿を一瞬見失い、ボディープレスをモロに食らってしまう。なんと、これが致命傷になって1オチ。会場から悲鳴が飛んだ。

 それでも、井上さんは終始リードし続けた。慣れない操作ながらも、圧倒的な蓄積を活かしてモンスターの攻撃をかわし、会心の一撃を叩き込んでゆく。なんと、最後のジンオウガ亜種が出てくるまで後輩芸人軍団を抑え込み、「まさか、この不利な条件で勝利しちゃうの!?」という期待感を見ているものに持たせたのだ。

 しかし、やはり数の力は強かった。大きく遅れて4頭目に挑んだ後輩軍団だったが、堀内さんの加入でベストメンバーに。ここから一気に巻き返しを図り、井上さんに先んじて討伐することに成功したのである。その3分後に、井上さんも無事討伐。「疲れた……」と言いながら肩を落とすも、すぐに顔を上げて井上さんは元気に宣言した。

「……とは言え、僕の勝ちなんですよね!!w」

「ちょっと!!」、「こっちの勝ちでしょ!?」という後輩芸人たちの声は、来場者の歓声にかき消されたのでした(笑)。

 そして最後に、我々スタッフからのプレゼントと言うことで、来場者に“ある法則”に則って冒頭で使った“巨匠ボード”を掲げてもらった。甲子園の応援のような“人文字”を作ろうと思ったのである。司会者に言われるまま、ボードを頭上に上げる来場者。最初の文字はアルファベットの“i”、つぎは“n”、つぎは“o”となったところで、井上さんが笑い出した。

「わかりました!w これ、“ino.”ですねw 僕がゲームをやるときにつける、自分のキャラの名前でしょうw」

 そう、形作られたのは“ino.”の文字。「これからもこの名前でゲームを遊び続け、末永くコラムを書いてください」という主催者側からのお願いも込めたプレゼントでした。

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▲レアなプレゼントが当たるジャンケン大会を実施。左は、ジャンケン用のボードを掲げる来場者。右は、賞品のひとつだった出演者のサイン色紙なんだけど……。「これ、コイズミから書き始めたものなんですけど、ヤツのサインの位置を見てください。“4人で書くよ”って言ってるのに、左下にみみっちく書きやがったんですよ! バランスめちゃくちゃ。こういうヤツなんです」(井上)

 こうして、イベントは大盛況のうちに幕を閉じました。来場者の皆様、本当にありがとうございました。『ごきげんよう、ゲームです』シリーズは、年に1作のペースで刊行できているので、第3巻が出るのは来年の3月かな……? その折には、またまた何かをやりたいなぁ……なんて考えておりますので、そのときもどうかよろしくお願いしますね!