実機プレイデモも公開
現地時間の2012年4月3日~4日、イタリアのローマにて、欧米メディアに向けたカプコンのプライベートイベント“CAPTIVATE 2012”が開催された。本記事では、『バイオハザード6』の開発に携わる、小林裕幸氏(エグゼクティブプロデューサー)、佐々木栄一郎氏(ディレクター)、平林良章氏(プロデューサー)の3人のインタビューをお届けしよう。
──今回の発表では、まず発売が早まったということがもっとも大きなサプライズだったかと思います。この意図について教えていただけますか?
小林裕幸氏(以下、小林) 世界同時に、日本時間の1月20日に初めて『バイオハザード6』の情報を出しまして、大きな反響をいただいたのですが、「発売がけっこう先だよね」という声も同時に聞こえました。そこで、もう少し発売を早くできないか、ということを開発チームに相談したところ、少しであればできるという話になりまして。だったら少しでも早く出す努力をしようということで、10月4日(北米と欧州は10月2日)に発売をくり上げました。
──ファンの声に応えて、という形ですね。
小林 そうですね。発売日を早めるというのは、なかなかやれないことではあるのですが、佐々木のチームはやれるチームなので(笑)。
──発売を早めると聞いたときの佐々木さんのご感想は?
佐々木栄一郎氏(以下、佐々木) 作品を作るということ自体のプレッシャーはそれほどないのですが、発売日を守らなくてはいけないというところにプレッシャーを感じましたね(笑)。
──なるほど(笑)。さて、今回のCAPTIVATEでの発表では見どころがたくさんありました。まずはジェイクの話からお伺いしたいのですが、彼はウェスカーの実子なのですか?
小林 突っ込みますね(笑)。
平林良章氏(以下、平林) 血を受け継いでいないと、“呪われた血”とは言えないですから。
──その彼と行動をともにしているのが、『バイオハザード2』で登場したシェリーだということも、今回が初公開ですが……。
小林 アシュリー(『バイオハザード4』に登場した女性キャラクター)と予想していた方も多かったようですね。
──じつは私もそう思っていました。大統領とのつながりなども考えてのことだったのですが……。
小林 以前にも話したことがあるのですが、現在の大統領は、『4』のころの大統領とは別人です。ですから、アシュリーの父親ではありませんので。
──なるほど。では、シェリーを登場させた理由については?
小林 『2』では少女だったシェリーの成長を描きたかった、ということです。彼女については、佐々木からもう少し詳しく話してもらいましょう。
佐々木 ジェイクとシェリーは、コンビとして組ませるとおもしろいかなと思ったのです。シェリーは『2』のときに”G”を体内に埋め込まれており、言わば人とは違う人生を歩んでいるわけです。また、ジェイクもウェスカーの血を受け継いでいると。ですから、ジェイクとシェリーは、人と違うものを持っているという点で似た者どうしと言えます。そのふたりがいっしょに行動するということは、ほかのふたつのコンビとまったく違うものになるのではないかな、ということを期待して選んでみました。
──いろいろなキャラクターが年月を経て成長していく、ということもシリーズの魅力ですよね。さて、本作はCo-opプレイにも対応しているとのことですが、Co-opでクリスの相棒となる、ピアーズについては?
平林 彼も新キャラクターですね。『バイオハザード』シリーズは長い歴史がありますから、これまでに登場しているキャラクターのほうがパワーがあるんです。ですから、新キャラクターに、これまでのキャラクターに負けないような存在感を持たせるにはどうしたらいいか、という点には気を遣っています。そこでピアーズの場合は、週刊少年チャンピオンさんで連載している『バイオハザード~マルハワデザイア~』に事前に登場させることで、彼について知ってもらう機会を作りました。クリスの新しい相棒として、彼の魅力を少しでも伝えられたらいいと思っています。
──ピアーズはどういった人物なのでしょう?
平林 20代半ばとクリスよりひと回り若く、BSAAの次代を担う世代のひとりです。とてもクレバーなんですが、豊かな感情の持ち主ですね。最初に発表したトレーラーでも、クリスにつかみかかったりしていましたが、それはクリスと固い信頼で結ばれているからです。個人的には、いちばん気に入っているキャラクターです。
小林 クリスを掴んでいるのがピアーズだ、ということを踏まえて最初に公開されたトレーラーを観ていただくと、またいろいろとわかることがあると思いますよ。
──それは要チェックですね! さて、今回は主人公が3人いますが、ゲームはどのように進行していくのでしょうか?
小林 主人公を選んでからゲームを始めるので、それぞれの主人公の物語が進んでいくイメージです。『コード:ベロニカ』のように、主人公が交代しながら進んでいくわけではありません。
──では、レオン編、クリス編、ジェイク編というような、3つのストーリーがあるのですね。
小林 そうですね。
平林 3つのストーリーがあるからといってひとつひとつのストーリーが小ぶりというわけではなく、各ストーリーが十分なボリュームを持っています。
──なるほど。お互いのストーリーはそれぞれ絡んでいるのでしょうか?
平林 はい。時間や空間は共有していますので、全員のシナリオを遊べば、よりストーリーが深く理解できると思います。また、同じ場所だからといって完全にステージを使い回している、ということはありません。わざと同じ作りにしているところもあれば、同じ場所でも異なる作りにしているところもあります。
──かなり手の込んだ作りになっているのですね。佐々木さんはディレクターとして、苦労も多いのでは?
佐々木 シナリオのミーティングを何度も行っているのですが、僕が参加したミーティングだけで、200~300時間はかかっています。僕が参加しない場合もあるので、それを含めると信じられないぐらいの時間をかけて作っているんですよ。ですから、かなり濃密なシナリオになっていると思っています。
平林 通常は、シナリオ、ゲームシステム、グラフィクは別々に作っていくのですが、本作はそうではなく、シナリオの段階から、シナリオやグラフィックのチームと綿密に打ち合わています。
小林 シナリオはゲームとリンクしていなければならないですからね。
──本作はボリュームも過去最大と聞いていますが、それにも関わらず、緻密な作りがなされているのですね。
平林 もともと『バイオハザード』は、ひと粒ひと粒を丁寧に作るものですから、かなり手間がかかるのです。しかし今回は、粒の製法を変えないまま、ボリュームを増やしてみました(笑)。
佐々木 勘違いしてほしくないのは、単に多くのキャラクターを揃えているわけではない、ということです。もともと群像劇をやりたいという狙いがあり、それに合わせて必要なピースを抽出していったら、その結果としてボリュームが増えてしまったと(笑)。
──キャラクターと言えば、今回発表されたトレーラーに出ていた謎の黒髪の女性についてですが、どこかで見たことがあるような……。
小林 見たことがあるかもしれませんね(笑)。
──あの女性が、ファンが知っている彼女だとしたら、やはり、今回も物語のカギを握るのでしょうか?
小林 レオンとクリスが対立する原因は彼女にありますから、重要人物であることは間違いありません。彼女が何者なのかは、今後に期待してください(笑)。
──わかりました(笑)。では最後に、発売を心待ちにしているファンの方へ、メッセージをお願いします。
佐々木 最初に発表したトレーラーは、アクション寄りの派手な画面が多かったのですが、今回は人間ドラマにスポットを当てています。おなじみの面々に新キャラクターを加えたメンバーが織りなす群像劇に、ぜひ期待していただければと思います。
平林 ゲームプレイをお見せして、ようやく新しい『バイオ』の片鱗をお見せできたと思います。ホラーゲームですのでホラーという根底はもちろん大事にしていますが、そのうえで、いろいろな要素をより緻密に描き切っていくということを目標に制作を進めています。新情報を楽しみにしてください。
小林 今回のCAPTIVATEでも、かなりのネタを出しました。ただ、それでもまだほんの一部分です。今回のトレーラーの中にもストーリーのヒントがかなり隠されているので、最初のトレーラーと併せて観ると、いろいろなことがわかると思います。もしかしたら、僕たちが言っていないこともわかるかもしれません。ぜひ何度もご覧になってください。
バイオハザード6
メーカー | カプコン |
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対応機種 | PS3プレイステーション3 / X360Xbox 360 / PCWindows |
発売日 | 2012年10月4日発売 |
価格 | 各7990円[税込] |
備考 | ※PC版の発売日と価格は未定 |