少しフシギな世界のパズルアクションゲーム

 ボストンで先週末に開催されたゲームファン向けイベント“PAX East”から、現地直送リポートをお届けする。

 スクウェア・エニックスブースで、行列ができている新作を発見。タイトルは『Quantum Conundrum』。このゲームは、傑作パズルとして世界中で高い評価を得た『ポータル』のリードデザイナーを務めたKim Swift氏のオリジナル新作。ジャンルは『ポータル』同様、3D空間を舞台にしたアクションパズルだ。

『ポータル』開発者の最新作は、次元コントロール新感覚パズル! ショートインタビューもお届け【PAX East 2012】_01
『ポータル』開発者の最新作は、次元コントロール新感覚パズル! ショートインタビューもお届け【PAX East 2012】_08
『ポータル』開発者の最新作は、次元コントロール新感覚パズル! ショートインタビューもお届け【PAX East 2012】_09

 本作の主人公は12歳の男の子。ゲームの舞台は、優れた科学者である叔父さんの自宅だ。主人公は、とある事情から叔父さんを救出しなければならなくなり、次元を操作できるデバイス"IDS"を駆使してヘンテコな家を探検することに。

 IDSの特徴は、重力を弱くする、重力を強くする、時間の流れを緩やかにする、重力を反転させるという、4つのレベルで次元をコントロールできること。
 たとえば巨大ガラスが道をふさいでいて、目の前には巨大な机があるシチュエーション。この場合は、重力を弱くして目の前の机を持ち上げて投げ、途中で重力を元に戻すことでガラスが割れて通過できる。
 これは単純なたとえだが、この重力変化を駆使した、頭を悩ますパズル要素がシームレスに続くのが本作の特徴。科学者の自宅が舞台だけに、パズルの仕掛けは多種多彩。適度なアクション要素はあるが、とにかく頭を悩ませ、解法を見つけないと先に進めない。重力コントロールはつねに必須で、新感覚の知的アクションパズルという印象を受ける。難しいけど、自宅でじっくり取り組むにはうってつけだ。

『ポータル』開発者の最新作は、次元コントロール新感覚パズル! ショートインタビューもお届け【PAX East 2012】_04
『ポータル』開発者の最新作は、次元コントロール新感覚パズル! ショートインタビューもお届け【PAX East 2012】_02
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『ポータル』開発者の最新作は、次元コントロール新感覚パズル! ショートインタビューもお届け【PAX East 2012】_06

 そして本誌編集部では、何と本作を手掛けるKim Swift氏へのインタビューに成功。『Quantum Conundrum』は、海外ではスクウェア・エニックスがパブリッシャーとなり、2012年夏にPSN、Xbox LIVE、PC向けに配信予定。日本で配信されるかはまだ未定だが、パズルゲームファンは要注目だ。

――以前はValve社に在籍していましたが、いまはAirtight Games社で開発されているのですよね。
Kim そうです。Airtight Gamesから新規IP立ち上げのオファーを受けて、いまに至っています。この『Quantum Conundrum』は、16人のチームで、本格化してからは1年かけずに開発しました。

――今回、『ポータル』同様のジャンルにチャレンジした理由は?
Kim 『ポータル』は作っていてとても楽しかったゲームです。また、ほかに同じものがないゲームでもあるので、このジャンルのゲームを増やしたいと思っていました。作るのが楽しいんです。

――『Quantum Conundrum』の特徴は?
Kim 次元を4つに変えられること。次元がツールになっているので、ツールをダイナミックに変化させて、さまざまなパズルを解くことになります。

――もともとパズル要素があるゲームが好きなのですか?
Kim ジャンルを問わずにゲームは好きですが、パズルゲームには特別な思い入れがあります。開発することが楽しいのです。それが仕事になるのはいいことですね(笑)。

――設計図を書いたり、組み立てることが好きなのですね。
kim はい。それに、チームのみんなとコラボして、パズルのアイデアを出し合うのは楽しいですし、すばらしいことです。実際にステージを作るときには、最初に大枠の構成案とゴールを決めてから、それに沿うように細部の仕掛けを考え、調整することをくり返しました。

――ステージの数は?
Kim 全部で50以上はあります。プレイ時間は、人によりますが6~12時間くらいでしょうか。

――50ステージもあるということは、相当大きな家が舞台なのですね?
Kim そうですね(笑)。家が子や孫へ引き継がれるときに、どんどん増築されて大きくなっていったという背景があります。最初は崖っぷちにある屋外トイレが徐々に大きくなったという設定でした。最初から最後まで、家の中が舞台であることは変わりません。

――今回もかなり頭を悩ませそうです。
Kim ゲーム中のテキストはヒントメッセージにもなっています。それも参考にプレイしてもらえればと思います。
――最後にファンに向けてメッセージをお願いします。
Kim 『ポータル』が好きな人には、必ず気に入ってもらえると思います。チームのみんなでがんばって作りました。楽しんでもらえるとうれしいですね。