ブーイングと愛の行方
ボストンでゲームファン向けのイベント“PAX East”が開催中。初日となる4月6日(現地時間)に行われたBioWareの『マスエフェクト3』についての講演は、非常に大きな注目を集めた。
というのも、『マスエフェクト3』のエンディングについての議論が加熱し、三部作を締めくくるにはプロットに穴があるとするファンによる抗議行動に発展。ついにはエンディングに関するDLC(ダウンロードコンテンツ)が発表されたばかりだからだ。
講演にはBioWareのコミュニティコーディネーターのChris Priestlyほか、プロデューサーのMike Gamble、脚本を担当したPatrick WeekesとJohn Dombrowらが出席。当然注目は、今週発表されたばかりのくだんのDLC、“Mass Effect 3: Extended Cut DLC”に関する話だ。ここアメリカでは、本DLCは各プラットフォームで今夏に無料で配信されると発表されている。
BioWareによると、このDLCは追加のカットシーンやエピローグを通じてエンディングを延長するものであって、エンディングを変更するような類のものではないという。
「このDLCは、『マスエフェクト3』のさらなる結末を求めるファンの皆さんに、シェパードの長い旅の決着についてのさらなる文脈とより深い洞察をもたらす追加シーンを提供します」とGambleは語り、「BioWareは開発チームのアーティスティックなビジョンを信頼しています。Extended cut DLCは現在のエンディングを延長しますが、さらなるエンディングDLCは予定しておりません」と続けた。
質疑応答では、ファンの間でまことしやかに噂されている、シェパード洗脳説(エンディングは現実ではなく、シェパードの精神内が描かれていたとする)についての質問も飛び出たが、BioWareはコメントを避けた。いわく“ファンが好きなようにゲームを解釈してほしい”ため、それを認めたり否定したりすることで解釈が狭められるのを避けたいのだそうだ。
とはいえ、この講演のテーマは、直近の問題に関わらず、BioWareがいかにファンからの“建設的批判”に感謝しているかだった。それもそうだ。エンディングについて文句を言っているファンは、ゲームを最後までやったということでもあるからだ。
もちろん、エンディングが変更されるまでハッピーじゃないってプレイヤーもいるだろうし、BioWareのスタッフが顔をしかめる瞬間もあった。しかし、最後にいくつかの写真を見て欲しい。大会議室を埋め尽くす物凄い数のゲーマーに、バッチリコスプレを決めまくったファンたち。部屋は確かなエネルギーで満ちあふれていた。これだけ愛されるシリーズはどれだけあるだろうか? 不満があればブーイングもするけど、根っこにあるのはゲームへの愛。これぞPAXなのだ。(取材・文・写真:ジェイソン・ブルックス、翻訳・構成:編集部)