フレンド100万組到達はPS Vita発売から約1ヵ月で達成

 ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(SCEJ)は2012年3月28日、同社本社でPS Vita ゲームカンファレンスを開催した。これは、ゲーム開発者などを対象に行われる技術交流会で、複数のゲームメーカーがプレイステーション Vita(以下、PS Vita)用ソフトの開発事例を紹介するという試み。これまでは関係者にのみ公開されていたが、今回初めてメディア向けにもその内容が一部明らかにされた。ここでは、PS Vitaの発売と同時に、PS Storeで無料配信された『みんなといっしょ』のプロデューサー伴哲氏によるセッションの内容をリポートしよう。

 セッションは“『みんなといっしょ』フレンド100万組達成への道のり”と題して行われ、プロデュース的視点からさまざまな報告がなされた。

『みんなといっしょ』フレンド100万組への道のり――そして次に目指すもの【PS Vita ゲームカンファレンス】_01
ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイドスタジオ JAPANスタジオ
『みんなといっしょ』プロデューサー
伴哲氏

 ご存知のとおり、伴氏はプレイステーション3、およびPSPでサービス中の『まいにちいっしょ』のプロデューサーでもある。プレイステーション Vita発売前の2011年4月、『まいにちいっしょ』チームには、プレイステーション Vitaのロンチに日本市場を活性化させるための何かを開発せよ、というお題目が下る。“1stパーティとしてPS Vitaでできることを効果的に伝えるもの”として伴氏が目をつけたのがプレイステーション Vitaの3G通信やWi-Fi通信などのネットワークを使ったコミュニケーション機能。そこでPSNフレンドを増やすことを目的(PSNフレンドがほとんど活用されていないという現状もあった)としたコンテンツの開発を進めることにしたという。

 開発当初、伴氏自身のPSNフレンドはふたりだけだったという。「なぜフレンドがいなかったのか」。伴氏はまずそこを振り返り、フレンドが増えない障壁を考察していったという。そこで浮かび上がったおもな原因として下記をあげた。

・登録の仕方がわからない(PSNアカウント名を知らない……)
・登録しなくても不都合がない(フレンドを活用するゲーム的要素がない)
・敷居が高い(知らない人コワイ)

 そこで、上記3つの障壁を取り除ける作りを目指し、結果『みんなといっしょ』では下記のような要素が盛り込まれている。

・登録の仕方をわかりやすく!
→リストでしかなかったものをキャラ化する、アカウント名ではなく顔を最初の識別子にする、事務的なフレンド申請ではなく、名刺交換という意味を持たせる。

・登録しないとゲームが進まない
→フレンド数が評価されるゲームデザイン。あえてリアルタイム性は排除。ゆるくて無責任なソーシャル感覚

・敷居を低く
→Twitterなど既存ソーシャルグラフを使用してフレンド関係の構築をショートカット。アイコン画像を使用することでアバターに個性がでる(画面も華やかに)。

 こういった要素を取り入れ、プレイステーション Vita発売と同時にスタートした『みんなといっしょ』。以降、成立したPSNフレンドの組数はどんどん増えていき、2012年1月16日にはフレンド100万組(AさんとBさんがフレンドになったら1組とカウント)に到達した。つまり、PS Vita発売から1ヵ月でフレンド100万組が成立したことになる。これはいままでのPSNフレンドの状況からすると驚異的な数字と言えるだろう。

 次に、伴氏はユーザーアクセスに関する情報(2012年1月16日時点)も開示。

・男女比は8割が男性(『みんなといっしょ』のプロフィールから)
・ゲーム滞在時間:1回のプレイ時間が20分以内のプレイヤーが70%。プレイ時間のホットスポットは深夜0時(名刺交換の1日の制限がリセットされるということも大きな要因と思われる)
・日別起動数:ユニークユーザーは1ヵ月でほぼ横ばい→継続率が高い
・フレンド数推移:スタート直後はフレンド0人というユーザーが70%以上だったが、1ヵ月後には50%以上のユーザーがフレンド20人以上に。フレンド100人のユーザーもまだ1割以下だが、徐々に増えてきている。

『みんなといっしょ』フレンド100万組への道のり――そして次に目指すもの【PS Vita ゲームカンファレンス】_09
『みんなといっしょ』フレンド100万組への道のり――そして次に目指すもの【PS Vita ゲームカンファレンス】_10

 フレンドを増やすことによってユーザーにどんなメリットがあるのか、という点について伴氏は「みんなで遊ぶとひとりで遊んだときとは、また違った新しいゲーム体験が味わえます。ですので『みんなといっしょ』だけではなく、フレンドとほかのゲームも遊んでほしいと思っています」とコメント。さらに、この日集まった開発者に向け「PS Vitaにはみんなと遊ぶことを促進する機能があります。そしてフレンドと遊ぶという機能を、(ユーザー間のフレンドのつながりが増えたこの機会に)ぜひ皆さんのゲームにも取り入れていただき、新しいゲーム体験をユーザーの方々にご提供いただければと思います」と述べてセッションを締めくくった。

『みんなといっしょ』 Ver2.00 アップデート!

 最後に伴氏は、バージョン2.0にアップデートされたばかりの『みんなといっしょ』を紹介。今回のバージョンアップでは「集めたフレンドとどう遊ぶか」がコンセプトということで、“フレンドダンジョン”と呼ばれるフレンドと遊ぶコンテンツなどが追加されている。詳しくは下記の映像で確認してほしい。

『みんなといっしょ』フレンド100万組への道のり――そして次に目指すもの【PS Vita ゲームカンファレンス】_11
『みんなといっしょ』フレンド100万組への道のり――そして次に目指すもの【PS Vita ゲームカンファレンス】_08
『みんなといっしょ』フレンド100万組への道のり――そして次に目指すもの【PS Vita ゲームカンファレンス】_03
▲“Facebookロビー”機能が追加
▲洋服屋さんと名刺屋さんが“身じたく”(ショップ)に統合
『みんなといっしょ』フレンド100万組への道のり――そして次に目指すもの【PS Vita ゲームカンファレンス】_06
『みんなといっしょ』フレンド100万組への道のり――そして次に目指すもの【PS Vita ゲームカンファレンス】_07
▲“トロのフレンド・ダンジョン”は名刺を使ったバトル。
『みんなといっしょ』フレンド100万組への道のり――そして次に目指すもの【PS Vita ゲームカンファレンス】_04
『みんなといっしょ』フレンド100万組への道のり――そして次に目指すもの【PS Vita ゲームカンファレンス】_05