極めて遊び応えのあるアクションゲーム

 ありとあらゆるタブーを平然と踏みにじって笑い飛ばす、全世界で圧倒的な人気を誇るコメディアニメ『サウスパーク(South Park)』をテーマにしたXbox LIVE アーケードの新作が登場! 2009年10月にリリースされた『サウスパーク』も名作の誉れ高い内容だったが、今回もCEROレーティングの“暴力”と“犯罪”マークがさん然と輝く(!?)ハイクオリティーな作品に仕上がっている。

 『サウスパーク』ファンに「印象的なエピソードは?」と質問したら、確実に五指、いや三指に入るであろう超外道エピソード『Scott Tenorman Must Die』。タイトルにあるとおり、本作はシーズン5で辛酸を舐め尽したスコット・テナーマンが、ジンジャーロボット軍団を引き連れて復讐を企てるというストーリーだ。ちなみに、前述のエピソードは文字にするのもはばかられる凄惨な内容につき、興味がある方のみエピソードタイトルで検索していただきたい(相当グロいので要注意)。

『サウスパーク』ファンならずともオススメしたいアクション『South Park: Tenorman's Revenge』インプレッション_01
『サウスパーク』ファンならずともオススメしたいアクション『South Park: Tenorman's Revenge』インプレッション_02
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▲ありえないくらいカートマンが美化されているが憤慨してはいけない。これはあくまでも伝説のお話なのだから……。

 操作キャラクターは、スタン、カイル、カートマン、ケニーといったおなじみの4人から選択。シングルプレイはもちろん、4人マルチプレイにも対応している。シングルでも十分楽しいが、できればMAX4人で大騒ぎしながら遊びたいところだ。

 ゲームはステージクリアー型のオーソドックスな横スクロールジャンプアクション。画面中央上にタイムが表示されており、短い時間でクリアーするほどスコアが高くなるシステム。道中のあちこちに落ちている“タイム粒子”を拾うとタイムが巻き戻るため、ハイスコアを狙うなら確実に回収しておきたい。また、コレクションアイテムとして落ちている3体の“メガマン”フィギュア、ステージのアンロックに必要な“タイムコア”なども見つけ次第ゲットしておくといいだろう。

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▲普遍的なジャンプアクションのシステムを採用。タイム粒子をとりながらなるべく早くクリアーするのがハイスコアのコツだ。

 スタン、カイル、カートマン、ケニーら4人は、それぞれ異なる“特殊能力”が使える。スタンはアメフトボールを投げて手が届かないところにあるスイッチをオンにできる、カイルはデイウォーカーの力で通常では侵入できないジンジャーバリアを突破、カートマンは震えている壁に接近してBボタンで破壊、ケニーはBボタン長押しでハイジャンプと、それぞれキャラクターの特徴をふまえたものになっている。場所限定だがスーパーヒーローに変身するシーンもあり、これまたコミカルな所作でプレイヤーを楽しませてくれる。

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▲特殊能力はどこでも使えるが、スーパーヒーローはステージに落ちている変身アイテムを取る必要がある。シングルプレイでは変身できない場面のほうが多いが、それで先に進めないといったことはないので安心していただきたい。

 ザコ敵のジンジャーロボットたちは、ジャンプで踏みつけるか、道中に落ちているバール、バットなどの武器、あるいは箱を持ち上げてぶつければ破壊できる。ただし、いずれも最初の攻撃で外装がはがれ、中身が露出した後に再び攻撃しないと壊れない“2段階”の手順が必要。また、ロボットの一部は頭からトゲを生やす厄介なタイプが存在する。勢いそのまま踏みつけるとミスになるので、くれぐれも注意されたい。

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▲ガワがついているロボは2回、むき出しのロボは1回の攻撃で破壊できる。途中からアタマにトゲを生やす厄介なロボが出てくるが、こいつは踏めないのでスルーもしくはアイテムで攻撃する必要がある。

 ジンジャーロボットもさることながら、本作最大の敵は、足場や排水などの地形トラップの数々だ。動く足場はもちろん、パイプなどは腐食していると上を歩いたとき崩壊して下に落ちてしまう。空中に配置されているアイテムなどに気をとられると、つい無理をしてミスなんてことも多々あり、中盤以降は気を抜く暇もないほど。「クリアータイム以前に、クリアーそのものがきついよ!」なんて声もきこえてきそうだが、そんな人は特殊能力のハイジャンプが使いやすいケニーがおすすめだ。

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▲基本的にはどのキャラクターを選んでもクリアー可能。あまりアクションが得意じゃない人は、ハイジャンプできるケニーを選ぶといいかも。

 パッと見カジュアルなアクションゲームだが、じつは本作、見た目以上にステージ構成が凝っている。シングルでプレイしていると「ここはほかのキャラクターを選んでいると先にいけそうだな」というルートがあちこちにあり、とても探索のしがいがある。クリアータイムとスコアという目標はあるが、最初のうちは気にせずあちこち探索の手を伸ばしてみることをおすすめする。

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▲各ステージはかなり広めで探索のしがいがある。マルチプレイのときは、クリアータイムを気にせずあちこち見て回るといいだろう。

『サウスパーク』ファンは大満足。知らない人もマルチプレイでいっしょに楽しく大暴れ!

 良好かつ軽快な操作性、ちょっと頭を使うボス戦、適度な広がりを持ったステージ構成など、本作はアクションゲームとして非常に高いクオリティーを備えている。最初のうちは「カジュアルゲームだからヌルいのかな?」と感じる難易度も、ステージ3あたりから相当な手ごたえが感じられるようになってくる。たとえ『サウスパーク』を知らなくても、アクションゲームファンであればクリアーするだけでも十二分におなか一杯になれるはずだ。

 ひとりでストイックに遊ぶもよし、『サウスパーク』ファンを集めていっしょに大騒ぎするもよし。知らない人といっしょにプレイするときは「このキャラクターはね……」などと解説してあげるとファン層の拡大にもつながってさらによし。ただし、スコット・テナーマンが何をどうされてこうなったかは……多少ぼかして説明したほうがいいかもしれない。

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『サウスパーク』ファンならずともオススメしたいアクション『South Park: Tenorman's Revenge』インプレッション_16
▲カートマンとは異母兄弟なのだが、ここまで決裂したのにはもちろん理由がある。当然、元凶はカートマンだ。

●筆者紹介
豊臣和孝:フリーライター。ここ10年ほどはWebゲーム媒体メインで執筆中。ファミ通 Xbox 360ではインディーズコーナーを担当。


South Park: Tenorman’s Revenge(サウスパーク:テナーマンズ リベンジ) (Xbox LIVE アーケード版)
メーカー 日本マイクロソフト
対応機種 X360Xbox 360
発売日 2012年3月30日
価格 800マイクロソフトポイント
ジャンル アクションアドベンチャー