アイスランドの首都レイキャビクから、CCP Gamesのオフラインイベント“EVE Fanfest 2012”の模様をお届けする。初日のトリを飾ったのは、プレイステーション3用FPS(一人称視点シューティング)『DUST 514』の基調講演だった。プレス向けに行われたプレゼンテーションとデモプレイの内容と合わせてお届けする。
プレイヤーは宇宙の傭兵
まずは基本をおさらいしよう。本作は基本プレイ無料で提供される、大規模なマルチプレイメインのFPS。24人対24人で、陸空のビークル(搭乗兵器)を使って広大な戦場を舞台に戦う。
そしてその戦場となるのは、宇宙を舞台にしたPC用オンラインゲーム『EVE Online』のプレイヤーが支配権を争っている場所でもある。『DUST 514』のプレイヤーは、星を取り合っている『EVE Online』のプレイヤーから傭兵として雇われ、その惑星の支配権をめぐる戦いを地上で代行することになるのだ。
実際デモプレイでは、両チームに“どこどこのコーポレーション(通常のオンラインゲームで言うクランやギルドのようなもの)と契約”という属性が表示されていた。
幅広いカスタマイズ性
プレイヤーの装備は、ドロップスーツと呼ばれる。前線に突っ込んでいくアサルト、斥候やスナイパーとして活躍するスカウト、重装備のヘビー、サポート役のロジスティクスといったクラス(職業)に大別されてはいるが、特色はカスタマイズの幅が非常に幅広いこと。
武器だけでもライト、ヘビー、サイドアームの3枠があり、任意にアサルトライフルやサブマシンガンといった武器を割り当てていく。それに加えて“MOD”や“オーグメンテーション”といった能力補正に使うオプションも別途用意されており、さらにプレイを通じて獲得するスキルポイントを使ってスキルを獲得することでも“ヘビーウェポンの射程を伸ばす”といった各種能力補正が受けられるようになっている。
こうしたカスタマイズによって、“対ビークル戦を意識したヘビー”とか、“クローキング(身を隠す)能力を活用して敵陣に入り込むスカウト”とか、より特定の戦況や戦術に特化した装備を作り出せるというワケ。気に入ったドロップスーツ保存しておくことができ、出撃時や、戦闘中に特定の施設から呼び出すことができる。
同様に、お気に入りのビークルも武器などの性能をカスタマイズして保存しておくことができる。ビークルにはいわゆる戦車型の機体“HAV”や、いわゆる兵員輸送機な“ドロップシップ”などがあり、戦場でオーダーすることで、現場まで輸送してもらうことが可能。ただし、壊したらまた買わなきゃいけないらしいので、ただ呼べばいいってわけでもないのがポイントになってくるだろう。
AURとISK、ふたつの貨幣
本作でプレイヤーは、マーケットから、武器、ドロップスーツ、MOD、オーグメンテーション、タレット、ビークル、ビークル用のMOD、スキル……と、あらゆる物を購入できる。
アイテムを購入する貨幣には、『EVE Online』でも使われているゲーム内通貨“ISK”と、PlayStation Networkで課金して購入する通貨“AUR”の2種類があり、ISKはゲームをプレイして『EVE Online』のプレイヤーから傭兵代として支払いを受けることが可能。ゲームをプレイして得られるポイントと課金ポイントとの併用というのは、PCのオンラインFPSでもよく見掛けるシステムだ。
ちなみに、基調講演ではISKで買えるものの方が多いといった話も明かされ、会場が盛り上がっていた(まぁ、「課金すりゃ勝ちかよ」と邪推しがちなところ、慣れ親しんだISKがイケてるぜって言われたらそうなる)。
天空からの一撃に会場が沸いた!
では実際のプレイを追っていこう。プレイヤーは最初自室(あるいはデッキ?)からスタートする。ここでは、ドロップスーツやビークルの設定をカスタマイズしたり、マーケットで買い物したり、チャットでコーポレーションの仲間などとコミュニケーションを取ることができる。
参加可能なゲームを探すには、検索(全体検索と自分のコーポレーションに関係する戦いの検索が可能)や星図を使って行う。
お目当てのものが見つかり、参加を決定すると“WARROOM”に移動。ここは戦闘前のロビーで、ほかのプレイヤーもやってくる。試合が始まるまでのあいだはカウントダウンが行われており、マップをチェックしたり、カスタマイズや買い物をして調整を行うこともできる。
カウントダウンがゼロになれば、いざ戦場へ突入。ドロップスーツを選び、リスポーンポイントへと出撃する。マップは上空からの視点で、すでに出撃した仲間がどう動いているかなどがリアルタイムに表示される。
エグゼクティブ・プロデューサーのBrandon Laurino氏とクリエイティブ・ディレクターのAtli Mar Sviensson氏による基調講演でのデモプレイでは、ふたりは攻撃側として出撃し、まずはHAVに乗って砲弾をバカスカ撃ちながら進撃していく。まずは手近な要所を守備の手薄さを付いて制圧し、さらに奥地の目的地であるタワーへと迫っていく……。
要所の制圧は、近づいてアクセスすることで実行。同じようなアクションで、タレットや敵のビークル、装備を変える施設などもハッキングして奪取できる。
しかし、さすがに最終目的地の抵抗は激しい。そこでふたりは、『EVE Online』側のプレイヤーの助けを借りることに。ここでやってきたふたりのうちひとりが裏切る(そして相棒に撃沈される)という小芝居も挟みつつ、ついに『EVE Online』側でコマンドを実行し、衛星軌道上から爆撃! 見事、『EVE Online』側のスタッフが放った天空からの一撃が、『DUST 514』の世界に降り注ぐと、「もういっちょいくか!」(Laurino氏)、「イェー!!」と会場は大騒ぎだった。
最後はドロップシップを呼び出して、空中から敵を掃討しつつ、ドロップシップを乗り捨ててタワー周囲のコントロールポイントに急降下。制圧を完了し、見事勝利すると、画面には獲得したISKとスキルポイントが表示されていた。
会期中は豪華景品のトーナメントも
Fanfestでは、ただプレイヤブル出展するだけでなく、Ambush(チームデスマッチ)モードを使ったトーナメントも実施。優勝チームには24人全員にプレイステーション3とPS Vita、最優秀選手にさらなる賞品が、第2位のチームにもプレイステーション3を全員プレゼントという気前の良さだった。
βテストのスケジュールも発表され、Fanfestの参加者は4月から現在行われているクローズドβテストに参加できること、4月から6月にかけてもっと参加者を募り、6月のE3近辺ではさらに解放するとのことだった。
トーナメントで使われるAmbushモードでの実機デモプレイも体験できたのだが、十分な人数でなかったため、真価は体験できなかった印象。なにより、肝心なカスタマイズが十分に行えなかったのが心残りだ。
というのも、用意されたドロップスーツを違うものに着替えるだけでもかなり特性が変わっていたので、その先の作り込みが気になるのだ。ヘビーは足がメチャ遅いぶん、アサルトと正面から撃ちあいになってもそうそう負けない。逆にアサルトでも設定違いでプレイ感が結構変わってくるという塩梅で、コレはじっくり吟味して自分好みのキャラクターを作り込んで戦いたいと思った次第。PS Vitaでカスタマイズ特化したアプリ(最終的には戦闘もできるようにしたいらしい)を出すとかいう話が出ているのも成る程と思う内容だった。
さて、となると気になるのは、日本でのサービス予定の有無や、βテストへの参加の可否といったあたり。ファミ通.comでは会期中に追加取材を行う予定なので、こうご期待。