名越稔洋氏と斎藤工さんによるスペシャルトークショウ!

 セガは2012年3月22日、東京・有楽町のビックカメラ有楽町店にて、プレイステーション・ポータブル用ゲームソフト『クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編』の発売記念イベントを実施。同イベントでは、『クロヒョウ』シリーズの総合プロデューサーを務めるゲームデザイナー・名越稔洋氏と、ゲーム版&ドラマ版の両方で主人公・右京龍也を演じる人気俳優・斎藤工さんのスペシャルトークショウが行われた。

『クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編』の発売を記念し、名越稔洋氏×斎藤工さんのスペシャルトークショウが開催!_01
『クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編』の発売を記念し、名越稔洋氏×斎藤工さんのスペシャルトークショウが開催!_02
▲会場となったビックカメラ有楽町店のエントランスは、多くの女性ファンにより大盛況!

スペシャルトークショウの模様をお届け!

『クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編』の発売を記念し、名越稔洋氏×斎藤工さんのスペシャルトークショウが開催!_03
『クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編』の発売を記念し、名越稔洋氏×斎藤工さんのスペシャルトークショウが開催!_04
▲総合プロデューサー・名越稔洋氏
▲右京龍也役・斎藤工(たくみ)さん

――まずはお集まりいただいた会場の皆様にひと言ずつご挨拶をいただけますか?
名越稔洋氏(以下、名越) すごいお客さんの数ですね(笑)。斎藤君の人気のほどがわかります。いよいよ本日、『クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編』が発売になりまして、斎藤工君が一生懸命協力してくれた作品になりますが、どうぞよろしくお願いします。
斎藤工さん(以下、斎藤) 今日は寒いなかお集まりいただきまして、ありがとうございます。ずいぶん早くからお見えになられた方もいたそうで、とても感謝しています。じつは今日はさっきまでドラマ(ドラマ版『クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編』)の撮影をしていまして、そのまま右京龍也の格好でこちらに来ました。前作のドラマから龍也役をやらせていただいていますが、自分としてはこれだけプライベートの時間までひとつの役に関わったことは初めてで、今回発売になるゲーム版はその集大成なので、今日という日を迎えられたことを本当にうれしく思います。

――ソフトの発売日を迎えられた率直な感想をお聞かせいただけますか?
名越 ちょうど1年ほど前に前作が出まして、おかげ様で好評をいただいたのですが、斎藤君と同じく、無事に今日を迎えられたことが何よりだなと。

――前作との違いや本作のテーマについて、改めてお聞かせいただけますか?
名越 前作はバトル部分が前面に出ていて、若者が格闘技や拳を通じて生きかたを学ぶドラマを中心に置いていたわけですが、本作では、仲間どうしの絆であったり、前作から1年という時間を経て少し成長した主人公が自分よりも下の世代の少年たちとどう関わりを持っていくのかというところを主題にしています。作品を作る過程では、斎藤君からももっとこうありたい、というリクエストが出てきて、いい刺激を受けながらゲームとドラマの両方を作れたと思っています。

――斎藤さんは『クロヒョウ』シリーズについてどのような印象を持たれていますか?
斎藤 僕と右京龍也の年齢のことを言うと、僕は30歳なんですけど右京龍也は10代で、年齢的には一致しないんですよね。でも、見る人にそこを意識させたら役者の負けで、そういうテンションの作品ではないんです。『2』が出るということは、前作のゲームやドラマのよさがちゃんとユーザーの皆様に伝わった結果だと思っています。今回はどこに注力するかと言うと、龍也の感情の部分。僕は右京龍也というキャラクターは男子だけじゃなく、女子だったり、ぜんぜん違う年齢層の方の心の中にもある”もがき”の象徴だと思っているんです。自分の抱えているやり場のない気持ちだったり、現代ならではの、処理能力があり過ぎて処理できない、心の奥にある感情の象徴だなと。前作のドラマが終わって僕が考えたことは、人間というのは”失うことの学習”をしなきゃいけないんだな、ということなんです。ふつう、僕たちは何ひとつ失うものがないように注意して生きていますよね。ところが実際には、どんな対策を講じても、いろいろなものを失っていくと思うんです。でも、何かを失うときに、同時に何かを得ることができるかどうかが大事なんじゃないかと。そうしたメッセージ性は、前作のストーリーからも感じ取れたことですが、本作ではより強くなっていると感じます。いまという時代にもリンクしていると思いますね。
名越 前作はゲームのほかにドラマをやりたいという想いは強くあったものの、誰とどういう形でやるのかは頭になかったんですよ。斎藤君との出会いは偶然なんですが、ある種、運命的なものを感じていて。斎藤君という才能に出会えたことが前作のいいドラマを産み、いいドラマを産めたことが『クロヒョウ2』という作品につながったと思っています。

――大阪の蒼天堀が舞台になっているということですが、その意図を教えてください。
名越 ストーリーの展開に広がりを持たせるという意味合いもありますし、過去の『龍が如く』シリーズで大阪を扱った作品が非常に好評だったということもあります。大阪というご当地ならでの体験もできますし、ビジュアル的にも質感がかなり変わってきますのでユーザーの皆様には楽しんでいただけるのではないかと思っています。

――斎藤さんのほかにも多くの豪華キャストの皆さんが参加されていますよね?
名越 今回も非常に多くのキャストの方々にご協力いただきまして、ゲームの声役だけでなく、そのままテレビドラマにしても成立するほど豪華な顔ぶれになりました。キャストを考えるときは、「右京龍也をどうするか?」というところからスタートしたのですが、そこは斉藤君の存在は大きかったですね。彼はとてもいい男で、真面目なだけに、ちょっとイジりたくなっちゃうんですよね(笑)。そこではいい化学反応が生まれたと思っています。斎藤君にはスマートな演出も合うんだけども、自分としてはそれだけはつまらない。ゴリゴリした湘南乃風の楽曲が鳴るなかで斎藤君がわめくようなシーンをやりたくなっちゃいますし、斎藤君を軸とした演出はとてもおもしろいものになっているはずです。

――ドラマの撮影は順調に進んでいますか?
斎藤 そうですね。いまはもう終盤に差し掛かっていて、日々、大詰めのシーンの連続です。もう1ヵ月以上、毎日のように撮影が続いているんですけども、気が抜けた瞬間がなくて。前作もそうだったのですが撮影中はプライベートの記憶がまったくないんです(笑)。撮影が終わって帰宅すると気絶するように眠って、翌朝マネージャーの電話で飛び起きて現場に行ってまた右京龍也になる……という日々が続いていて。正直、きびしい現場なのですが、そんななかでもスタッフが一丸となってひとつの方向を向いているチームなので、生ぬるさのない作品になっていると思いますね。役者どうしの関係性も非常にいい現場です。さっき、撮影の合間に近くのラーメン店でご飯を食べていたら、敵対する役柄の大杉漣さんが後から入って来られて、いっしょにラーメンを食べたりして(笑)。前作から引き続き出ている方と、今回新たに出演される方が半々くらいなのですが、そこの相性がめちゃくちゃいいんです。撮影はあと1週間ほどで終わってしまうのですが、いまから寂しさを感じていますね。

――ドラマと言えば、前作から名越さんも出演されていますよね?
名越 ……何か、すいません(苦笑)。
斎藤 前作からドラマに出ていただいている名越さんと魔裟斗さんは役者ではないんですども、独特の空気感というか、オーラみたいなものが自然と出ているんですよね。それは小手先の演技では絶対に真似のできないことで、そうしたおふたりに負けないという意味では、僕ら役者に取ってもいろいろなことを試される作品だと思います。
名越 いやいや、それはとんでもないお話で(笑)。自分としては製作総指揮という立場でありながら、役者として皆さんと同じフレームに入って、多少なりとも演者の方々と同じ空気を感じて、同じ視線でものを考えられるというのはうれしいことですね。今回は撮影の初日に斉藤君が右京龍也が成長した貫禄を感じさせてくれたんですよね。そういう貫禄って下手をすると嫌らしさにもつながり兼ねないんだけど、斎藤君にはそういう感じがまったくなくて。このドラマが、いい作品になるという予感がした瞬間でした。

――それでは最後に、おひとりずつメッセージをいただけますでしょうか?
斎藤 今日はゲームのイベントということで、もう少しゲームの話をしたいんですが、僕の声を入れるだけでまるまる4~5日以上は掛かっているんですよね。もちろんゲームというのは声だけじゃくて、1枚ずつ絵を描いたり、音楽やそのほかの膨大なパーツの集合体なのですが、ゲームの製作スタッフの方々のご苦労は本当にたいへんなものだと思います。断片的ではありますが、ゲームを1秒を作ることのたいへんさに触れられたことは貴重な体験でした。できあがったゲームを数日前から遊ばせていただいているんですが、いままでにない感覚なんですよね。自分の声が素材として活かされていることのよろこびがすごく感じられて。ワイルドな内容の作品ではありますが、ぜひとも女性の皆さんにも遊んで欲しいですね。右京龍也を通じて、いまの時代のきびしさや、先ほどお話した、何かを失うときに何かを得ることの大切さを体感して欲しいと思います。
名越 つねに熱いドラマを皆さんにお届けしたいと思っていて、そのためにいろいろなキャストやシナリオを考え、仕掛けを考えています。多くのスタッフが関わっていますが、それぞれがただ自分の役割をこなすだけではなくて、チーム全体としてどうしたらよりよい作品になるかを真剣に考えられるスタッフが手掛けた作品なので、いい内容になっていると思います。ゲーム内には女の子を口説く遊びもありますので、女性の皆様は女の子のほうに自己投影して遊んでいただくのもいいと思いますね(笑)。どうか皆様、ゲームとドラマともに『クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編』をよろしくお願いします。

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