日本が、世界が称賛したコンテンツたちが堂々の受賞

第17回AMDアワード授賞式 大賞は“MIKUNOPOLIS in LOS ANGELES-はじめまして、初音ミクです-”が受賞_01

 2012年3月19日、東京・明治記念館において、デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー‘11/第17回AMDアワード授賞式が開催され、大賞/総務大臣賞に輝いた“MIKUNOPOLIS in LOS ANGELES-はじめまして、初音ミクです-”を始め、各賞を受賞したクリエイターたちが表彰を受けた。この賞は、社団法人デジタルメディア協会が、デジタルメディア業界の発展を目指し、優秀なデジタルコンテンツ等の制作者を表彰するものだ。

 表彰式は、まず社団法人デジタルメディア協会の理事長を務める襟川恵子氏の挨拶から始まった。襟川氏は、大学卒のふたりにひとりが、高校卒の3人にふたりが就職できないという、昨今のきびしい雇用状況に触れつつ、現在は産業構造の変革期であることを指摘。その状況を打破するものこそデジタル産業であるとして、その一例として、Web関連産業に従事する人は、2010年の43万人から、2020年には200万人弱まで増加するだろうという経産省の見通しを紹介した。同様に、デジタル産業の市場規模も、2010年の10兆円から、2020年には47兆円に拡大する見通しであることを紹介し、社団法人デジタルメディア協会の会員企業やクリエイターの力が、産業構造のシフトを支える大きな力となることを力説した。

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▲司会を務めたのは、TBSの竹内香苗アナウンサー。
▲襟川恵子氏。日本のクリエイターには、世界に進出する能力を持つ人材が多数存在することも強調していた。

 その後、受賞者への表彰が順次行われていった。なお功労賞は、審査の結果、本年は該当作品なしとなっている。

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◆江並直美賞(新人賞)
猪子寿之(チームラボ)
【受賞理由】リアルとバーチャルをつなげる映像演出への取り組みは秀逸。「NHK 紅白歌合戦」にて嵐のスペシャルメドレーをプロジェクション・マッピングを用いて演出し、先端の演出技術を幅広い層に向けて知らしめた。今後のさらなる飛躍を期待させる。

猪子氏の代理で登壇した森氏は、「日本から、何か、未来のヒントに、なるようなこと、そして、人への新たな感動を与えるヒントになるようなことを、発信していけたらと思っております」と語った。

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◆リージョナル賞
BRASIL GIFU 多文化共生プロジェクト
株式会社うぶすな
【受賞理由】「BRASIL GIFU 多文化共生プロジェクト」は、在日ブラジル人と日本人が相互理解を深め、共生できる社会を目指すため、在日ブラジル人の地域での生活や交流に役立つ行政情報や地域情報などを母国語であるポルトガル語で発信する、地域に根ざした先進的な取り組みとなっている。全国の半数以上の在日ブラジル人が暮らす東海地域をはじめ、全国各地で展開できる情報発信モデルとなっており、在日外国人と日本人が地域で共生するための施策モデルとして、広く利用可能な事業である点を高く評価する。

登壇した芦澤洋介氏は、「機会を与えていただいた岐阜県情報産業課様に深くお礼を申し上げます」とコメントした。


 ここからは、大賞へのノミネート作品ともなる優秀賞9作品が、五十音順で表彰されていった。なお本年の年間コンテンツ賞“優秀賞”の授賞作品9作品は、平成23年1月1日より12 月31日の間に日本国内において発売・発表(当該期間内に新たに普及・注目されたものを含む)されたデジタルメディアにて表現されるコンテンツ及び、最新のデジタル技術を駆使して制作された国内(海外展開含む)のデジタルコンテンツ及びサービスから選出された。また、受賞作品の審査は、実行委員会の指名する“第17回AMDアワードサポーター”により推薦されたコンテンツ及びサービスを、別に組織する審査会《審査員長:浜野保樹氏(東京大学大学院教授)》にて審議し決定されたものだ。

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■おさわり探偵なめこ栽培キット
受賞者:株式会社ビーワークス
【受賞理由】
“なめこを栽培して採取する”だけ、というこれまでにないシンプルで明快なゲーム性と、愛嬌のあるビジュアルで、スマートフォンのアーリーアダプターだけでなく、女性層、若年層にまで人気が波及。累計600万ダウンロードに迫り、あまり活発ではないホワイトユーザーへアプリをダウンロードするという機会を与えた。

壇上に上がったのは、ビーワークス代表取締役社長の金子健一氏。「もともとは別のアプリの宣伝用として、あまり力を入れずに、ときどき立ち上げてかわいがってもらえれば……と、そこに集中して作ったのがよかったのかもしれません。続編を期待する声もたくさんいただいていますし、この賞を励みに、いいアプリを開発していきたいと思います」(金子氏)。

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■九州新幹線全線開業「祝!九州」キャンペーン
受賞者:「祝!九州」制作チーム
【受賞理由】自主的な参加者を巻き込んで表現するという、インタラクティブなメディアで確立しつつある表現を放送で試み、3万人もの人びとが参加した。JR 側はこの挑戦的な企画を採用、制作側もなし遂げ、「九州の人が全員参加できるお祭りをつくろう」、というゴールイメージを映像として結実している。

制作チームを代表して、電通のクリエイティブディレクター・東畑幸多氏が登壇。「リハーサルもできない、本番一発勝負のリスキーな企画を受け入れてくれたJR九州の皆様、そして集まってくれた九州の方々に、本当にお礼を申し上げたいと思います」と語った。

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■DARK SOULS(ダークソウル)
受賞者:DARK SOULS開発チーム
【受賞理由】敵は強く、トラップも満載で、トライ&エラーのくり返しの末、極上の達成感が得られるという、ゲームの原始的な喜びが詰め込まれており、コアなゲームユーザーを中心に高い評価を得た。国内のみならず、北米・欧州で110 万本以上の出荷本数を記録、日本産ゲームの実力を全世界で改めて証明した。

登壇したのは、ファミ通.com読者にもおなじみ、ご存じフロム・ソフトウェアのディレクター、宮崎英高氏。「僕らだけ場違いな感じもしますが……」と苦笑しつつ、「こんなすばらしい賞をいただけたのも、ひとえにプレイしてくださったユーザーさんのおかげだと思っています。そしてこの感謝は、つぎの、よりおもしろいゲームという形でお返しするのがいちばんだと思いますので、そのために努力していきたいと思っています」と喜びを語った。

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■ニコニコ生放送
受賞者:株式会社ニワンゴ
【受賞理由】配信される番組に対してリアルタイムでコメントを書き込むことにより、視聴者間、さらには番組出演者と視聴者との間でコミュニケーションを楽しむことのできるサービスを提供することで、一般会員2200 万人、有料会員130 万人となって営業黒字を達成し、震災報道等で従来の放送メディアに劣らない地位を確立した。

登壇したニワンゴ代表取締役社長の杉本誠司氏は、受賞について、「毎年AMDアワードを中継してきた成果が出たかな、と思います」とのジョークで会場を笑わせつつ、「ユーザーに支えられてきた、ユーザーに作られてきたサービスですので、ユーザーの皆さんといっしょに受け取るべき賞だし、いっしょに喜んでほしいと思います」と語った。

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■ニンテンドー3DS
受賞者:任天堂ニンテンドー3DS開発チーム
【受賞理由】携帯型ゲーム機としてはじめて「裸眼3D液晶ディスプレー」を搭載し誰でも気軽に3Dを楽しめる環境ができ、新たなゲームタイトルの可能性を広めた。勇気ある3D液晶の実装と、世界的な携帯ゲーム機の普及による、関連コンテンツ産業への貢献、さらなる発展を期待する。

任天堂開発技術部 プロジェクトリーダーの中井氏が登壇し、「ニンテンドーDSの後継機として、新たな笑顔をお届けできるものを、と開発しました。すばらしい賞をいただけて、永井(1月に逝去した専務製造本部長・永井信夫氏)にいい報告ができます」とコメントした。

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■マルモのおきて
受賞者:株式会社フジテレビジョン/株式会社共同テレビジョン
【受賞理由】連続ドラマとしてのクオリティ、人気はもちろん、芦田愛菜、鈴木福のキャスティングをもって「子役」ブームを巻き起こした。放送におさまるだけでなく、さまざまなメディアのコンテンツに影響は波及し、社会現象を巻き起こしたことは、コンテンツの影響力の理想的なモデルを示している。

受賞者を代表してフジテレビジョンの瀧山麻土香氏が登壇。「昨年の4月からスタートしたドラマで、東北の方々からも、「癒されました」という声をたくさんいただきました。いままでにないドラマを、と3人の女性プロデューサーで話し合いをくり返して生まれた企画ですが、結果的に観る人を励ましたり、力になったりすることができて、このような賞に繋がったのであれば本当に光栄です」と語った。

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■MIKUNOPOLIS in LOS ANGELES− はじめまして、初音ミクです −
受賞者:MIKUNOPOLIS 2011 実行委員会
【受賞理由】2011年7月2日にロサンゼルスで行なわれた、「初音ミク」の初の海外コンサートであるMIKUNOPOLIS は、「ANIME EXPO 2011」の一環として開催され、チケットが完売、約5000人の観衆が熱狂した、歴史に残る記念碑的なコンサートとなった。CGM型バーチャルアイドルの今後の展開のへの期待も大きい。

セガの『初音ミク-Project DIVA-』プロジェクトマネージャー、内海洋氏が登壇し、「“MIKUNOPOLIS”はちょうど震災の時期にライブの準備真っ最中だったため、ライブなんて浮かれたことをしていていいのかと悩みながら進めたのですが、ファンの方から、「ミクが世界に飛び出す姿を見てみたい」という言葉をいただいて勇気づけられ、何とか無事に終わらせることができました。観てくれた皆さん、200名を超えるスタッフの皆さんに感謝します」と語った。

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■モテキ
受賞者:東宝株式会社/株式会社オフィスクレッシェンド
【受賞理由】JPOP の使いかたに象徴されるように、広く、時に自己言及的な表現にチャレンジし、日ごろ劇場にゆかない30~40 代男子に強い訴求力を持ち、その層を開拓した。さらにSNS を映画に取り入れ、現代のコミュニケーションのあり方を提示してみせる一方、古典的な男女の生々しさも表現し、新と旧のコントラストが、映画のひとつの可能性を感じさせた。

監督の大根仁氏は、「『モテキ』は昨年の1、2、3月に準備し、4、5、6月に撮影をしました。ご存じの通りきびしい時期の撮影で、エンターテインメントができること、映画ができることはなんだろうと、一生懸命考えながら作りました。きびしいのは昨年だけではなく、今後もきびしい状況は続くと思いますが、そんな中で、映像コンテンツは何ができるのかを考えながら、これからも、楽しく明るいエンターテインメント作品を作っていこうと思います」と語った。

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■無料通話、無料メールアプリ「LINE」
受賞者:NHN Japan 株式会社
【受賞理由】ユーザー同士であれば国内・海外・通信キャリアを問わず無料で音声通話・メールが楽しめるスマートフォンアプリ。電話帳に登録された電話番号をもとに知り合いを検索してくれる機能も便利で、設定が簡単なため、公開後7カ月で1500万ダウンロードを達成した日本発の大型ヒットソフト。

NHN Japan CSMO/執行役員の舛田淳氏が登壇。「スマートフォン時代のコミュニケーションのあり方について考えていたさなかに大震災があり、これからのコミュニケーションは知らない人同士ではなく、知っている人同士をつなげていくものこそ、新しい時代のコミュニケーションなのではないかと考え、“LINE”リリースしました。世界中で多くの方に使って頂いていますが、もしかすると、日本から、googleやFacebookを凌ぐようなプラットフォームが生まれるのではないかと思って頑張っています。どうぞご期待いただければと思います」とコメントした。


 続いて、AMD理事長賞が発表。AMD理事長賞に輝いたのは、九州新幹線全線開業「祝!九州」キャンペーンだ。選考理由は以下の通り。

【受賞理由】九州新幹線全線開通を告知するにあたり、JR九州が採用した広告の案が「九州の人が全員参加できるお祭りをつくろう」。3万人もの人が集まることは現実的にリスクが大きく、また当日本当に集まるのかという不安もあったと思うが、JR側はこの思い切った企画を採用、制作側もきちんと成し遂げ、映像として世に送り出したことは実に快挙と言える。本来この広告は震災とは関係はなく企画されているが、被災地の人たちもこのCMに共感し、ソーシャルメディアで九州だけではなく、全国に広がったという話を聞く。

 優秀賞の表彰に続いてステージに上がった電通クリエイティブディレクター・東畑幸多氏は、この企画の制作を通じて、いろいろな大事なことを教えられたと語り、「作り物ではない笑顔が、こんなに人を元気にしてくれるものかと、本当にビックリしました」(東畑氏)と、改めて、人こそがいちばんのエネルギーになるのだという考えを述べた。また、今後についても、「これからは、世の中にエネルギーを与えられるものを、ということを、つねに心の中において仕事をしていきたいな、と強く感じさせられました」と、この企画が東畑氏とって大きな経験となったことを語っていた。

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 そしていよいよ、もっとも優れた作品に贈られる“大賞/総務大臣賞”の発表。審査員長の東京大学大学院教授・浜野保樹氏が読み上げた名前は、“MIKUNOPOLIS in LOS ANGELES− はじめまして、初音ミクです −”。受賞理由は以下の通り。

【受賞理由】初音ミクは2007年に発売された歌声合成ソフトの名称だが、インターネット上でオリジナル楽曲やイラスト、3DCGによるミュージックビデオへと、クリエイターによる共作が連鎖し、バーチャルアイドル“初音ミク”として人気を得た。宣伝ではなく、CGMの循環によって世界に広がり、その頂点として米国ロサンゼルスのノキアシアターにてライブを実現し、満員の会場を熱狂させた。またトヨタやグーグルのTVCMに採用されるなど、世界的アイドルとして成長。日本発の世界的CGM型バーチャルアイドルとして海外公演を実現された実績と、さらなる世界公演の実現を記念して、第13回に引き続き今年二度目の優秀賞を贈る。

 表彰に先立って、まずAMDアワードを後援している総務省を代表して、総務副大臣の松崎公昭氏が登壇し、スピーチを行った。松崎氏は大賞を受賞した“MIKUNOPOLIS”について、「初音ミクは最初から完璧なアイドルだったわけではなく、ユーザーが参加することでコンテンツの力を高めていきました。いまやその魅力は国境を越え、海外でも、日本でもっとも有名なアイドルのひとりとなっていると聞いております」と分析。続けて、“COOL Japan戦略”として、着実に復興が進む日本の姿や、震災後も変わらぬ日本の魅力を伝えるため、効果的な海外への情報発信に取り組んでいる政府の姿勢を説明しつつ、「今回の受賞作品を初めとした、海外への発信力を持つデジタルコンテンツに大いに期待しています」と、デジタルコンテンツを制作する企業・クリエイターにエールを送った。

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▲審査員長の浜野保樹氏。
▲総務副大臣の松崎公昭氏。

 大賞を受賞したクリプトン・フューチャー・メディアの代表取締役社長、伊藤博之氏は、「“初音ミク”は、2008年、第13回AMDアワードでも賞をいただきましたが、当時は、まさかこんなに長くムーブメントが続いて、アメリカでコンサートができるなんて思ってもいませんでした」と、“ミク人気”が生みの親の予想をも超えるほどのものとなっていることを説明。その人気を支え、”初音ミク”を通して作品を生み出し続けている数多くのユーザーたちに感謝するとともに、そうした“クリエイション”こそ、日本の国力、コンテンツを作り出す力の源であるとの考えを語り、今後も“初音ミク”などを通じて創作活動を続けてほしいと呼びかけた。

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 総評として、最後に登壇した浜野氏は、大賞を受賞した“MIKUNOPOLIS”について、デジタルエンタテインメントとして世界進出を成功させたことを高く評価したと説明。また、2008年の受賞時には未知数だった収益面でも、ライブエンターテインメントとして見事にビジネス的な成功を成し遂げたことに称賛の言葉を贈った。

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 本年の受賞作品を見ると、近年デジタルコンテンツを席捲しているCGM(Consumer Generated Media)型、つまりユーザーが参加して作り上げていくタイプのコンテンツが、いよいよ本流となってきていることが一目瞭然の結果となった。ことに2011年は、未曾有の大災害を経験し、CGM型のコンテンツが有事に大きな力となりうることが証明された年でもあった。そうしたCGM型コンテンツを企画し、成功に導く手腕が称賛されるのは、時代の必然と言えるだろう。一方で、ニンテンドー3DSや、『DARK SOULS(ダークソウル)』のように、優れたクリエイターが作り出した極上のエンターテインメント製品がしっかり存在感を示しているのも心強い。また、多くの作品の選考理由でも指摘されている通り、そうしたコンテンツが世界に通用しているという事実も、日本のクリエイターを勇気づけていることだろう。次年度のAMDアワードにも、世界を驚かせる多様なコンテンツが顔を並べることを期待したい。