プロゲーマーのパフォーマンスを引き出す職人魂とは?
ホリから2012年5月下旬に発売予定のジョイスティック『ファイティングエッジ-刃- for PlayStation 3』と『ファイティングエッジ-刃-for Xbox 360』。本製品には、カプコンの対戦格闘ゲーム『スーパーストリートファイターIV』で活躍するプロゲーマーsako氏が制作に協力している。sako氏を筆頭とした「格闘ゲームプレイヤーのパフォーマンスを限界まで引き出すこと」をコンセプトに制作された本製品の開発に携わったプロゲーマーのsako氏と、浅葉氏(ホリ)にインタビューを敢行! 本製品に込められた思いを両氏にアツく語っていただいたぞ。
発売日:2012年5月下旬
価格:19800円[税込]
2010年に開催された『スーパーストリートファイターIV』の大会『GODS GARDEN online #2』でプロゲーマーのウメハラ氏を破って一躍有名になり、その攻撃的な戦術から“最強の矛”の異名を取るまでになった。一般のプレイヤーは実戦投入をあきらめるような高難度の連続技も当たり前のように決め、コマンド入力の正確さで右に出る者はいない。最近では『スーパーストリートファイターIV』のトッププレイヤーが12名によるリーグ戦“トパンガリーグ”で優勝を果たす。
ホリの営業スタッフ“HORIのA”としてさまざまな場所やイベント、Twitter上で出没していたが、2012年3月に広報担当に。『ファイティングエッジ』ではsako氏をはじめとしたさまざまなユーザーからの要望・コメントをまとめ、仕様調整を促す作業を担当。
「格闘ゲーマーが戦うための“武器”を作りたかった」(浅葉)
――『ファイティングエッジ』プロジェクト立ち上げの経緯を教えていただけますか?
浅葉 2010年6月に弊社のUS法人が、sakoさんも所属するゲーマーチームをサポートすることになったのがきっかけです。当時は、格闘ゲームが大きな注目が再び集めていたころで、アーケードと同じボタンやレバーを使用してゲームセンターにおいてある筐体を再現した所謂『アーケードスティック』と呼ばれるものが大人気になりだした時期でした。しかし、sakoさんが所属している“チームHORI”のメンバーには、アーケードがあまり一般的ではないというアメリカの方がいまして、そういった方に「アーケード筐体を再現した商品です」、とお勧めするということに違和感を覚えていたんです。であれば、元より家庭用ゲームが主戦場の格闘ゲーマーが、家庭用ゲームの大会で戦うための“武器”を作りたいという思いからプロジェクトがスタートしました。
――制作の手順としては、まず試作品をsakoさんに試していただいたのでしょうか?
浅葉 スティックユニット”隼”の試作は前々から行っていましたが、タイミングよくチームHORIをサポートすることになったので、チームHORI仕様のスティックを先行試作機として提供させていただきました。そして、sakoさんの要望を取り入れて発展させていったものが『ファイティングエッジ-刃-』になります。
――試作機でsakoさんがプレイして、意見をHORIさんに投げるという形で開発が進んだのでしょうか?
浅葉 はい。ボタンやレバー入力の感触といった非常に細かい部分のチューンナップに1年以上を費やしました。
――1年以上というのは、ジョイスティックの開発期間としてはかなり長いように思いますが?
浅葉 そうですね。まずレバーとボタンを作るところから始まったので、相当な時間を要しました。
――レバーとボタンを自社製にするということは、最初から決まっていたのでしょうか?
浅葉 はい、「家庭用スティックとしていちばんいいと思うものを」というコンセプトで開発を開始しましたので、仕様や調整を続けていくうちにより真剣に考えていきました。
――sakoさんは先行試作機を試してみて、まずはどのような要望を出したのでしょうか?
sako 海外の大会へジョイスティックを持っていくことが多かったので、まずは持ち運びやすくしていただくことをお願いしました。先行試作機は『リアルアーケードPro』(以下『RAP』)をベースにしていたため持つ場所がなく、持ち運びに向いていなかったんですよ。
浅葉 『RAP』開発当時は、「スティックは机の上に置く物」という考えかたが我々にあったため、頻繁に持ち運びするということを想定していませんでした。
――なるほど、それでまずは持ち運びやすいように両サイドに溝をつけたんですね。ちなみに、名前はどの段階で決まったのでしょうか?
浅葉 『ファイティングエッジ』という名前はかなり初期の段階から決まっていました。プロプレイヤーは勝負の世界で戦っていますよね。つまり、コントローラーは格闘ゲーマーの武器“刃(やいば)”であるということから『ファイティングエッジ』という名前に決定しました。sakoさんは“最強の矛”と呼ばれていて、そういった方が使う“鋭い刃”として本製品を世に送り出せるのは我々としても誇りに思います。
「ボタンを押したときの音にこだわりました」(sako)
――sakoさんがつぎにご意見されたのは?
sako ボタンですね。とくにボタンを押したときの音を重視しました。『ファイティングエッジ-刃-』は、アーケード筐体のボタンとは違って「パチパチ」という音がします。なぜ音が出るようにしたのかというと、僕はボタンを弾く音でボタンを押すタイミングを計っているからです。
――sakoさんが納得のいく押し心地を再現するのはやはり苦労されましたか?
浅葉 はい。ボタンを押したときの音や、指先で触れたときの微妙な感触を再現するのに相当苦労しましたね。
sako 最初はボタンを押したときの感触が“重かった”んです。ボタンを押して、元の状態に戻るまでが遅いというイメージでしょうか。
浅葉 最初は耐久度を優先していろいろな部分を頑丈にしてみたのですが、ボタンを押したときの感触が非常に重くなってしまったんです。頑丈さと操作性は引き換えになってしまっている部分がありますので、その調和を取るのに非常に苦労しました。
――ボタンやレバーの配置については試行錯誤されたのでしょうか?
浅葉 それについては先行試作機から変わっていませんが、決定までは悩みました。格闘ゲーム全盛期にゲームセンターで広く使われていた筐体と同じ配列になっています。アーケード約20年の歴史の中でも由緒正しい配列でもありますので、もう一度それでやろうと。ちなみに、sakoさんは非常に手の大きなプレイヤーなので、今回の配列が合うのかもしれません。
――なるほど。Sakoさんがアーケードでいちばんプレイされていたときと同じ配列だったので、なじみやすさもあったのでは?
sako そうですね。ガッツリゲーセンに通っていた『ヴァンパイアセイヴァー』のころに普及していた配列なので、いちばんしっくりくるんですよ。それをベースにしていただいたのはホンマにありがたいですね。それにホリさんのことは小さいころから知っていましたから、まさか自分が開発に関わることができるなんてと、夢にも思いませんでした。
――ボタン配列としては、スタートボタンやセレクトボタン(BACKボタン)に特徴があるようですが?
浅葉 はい。スタートボタンとセレクトボタンはタッチパネル形式になっています。タッチパネル化することで、誤って押してしまうことを防いでいます。視覚的にも物理的にも排除する、というのはsakoさんからのご要望からでした。
sako はい。大会などでスタートボタンを間違えて押すことがあったため、こちらから意見を出させていただきました。
浅葉 スタートボタンなどを側面に配置しているジョイスティックはすでにあったので、今回は別のアプローチを考えました。タッチパネル形式にしただけではなく、スタートボタンやセレクトボタンを意図的に使えなくする“ファイティングモード”というものも搭載されています。
sako 大会で間違えてスタートボタンを押して、それで負けたらやってられませんからね。
「ボタン配列をプレイスタイルに応じて変更できるんです」(浅葉)
浅葉 ほかにも、sakoさんが『スパIV』で使うコンボテクニック“つじ式”(※)。その中でも難度の高い“セレクトボタンを使ったつじ式”がやりやすくなるボタンを、というご要望もいただいたのですが、なかなかうまくいかず、最終的にはボタンの割当設定を変える“ボタン割当モード”を搭載しました。プレイステーション3版であれば8ボタンすべてが、Xbox 360版であれば色のついていない4ボタンに対してスタートボタン以外すべてのボタンと、をアサインすることができ、また“割当自体をなしにする”という設定も可能です。これにより『スパIV』であれば、メインの6ボタンを設定した状態で、残りのボタンにセレクトボタンなどを配置することもできるんです。
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※つじ式
特定のボタンをズラして押すことによって、コンボ精度を上げる『ストIV』のテクニック。ズラし押しするボタンの順番にはルールがあり、優先順位の高いボタン→優先順位の低いボタンの順番に押す必要がある。優先順位は弱→中→強の順に高くなり、パンチよりキックの優先順位が高い。たとえば、“強パンチ→中パンチ”とズラし押しすることで、強パンチをコンボに組み込みやすくなる。
※セレクトボタンを使ったつじ式
パンチとキックの6ボタンでもっとも優先順位の低い弱パンチは、さらに優先順位の低いセレクトボタンとズラし押ししなければ“つじ式”が成立しない。通常のジョイスティックの場合、セレクトボタンの位置が弱パンチと離れているうえ、スティックの種類によってはスタートボタンなどと近いためボタンの押し間違えが発生しやすい。
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sako セレクトボタンの位置が弱パンチと離れている以前のスティックより断然使いやすくなりましたね。
――え? 以前のスティックでも“セレクトボタンを使ったつじ式”を使っていたんですか?
浅葉 そうなんですよ。sakoさんは以前のボタン配置でもかなりの精度を誇っていたんです(笑)。ボタン割当機能の使いかたとしては、セレクトを配置するほか、強パンチをふたつ配置してボタン連打系の必殺技を出しやすくすることも可能ですし、4ボタンしか使わないゲームでは、サイドのボタンに“設定なし”を割り当てることで“押しても何も反応しない”ボタンを作ることも可能になります。既存のモデルでも配線を差し替えたり、抜いたりされたりする方がいらっしゃるのを目の当たりにしていましたから、そういった“手間”がなくなる、という訳です。ボタン割当機能については、我々から「こう配置するとこのゲームがやりやすくなるんですよ」といったアナウンスはしませんが、使っていただくみなさまの手の大きさやプレイスタイル、プレイされる格闘ゲームのタイトルによって配置を考えて、変えていただければと思います。
――複数の格闘ゲームをプレイする人には便利ですね。ボタン配列とは関係ありませんが、両サイドにある青く光るライトもかっこいいですね。
浅葉 ありがとうございます。『ファイティングエッジ-刃-』は、両サイドに“LEDライト”を搭載してあります。ゲームプレイに何か意味があるかと言われたら困りますけど……。
sako プレイしている人間にはまったく見えませんからね(笑)。
――でもプロゲーマーが使っていたらかっこいいですよ。
浅葉 ゲーム大会の中継では、ゲーム画面だけではなく、手元を映すこともあるんですが、そのとき手元が暗いことがあるんですよ。そんなときにこのライトがあると明るくなり、見えやすくなるというメリットもありますし、sakoさんの指使いも映えますから。
「『ファイティングエッジ』はムチャクチャ安定しています」(sako)
――ほかにsakoさんがこだわったポイントはありますか?
sako スティック底面の滑り止めですね。
浅葉 これまでのスティックは底面が鉄板だったため、激しいプレイをすると滑ってしまうことがあったんです。しかし、『ファイティングエッジ-刃-』には、底面全体に摩擦度の高い滑り止めを貼ってるので、机、膝上、床置きとどんなプレイスタイルでも滑りにくくなっています。あと「膝上に置いたときに冷たい」ということもありません。
――すばらしいですね。ちなみに、sakoさんはどういったスタイルでプレイしているんですか?
sako “床置き”と“机置き”の両方を練習しています。いままではすごく滑っていたんですけど、「『ファイティングエッジ-刃-』はムチャクチャ安定しててプレイしやすいですね。」
――大会がどういう形式かわからないから、いろいろなスタイルを練習しているんですか?
sako そうですね。最近は“膝置き”も練習しています。でもいちばん長いことやってるのは床置きですね。ただ、最近は床置きのやり過ぎで姿勢が悪くなってきちゃったから、テーブルの上に置いてプレイすることが多くなりました。ちなみに、以前の大会では、滑らないようにスティックの下にタオルを引いてプレイしていたんですよ。
浅葉 実際先行試作機には滑り止めが搭載されていなかったのですが、sakoさんがおっしゃるなら当然だろうという形で開発に無理やり作ってもらいました。ご意見をいただいてなかったら『ファイティングエッジ-刃-』に搭載されていなかったかもしれない機能のひとつですね。
――レバーについてはすんなり納得がいったのでしょうか?
sako 「柔らか過ぎても硬過ぎてもダメ」ですね。先行試作機では柔らか過ぎてレバーがぐるぐる回り過ぎていたんです。柔らかすぎると、レバーを弾いたときに反動で逆側にもレバー入力が入っちゃうんです。
――たとえば、下方向に入れた跳ね返りで上方向にレバーが入ってしまうということでしょうか?
sako はい。『スパIV』のいぶきで意図しないハイジャンプ(※↓↑と素早く入力する技)が出てしまうことが多いんですよ。
浅葉 元々”隼”は入力認識範囲を広げ、所謂『遊び』を削ることで最速入力を実現させることが目標でしたから、そのための調整には非常に苦労しました。ちなみに、レバーの調整でおもしろい話があるんです。以前京都にお伺いしたとき、sakoさんにボコボコにされたんですが、そのあと「このレバー9番(右上)入ってないですよ」とsakoさんに言われたんです(笑)。
――なんだかウメハラさんの「強キック効いてませんけど」みたいな伝説ですね(笑)。
浅葉 はい。でもレバー入力を認識していないので、開発関係者は顔が真っ青になりましたよ。
――ははは(笑)。
「研ぎ澄ました刃を作るため、相応の覚悟を決めました」(浅葉)
――話を戻しますが、やはりsakoさんの要望を再現するのはたいへんでしたか?
浅葉 sakoさんにお使いいただけないのであれば、世界中の多くの格闘ゲームプレイヤーにも手に取ってもらえない、世の中に出す意味がないということで、本当に0.1ミリ単位の微調整をくり返していたので、正直たいへんでした(笑)。sakoさんからご意見をいただくたびに「どうしよう?」とスタッフが集まって話し合いをくり広げていましたから。我々としてもここまで時間がかかるとは思っていませんでしたが、逆に言うとそれだけこだわり抜いたものができたのかなと思います。
――レバーとボタンを自社製にしたメリットはありましたか?
浅葉 今回はまずsakoさんのプレイに最適化させることが目的でしたので、自社製にしてよかったと思っています。また、当社の開発コンセプトがsakoさんともマッチしたのは開発サイドとしても非常によかったと思います。
――本製品は予約限りの限定生産?
浅葉 はい。簡単に量産できるものではないので、いまの予約枠が埋まってしまうとそのあとどうなるかはわかりません。
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※インタビュー後、Xbox 360版の1次予約分は完売してしまったが、近日中に2次予約を開始するとのアナウンスが行われた。
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――採算は取れるのでしょうか?
浅葉 「はい」か「いいえ」か、でいうと「いいえ」に近いです。sakoさんのプレイパフォーマンスを100パーセント整えるということに力を注ぐことになったので、これでビジネスをするつもりはありません。鋭く研ぎ澄ました刃を作ろうと思ったら僕ら自身も触れたら切れちゃいますから、その覚悟を決める必要があると思うんです。そういういった覚悟があったからこそ『ファイティングエッジ-刃-』が完成したんだと思いますよ。
――すぐに予約しないとなくなってしまいますね。でも、友だちの家に行って「格闘ゲームやろうぜ」と言って、『ファイティングエッジ-刃-』が出てきたら絶対「かっこいい」びっくりしますよ。
sako そうですね。デザインはシンプルですけど、高級感があって目立ちますよね。
――天板に光沢がありますよね。デザイン面についてsakoさんから何か要望を出されたんですか?
sako 最初にいくつか試作機を持ってきていただいたのですが、その中にライトのついているものがあったので「光ってるのがいい」と(笑)。
――sakoさんは意外と“中二”っぽいところがあるんですね(笑)。
あきき(インタビューに同席したsako氏の嫁兼マネージャー) そうなんですよ。sakoは意外と“中二病”なんですよ(笑)。横から口を挟んで申し訳ありませんが、嫁の立場からすると、『RAP』に比べてインテリアっぽくてキレイですよね。
――たしかに、インテリアっぽいですね。
あきき 『RAP』だとごっついので「使ったあとはしまって」とsakoに注意していたんですけど、ぜんぜん片付けてくれないんですよ。でも『ファイティングエッジ-刃-』なら最近のデザイン性のある家電みたいな感じなので片付けなくても許せるかなと。
――そういった要素は、奥さんのいるゲーマーにとっては大事かもしれませんね(笑)。
浅葉 『ファイティングエッジ-刃-』のデザインは、刃のように削り出した金属をイメージしたんですが、sakoさんとあききさんのご意見もいただいてよりすばらしいものに仕上がったと思います。本当におふたりなくしては実現しなかったと思います。
――sakoさん以上に家庭用のジョイスティックを使っている人はたぶん日本にいませんからね。
浅葉 そうですね。我々としても久しぶりに“アーケードスティックではなく、ジョイスティック”といえるの製品が出せるのかなと。
あきき sakoほどスティックを触ってる人は本当にいないと思うんですよ。だからsakoはものすごくレバーとボタンについて神経質になるんです。アーケードに行ったり、“ねこはし”(sakoさんの親友)さんの家に行ったときは「ボタンがアカン」と言うんです(笑)。でもそれだけ神経質なsakoが『ファイティングエッジ-刃-』を触ったとき、「これはいけるいける」とすんなり使っていたので、本人的にもかなり使い心地のいいものに仕上がったんじゃないでしょうか。
浅葉 sakoさんの名前をお借りしているだけではありませんからね。開発の初期段階からガッチリ協力していただいて、何度もリテイクを出していただいたので、「開発メンバーです」と言い切れますから。ちなみに、ホリは創業から45年、家庭用ゲーム機の周辺機器をはじめて25年以上になりましたが、1個人の、しかも外部の方のご意見をメインフォーカスしたのは今回が初めてなんですよ。
――それはすごいですね。
浅葉 今後もプレイヤーの皆様からご要望を汲み取っていい製品を作り、使ってくださる皆様を“チームHORI”のようにバックアップしていきたいですね。
――なんだかスポーツ選手みたいですね。
浅葉 まさにそれなんです。イチロー選手モデルのバットなどと同じですね。『ファイティングエッジ-刃-』はsakoさんのパフォーマンスを100パーセント引き出すということを目標にしていたので、それが実現できたのはたいへんうれしいです。
――sakoさんのファンが『ファイティングエッジ-刃-』でプレイしたら相当うれしいでしょうね。「この感触で、床置きスタイルでプレイしているんだ」と(笑)。それでは最後に読者へのメッセージをいただけますか?
Sako 僕が自信を持って進められるデキに仕上がっているので、これからスティックを購入しようと考えている方がいらっしゃるのであれば、『ファイティングエッジ-刃-』をオススメします。
浅葉 お手ごろな価格で発売できないのは申し訳ないと思いますが、その代わりにsakoさんとともに歩んだ1年間の成果として最高のパフォーマンスをお届けします。ぜひ『ファイティングエッジ-刃-』をよろしくお願いします。
インタビューこぼれ話
インタビュー終了後、sako氏のマネージャーを勤めるsako嫁こと“あきき”さんも交えての雑談で飛び出したおもしろエピソードを紹介するぞ。
LEDライトはエディ避けにならず!
――sako家で『ファイティングエッジ-刃-』にまつわるおもしろエピソードはありますか?
あきき 家にエディという猫がいるんですが、よくアケコンにアゴを乗せて寝るんですよ。、そうすると、sakoが「おい!」って脅かしてエディをどかしています。
浅葉 両サイドにあるLEDライトはエディ避けになりませんでした?
sako まったくなりませんでした(笑)。
あきき 以前よりもアゴを乗っけたがってますよ(笑)。
――奥さんに内緒でエディ避けを付けてくれって要望を出していたんですか?
sako いやいや、さすがにそれは出していません(笑)。
みんなの期待に応えるsakoさん
あきき 先日トパンガリーグの決勝に参加するとき、「sakoさんはきっとチームHORI仕様のカッコいいスティックを持ってくる」と騒がれていたときがあったんですよ。でも、ホリさんにいただいたsako仕様の『RAP』はプレイステーション3版だったので、トパンガリーグに持っていくXbox 360版はふつうのものだったんです。だから「sakoはどうするのかな?」と思っていたのですが、私が仕事から帰ったら自分で改造していました(笑)。
sako みんなの期待値が高かったから、持って行かないと悪いかなって(笑)。
浅葉 そうなんですよ。Xbox 360版をお渡ししようと連絡したら、「もう終わりました」と言われてビックリしました。
――その甲斐もあって優勝ですもんね。
sako じつはそのときにスタートボタンを外しておいたんですよ。ふだん押さへんように練習しているんですが、万が一が起きるのが大会なので、その確率を下げるために外してしまえと。
――誤操作で負けたらやってらんないですもんね。
sako 『ファイティングエッジ-刃-』ならボタンをアサインすればいいだけだから、そういう手間も省けますよね。
“セレクトつじ”をsako氏に伝授したのはアリューン先生!
――セレクトボタンを使ったつじ式は昔から使っていたんですか?
sako 昔はぜんぜん使っていなかったですね。スイスでアリューン先生(フランスのトッププレイヤー)がやっているのを見てからですよ。彼はパッドでプレイするんですけど、セレクトボタンを押してつじ式やってるのを見て「こいつ天才や」と思って(笑)。
――それはいつころの話ですか?
sako 2011年2月ころですね。
――ちなみに、アリューン先生とは?
あきき フランスのプレイヤーでパッドでプレイするんですよ。彼はsakoと同じで公の大会にあまり出てこなくて、オンラインでしか対戦しないんです。それにちょっと引っ込み思案なところがあって、すごいsakoと似ている人なんですよ。それでフランスの大会に出るとき、「ライアンハートとアリューン、どちらと組む?」となったときがあって、私が「大会に強いライアンがいいんじゃない?」と聞いたら、sakoに「アリューンがおもしろいでしょ」と即答されました。「自分に似てるタイプだしおもしろいでしょ」と。
――パッドで動かせるのはすごいですね。
sako ホンマにすごいですよ。「パッドでもこんなに正確な動きができるんや」って驚きますよ。
インタビュー雑感
この感動をいち早く味わっていただきたかったため、寝ずに原稿を書いた豊泉三兄弟(次男)です。今回のインタビューを通して、同じ格闘ゲーマーから見ても「スティックに対してものすごいこだわりを持っているな」というsakoさんの想いがびしびしと伝わってきました。また、そのハイレベルなsakoさんの要求を、ミリ単位の調整と試行錯誤をくり返すことですべて実現したホリさんの姿に、長年スティックを制作してきた意地というか、職人魂を感じました。そんな両者がコラボした究極のジョイスティック『ファイティングエッジ-刃-』。格闘ゲーマーを自負する方であれば、ぜひ『ファイティングエッジ』を手にとって、sakoプロのスティックに対するこだわりと、ホリさんの職人魂を感じてみてはいかがでしょうか?
記事担当:豊泉三兄弟(次男)